「──ッ!」
セファールの薙ぎ払いをユニコーンシールドで受け止め、再びドリルでセファールの身体を抉る。
──が、効いている気がしない。
寧ろ更に巨大化さえしてしまっているような気がする。
【一河角乃、セファールは武器や魔術による文明の攻撃を無効化し、それを吸収し巨大化していく……一撃で決めなければ勝てない】
「なっ……嘘でしょ!?」
もっと早く言って欲しい、とも思ったが……言われた所で、とも思ってしまう。
たとえテガソードブラックの全力の一撃を放ったとしても、恐らく倒し切れない。
サーヴァントは攻撃には向いていないブーディカとマシュしか居らず
テガソードは基本一人でしか操作出来ない。
せめて巨大戦力がもう一人来てくれれば……と考えるも、無いものねだりをしている場合では無い、と頭を振るって再びセファールへと立ち向かっていった。
《……はっきり言って現状だと勝ち目があらへん。
テガソード単体やと先ず火力不足や、パワーアップアイテムなんて無いし……センパイジャーも居らへんし〜……いや!スーパー戦隊なら何か良い手が……!》
戦隊五十古事録を開き、スーパー戦隊の情報を片っ端から読み漁る巡。
しかしてセファールの撃退法なんて書いてある筈もないし、そもそもゴジュウジャーが1番情報が少ない戦隊なのだ、調べられる事さえほぼ無いと言っても良かった。
センタイリング……現在所持している指輪の力でもやはり何とも出来ない。
例え合体武器を放ったとしても、あの巨体を吹き飛ばせはしないだろう。
それでも、それでもと巡は本を捲り続ける。
その様子を見つつもダ・ヴィンチちゃんは角乃へと通信を繋げれば
《戦闘中失礼、テガソードに聞かなきゃいけないことがあってね》
【手短に頼む、一河角乃が尽力しているがやはり敵わなそうだ……!】
セファールの攻撃を跳躍する事で避け、そのまま脳天にドリルを突き立てるがやはり弾かれてしまう。
セファールの頭部を蹴る事で此方を掴もうとした腕を避けつつ、テガソードは通信へと応答をした。
《先ず君は実際にセファールと闘ったのかい?》
【そうとも言えるが……争っていない、とも言える】
矛盾したような発言。
しかしダ・ヴィンチちゃんは万能の天才。
先程の巡とテガソードのやり取りを思い出しつつ、瞬時にテガソードの意図を理解していく。
《サーヴァントが居る世界とスーパー戦隊が居る世界は本来別物だったんだね?》
ロマンと巡が思わずダ・ヴィンチちゃんを見つめる。
既にダ・ヴィンチちゃんは確信した様子を見せていた。
【その通りだ、ユニバース大戦と人理焼却、二つの世界規模の争いが共鳴した結果時空に穴が空き……センタイリングが其方の世界へと流れた。
そしてサーヴァントとスーパー戦隊と言う互いの世界には存在しない要素が結び付いたのだ】
ダ・ヴィンチちゃんは脳内で時系列を組み立てる。
最初にユニバース大戦が終わり、次に人理焼却。
人理焼却によって特異点以外の歴史は焼き尽くされ、謂わば"空白"が生まれた。
其処にスーパー戦隊と言う一つの歴史……空白を埋められる程の力が流れ込んだ結果、この世界とスーパー戦隊が居た世界が結び付いた……と言う事か。
恐らく世界同士が結び付けば反発は本来免れない……しかし結果としては融合を果たし歴史もまたくっ付いてしまった、と言う事となる。
スーパー戦隊の神々とセファールの争いの記録が無いのはそれが理由だろう、もし争っていたら戦隊考古学者の巡が知らないとは思えない。
まだまだ考察の余地はあるし、今後の情報によってはひっくり返るような雑な推論だが……今はこれで良いとしよう。
《つまり……勝機はまだあると言う事だ!》
セファールは神々を破壊した。
しかし──別世界までとは行かない。
本来交わらなかった世界が交わった事により生まれた可能性。
其処に賭けるしかない。
「藤丸君達に通信を、鍵はスーパー戦隊……えぇ……?」
そうと決まればゴジュウジャーの面子に頼るしかない、とダ・ヴィンチちゃんは通信を開き──
その光景に、思わず言葉を失った。
ネロが変化に気付いたのは、己が手が輝いていたから。
否、正確にはセンタイリングが輝いていたのだ。
「……これ、は」
熱く感じる程に強く、力強い光。
使い方が、分かる。
どうすれば良いのかが、分かる。
……やはり天は余を見捨てず、
「ナーッハッハッハッハ!!」
ネロが心から愉快そうに、楽しそうに笑う。
ギョッとした様子で藤丸達がネロを見つめ
ブーディカが壊れた……?と言わんばかりにネロを見つめていたが
ネロの高笑いは止まらず
「さあさあいよいよ反撃の時だぞ……お供たちよ!!」
【ドンブラスター!!】
銀色のテガソードが光り輝けば、ネロの手には太陽光を抽象化した様な黄色と赤のド派手な色彩に上下二連の銃口、そしてフレームと一体化しU字型になったサングラスと特徴的過ぎる見た目のハンドガン……ドンブラスターが現れる。
ドンブラザーズのセンタイリングが空へと浮かび上がれば、赤、青、黄、黒、桃色へと指輪が分裂し、それがギアとなってドンブラスターへと収まる。
【ぃよぉーっ!!】
「アバターチェンジ!ロボタロウ!!」
光り輝くロボタロウギアを操作する事で脳人レイヤーのマンホールが現れ、5つのアーマーがバウンドして周囲を舞いながら現れれば、その場に居る5人へと装着されて行く。
【ドン!ロボタロウ~!】
ネロに装着されたアーマーはさながら赤き鎧を身に付けた将軍。
サングラスはより鋭利になり力強く光を反射していた。
【よっ!世界一!】
「これまた随分と派手だね!」
【サルロボタロウ〜!】
陸王へと装着されるアーマーはさながら青い猿。
全身に毛を模したモールドがあり、巨大な両腕が力強く地を砕いた。
【よっ!ムッキムキ!!】
「わ、わたしもですか!」
【オニロボタロウ~!】
マシュへと装着されるアーマーはさながら黄色い鬼。
全身にアーマーを装着し、巨大な棍棒を鬼は背負った。
【よっ!鬼に金棒!!】
「やってやろうじゃねえか!」
【イヌロボタロウ~!】
藤丸へと装着されるアーマーはさながら黒い犬。
獣体型に変化し、その牙は何者も逃さぬように光り輝いた。
【よっ!ワンダフル!!】
「え待ってこれあたしも!?」
【キジロボタロウ~!】
ブーディカへと装着されるアーマーはさながら桃色の雉。
鳥体型に変化し、刃状の尾羽は大きく翼を広げていた。
【よっ!トリッキー!!】
こうして各々の変化が終わり、ネロを中心に5色の戦士が集えば──
「これ凄いね、なんだろ……ゴリラ?」
「金棒と盾……両方扱えるんでしょうか」
「俺は犬じゃなくて狼だ!!」
「ネロ公ー!!あたし鳥だよね!?なんで鳥になってるの!?」
絶望的な戦況に置かれているとは思えない程に賑やかになっており、ロボタロウとなった面子がネロの周りで賑やかに騒ぐ。
《あ〜……その、センタイリングの力かな?
力は増しているようだ、けれど流石にセファールに挑むのは無茶だと思うけど……》
フリーズしていたロマンがハッとした様子で動き出しつつ、ロボタロウのデータを見る。
確かにパワーアップはしたが……巨大ロボットの戦闘に乱入出来るとはやはり思えない。
幾らパワーアップしても質量の差と言うのは覆し難いのだ。
故にロマンはそう計画したのだが……
「分かっている!故に合体だ!」
ネロ……ドンロボタロウが立ち上がってそう言い放てば、ロマンはまたフリーズを果たし
「「「「……え?」」」」
藤丸達もネロを見てフリーズしてしまうのであった。
しかしネロはお構いなしにドンブラスターを回転させ始めれば
【いよぉ~っ!
ドン!ドン!ドン!ドンブラコ!大合体!!】
舞台は破壊されつつある都市から巨大な船へと変わり
ロボタロウ達は船へと乗って鬼ヶ島を思わせるステージに向かい、上陸と同時に変形を始める。
「おい!俺はやるなんて言ってねえぞ!」
「せ、先輩!頑張りましょう!!」
藤丸とマシュ、イヌロボタロウとオニロボタロウが巨大な足へと変形を果たせば
「藤丸!マシュ!足となれい!!」
【アオーン!!】
【は、はい!!】
ドンロボタロウの足へとそのまま融合を果たし、巨大な足として機能する。
「次は僕達……うわぁ!?」
「いやちょっ……痛くはないけど!なんか嫌かもこれ!!」
サルロボタロウとキジロボタロウ、陸王とブーディカが二つに割れれば
「陸王!ブーディカ!腕となれい!」
【了解!!】
【あーもう行くよ!!】
サルロボタロウがドンロボタロウの巨大な両腕となり、キジロボタロウが肩に嵌れば羽がのぼりのように背中へと突き刺さる。
【大・合・体!(ワンワン!)大・合・体!(ウッキー!)】
【大・合・体!(ケンケーン!)大・合・体!(ガオオー!)】
腹に桃を彷彿とさせる装甲が装着されれば、胸の黒き蓋が開き桃マークが鮮やかに光り輝く。
【完・成!ドン!オニタイジン~!!】
最後に黒き兜がドンロボタロウへと身に付けられれば、サングラスは上がり青き双峰が
「いざ!出陣!!」
ドンブラザーズのセンタイリングの絵柄が空へと浮かび上がれば、ドンオニタイジンのロボタロウギアへと変化しそのままオニタイジンを潜り抜けさせ、オニタイジンを巨大化させてしまう。
【よっ!銀河一!!】
突如として現れた巨大ロボット。
テガソードブラックとセファールは一時停止し、そのロボットを見据える。
「「「「何じゃこりゃ〜!!!!」」」」
藤丸と陸王とブーディカが同時に叫び、マシュが少し遅れて同じように叫ぶ。
何処までも楽しそうなネロの笑い声が響く中
《オニタイジンや〜!!》
脳内に宇宙を背負った管制室の中。
唯一巡が目を輝かせ、嬉々として録画を始めていた。
初のレジェンドロボットはオニタイジンでした