Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

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ときめきバトルのマリー生徒会長はイド要素でした。
イド要素に気付いてもマリー・オルタが出ると思った人はたぶん居ない


淀んだ果てに〜ウー・ザザレ〜

城の一角にて、王妃は捕らえられていた。

完全な背後からの不意打ち、結果として意識を奪われてしまい……その手からテガソードは消え去ってしまった。

未だに眠り続ける彼女

生きてはいる。

しかして、ジルが王妃を利用せぬ理由もない。

フランス王権の死と、その王妃の絶望。

かつて、ジャンヌと話しているときにマリーは言った

残り1割……もっと小さかったとしても

それでも子供のシャルルを殺した人達を、少しだけ恨んでいると

だからこそ祖国に1000年の飢えと1000年の戦乱を齎そうとする私が居ても納得が出来ると。

誰をも恨まず民と国を愛し、理想を信じて微笑む英霊マリー・アントワネットが意識して切り捨てた絶望、怒りと哀しみ、呪詛、その凝縮。

全ては反転する。白き輝きは黒く曇る。

ジルが扉を開けば

捕まえた筈の王妃に跪いてみせる

 

「どうか、フランスを滅ぼす力をお貸し下さい──」

 

マリーは目を開けば、ときめきノーワン戦の時に身に付けていた学生服へと身を包み

かつて何度も陸王達に見せた笑みを浮かべて答える

 

「みんな、みんな大嫌い。あなたのことも大嫌い!ふふ、ふふふふふ!」

 

そう言えば軽やかに起き上がり、城の窓から戦場へと飛び降りる

ジルはそれを黙って見送れば

自らは正門の方へと歩みを進める

マリーは笑いながら唄った

 

「殺しましょう。ヴィ・ヴィクテス、フラーンス!!」

 

そのままガラスの馬へと跨れば、藤丸達の元へとマリー……否、マリー・アントワネット〔オルタ〕は駆け出す

そしてふと顔を悲しげに歪めて、呟いた

 

「アマデウス……彼とは、会わなくても……良いわよね」

 

そしてマリー・オルタはマリーのフリをして藤丸達と合流し

背後から魔力弾を食らわせるに至った。

 

「エンゲージ!」

 

【ゴジュウウルフ!】

 

藤丸がゴジュウウルフへと姿を変え、マリーへと斬りかかる。

しかし海魔が間へと割り込み斬撃は防がれ

代わりにとジルが放った魔力弾はジークフリートによって斬り伏せられる。

凄まじい大きさの蛸足が海水と共にジークフリートの足元から現れ、ジークフリートを吹き飛ばす。

しかしてジークフリートは即座に体勢を立て直し、蛸足を両断するように斬撃を放つが──

 

「──再生か!」

 

蛸足は無傷。

……いや、即座に再生してしまっている。

そして姿を現すは巨大な化け物。

タコでもイカでも無い……醜いソレ

ジルとマリー・オルタはその化け物の上へと乗れば

 

「我が異界の悪魔の完全顕現まで暫しお暇を頂きます。

ではまた後で──」

 

城を飲み込むように悪魔は動き、悠々と去って行く

藤丸達は陸王を担ぎ、一時的な撤退をするしかなかった

その様子を見下ろしつつ、マリーは小さく小さく呟いた

 

「じゃあねマスター、本当に……嫌いだったわ、貴方の事」

 

 

 

 

藤丸達は後方支援をしていたアマデウス達と合流を果たし、何が起こったのかを話す

 

「マリアが反転……ねえ」

 

アマデウスは何やら考えるように黙り込み

エリザベートが空から例の巨大な海魔を見れば

 

「何よアレ、ファヴニールより大きいんじゃないの?」

 

うへえ、とあからさまにげんなりした表情で話す

 

《恐らく彼は召喚魔術のキャスターなんだろう。

宝具を用いて召喚したのだろうが……制御はどうしてるんだ?》

 

ふむ、と異界の悪魔のデータを観測しつつロマンがぼやけば

 

「あの怪物は城を取り込んでいます。

即ち聖杯をも取り込んでいるかと……」

 

とジャンヌが答えて見せる

成る程、膨大な魔力があれば制御も可能かとロマンは納得したように頷いた

 

「つまり制御のための猶予時間を過ぎれば──あの怪異は動き出すでしょう。多くの人々を無差別に食らうために」

 

既にフランス軍は撤退を始めている──が逃げるだけならいずれ追い付かれてしまうだろう

ゲオルギウスが陸王へと治療を施しつつ、最悪の未来について話す

ならばどうするべきか。

方法はシンプルに、宝具を放って倒すしかないと言う結論に至った

 

「じゃあ行こうか……大丈夫、僕も動けるよ」

 

撃ち抜かれた脇腹を摩り、脂汗を流しつつも

陸王は尚笑って見せた。

 

全員が怪異の元へと歩を進めるべく用意を進めている時に

ジャンヌがふと項垂れているのを見た藤丸は声を掛ける

 

「なあ、話してくれねえか?あのジル・ド・レェについて。

……俺には分からねえんだ、今フランスを守ろうとしてる奴が──未来でフランスを滅ぼそうと言う奴になったのか。

知る意味なんてねえだろうけど、知っておきたくてな」

 

ジャンヌが顔を藤丸へと向け、互いに見つめ合えば

 

「生者に肩を貸す事が英霊の役割と思っていましたが……貴方は死者に肩を貸してくれる人間なのですね……

では少し時間を取らせてしまいますが、聞いてくれますか?

私と彼の告解を」

 

そしてジャンヌは話した

共に救国の英雄と呼ばれたが、聖女を焼かれた事で黒魔術へ……悪逆へと傾倒し

神など居ないと言う証明の為に、領地に住む数百人の少年を殺した事。

そして神は彼を裁く事はなく

処刑される時も、正義でも信仰でもなく──財産と領地を奪うだけの、人の欲望によって殺された男の事を。

 

「私は私の結末に後悔はなく、彼の結末を変えるべきだとも思いません。

それでも、私と出会った事により歪んでしまった彼の運命を……犠牲となってしまった子らの事を哀れに思わずにはいられないのです」

 

告解は終わり、ジャンヌはジルの元へと歩き出す

藤丸は、ある事を確信していた。

 

 

 

 

 

 

「おぉ……我が聖女よ……私の全てを捧げます……」

 

「私は捧げるつもりも無いわ、嫌いだもの」

 

未だ眠り続ける竜の魔女へとジルは祈りを捧げる

此処は怪異の体内、その核。

二つのセンタイリングが竜の魔女の核と混ざり合い

三つの闇が復讐者を人理さえ滅ぼす闇へと昇華させていく

 

「貴女は……そう、名付けるのならば──」

 

悪竜現象 ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕

 

「闇に生まれ 闇を纏い 闇に帰す」 

 

「──それが、貴女です」

 

ジルに元より生きるつもりはなく

この悪魔でさえ時間稼ぎに過ぎなかった

全ては竜の魔女の眠りを守る為に

ジルは立ち上がり、怪異と一つになる

 

「私は行くわ、こんなのと一つになりたくないもの」

 

それを見ればマリー・オルタは外へと向かう。

全ての民に災いを 明日の敗者に災いを 

許さない、全ての民を──私は許さない。

復讐者として、マリー・オルタは空を駆けた

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