3人寄れば
陸王さんとの思いがけない再会から数日が経ちました。
当初大混乱に陥ったカルデア管制室でしたが、陸王さんがカルデアに来れた理由──
「テガソードが呼んでくれたんだ、時代が焼却されている以上帰れる場所は此処しか無いって言ってたし。
まあ戦力が増えたと思ってよ☆」
キラメイジャーとマジレンジャーの指輪を手に持った陸王さんはそう笑って話し
実際新しいマスター……攻略メンバーが増える事は有り難く、オルレアンでの活躍から即戦力として採用されました。
今は陸王さんと巡教授で何やら話をされています。
わたし──マシュ・キリエライトは現在自室にてレポートを書いています。
誰にも覚えられない、特異点の記憶を残しておきたいと思ったから。
数日掛けて確実に書き進め
ふう、と一息を吐けば──ドアからノックが聞こえてきました。
ドクターからの検診はまだ後の筈ですが──
「はい、どちら様でしょうか?」
「マシュ、俺だ。」
「先輩でしたか!今ドアを開けますね!」
聞こえて来たのは先輩の声、急いでドアを開けてわたしは先輩を部屋の中へと招き入れました。
「──その、身体は大丈夫か?」
「はい、デミ・サーヴァントの肉体性能は破格ですので平気です。
先輩こそ大丈夫ですか?」
「俺は問題ねえな、陸王も同じくだ」
つくづくスーパー戦隊ってすげぇんだな……と先輩は頭をかきながら呟く。
帰ってきた当初こそ傷や疲労があったものの、それも数日で治ったらしく
今の先輩は健康そのものと言えます。
先輩と見つめ合い
わたしは、疑問に思っていたことを尋ねました。
「先輩はどうして……ジル・ド・レェを肯定したのですか?」
間違ってるとは思えないと、先輩は言いました。
その言葉がどうしても私には不思議で……聞いてみたかったのです。
尋ねられた先輩は頬を掻き、苦笑しながら答えました
「肯定したつもりはねえよ、彼奴がした事は間違ってるし許せねえ。
今だって当然腹は立ってるさ。
……けどな、彼奴が憎んだ事も愛した事も、その願いが間違ってるとは言えなかったんだ」
狂気的な、それ故に純粋とも言える願い
邪悪とも言えた彼がテガソードを持っていた理由は……その願いにあったのでは、と藤丸は思っていた。
その言葉を聞いてわたしは
「すみません、わたしにはまだよく分からないみたいです。
……ですから、学んで行きたいと思います。
少しずつでも、分かるように」
彼……藤丸を先輩と呼び、慕う理由。
わたしにはその理由をまだはっきりと言葉に出来ないが
きっと、彼の事を知れば──わたしの想いも分かる、と
不思議とそう思えた。
その後は軽くお話をして、互いに自室へと戻り──次の日
レイシフト用のスーツへと身を包んだ藤丸、マシュ、そして陸王が管制室へと足を踏み入れる
「や、おはよう諸君。
と言っても此処に居るのは君達3人と……」
「ふわーあ……や、おはよう〜。
回収した聖杯は技術部で解析中だよ〜」
「おはよーさん、あかんまだ眠いわ……
っと、取り敢えずセンタイリングを収納出来るリングケースを作っといたから是非使ってくれ」
ロマンが穏やかに微笑めば
ダ・ヴィンチちゃんが軽く欠伸をし
目を擦った後に巡がリングボックス……ゴジュウウルフとゴジュウレオンの顔が刻まれたケースを藤丸と陸王に渡す。
「俺はまだ一つか」
「僕は二つだね……と言ってもこの状況だ、交換やら何やらもするだろうからあまりアテにはならないかな?」
キングオージャーのセンタイリングを収納した藤丸が呟けば
マジレンジャーとキラメイジャーのセンタイリングを納めた陸王が笑って話す
実際問題今は願いをかけた争いなんてしている場合ではない
全ては時代焼却とやらが解決してからだ。
それまでは必然的に指輪も共有状態になるであろう、と言うのが陸王の考えであり
巡がそれに頷いて見せた
「ボクと、寝惚けている天才さまと戦隊考古学者さんが実働部隊となる。
スタッフの皆んなは基本存在証明に忙しいからね……
少ないのはまあ大目に見ておくれ」
ダ・ヴィンチちゃんが杖を片手に、3人分のコフィンの側へと歩み寄れば
「さて、既にレイシフト準備は整っている。
今回向かう先は一世紀ヨーロッパ。
より具体的に言うと古代ローマ、言わずと知れた大帝国だね。
正直に言えば私も行きたいけど──」
「解析作業があるからなあ、陸王みたいな人員が増えるまではお預けやんな」
「むぅ……残念。誰でも良いからローマ皇帝……特にカリギュラ帝やネロ帝とは一度話してみたかったんだけどな〜」
やれやれ、とダ・ヴィンチちゃんは肩をすくめ
すまへんなあ、と巡は頭に手を添えてそのまま下げる。
ロマンは苦笑しつつ咳払いをすれば
「……コホン、転移予定地は帝国首都であるローマを予定している。
申し訳ないが観測精度が安定しておらず聖杯の正確な場所や歴史の変化は不明、
"ノーワン怪人"や"ユニバース戦士"の有無も同様だ。
作戦の趣旨は前回と同じ特異点の調査及び修正、聖杯の調査と入手及び破壊。
可能であればユニバース戦士を味方に引き入れて欲しい、陸王のように現代からテガソードの手によって送られた人物が居る可能性もあるしね」
目的が多くてすまないね、とロマンは申し訳なさそうに頭を下げれば
「──人類史の存続は君達に掛かっている。
どうか、今回も成功させて欲しい」
そう真剣に言えば、ふと穏やかに微笑んで
「そして、無事に帰ってくるように」
そう3人へと言う。
3人はそれぞれ頷けば
「はい、必ず帰還してみせます!」
「任せとけ、新しい奴も連れて来てやるからよ!」
「まあ僕が居る以上、バッドエンドなんて迎えさせないさ!」
頼もしく、力強い言葉を言って見せる。
ロマン達が嬉しそうにその言葉を聞けば
各々がコフィンへと乗り込み
《グランドオーダー 実証を 開始します》
二度目の聖杯探索の幕が開けるのであった。