Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

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物語は漸く始まります。


炎上汚染都市冬木
救世主ナンバーワン


寒い。

いや、冷たい──?

冷えた岩のような感触が、伝わってくる。

俺は床で寝てたのか──?

いや、違う。

俺は、俺は──

 

「死んだ、のか?」

 

目をゆっくりと開き、起き上がる。

身体に痛みは無く

四肢の感覚もしっかりとある。

辺りを見渡せば、謎の空間。

少なくとも、カルデアでは断じてあるまい。

岩肌に囲まれており

自身が立っている場所から付近には何かの神殿らしき残骸が散乱している。

ふと、光が差している方を見れば

無数の何かが積み重なった山。

頂上を見れば──銀色の、手が見えた。

あれは確か、所長が持っていた武器と同じ──?

 

「がッ──!?」

 

酷く、頭が痛む

何かが見える、見せられる。

爆発、光、手を上げるロボット。夢で見た光景。

 

「何なんだ、一体……!」

 

頭を振り払い、何とか揺れる視界を元に戻す

視界の端で、赤い指輪が誘うように煌めいていた。

 

「これを、取れってか?」

 

罠かもしれない。

と言うか、謎が多すぎる。

死後の幻って言われたって納得だ。

──しかし、乗ってやろう、その罠に。

元よりはぐれ者、失う物は何も無い。

しかして、未だ返さなくてはならない恩だけはある!

 

「──乗ってやるよ!!」

 

指輪を手に取り、指へと嵌める

指輪は激しく光る、

自らの身体が熱く沸る。

光は徐々に強くなり、やがて何も見えぬほどにまで輝いて──

 

気が付けば、暗闇の中に自分は立っていた。

また移動させられたのか?と手を見れば

既に指輪は無くなっていた

やはり、罠だったのか?

 

【藤丸立香よ。

契約だ。】

 

暗闇の中に声が響き渡る

ああ、知っている。この声は──

 

「俺を呼んでたのはお前だったか」

 

暗闇から現れるのは巨大なロボットの顔

心なしか、顔はあの指輪の造形とそっくりな気がした。

 

【我が真名はテガソード。

全ての指輪を集めた者の願いを叶える。

それが、指輪の契約!】

 

【お前の願いを言え──】

 

願い、俺の願いは──無い。

はぐれ者一匹、ただ生きてきた。

そして既に、命さえ捨てていた。

思い浮かぶのは後輩の顔だが────

それでも、願えなんてしない。

 

「願いなんて無い」

 

【それはお前の真の姿では無い。】

 

【今のお前は雑草に塗れ、世界の大きさを測りきれないだけだ。】

 

周囲の景色が、変わる。

映し出されるのは広大な自然溢れる大地。

空を見上げれば、どこまでも青く染まっていた。

 

【ならば、ナンバーワンになれ!!】

 

赤き顔をした黄金のロボット、テガソードが手を掲げる

手の形は……一つの指を天へと差していた

 

【指輪と世界がもたらす凡ゆる闘いで、頂点を目指せ!】

 

辺りに無数の光景が映し出される。

それは、赤き戦士達の闘い。

いや、違う。

姿形さえ異なる様々な戦士が、時代を超えて闘っているのが見えた。

 

【さすれば世界は拓かれ、おのずと真の願いは分かる!】

 

映像は小さく纏まり、やがて俺の手へと収まる

俺はそれを、握り締める

後輩の手を、握り締めた時のように。

 

【お前は、もう一度生きるのだ!】

 

テガソードが光に包まれたかと思えば、その場には銀色の手と二つの指輪が漂っていた。

赤い指輪と赤き戦士が刻まれた指輪。

俺は其れ等が漂う場へと目を向ける

 

「──元はと言えば死んだも同然の命。

なら、やらねえ理由もねぇか」

 

「契約する──この指輪は、俺が貰う!」

 

手を伸ばせば、赤き指輪は自らの指へと嵌り

戦士の指輪は顔を象徴とした真っ赤な指輪へと

銀色の右手は金色へと輝く

俺はそれを手に納める。

さすれば、黄金の光が辺りへと満ち溢れ──!!

 

「フォウ……」

 

辺りは、再び暗闇へと満ちていた

聞こえるのは白き獣の声

されど、姿は依然見えず。

また、頬を舐められたような気がする。

 

「先輩、起きてください、先輩」

 

後輩の声が俺を呼んでる気がする。

が、辺りは暗闇に満ちており、後輩の姿は無い。

 

「起きません……此処は正式な敬称で呼び掛けるべきでしょうか……」

 

むむむ、と後輩の悩む様子がなんとなく伝わってくる

……怒涛の日々だったし、もうちょっと休んでても許されるだろうか?

俺が寝っ転がってても無事な状況ではありそうだし

 

「マスター。

マスター、起きて下さい。起きないと殺しますよ」

 

前言撤回、俺の後輩にぶち殺される可能性が浮上したので速やかに飛び起きる。

急な光で視界がチカチカするが、やはり五体満足で無事であった。

 

「良かった。

目が覚めましたね先輩、無事で何よりです」

 

辺りは火で染まった地獄絵図

目の前には巨大な……盾?を持った後輩。

夢かな?残念だが現実であろう。

色々ツッコミを入れたいが、取り敢えずこれだけ言わせてほしい

 

「取り敢えず、今殺しますよって言ったよな?」

 

聞き間違えは無いだろうし、あの一言で飛び起きたんだから尋ねさせて貰いたい

俺の後輩はこんなにも恐ろしかったのだろうか。

マシュは少し照れた表情をすれば

 

「……言い間違えました。

正しくは殺されますよ、でした」

 

どうやら後輩は俺に対して殺意を持って無かったらしい

えぇ〜?ほんとにござるかぁ?

まあ今はそんな事は置いておくとして、だ。

 

「……その、想定外のことばかりで混乱しています。

落ち着きたい所ですが、今は周りをご覧下さい」

 

「Gi──GAAAAAAAA!!」

 

骨が吼える。

比喩とかではなく、本当に骸骨が…理科室でしか見ないようなソレが無数に立っており、俺達を囲んでいる。

分かり合える雰囲気では先ず無い。

 

「言語による意思の疎通は困難、敵性生物と判断します。

マスター、指示を。

わたしと先輩の2人で、この事態を切り抜けます!」

 

「その意見には賛成だ、

だけど俺は指示だけじゃない」

 

「──先輩?」

 

右手に握り締められていた、黄金の剣──テガソードを構える

 

「エンゲージ!」

 

赤き指輪を、テガソードへと嵌めれば

テガソードより声が響き渡る

 

【クラップユアハンズ!】

 

軽快な音楽が辺りへと響く

顔の横でクラップを2回、赤き町へと響き渡る

足のステップを2回、リズム良く鳴り響く

顔の横でクラップを1回、マシュの驚きの顔が良く見えた。

前方へと大きな円を描き、腰の横でクラップを2回鳴らす。

地獄の町には似合わないような軽快なステップ。

頭上に円を描くようにターン

最後に、頭上にクラップを1回、高らかに鳴らす

心なしかポカンとしていた骸骨共が、此方へと迫り来る

 

「──ッ、先輩!」

 

マシュが盾を構えて俺を護ろうとするが──心配は要らない。

 

【ゴジュウウルフ!!】

 

赤き装甲が自らの身体を包む

それは、まさしくヒーローとも言えるべき姿!

顔に手を当てれば

自らの昂りを示すかのように……高らかに吼える!

 

「アオーン!!」

 

声が響き渡り、知性さえ無いと思えた骸骨達が思わず後退する

 

ある場所を走り続ける女が、思わず叫んだ

 

「こんな時に何なのよ!まだ変なのが居るの!?」

 

ある場所にて、キャスターが呟いた

 

「此処からだぜ、本当の闘いってのは」

 

ある場所にて、アーチャーが嘲笑った

 

「ハハハ──願望を叶える殺し合いが、始まるか」

 

最後の場所で、セイバーが応えた

 

「──来るならば、来い。私は剣にてその願いを断ち切る」

 

藤丸立香の闘いは、今を持ってして──始まった。

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