……いや王様戦隊が居るから無いか
ガリアからの帰還を果たし、宮殿へと戻った一同は漸く一息をつく。
「先輩、もみくちゃにされてましたね……」
「陸王よりかはマシだろ」
「僕はアイドルだからね、ファン対応には慣れてるよ」
お祭りのような凄まじい賑わいを見せていたローマ。
人々も当然の如く活気付いており、ネロもその様子には嬉しそうな笑みを見せていた。
「マシュと角乃はしっかりと身を守りきっていたな、流石は盾の猛将とユニバース戦士と言った所か?
余以外に貞操が堅いのはよいことだ!いっそう気に入ったぞ!」
「ネロ、セクハラ!」
「せくはら?」
何ちゅう事を言ってるんだ、と言わんばかりに角乃が詰め寄ったが
ネロは首を傾げつつ近くに来た角乃をそのまま側へとおく
こ、これだから昔の人は……と角乃は諦めた様子で肩をすくめた。
そんな時、一人の兵士が慌ただしく入って来る。
特別遠征軍の帰還、しかして足止めを喰らっている事を。
「ふむ──ならば行こう!すまんが……」
とネロが立ち上がりつつ藤丸達に声を掛ける。
仕方ない、と藤丸達は再び立ちあがろうとし──
「そろそろ戦闘ばかりで疲れたよね、此処はちょっぴり楽をしよっか。
皇帝陛下休んでて、此処は僕達だけで充分だ」
陸王が微笑んで金色のテガソードに手を掛けつつ、藤丸とマシュを連れて外へと向かった。
中華風の鎧に身を包んだ、巨躯の武人が咆哮を上げる。
武人の肩に乗った白装束を纏う東洋の美女が自らの獲物──刃物を握り締めつつ辺りを見渡し
「見事に囲まれたな。
周囲は敵、敵、敵、雲霞の如し」
サーヴァントである自分達にとっては正直問題ではない。
しかして兵士達は違う、ただの人間だ。
このままでは先ず無事では済まないだろう……それは避けたかった。
死中に活あり、しかしてそれを彼等に強いるのは酷と言ったものだ。
どうしたものか……と女は溜め息を吐き
「──ん?」
ふと、空を見上げる。
そして思わず、笑ってしまった。
「はは、あれが援軍か?
やれやれ……ネロ・クラウディウスの派手好きは承知していたが、まさか此処までとは」
【放て!吠えろ!ブルー!】
全高50m超え、右腕に巨大なガトリング砲を持った黄金のロボ
【テガソードブルー!】
テガソードブルーが銃弾を放ち、辺りの敵兵を纏めて薙ぎ払った。
敵側からすれば悪夢そのものだが、味方からすれば痛快と言う他は無い。
「おっと、うっかり巻き込まれんように兵士達は固めておかねばな」
今の所見事に敵兵だけを撃ち抜いているが、それが此方に飛んでこない保証はない。
故に自分と武人を先頭に、兵士達を一纏めにしておこう。
戦場では正直自殺行為だが
もう戦闘は行われないだろうし、問題はあるまい。
予想通り数分もすれば敵兵は全て薙ぎ払われ──
藤丸達がテガソードロボから降り、ローマ軍の前へと駆け寄る。
「操縦者は君達か?
改めて礼を言おう。私はアサシン──真名を荊軻」
荊軻は獲物を仕舞えばそのまま微笑み
「数多の皇帝を手に掛けられると聞いて参上したが、気が付けばこうして将軍扱いをされている」
まあもっとも私は斥候や暗殺が役目、戦場を駆け巡るのは──ともう一人のサーヴァントを紹介しようとしたが、武人の姿は既に無かった。
「む、呂布は吹き飛ばされた敵を追って行ったか」
まあその内戻って来るだろう。とバーサーカーである彼を雑に放置する事を決めれば
「マシュ、
藤丸がマシュを尋ねれば
頼られる事が嬉しく、英雄達の猛勉強を重ねていたマシュが嬉しそうに口を開く。
「はい!荊軻さんは中国に於ける伝説の暗殺者です。
有名な詩として
"風蕭蕭として易水寒し"
"壮士 ひとたび去ってまた還らず"
と言う詩が残されています」
藤丸……陸王もまたマシュの解説を聞き、感心した様子で頷けば
マシュは照れつつも役に立てた事に笑みを深めた。
その間にロマンから説明を受けた荊軻は一つ頷き
「其方の事情は把握した……が、此方のやる事は変わらん。
呂布と私は既に皇帝を3体殺している、君達とは競争だな」
ふふ、と何処か楽しそうな笑みを見せる荊軻を見て
「あぁ、皇帝殺しナンバーワンバトルか?」
と藤丸もまた笑って見せる。
宮殿で待っているネロは何故か悪寒を覚えて大きくくしゃみをしていた。
「首都に帰還次第、ネロによる連合への本格進行が始まる筈だ。
其処で、競争をしようではないか」
少し楽しみになってきたな、と荊軻は嬉しそうに自らの獲物を握り
そのまま藤丸達と共に帰路に着くのであった