「良いわ、貴方達全員を殺して──私は復讐を成し遂げます」
ジャンヌ・オルタはちらりとジルを見れば
そのまま翼を広げ、藤丸達へと突撃する。
凄まじい速度。巻き起こる風は常人を容易く屠る凶刃と化す
そんな凶悪的な弾丸と化したジャンヌ・オルタを真っ向から受け止めるは──ジークフリート
「マスターは殺させん……!」
ジャガンシールドを自らの刃で受け止め、両足で踏ん張る。
それでも尚地面を抉るようにジャンヌ・オルタは進み──
「止まっときなさい!てかもうドラゴンサーヴァントは要らないのよ!」
「同意です」
エリザベートが背後から尻尾を巻き付け、自らの翼を広げ思い切り引っ張り
ジークフリートの背を押すように清姫が蒼炎を後方へ放ち、勢いを殺すようにしつつこくりとエリザベートの言葉に頷いた
ジャンヌ・オルタが息を吸い込み、魔法を唱えようとすれば
「させません!」
「悪いけど、その言葉は遮らせて貰うよ!」
それを見たゲオルギウスが剣を振るい、合わせるようにアマデウスが魔力弾を放つ。
しかして黒き翼が斬撃と魔力弾を遮れば
「マジ・マジュール・ゴゴール・ジンガジン!!」
5つのエレメントが刻まれた魔法陣が大きく展開される
最大限まで高められた究極の魔法
本来5人で放たれる筈の其れがたった1人の竜の魔女により放たれる
真正面に居たジークフリートを飲み込み、藤丸へと迫るその魔法は──
「真名、偽装登録──行きます!」
「主の御業を此処に!」
ジャンヌとマシュが藤丸の前へと立ち
旗と盾を掲げて見せる
「仮想宝具──
「
青き光と黄金の光は混ざり合い、如何なる脅威も弾く盾として顕現する。
魔法と光は激しく打つかり合い──
周囲に凄まじいまでの衝撃波が走る
全員が吹き飛ばされる中──マリー・オルタが硝子の馬へと乗って掛ける
「──反転したマリア」
小さな、小さな呟き
音楽家は黒き王妃を見上げて
「次、会う時には──」
「君にも、ピアノを聞かせたいものだ」
マリー・オルタがアマデウスが哀しげに微笑んだのを見たのかどうかは──分からない。
ただマリー・オルタは復讐者の元へと降り立ち
「吹き荒ぶ嵐のように」「寂々たる夜のように」
宝具の詠唱を、開始する
マリー・オルタに祝福されながら花開く巨大な黒百合。
この黒百合は呪詛を放ち、範囲内の生物をたちまち衰弱死させ、無生物を自壊させる。
「誰も愛してはいけない……誰も許してはいけない……」
フランス王家の象徴、その反転であり
王権の呪いであり、光なき闇であり、断末魔の叫び。
学生服から真っ黒なドレスへと
悲劇の王妃へと、姿は変わる
「
復讐者の声は、ジャンヌ・オルタの宝石さえ砕く
自らも無論、砕ける。
復讐者の結末は──己さえ滅ぼして終わる物
故に後悔も反省も悔いもない。
まあ、祖国を滅ぼせないのは残念と言えるが
「──それ、元々私のよね?」
「返して貰うわ」
宝石と化したジャンヌ・オルタの翼が砕け散る。
自らも後数秒で退去するだろう
その前に、竜の魔女の胸元へと手を伸ばせば
霊核と結び付いたセンタイリングのうち一つ──キラメイジャーの指輪を引き抜いてしまう
ジャンヌ・オルタから上がる怨嗟の声も気にせずに、指輪を自らの手中へと収めれば
「あーあ……ま、こんな物でしょう。
後は任せておくわ、大嫌いな
黒き復讐者は光の粒子となり、一つの指輪へと収まれば
銀のテガソードが指輪から溢れ出た粒子から現れ
それはそのまま白きドレスへと身を包んだマリー・アントワネットの姿を模る。
「さようなら、
私は貴女の事も──好きよ」
銀のテガソードを握り締めて、復讐者に王妃は微笑んだ。
「マリー!……だよね?」
「えぇ、色々迷惑かけてごめんなさい……」
駆け寄ってきた陸王に対してマリーは頭を下げれば、自らの指輪を差し出す
「マスター、これは貴方が使って?
私も……黒い私も、それが願いよ」
差し出されるセンタイリング。
ユニバース戦士としての敗北となってしまう指輪の譲渡。
迷っている暇はない、キラメイジャーの力を失ったといえどもマジレンジャーの力は健在。
そしてマリーは反転化した事もあり激しい戦闘はほぼ不可能。
宝石の翼から邪竜の翼へと変わり
より深い闇がジャンヌ・オルタを包んでいる。
ならば──
「──有難う、マリー。
その煌めきで、闇を照らし出そう」
【センタイリング!】
百夜陸王が、その手を叩く
無数の燃え盛る剣を放つジャンヌ・オルタに対し
マリー、アマデウス、清姫、エリザベートがマスターを守るように剣を防ぐ
【キラメイジャー!】
赤き煌めきが百夜陸王を包み─青き獅子の装甲を纏ったキラメイレッドが、その姿を現す!
【キングオージャー!】
「──行くぜ!陸王!!」
「あぁ……決めるよ!」
ゴジュウウルフの装甲を纏いしクワガタオージャーが、キラメイレッドと並び経てば
そのまま共に駆け出す。
放たれる無数の魔法を避け、振るわれる翼を剣で弾き──
「私は、私は復讐をッ──!!」
全力で放たれたマジパンチをマントによる防御と共にクワガタオージャーが防げば
「──行け!!」
【フィニッシュフィンガーレオン!!】
ゴジュウレオンの剣が、深々とジャンヌ・オルタへと突き刺さる
そのままアイドルのダンスのように華麗な連続攻撃を繰り出し、空へと打ち上げれば──
【キラメイジャーフィニッシュ!!】
空中にてネオンサインを刻み──そのままジャンヌ・オルタへと必殺の一撃を叩き込む!!
「この戦争の勝者は、僕達だ!!」
マジレンジャーのセンタイリングがジャンヌ・オルタから溢れ
そのまま百夜陸王の手元へと収まる。
ジャンヌ・オルタはジルの直ぐ隣へと倒れ伏す
既に満身創痍だが、それでも尚立ちあがろうとする
変身を解いた藤丸がジャンヌ・オルタの元に向かおうとして──陸王がその肩を掴んで止まる。
此度の特異点の原因、ジルとジャンヌ・オルタの前へと立つのは、ジャンヌ・ダルク。
「──えぇ!殺しなさいよ!
どーせ私はジルに作られた偽物よ、生きてる意味なんて──!!」
「ジャンヌ・オルタ、貴女は──」
自棄になったかのようにジャンヌを睨み付けるジャンヌ・オルタ
そう叫ぼうとしたジャンヌ・オルタの肩を掴んだのは──他ならぬジルだった。
「違います!!
例え──愚かな私に造られたとしても!
……それだけは、違うのです……ジャンヌ。
罪があるのは私のみ。
貴女は謂わば巻き込まれただけ──」
「ふざけないで!!
私は私の意思で復讐を決行したの、それが私の願い。
貴方は──ただの協力者みたいな物よ、自惚れないで!!」
激しく言い合う2人。
あくまで復讐は自分の意思で、貴女は道具として利用されたにすぎないと言うジル。
私は私の意思で復讐をしたというジャンヌ・オルタ。
そんな2人を見て、ジャンヌは膝を突いて2人と目を合わせる
「貴方達の罪は、許されることはないでしょう。
けど、それでも貴方達は──決してお互いを利用し合う関係では無かった。
どんなに歪で、どんなに間違っていたしても
そこに絆はあったのです。
我が友、ジル……
そして、友の意思を表してくれた竜の魔女。
全ては過去の出来事。
私の末路が何であれ……私には救えた命があったのです。
ジル、だからきっと私達の歩んだ道は間違いでは無かったのです。
この国は──終わらずに、遠い遠い未来まで続きました。
貴方はきっと赦さないままで、私の末路は惨めでも。
私達はあの穢されぬ光を覚えています。
竜の魔女……貴女は私の家族を覚えていなかったのですね?」
ゆっくりと、途切れ途切れに
しかし自身の想いを──2人へと伝える
ジルは涙を溢れさせ、自らの顔を覆い
ジャンヌ・オルタは目を逸らせば
「覚えてないわよ、私の記憶はたぶんマジレンジャーの……赤い奴のでしょ」
そう言うジャンヌ・オルタにジャンヌは微笑めば
「なら、私と家族になりましょう」
「───は????」
ニッコリと微笑むジャンヌに、オルタは本気で正気を疑う目を向ける
「──少しだけ、記憶が流れてきたのです。
貴女のではない……マジレンジャーの記憶が」
そこでオルタも思い出す
マジレンジャーの家族は、幻影といえども決して責め立てたりせず
恐らく──この力の持ち主でさえ、何処か哀しげな顔を浮かべていた事を
ジャンヌもまた、その記憶を見ていたのだ。
「貴女の在り方を、私は否定しません。
ですが──貴女が知るべき事は、沢山あります。
私の村娘の記憶のように、戦場以外の思い出が──きっと、人間には必要なんです。」
そう手を差し伸べる聖女
何処までも優しく、間違っている事には否と言える……例えるなら姉のような存在に……不思議とジャンヌ・オルタは見えてしまった
「──はいはい、今回は私達の負けよ!」
手を跳ね除け、ジャンヌを突き飛ばせば
ありったけの魔力を行使し
自らを焼き尽くす程に炎を出す
「私は復讐者、この在り方は変えないわ。
今回はどの道もう死ぬし、諦めてあげる」
ジルも涙ながらに立ち上がれば、そのまま炎を受け入れるように両手を広げる
ジャンヌ・オルタはチラリと藤丸と陸王を見れば
「──じゃあね」
そう笑えば、ジャンヌ・オルタとジルはそのまま炎へと飲み込まれ──
炎が収まれば、その場には聖杯が一つ転がっていた
という訳でこれにて決着!
ジャンヌ・オルタとジルが最後まで生きてるせいで纏め方に若干困りましたが
聖女に何とかしてもらいました!!