《なんとか呂布とスパルタクスは温存出来たね、お疲れ様》
バーサーカー2騎が暴れ出す前になんとか鎮圧を終えた藤丸達にダ・ヴィンチちゃんは労いの言葉を掛ける。
恐らく敵に優れた軍師が居る、とダ・ヴィンチちゃんは考えていた。
理由としては偶発的な戦闘と違い、明らかに組織だった動きをしてきた事
そして後方のバーサーカー2騎を見抜いた上での前後の挟撃だった事
恐らくサーヴァントであろう。表立って出てこない辺り……アサシンは無いとして……キャスター、或いは余程慎重なサーヴァントと見た。
まあ憶測すぎるし、普通の軍師の可能性もあるので胸の内に留めておくのだが。
ある程度確信を持てたら改めて告げるとしよう、とダ・ヴィンチちゃんはコーヒーを飲みつつ観測へと戻った。
そして再び一同が合流を果たした時──その咆哮は響き渡る。
さながら獣のようで、しかし偉大ささえ感じさせるような雄叫び。
「──敵性サーヴァント反応です!」
その言葉に全員が武器を構える。
荊軻が即座に後方へと退がったブーディカとバーサーカー達を呼びに後方へと退がれば、その敵の姿は見える。
見開かれた眼に全身を禍々しい刺青と黄金で彩った、筋骨隆々の肉体を持つ漆黒の巨人。
全身から闘気が溢れており、強者である事を肌で感じさせる
「全軍、後退せよ!」
「「エンゲージ!!」」
人間では叶わぬ、と理解したネロが即座に兵士たちを交代させれば
藤丸達は前に出て、サーヴァントにも負けぬ装甲を身に纏う
【ゴジュウウルフ!】
【ゴジュウレオン!】
【ドンブラザーズ!】
「敵性サーヴァント……来ます!」
両手にある二本の戦斧を持った巨人が地面を踏み砕くと同時、ゴジュウウルフ達もまた臆さずに巨人へと突撃をして行った
「敵前方でサーヴァントが召喚されたようだ。
あの宮廷魔術師の仕業──では、あるまいな。
ならば、お前か?」
陣地にてロードエルメロイ二世は煙草を吸いつつアレキサンダーを見る。
アレキサンダーはイタズラっぽく笑えば
「どうかな?僕はちょっと馬の早駆けをしていただけだよ」
そろそろ来るかな、と思ってたけどこんなに早いとはね〜、
そう言ってアレキサンダーは益々笑みを深めてみせる。
そんな様子にロードエルメロイ二世は興味深そうに見つめる。
そんな視線に気付いたアレキサンダーは口を開き
「地中海の女神の噂、知ってる?
彼処には女神以外に二体の女怪が居るんだって」
だからぴんと来たんだ、連鎖召喚があるのかもってさ。
と答えたアレキサンダーの言葉にロードエルメロイ二世は数秒考え込めば
「私は好かんな、幸運に頼るような戦い方だ」
と答える。
大体連鎖召喚は誰が呼ばれるか分かった物ではない、縁となればうっかり天敵を呼ぶ可能性だってあるのだから。
「まあ、そう言わないで先生。
彼らの前方に隙を作ってくれたのは先生なんだし
早く準備をしようよ、彼が時間を作ってくれている間に」
そう言って自らの愛馬と戦車を呼び出すアレキサンダーを見れば、ロードエルメロイ二世はただ一言尋ねる
「良いのか?」
恐らく召喚されたのはダレイオス三世だろう。
勇猛果敢であり──
「我が生涯における好敵手たるペルシャ王。
もっとも僕にとってはそう言う未来を知っているって感じだけど。
でも、今は良いんだ。良いんだよ」
僕は、ネロ・クラウディウス──あの子と話したいからね。
そう言い切ったアレキサンダーの顔を見れば、ロードエルメロイ二世は何も言わずに戦車へと跨った。
アケメネス朝の精鋭部隊、
「炎──は効かなそうだし、テガソードを呼ぶしか無いか!?」
「良し、任せろ──っと!」
【アウェイキング!】
放たれた戦斧をマシュが受け止めれば、そのまま藤丸はテガソードに手を掛け、その武器を開く。
【掴め!切り裂け!レッド!】
「むぅ──余も欲しいぞ!」
「ネロー!余所見しない!!」
ネロが羨ましそうに巨大なロボを見上げれば、後方へと下がった角乃がそう注意をする。
直後に振られた象の鼻を慌てて避けつつ、ネロはやはり羨ましそうにそのロボを見ていた。
【テガソードレッド!】
《骸骨兵で作られてるとはいえ宝具だろう、早めに本体を潰して!》
ロマンが象を解析しつつそう伝えれば、藤丸は頷いて剣を振るう。
ダレイオス三世は象と共にその斬撃を受け止めるが
「余達の存在を忘れるなよ!」
「はぁぁぁぁッ──!」
ネロとマシュが前足に向けてそれぞれ攻撃を仕掛ければ、骨で作られた足が砕かれ大きく揺らぐ
そのままテガソードレッドは象を両断しそのまま斬撃によりダレイオス三世を空へとかちあげれば──
「交代だよ!藤丸君!」
「は!?」
【放て!吼えろ!テガソードブルー!!】
陸王がテガソードへと乗り込み、藤丸は弾き飛ばざれてしまう。
マシュが咄嗟に藤丸を抱き留めれば
「テガソード・キラリ☆ライオン流星群!!」
テガソードブルーは即座に空中に跳ね上がられたダレイオス三世を撃ち抜き、そのまま爆散させるのだった。
「──彼奴、今度同じ事やり返してやる」
藤丸の呟きは、爆発音と共に掻き消されたのだった