「──このやろ!」
藤丸、ゴジュウウルフがテガソードレッドより飛び降り、無数のワイバーンを切り刻み
マシュが藤丸を守るように盾を振るう
ワイバーンを殺しても殺しても減った感じがしない、というのが正直な感想であった
「──ワイバーンの攻撃が激しく……!」
なんとか2人でワイバーンを捌き続けて来たが、そろそろ限界に近い
こうなったら令呪を──と思った時
空より竜殺しが降って来た。
「ジークフリート!?」
「すまない……来るぞ!」
何故空から、と尋ねようとしたが……ジークフリートが見ている空を見れば、その理由は自ずとはっきりした
「マシュ!」
無数のワイバーンを従えるように空より此方を見下ろす邪竜……ファヴニール。
口内から溢れるは黒き炎
間違いなく宝具級──と判断した藤丸は咄嗟にマシュに宝具を展開させようとするも
《大気中の魔力まで吸収している!オルレアンが吹き飛ぶぞ……!》
かのアーサー王と同等以上の光が、邪竜の口から溢れ出る
ダ・ヴィンチちゃんが警告を飛ばし
ジークフリートがマシュの代わりに宝具を放とうとするも──
「がっ……」
ゴジュウウルフの装甲が解けた藤丸が、地へと倒れ伏す
元々の魔力消費量に加えて連戦。
常人ならば、耐え切れる筈も無かった
《──ロマン!》
《分かっている!強制
このままでは藤丸が危うい、一時的に陸王に全てを任せることになるがそれでも──!と退去させようとするも
邪竜のマナの収束により磁場が歪み、退去すらままならない。
間に合わない──!
ロマンが藤丸の名前を呼ぶと同時
1人の聖女が、邪竜へと跳んだ
「はぁぁぁぁ……!」
旗槍が邪竜の顎を捉える
かちあげて逸らすつもりか──!とジークフリートは理解したが
体格差と空中と言う踏ん張りがきかない場所も相まって、無理だと感じ
マスターを庇うように剣を構えるが──
「ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
拳を旗槍へと打ち付け、ファヴニールの顎をかちあげ
強力なブレスを空へと放たせることに成功する
戦場の全員が、その光景を驚愕と共に見つめ──
「マスター!」
ジャンヌが藤丸の元へと駆けつけようとするも
「──行、け……!」
マシュに肩を支えて貰いつつ、藤丸は竜の魔女を指差す
ジャンヌは震える手を見つめ──
そのまま、今度こそ竜の魔女の元へと向かった
「……君は勇敢だな」
ジークフリートが穏やかに微笑みつつ、藤丸を見つめ
「……ジャンヌのやる事は、他にあるんでな」
【クラップユアハンズ!】
藤丸は手を叩く
ファヴニールは最大級の攻撃を放ったことにより暫く沈黙
聖女の勇姿を見届けた兵士達も進軍を始めた
つまり敵は、変わらずワイバーンの群れだ。
「──いよいよ最終決戦ってわけか」
「行くぞ!」
【ゴジュウウルフ!】
赤き装甲を纏った狼が吠えれば
竜達と人間達の最後の戦争が、始まった。
「随分と──無様に立ち回って来た物ですね」
「ねえ、私の残り滓」
見下すように、竜の魔女は銀のテガソードを聖女へと向ける
さも当然のように、相手を残り滓呼ばわりして
しかし聖女はその言葉に穏やかに微笑む
「無様かどうかは分かりませんが……私は多くの人に助けられて此処に立っています。
とても恵まれてると感じています、有り難いことに……」
不機嫌そうに此方を睨む魔女に、聖女は言葉を続ける
「──でも、そのおかげで漸く定まったのです」
「ずっと、迷っていました。
貴女を倒し祖国を救う、それは決まっています。
しかしどのような感情で貴女に向き合えば良いのか……それが分かりませんでした」
「軟弱ですね、そんな事で──」
「でも分かりました。
私は私で、貴女は貴女です」
……その言葉に、魔女は目を見開く
聖女の言っている事の全てを──否定したくなってしまう
「何を言ってるの?私が本物で貴女が──!」
激昂した様子でテガソードを突き付ける竜の魔女に、聖女は淡々と尋ねた
「竜の魔女。
貴女に家族の記憶はありますか?」
何処か悲しげに、聖女は尋ねる
そして何か答える前に、もう一つの質問をした。
「
──何を、言っている?
竜の魔女は自身の指輪──願いの結晶として渡された、魔法戦隊マジレンジャーのセンタイリングを思わず見つめる
そのまま見つめた後──勝ち誇ったように笑って見せる
「あはは!何を苦し紛れに──ええ、覚えてますとも!」
センタイリングをテガソードへと嵌めつつ、竜の魔女は確信を抱く
そんな変な質問だなんて苦し紛れに尋ねたのだろう、やっぱり私は本物で彼女は偽物だと!
「何なら一人一人話してあげましょうか?」
聖女が偽物だと言う証拠を突き付けるように、自身の記憶に鮮明に残っている家族の名前を話してやる
「
「……あ?」
……自ら告げたその言葉に、その家族の名前に竜の魔女は固まってしまう
これは私の記憶だ、だって覚えているから。
けど知らない、ジャンヌ・ダルクにそんな家族は居ない
だけれど皆んなは私を見て、私ではない誰かの名前を呼んでいる。
──これは、誰の記憶?
家族は、誰の名前を……?
それは、そう。私ではない
「やはり、そうなのですね」
竜の魔女の呆然とした顔を見て、聖女は顔を背け──しっかりと、竜の魔女の目を見た
「竜の魔女、私は貴女を倒します。
だがそれは怒りでも拒絶でも、ましてや憎しみでもなく。
──哀れみを以て、貴女を倒します!」
ジャンヌが旗槍を構えれば、溢れる冷や汗を拭いさえせずに竜の魔女はテガソードを構える
【センタイリング!】
……何故だろうか
魔法を散々振るってきた筈なのに
この外套が、今だけとても恐ろしく──自分が呑まれるような気がしたが
それでも尚、その歴史を竜の魔女は振るった
【マジレンジャー!】
空っぽの魔女に、魔法戦隊マジレンジャーと言う一つの歴史はあまりにも重すぎた