Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

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腕試し

 

「へぇー、異境から。

そっか、そういうこともあるのかあ……」

 

藤丸達……カルデアの事情を聞いたブーディカはそう感心した様子で頷いて見せる。

その様子を見たロマンが話もひと段落したし、と疑問を尋ねる。

 

《ブーディカと言ったね、君もサーヴァントだね?》

 

デリカシーの無い発言かもしれないが、とロマンが付け足せば

ブーディカが苦笑しつつ

 

「いいよ、気遣って貰わなくても。

そ、あたしは本当ならもう死んでる筈の人間。

不思議って顔してるね、女王ブーディカがどうしてローマの将軍なんかやってるかって」

 

藤丸と陸王はあまり歴史に詳しく無いので黙っているしか無いが

マシュはこくりと頷いて見せる、何故なら歴史においてブーディカは──

 

「皇帝ネロとローマをあたしは絶対に許さない。

そう、ケルトの神々に誓いもした。

……そんなあたしが現界したんだ。あたしが死んだ直後のこの時代にね。

復讐の機会かなー、とも思ったさ。

けど連合に食い荒らされる此処を見てたら……体が勝手に動いちゃって。

ネロ公のためじゃない、其処に生きる人々のためにね」

 

だからお節介だなんて言われちゃうのかなあ、と穏やかな様子でブーディカは苦笑をすれば

ふと悲しげな表情を見せて

 

「それとも……殺し尽くした筈のロンディニウムの連中に、すまないと思ったのか。

正直に言えば自分のことなのによく分からないの、でも考えてみればあたしはずっとそうだったし……」

 

あはは、とそのまま恥ずかしげな笑顔を見せつつ、ブーディカはこう話す

 

「あたしは守る為に戦う性格なんだと思う。

それが1番向いてるっぽいのよね。

だからさ、ネロ公があたしの事を"生きてた好敵手"と勘違いしてる内は悪いんだけど……」

 

「良いよ、元より僕達には話す理由もないしね」

 

言葉を遮るように、陸王が頷いてみせる。

藤丸達も後に続くように頷けば

 

「……ありがとね、なんか彼奴前以上に危なかしいから。

余計な気遣いとかさせたら、何するか分からないし……

角乃も角乃で危ういしね、あたしが何とかしてあげられれば良かったんだけど……」

 

ネロはまだしも、普通そうだった角乃もなのか……?と藤丸は首を傾げたが

まあそういうもんか……とひとりでに納得をすれば

マシュが感銘を受けた様子で口を開く

 

「……理解しました。

貴女は、正しく英霊であるのですね。

人々の夢見る英雄の姿。悪逆を制し、多くの人々を救う力の象徴として」

 

その言葉に対してブーディカは頬を少し赤くしつつも

 

「にゃはは、ただの気まぐれだけどねー。

けどそう見えたのなら……悪い気はしないかもだ」

 

「……ブーディカさん、そう言う所ですよ」

 

「え何が!?」

 

そうおちゃけて見せたが、ネロを送り届け戻って来ていた角乃がこの人は……と言わんばかりの様子で溜め息を吐いたので

ブーディカは予想外の反応に動揺することしか出来なかった。

 

「……マシュ、ブーディカも英霊なんだろ?

どんな人物なんだ?」

 

わいわいとしているブーディカと角乃の様子を見つつ、マシュにこっそりと藤丸は尋ねる。

マシュは一つ頷けば

 

「彼女はこの時代の少し前に……皇帝ネロの軍隊に殺された人物です」

 

そして彼女の国は、ブリタニアは……ローマに蹂躙されている。

しかして尚彼女はネロの側に立っているのだ。

ローマの民草を守る為に。

 

「──良し、じゃあそろそろ始めようか」

 

角乃と一通り戯れたブーディカは、さてと一息吐けば剣と盾を構えつつ笑顔を見せる。

何故急に──と藤丸達は首を傾げたが

 

「あんたたちの腕を疑ってる訳じゃ……ああいや、疑ってるのかな?

ガリアは今、大半が連合の支配下だ。あたしたちでも攻めきれない。

ネロ公曰くユニバース戦士が敵側に居ることはほぼ確実だってさ。

そんな中でも……ガリアを支配している皇帝、彼奴は強い。

精神(こころ)肉体(からだ)贅肉(むだ)一つない、ちょっと見た目と性能がかけ離れた英傑よ。

あんたたちがユニバース戦士とは言え、アレと真っ向から戦えるのか……はたまたちょっとした援軍に留めておくのか。

ゴメンね。ちょっとその腕……確かめさせてね?

角乃、審判宜しく」

 

陸王が拳で語り合う系なのか……とテガソードを構えれば

藤丸もまたテガソードを構え、マシュも盾を構える。

角乃は少し奥へと引っ込みつつ、両者を見据えれば

 

「うっかり死んだりしないように。

終わったら美味しいもの……勿論ローマじゃなくてブリタニアの食事でも作ってあげるからさ。

──それじゃ、やろっか!」

 

スパルタクスが筋肉を躍動させつつブーディカの隣に並び立てば

ブーディカもまた盾と剣を打ち鳴らす。

 

「真名ブーディカ、クラスはライダー!

あたしの戦車はすっっっごく硬いんだから!」

 

「君も、共に虐げられた者達を解放するのだ!行くぞぉ!!」

 

英霊達がそう吠えれば

藤丸と陸王は並び立ち、テガソードに指輪を嵌める。

 

「「エンゲージ!!」」

 

【クラップユアハンズ!】

 

軽快な音楽が辺りへと響く

顔の横でクラップを2回、足のステップを2回、リズム良く鳴り響く

顔の横でクラップを1回、陸王も同じように手を鳴らす

前方へと大きな円を描き、腰の横でクラップを2回鳴らす

待機していた兵士達が何事かと後音がする方を見る

頭上に円を描くようにターン

最後に、頭上にクラップを1回、高らかに鳴らす。

 

【ゴジュウウルフ!】【ゴジュウレオン!】

 

「アオーン!!」

 

赤き狼と、青き獅子が並び立てば

そのまま女王と反逆者との戦闘は幕を開ける。

 

「圧政!!」

 

スパルタクスから振り下ろされる圧倒的なまでの暴力。

マシュはそれを盾で受け止めるが、地にはヒビが入る。

 

「使ってみるか!魔法使いの力!!」

 

【センタイリング!】

 

テガソードを駆使して藤丸と共にブーディカと切り結んでいた陸王が後方へと跳躍すれば、そのまま一つの指輪をテガソードへと嵌める。

ブーディカの戦車を回避し、そのまま手を鳴らせば──

 

【マジレンジャー!】

 

青き装甲を纏いし赤き魔法使い、マジレッドの姿へとゴジュウレオンの姿は変わり

 

「ジー・ジー・ジジル!」

 

即座に魔法を唱えれば、炎のグローブがマジレッドの手へと嵌り

 

「キラリ☆ 流星マジパンチ!」

 

ジャンプして跳び上がって錐もみ回転しながらスパルタクスめがけて急降下し、強力なパンチを叩きこむ。

流石のスパルタクスと言えども、不意を突かれることでその巨体が揺らぎ

 

「はぁッ──!」

 

マシュがその隙を突いてスパルタクスをかち上げるように盾を振るってみせる。

 

「わ、あのスパルタクスをかちあげるなんてすっごい力だ」

 

【ウルフデカリバー50!】

 

はえー、と感嘆した様子でマシュを見たブーディカの隙を突き、藤丸は自らの剣を取り出せば空間を切り裂き、その中へと潜り込む。

 

「へえ……上かな?」

 

姿を消した藤丸にブーディカは辺りを見渡せば

盾を真上へと上げ、藤丸のテガソードを防いで見せる。

 

「なッ──!?」

 

「この辺りは経験の違いかな!」

 

戦車を再び走らせ、藤丸を盾で弾き飛ばせば再びスパルタクスの横へと並び立つ。

盾でかちあげられて尚、スパルタクスは元気なままであった。

再びお互いが向かい合えば──

 

「そこまで!」

 

と角乃のストップが入ったのであった。

 

「はふぅ……いやあ、正直此処までやるとは嬉しい誤算ね。

あんたたちの腕は見せて貰った」

 

悪いね、旅の疲れも残ってただろうに。

戦車から降りれば、ブーディカはそう言って笑みを見せる。

藤丸達もどうやら認められたらしい、と変身を解けば

 

「あたしの防御とスパルタクスの攻撃って割と相性良いの。

それを相手に引かないなんて、見直したわ」

 

スパルタクスも同意するように頷いてみせれば、確かにあのコンビネーションは中々厄介だったよ。と陸王も後に続く。

そしてブーディカはマシュを見れば

 

「それにあんた、マシュ?

……盾の英霊なんだね、すっごく気に入ったよ。

守る為だけの武器は歪だって分かってるけど……奪うための物よりよっぽど良い」

 

と、真剣な顔を見せつつマシュの盾を褒めれば

 

「──それにそんなに細いのに逞しい!」

 

とそのままマシュの事も褒める。

マシュが少し照れた様子を見せるが、それをお構いなしに

 

「ネロ公が火の激しさなら、マシュは大地の豊かさって感じだね。

あんたはきっと……どの英霊とも相性が良いと思うよ?」

 

ふむふむ……とじーっとマシュを見つめるブーディカ。

その様子に更にマシュは照れるが、暫く見つめた後ブーディカは急に笑って

 

「よく見たら……なんだ、そーいうことか!

あんたそれならそうって言ってくれれば良いのに!」

 

「は、はい?」

 

マシュが何かに納得した様子のブーディカに首を傾げるが

ブーディカは何故か朗らかに笑い

 

「いろいろ複雑なコトになってるんだねえ。

こっちだって……あ、それによくみたらめんこいね!」

 

よーしよし、とブーディカがマシュを抱き寄せれば、そのまま頭を撫で始める。

その行為に困惑しつつも照れているマシュに対してブーディカは

 

「あんた……()()、かな。妹みたいなもんだからね。よしよし良い子良い子。」

 

ネロ公の味方っていうからちょっと警戒しちゃったけど、ごめんね〜。

とマシュを撫で回すブーディカに

藤丸達は微笑ましい物を見る目を向けるのであった。

 

そしてブーディカ特製ブリタニア料理を食べ、風呂に入って一夜が明ければ──

 

舞台は、戦場へと移っていくのであった。

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