Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

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薔薇の皇帝

敵サーヴァントを撃破した藤丸達、再びの勝利で盛り上がっていた場所に響き渡ったのは──

 

「──すま、ない。やられた……!」

 

援軍を呼ぶべく後方へと向かった筈の荊軻の声であった。

少なくない傷を負っており、角乃に腕を回されてようやく立っていられるといった様子である。

後方で戦闘が行われていたのは明らかであり荊軻の口から伝えられたのは最悪の事。

後方からの奇襲。

スパルタクスと呂布が軍勢を殲滅したが、そのまま敵を追って消えてしまった事。

其処から更に奇襲。

ブーディカと荊軻が応戦したが……サーヴァントと赤き鎧の戦士、恐らくユニバース戦士の一人に敗れてしまった事。

ブーディカは自分こそ逃がしてくれたが、彼女自身は──虜囚へとなってしまった事。

ネロはその報告を、悲しげな顔で聞いていた。

 

「──ネロ。」

 

角乃がネロへと声を掛ければ、ネロはハッとした様子で

 

「……すまん、少し考え事をしていたのだと思う。

そして、今こそ余は決断したぞ!」

 

「……思う?」

 

藤丸がネロの言葉に首を傾げたが、ネロはそれを気にせずに自らの赤き剣を掲げる。

 

「先の戦いで我が軍は劣勢へと陥った、厳然たる事実として余は受け止めよう。

先の二人──スパルタクスと呂布は並大抵の敵では止められん、いずれ戻ってくると信じよう。

故に、今はブーディカを助け出す!拠点については──」

 

「私が見つけてある、やられっぱなしは癪だったからな」

 

荊軻はそう笑って地図を広げて貰い、自らが発見した敵の拠点──砦を指差す。

其処を見ればネロは一つ頷き

 

「良くやった、あとは余達に任せよ!

──では、救出へと向かう、後に続けい!」

 

颯爽と進軍を始めるネロの後へと続く藤丸達。

しかし、角乃が納得行かないように呟いた。

 

「──なんで、サーヴァントとユニバース戦士が一緒なのに遠くに逃げなかったんだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこだ、ブーディカ!返事をしろ!!」

 

砦の前にて、ネロの声が響き渡る。

既に周囲は兵士により包囲させており、荊軻は全体の連絡の為に下げたが

それでも藤丸達と共に居り、既に砦内の二つのサーヴァント反応を察知している。

雑兵では蹴散らされるだろうが──精鋭ならば話は別だ。

ネロは好敵手へと声を届けるべく、より強く叫ぶ

 

「余には分かる!貴様は死なぬと!!」

 

その声に、苦笑混じりの少年の声が返ってくる

 

「ううん……それは随分と勝手な物良いじゃないかな?」

 

赤髪の少年、アレキサンダーと煙草を吸い続けるスーツ姿の男、ロードエルメロイ二世は堂々と城門を開けば、真正面から姿を現して見せる

 

「でも、安心して良いよ。彼女は彼……先生の魔術ですやすやと眠っているだけだから」

 

「拘束の魔術だ、眠りとはまた違う」

 

そう言って笑ってみせるアレキサンダーに対して、ロードエルメロイ二世は淡々と煙草の煙を吐けばそのまま修正をする。

でも寝てたよ?とアレキサンダーが首を傾げれば

 

「──貴様等、のこのこ姿を現すとは驚いたぞ」

 

ネロ達は既にテガソードを構えており、いつでも戦闘を行える状態へと移っている。

しかしてテガソードの切先を向ければ

 

「両名共に、この砦の将と見た。

赦す、自らの名をこの皇帝ネロへと告げてみろ」

 

アレキサンダーがその言葉にどれを名乗ろうかな、と数秒考え込み

ロードエルメロイ二世が傲慢とも言えるネロを見つつ、煙草を捨てれば

 

「アレキサンダー三世、それが僕だ」

 

「ロードエルメロイ二世。故……いや、縁あって彼の軍師をしている

真っ当な英霊では無い、英霊としては別名になるのだろうな」

 

堂々と名乗ったアレキサンダーに対し、ロードエルメロイ二世は自分の名は忘れてくれて構わんよ、と告げる。

 

「まあまあ、そういう訳にもいかないさ。

ローマ皇帝さんにとって僕達は敵将なんだからさ」

 

「無論だ、まさか今更敵対せぬとでも言うのか?」

 

ネロがセンタイリングを回し、テガソードへと嵌めようとしつつアレキサンダーを見る。

アレキサンダーはネロの言葉に頷けば

 

「うん」

 

と単純に、しかし明確に頷いて見せる

その様子にネロは信じられぬと言った様子で目を見開き

 

「な、なんと……?」

 

と思わずテガソードに嵌めようとしていたセンタイリングを止めてしまう

ロードエルメロイ二世は自らのテガソードを見せれば

 

「私ははぐれだ、故にマスターを持たん。

ユニバース戦士も務めているが……まぁ其処はどうでも良い」

 

藤丸達が新たなサーヴァントでありながらユニバース戦士である者に驚愕をすれば、アレキサンダーは愉快そうに笑い

 

「僕はマスターとは相性が合わなかった。だから自分の意思で──君が此処に来るのを待っていた。

こうして、戦場の真ん中で話をしてみたかった」

 

その願いを叶えてくれたのはロードエルメロイ二世だ、有難う。

そうアレキサンダーは礼を伝えるが、ロードエルメロイ二世は謙遜する素振りもなく

 

「何を言う、半分以上はお前の采配だ」

 

と答えて見せる。

訝しげな角乃を見ればアレキサンダーは笑い

 

「信じられない、かな?

死人は出ている、軍勢同士がぶつかり合ったからね。

ただの話一つするのが目的でこんな事をするなんて、信じられない──でしょ?」

 

「えっ──」

 

自分が思っていた事をぴたりと言い当てられた角乃は、思わず自らの指輪を握って後ずさる。

まさか同じ能力、心を読めるのか──?

と角乃は思ったがアレキサンダーはそんな様子を気にせずに

 

「人間の命は尊いものだと思う。

それでもこうするのが1番だと思ったんだ、ローマ第五皇帝ネロ・クラウディウス……君が気になったからね。」

 

コホン、と咳払いをし自らの剣を抜き放てば切先をネロへと向けつつアレキサンダーは尋ねる

 

「君は何故、戦うんだい?」

 

何故連合帝国に恭順せずに戦い続けるのか

無数の皇帝の一人となれば、争いはそもそも起こらなかった。

死者が出る事も無かったのだ。

 

「どうして君は、無用の争いを起こしたのかな?」

 

そう言い切ったアレキサンダーに、ネロはテガソードを握り締め

怒りを隠そうともせずに、叫ぶ

 

「無用と言ったのか、この戦いを……貴様は」

 

「言ったよ」

 

なら、どうする?とアレキサンダーは目で問い掛ける

ネロはテガソードを指輪へと嵌めれば、高らかに言い放つ

 

【センタイリング!】

 

「許さぬ!」

 

死から蘇った血縁であろうと

過去の名君であろうと

古代の猛将であろうと

伝説に名高き、大王その人であろうとも

 

「──今、皇帝として立つのはネロ・クラウディウス一人である!」

 

【ドンブラザーズ!!】

 

扇子を広げ、ネロは堂々と構える。

今の皇帝は一人のみである、と断言をして見せる。

 

「民に愛され、愛する事を許され、望まれ、そう在るのはただ一人!

ただ一つの王聖だ!!」

 

【よっ!日本一!!】

 

ただひとつだからこそ輝く星

ただ一人だからこそ全てを背負う傲慢が赦される

その事を祝福するように、辺りは煌びやかな紙吹雪が舞い踊っていた

 

「たとえローマの神々全てが降臨せしめて、連合へ下れと言葉告げようとも、決して退かぬ!!」

 

そう信じて、踏破するのが我が人生であり、我が運命。

退かず君臨し華々しく栄えてみせる

そう言葉を放つネロの背を、角乃が見つめていた。

 

「余こそが!紛うことなきこの世界(ローマ)である!」

 

ネロの目ををアレキサンダーはじっと見れば、満足そうに笑い

 

「見事!その答えがどうしても僕は聞きたかったんだ」

 

拍手さえしてみせる様子にロードエルメロイ二世は溜め息を吐きつつも、満足そうなアレキサンダーを見て口元を綻ばせる。

 

「合格だ、きみは覇王……いいや、皇帝になるが良い!

君にはその資格があるだろう!」

 

愛馬であるブケファラスを呼び出せば、アレキサンダーはそのまま跨り

ロードエルメロイ二世と藤丸達もまた指輪をテガソードへと嵌める。

 

「栄華繁栄を誘う薔薇!

人間だけが持つ業、堕落の数字を示す獣!

魔王にだってなれるよ!君は!!」

 

ネロはふと背に寒気を感じ、思わず振り返ってしまう

……角乃の隣に竜人のような、邪悪のような……幼き自分が立っていたような気がしたが

瞬き一つする前に、その獣は姿を消した。

角乃が突然此方を見てきたネロに対して不思議そうに首を傾げていたが

ネロはザングラソードを構えつつ、アレキサンダーへと振り返る

 

「──それ以上の言葉は要らぬ、故に倒す!」

 

「もう良いんだな!行くぜ!!」

 

「蚊帳の外だったのはまあ仕方ないって!」

 

「はい、戦闘──開始します!」

 

【ゴジュウウルフ!】【ゴジュウレオン!】

 

藤丸、陸王がテガソードで変身をしつつ駆け出せばマシュも盾を構えて駆け出せば

 

「──エンゲージ」

 

羽毛扇を構えたロードエルメロイ二世もまた指輪を嵌め、数度手を鳴らし

 

【ファイブマン!】

 

原子運動を象った額のエンブレムが額に刻まれ、ファイブレッドの装甲へと身を包んだ。




と言うわけで二世はファイブマンでした
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