何だ此奴〜!?
洞窟内部、其処では激しい戦闘音が響き渡っていた。
辺りには骨の残骸が散乱しており、ゴジュウウルフがそれを踏み砕きつつ獅子の顔へと向けて斬撃を振るい
ドンモモタロウが山羊の頭に折り紙のお供を向かわせ
ゴジュウレオンが蛇に対して銃弾を放ち
マシュがその生物──キメラの殴打を防ぐ。
《古代ギリシャに伝わる怪物、伝説の幻獣のキメラ。
いやあ、この時代でお目に掛かるとは……》
「たぶんこれがご褒美だと本気で思ってたみたいだね、あの女神様は!」
暗くジメジメした雰囲気の悪い場所で行われる全力の戦闘、どうやらあの女神様は余程良い趣味をしているらしい。
「行くぞ、イアイ斬!!」
居合いの状態からの抜刀により、キメラを両断してみせるドンモモタロウ。
キメラが倒れ、爆発四散するのを見届ければ
全員が変身を解き
「む、無駄にタフだったな……」
「余は疲れた……角乃ー、角乃は居らんのか〜……」
「帰りましょう、皆さん」
どっと疲れたように息を吐けば
再びステンノが待つ砂浜へと帰るのであった。
「ふふ、おかえりなさい。
とっておきのご褒美、たっぷり楽しんで貰えまして?」
「お疲れ様、大変だったみたいだね」
クタクタの一同を見て楽しそうにステンノが笑えば
夜になっても戻って来ないことを訝しみ、迎えに来ていた角乃が全員を労いつつネロの側へと向かう。
一旦船に戻るべく歩を進めようとして──
「何よ、だらしないわねー!
私はあんな大きな猫」
【マジレンジャー!】
「やあエリザベート、ジルマ・マジーロ」
何故か当然の如く立っていたエリザベートに対して陸王が即座に魔法を行使。
陸王にしては雑な扱いだが、疲労困憊なのとエリザベートだし……と言う想いから行使された錬成魔法は一本の薔薇を生み出し、再会の挨拶代わりに陸王は薔薇を手渡せばエリザベートが困惑している間にさっさと船へと戻らんとするが……
「あははははは!!」
犬の手足と耳と尻尾が特徴の半人半獣のメイド服の女性が楽しそうに笑ってた。
「ナンダコイツ」
変な物を……事実変な英霊を藤丸が訝しげに見ていたが
「む、藤丸達の知り合いか?」
ネロが首を傾げつつ2人の英霊を見ていたが
「エリザベートは陸王の元サーヴァント、この……何?なんなの此奴、猫?」
「
「猫らしい」
「待ってください先輩、ルビが何やらおかしいです!」
藤丸が思考放棄をしたのか、雑な様子で猫?を紹介すれば
流石にマシュがツッコミを入れた、なんかズレてるが。
そうこうしている間にエリザベートがネロの側へと寄り
「うっそ、生ネロ!?」
「何が生か!?」
何故かネロを見て驚愕した様子を見せるエリザベートに
不敬すぎるぞ!!とネロが剣を取り掛け、角乃が慌てて両者を宥め
陸王が遠い目で全てを諦めているカオスな状況。
……数分後、漸く少しは落ち着いたのか
「というわけで、ね。
現界する時にこの子たちも引っ張って来たの」
ステンノがエリザベートと猫?を見れば藤丸たちにそう話す。
ステンノが言うには勇者への洞窟を完成させる為には一人では心許なかったらしく、二人にはテストプレイをしてもらったらしい。
何故この二人を?と色々疑問はあるが……まあ恐らく適当であろう。神の気紛れと言う奴だ。
「あははははは!では自己紹介とあいなろう!
我はタマモナインのひとつ、タマモキャット!
語尾はワン、趣味は喫茶店経営、好きなものはニンジンときた。
ユニバース戦士に颯爽と立候補したが肉球だとテガソードが入らなかったという悲しき過去もあるぞ!
うむ、我ながらブレブレなのだな。……だ、ワン」
とってつけたような語尾。しれっと明かされるユニバース戦士になろうとしていたこと。そして変な理由で落選している事。
今の彼女を一言で表すのなら──
「情報量が!多い!!」
「わあ」
藤丸が堪らず叫び、タマモキャットと握手をした角乃が脳内に宇宙を背負えば
「さっきから笑っていたのは愉快だった故、アタシは笑い上戸なのでな。」
凄まじく賑やかなサーヴァント2騎に、敵でも味方でも無くて良かったな……と管制室越しにダ・ヴィンチちゃんは思い
巡は何処まで本当かよく分からない所為でユニバース戦士の情報を追加するか迷っていた。
「ふふ、その子と話すの、ちょっとしたコツがいるの。
……ところで、何故宝箱に入っててくれなかったのかしら?」
宝箱からばーん、と出る予定だったのに。
と凄まじい事を平然と言うステンノに対して
「では報酬にニンジンを頂こう!!」
「あら、宝箱を食べてしまったの?
それは……えぇ、仕方ないわね」
タマモキャットがわははと笑えば、ステンノは微笑み
「なあ今日の晩ご飯何にする?」
「魚とか良いんじゃない?釣れそうだし」
「先輩!陸王さん!その……理解を諦めるのは分かりますが!!」
藤丸と陸王は海を眺めつつ、理解を諦めていた。
……海をぼんやりと眺めていた藤丸と陸王は、ふと眉を顰める。
「……ん?」
「彼凄いね、泳いで来たのかな?
ドクター、サーヴァント反応は?」
水を掻き分ける音を聞いて感心したように陸王が藤丸と共にテガソードを構えつつドクターに尋ねれば
《……本当だ、サーヴァント反応があるぞ!君達以外のね!!》
ロマンより告げられた言葉に、全員が戦闘体勢へと入る。
海から飛び上がり、此方へと着地をして来たのは──
「余の……!振る舞い、は、運命、で……ある!」
「叔父上!?」
予想外の、一度撃退した筈のカリギュラの姿にネロは動揺を示す。
カリギュラが自らの顔に手を翳せば、逆三角形が浮かび上がり
其処から現れるのは──
《オーブルーのデルタトンファや!》
三角形のフォルムを有し、特殊研磨された鋭利な刃をカリギュラは両の手へと持つ。
「まあ、随分と絡め取られているようね。あの力はせめてもの慈悲……いえ、別人のものかしら?
サーヴァントの扱いとは、そういうものだけれど……趣味の宜しくないこと」
カリギュラの様子を見てステンノはそう呟き
「……お前は最早野獣、我が叔父上ではない!!
エンゲージ!!」
血走った目で完全に理性を失った様子を見せるカリギュラを見て、ネロは角乃を庇うように立てばテガソードに指輪を嵌める。
藤丸と陸王もそれに続くように指輪を嵌めればカリギュラの方へと走り出す。
【クラップユアハンズ!】
「叔父上は既に死んだのだ、無念の死であったろうと……余も思わずにはおれぬ。
しかし、しかし!!
死に迷い、余の前に立つのなら──引導を渡してくれる!」
それこそが、姪として──正しき皇帝の使命。
そう確信しているネロは、カリギュラに自らの剣を振るう
【ゴジュウウルフ!】【ゴジュウレオン!】【ドンブラザーズ!】
こうして、皇帝同士の争いは───再び幕を開けた。
カリギュラって野獣呼びされたのなら
ワンチャン野獣使いの一獣一奏効くんですかね?いや流石に効かないと思うけど……トンチキ特異点ならワンチャン効きそう