辺り一帯を飲み込むような破壊が放たれ、盾と激突する。
「全員撤退!!」
一瞬の拮抗、しかして即座に崩壊すると判断したネロが退却すべく走り出す。
皇帝として先ずは生き延びる事が最優先故の判断。
藤丸達も即座に駆け出し──
「来やがれ!テガソード!!」
盾が極光に弾かれると同時、藤丸は声高々に叫びつつマシュの手を掴んで引き寄せる。
テガソードはロボにならず、変形前の姿……手の状態で王宮を切り裂きつつ現れ、水色の刃を盾とし藤丸達が逃げる時間を稼ぐ。
"人神一体"を使用しなかった所為かは不明だが、数秒後にテガソードは消え去り、破壊の極光は藤丸達が伏せると同時に過ぎ去る。
しかして荒れ狂う風は藤丸達を吹き飛ばし──
「……死ぬかと思ったぞ」
連合国首都の外側へと至る。
対城宝具の解放を間近にしながら生き延びたとは奇跡と言っても過言では無い。
恐らくテガソードの防御が無ければ命は無かった、と言うことは極光により抉り飛ばされた都がよく現していた。
《さて、言うまでもなく状況は最悪に等しい。
魔神柱を一瞬で両断して見せた大英雄にして破壊の大王アルテラ、そんな彼女にスーパー戦隊の力までもがプラスされた》
ロマンが現状を冷静に伝える。
素でも相当強いであろう英霊に、更なる力が付け足されたのだ。
今の彼女は恐らく同格さえ下せてしまうであろう。
「私からも悪い……いやどうだろ、良い報告でもあるのかな
スパルタクスと呂布はアルテラってのと戦闘中……だと思う、時間は稼げるだろうけど先ず負けるだろうね。
下手に助けようとしても自分達が巻き込まれちゃうし」
やれやれ、と言った様子でブーディカは頭を掻く。
あの極光は奇跡的に回避出来たが、バーサーカー二人は光の発生源に即座に向かってしまった。
元々狂戦士、止まれる筈も無いだろうし……勝ち目はどう考えてもない。
だが彼等もまた英霊、瞬殺は無い筈。
貴重な時間を生み出してくれる以上、良い報告か悪い報告かブーディカは悩んだらしい。
《それは朗報と捉えても良いと思うよ、彼等もまた本望だろうしね
……アルテラはローマ首都へと向かおうとしている、止めなければローマ首都は破壊されて……そのまま文明は崩壊するだろう》
ダ・ヴィンチちゃんがアルテラの現在地を特定しつつ話す。
バーサーカー二人がかりでもジリジリと進んでいるのだ、障害物がなければあっという間も無くローマ首都へと着いてしまうであろう。
「……余の都を、アレは灰燼とするつもりか?」
ネロがロマン達へと尋ねる。
ロマンは頷けば
《そうだろうね、そしてその力もある》
あの極光を数発放たれれば、それだけで首都は消滅する。
例えネロが生き延びたとしても……ローマ帝国滅亡は免れない。
或いは首都を消した後にネロを消しに来るかもしれないし
特異点さえ消し去ろうとしてくるかもしれない、その先は未知数であった。
「余も余のローマも等しく、くれてやるつもりはない。
──倒すぞ」
ネロははっきりと言い切る。
しかして敵はあまりにも強大であり、マシュが不安そうに口を開く。
「敵うのでしょうか……わたし達に」
冬木の聖剣……アルトリアオルタ/クワガタオージャー
オルレアンの邪竜……悪竜現象 ジャンヌオルタ
彼女等も紛れもない強敵だった。
前回勝てたからと言って、今回勝てるとは限らない。
ましてや自分の盾では極光を防げなかった。
──それが、どうしても不安に繋がってしまった。
しかしてネロは快活に笑えば
「敵う!
藤丸、マシュ、陸王、角乃、荊軻、ブーディカ、
そして余が居る。
スパルタクスや呂布も今まさに戦っている。
そして我等には……ローマが着いている!
断言しよう、運命と神々は余に味方している!
それはこの指輪が示している!!」
ネロはドンブラザーズのセンタイリングを天へと掲げて見せる。
指輪は日の光を反射して輝いていた。
「余の想いは叶う!
ローマは救われ、余の民と余のローマは後世にも残る!
世界は永遠で無くてはならぬと神祖は言った、即ちローマも永遠に続くと言う事だ!
例えその名が忘れられたとしても……ローマが植えた芽は形さえ変えて続くだろう
永遠の帝国は在り続けるのだ、
皇帝、国、名……其れ等全てが変わろうともな!
それこそ人の繁栄の理、人間という生命の系統樹!
其方達が守ろうとする人理に他ならないのだ!!」
ネロはそう言い切れば、藤丸達を指差す。
圧倒的なカリスマ、自信に溢れた断言。
そんな雰囲気を見て耐えきれなかったように角乃が笑えば
「……何言ってるのかよく分かんないけど、それこそネロって感じだね」
「うむ!余にもよくわからん!」
角乃が笑ってるのを見てネロもまた笑いつつ胸を張って見せる。
しかしマシュは穏やかに微笑みつつも
「わたしは、少しだけわかったような気がします
明確な形が消えたとしても、世界が在ればお話は残る、とか……」
「素敵な例えだねマシュ、そしてネロの言葉で勇気も貰えたよ
彼女はアルテラに勝てるって確信してる……だから世界は終わらない、ってね」
陸王もまた笑いつつ、藤丸を見る。
君はどうだい?と問い掛けるように
藤丸はその目を見て笑えば
「──ネロを信じてみるとするか!
行くぜ!アルテラ討伐戦!!」
テガソードを各々が構え、戦士達は文明の破壊へと立ち向かうべく歩き出した