「──決戦である!」
ネロが砦の屋上へと立ち、目下へと広がる無数の兵士達を鼓舞するように剣を掲げる。
「今こそ余と余の兵たる貴様たちの力を集める時!
この戦いを以て──ローマは再び一つとなろう!」
ネロの背後に立つは藤丸、陸王、マシュ、ブーディカ、荊軻。
そしてネロの隣には角乃が立っており、ネロを見守っていた。
「忌々しくも皇帝を僭称せしものどもよ!
今こそ、偽物のローマが潰える時だ!!」
【ドンブラザーズ!!】
銀のテガソードにセンタイリングを嵌め、高らかに鳴らせば
共鳴するように兵士達もまた手を撃ち鳴らす。
ユニバース戦士としての姿にネロが変われば、紙吹雪が辺りへと舞い上がる。
「戦え、余の兵たちよ!我が剣となって僭主どもを悉く打ち倒せ!
我が剣は原初の
聞き惚れよ!しかして称え、更に喜べ!!
──余の、剣たちよ!!」
兵士たちの士気が限界まで上がり、皇帝を讃える声が砦を揺るがす程に響き渡る。
その様子を聞いた陸王が腕を組みつつも
「僕の満員のコンサートにも負けないくらいの熱気だね、凄い士気だ」
「お前のコンサートは何なんだよ」
と呟けば藤丸が即座にツッコミを入れる。
ネロも凄いが陸王も割と大概だな……と藤丸は思いつつも
これから挑むのは王宮の攻略戦。
其処に居るであろう宮廷魔術師──レフ・ライノールと当たる可能性は高い、と改めて気を引き締めた。
《──前方にサーヴァント反応だ!》
ロマンからそう通信が入ると同時に、その偉大な声は全員に聞こえた。
「実に、勇ましい。
それでこそ当代のローマを統べる者である」
筋骨隆々とした威厳を備えた男が、堂々と王宮入り口付近に立っている。
マシュ達がその姿を認識すれば
《へえ、かなりの距離がある戦場でも声を届かせられるとは……流石はサーヴァント、って奴かな?》
因みに私は魔術を使わなきゃ無理だね、とダ・ヴィンチちゃんは簡単した様子でその男を観察すれば
「──そうか、お前がネロか
何と愛らしく、美しく、絢爛たることか。
その細腕でローマを支えてみせたのも大いに頷ける」
そう言って男はネロへと手を差し伸べる。
かなりの距離があるのにも関わらず、兵士たちを含む人々は男が異様に大きく見えていた。
「さあ、おいで。
過去、現在、未来。
全てのローマがお前を愛しているとも」
ネロは此処まで言われて尚、何も言い返す事が出来なかった。
驚きが隠せない様子で、自らの変身が解けた事さえ気付かぬように男を見て動揺をあらわにしていた。
「……ネロ、大丈夫?」
魔術──ではあるまい、カルデア管制室が気づくだろう。
なら何故此処まで動揺を示しているのか?死んだ叔父が敵として蘇った時でさえ此処までは動揺していなかった。
角乃がネロの背中を摩りつつ心配そうにすれば
ネロは未だ現実を飲み込めていない様子で呟く。
「あれは……あの、御方は──」
一瞥しただけで分かってしまう。
だからこそ、その名を口にしたくはなかった。
それを口にしたら最後、自身はあの御方と敵対してしまっている事になる。
──しかして、言わざるを得なかった。
まさか
「さあ、
ローマそのものが、敵になっているだなんて。
男──ローマは依然手を差し伸べつつ、言葉を続ける。
「
お前も連なるがよい、許す。
お前の全てを、
お前の内なる獣さえ、
──それができるのは、
そう言って男は銀色のテガソードを掲げ、高らかに宣言する。
「私が、ローマだ」
あなただけは、有り得ぬとネロは呟く。
信じたくはない、今だって白昼夢を見せられてるのだと思いたい。
しかして──答えぬ訳にはいかない、ローマ皇帝として
「あなたは余の前に立ちはだかるのか、紛うことなきローマ建国王!!」
古代ローマ建国神話に登場する国造りの英雄。七つの丘にローマの都を打ち立て、栄光の大帝国ローマの礎を築いた建国王にして神祖。生きながら神の席に祀られたモノ。
「神祖ロムルス!!」
王宮の前に立つロムルスは、ネロの言葉に鷹揚に頷いた。