Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

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いよいよ決戦の幕開け


決戦〜マジ・マジュール・ゴゴール・ジンガジン〜

フランス、オルレアン。

ワイバーンが巣食う城にて

竜の魔女は、夢を見ていた

魔法を扱う家族の話。

勇気の絆が、未来を切り拓く。

自分の目の前に、少年が立っていた、

此方に杖を翳す1人の少年の目は

残虐な行為に対する怒りと共に、何処か憐んでいるようにも見えて

それが酷く──不快だった。

 

「ジャンヌ、報告通り彼の者達が攻めてまいりました」

 

目を開き、跪くジルを見た後に

自らのセンタイリングを見る。

サーヴァントとマスターは、互いの夢を見る……と召喚時に学んだ知識

それとは違うが、似たような現象

あの少年は……この力の持ち主なのだろうか。

魔法戦隊マジレンジャーの指輪を握り潰すように手を閉じつつ、ジルの報告を聞く。

 

「各地に散らばったサーヴァントも集いました、ご采配を」

 

すっかり様変わりした英霊が3騎。

目さえ黒く染まり、項垂れている処刑人

黒きドレスを身に纏い、レイピアを自らの腕へと突き刺している騎士

反転させられ、されど心は壊れた狩人

狂化以上の変質を遂げた3騎と、元から壊れている4騎。

どの道命令は変わりはしない

 

「──どのような姿になろうとも、私の送る命令は変わりません。

それは──」

 

王妃の言葉が、ふと脳裏に蘇る

"本当の貴女は、何者なの?"

魔法家族と共に在る少年の目が、此方を見ていた。

 

「──ジャンヌ?」

 

突如止まった言葉に、ジルが訝しげに首を傾げるが

黒きジャンヌはジルの言葉に軽く頭を振れば

 

「……凡ゆる物に殺戮を!それこそが私の送る命令(オーダー)です!」

 

この世界に生まれた時から、ずっと唱え続けて来た命令を再び発する

サーヴァント達はワイバーンに跨り、襲撃者の元へと飛び去った。

 

時は少し戻り、オルレアン襲撃前

 

《今回が決戦となる以上、ある程度の戦略は必要だ。

其処で、陸王君とマリー王妃には別行動を頼みたい。》

 

ロマンが通信越しにそう口を開く

しかし藤丸は首を傾げ

 

「なんでだ?どーせ総力戦になるなら戦力減らしちゃ不味くないか?」

 

と、ある種当然の疑問を口にし

マシュも同じ事を思っていたのかこくこくと頷く

しかし軍人でもあったジャンヌはこう言った

 

「いえ、敵はマリーを撃破したと誤認しています。

つまり奇襲を仕掛ける事が出来るのです。

そして陸王はマリーのマスター……令呪が後一画残っている以上、マリーへと使うのが妥当かと思われます」

 

ロマンは全部言われたな……という顔をしていたが

それでも咳払いをすれば

 

《まあジャンヌの言う通りだ、聖杯を回収すれば相手にとって大打撃になるのは間違いない事だし……マスターを撃破出来れば自ずとサーヴァントも退去するだろう。》

 

「まあ妥当じゃないかな?上手く行かなくてもテガソードブルーを呼べば良いしね」

 

陸王がそう頷いて見せれば

特に反論する理由も無いので、全員が頷き

こうして二手に別れた上で、オルレアンへと攻め入る事になった

藤丸達は正面から、マリーと陸王は戦闘が始まり次第大きく迂回して背後から攻撃する。

そして現在、ワイバーンの群れを藤丸達は蹴散らしていた

 

【キングオージャー!】

 

「いやあちょっと多過ぎるな!?」

 

「弱音は言ってられません!」

 

藤丸……クワガタオージャーがマントを振るい、ワイバーンを引き摺り下ろし

アマデウスが必死に指揮棒を振り

ジャンヌも旗槍をワイバーンへと突き刺す

マシュは盾を、清姫は扇子を、エリザベートは槍を振るい

─ジークフリートは、自らの剣を持ってしてワイバーンを纏めて斬り伏せる

そんな時、ロマンから緊急の通信が入る

 

《サーヴァント反応……高速で接近してくるぞ!》

 

凄まじい速度で迫ってくるサーヴァントに対して

アマデウス、エリザベート、ジャンヌが咄嗟に前に出て攻撃を防ぐ

 

「──お前ッ!」

 

アマデウスが指揮棒で刃を防ぐが

サンソンは口から怨嗟とも何とも取れない声を出し、アマデウスの腕を掴めば

遥か後方へと投げ飛ばし、自らも追うように跳躍する

 

「アンタは!」

 

エリザベートが黒き腕を槍で防ぐが

カーミラはアイアンメイデンを振るい、エリザベートを真横へと吹き飛ばせば

自らも追うように跳躍する

 

「──この、サーヴァントは…!」

 

ジャンヌが黒く染まった槍を旗槍で防ぐが

バーサク・バーサーカー……ランスロットはジャンヌの旗槍を掴み

異常に気がついたジャンヌが旗槍に意識を向けた隙に蹴り飛ばし、自らも追うように跳躍する

 

「皆んな!」

 

凄まじい速度で吹き飛んでしまった3人に、分断されちまったか──!と藤丸は思わず叫ぶ

 

「──追いかけますよ、藤丸!」

 

此処で分断されるのは宜しくない、と清姫が追うように声を掛けるが──

 

《まだだ!3騎来るぞ!!》

 

ロマンの再びの警告に、マシュが盾を構え

迫り来るサーヴァントにジークフリートが剣を振るい

清姫が咄嗟に藤丸を庇う

凄まじい金属音と衝撃波が辺りに広がり、マシュの盾に防がれた3撃を放ったサーヴァント達はジークフリートの斬撃によって吹き飛ばされるが

即座に姿勢を立て直し、藤丸達を睨みつける

 

「気を付けろ、全員が一線級だ」

 

ジークフリートが剣を構え、油断なく敵を見据えつつ

藤丸へと声を掛ける

 

「知り合いなのか?」

 

「いや、リヨンや他の街で戦った」

 

ゴジュウウルフへと戻った藤丸が金のテガソードを構える。

ジークフリートはあまりにも姿が変わったアーチャーとセイバーに内心疑問が生じていたが、敵ならば斬るのみと割り切った。

その様子を見て血濡れた杭を持った男……ヴラド三世が口を開く

 

「訝しむことは無い、竜殺し(セイバー)

真っ当な英霊であれば己が行いに耐え切れず歪みさえする」

 

くく、と自重するように笑えば

レイピアを突き刺した腕から溢れる血を指で撫でるセイバー……デオンを指差す

 

「このセイバーなど幾ら殺しても変わらなかったが、敬愛する王妃が消滅した途端に発狂し、自身の腕を切り落としてレイピアを突き刺したぞ」

 

痛々しい腕……レイピアに顔を顰めつつ

マシュは彼のセイバー、シュヴァリエ・デオンがフランス王家に忠誠を誓っていた竜騎兵(ドラグーン)と言う事を知っていたので

恐らく敬愛する王妃の消滅したと誤認した事が彼女にも影響を及ぼしたのだろう、と推測していた。

理性的に話すヴラドにジークフリートは

 

「──貴方は平気そうだが、ランサー」

 

と口を開くが

ヴラドは杭を地面へと突き刺し

 

「余も堕ち果てた、余は最早悪魔(ドラクル)と言えよう」

 

「──そうか、なら俺が終わらせる」

 

各々が武器を構え──ジークフリートが藤丸へと最後の確認をした

 

「行けるな、マスター」

 

「応!」

 

数日前に、ジークフリートと藤丸は契約を果たした。

そして、彼の話を聞いた

リヨンと言う街を守護していた事

複数のサーヴァントにマスター無しでは敵わず、敗れてしまった事

その中の一騎が匿ってくれた事

敗北の末に呪いを受け──守るべき物を守れず

己が正義を、やれた筈の事をやらなかった事を

──そして、力を取り戻した今

 

「俺は、俺自身の願いとして──このフランスを救いたい」

 

願い。

ユニバース戦士達が持つ物にして、藤丸には無い物。

ゴジュウウルフの指輪を握り締めていた藤丸に、ジークフリートは尋ねた

 

「君はどうなんだ、藤丸立香」

 

言われるがままに戦い抜いて、良いのか?

君が大体悔いと迷いは、何の為にあったんだ?

ジークフリートは、藤丸の瞳を真っ直ぐと見ていた。

藤丸は救えなかった命、取れなかった手を思い出し──

 

「俺は、俺の意思でジークフリートと契約する。

俺の願いは、見つかっちゃいねえが……

後輩から受けた恩を、返さなきゃならねぇからな」

 

こうして藤丸とジークフリートは契約を果たした。

 

ジークフリート、清姫、マシュ、ゴジュウウルフは並び立ち

──相手に向かって駆け出す

ヴラド3世、アタランテ、デオンもまた駆け出し──

その間に、一本の槍が突き刺さる。

 

「負けは知らねェ、容赦もねェ。

ブライダン特攻隊長──不敗のファイヤキャンドル!!」

 

1人の男が、戦場へと降り立てば

 

「俺の炎で浄化してやる、全員纏めてかかって来やがれェ!!」

 

熱き炎を宿した獰猛な笑みを浮かべ、全員に対して槍を構えた。

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