航海の始まり
《藤丸君!陸王君!角乃ちゃん!マシュ!!誰でも良いから返事をしてくれ!状況はどうなってる!?》
観測室が示すのは有り得ない高度。
計測器の故障か!?とロマンは大変慌てつつ通信を飛ばす。
藤丸は何処か達観した様子で下を見る。
横目に雲が流れて行くのが良く分かるし、何なら風が凄まじい勢いで噴き上げてくる。
「空ですね」
《空ぁ!?何でそんな所に!!》
「先輩先輩!!今其方に!!」
「ねえローマの時もこんな感じで来たの?」
「いやあ前回は普通だったんだけど……」
ロマンから驚愕の声が溢れ、マシュが必死に宙を掻きつつ藤丸の元へと向かい
陸王と角乃が呑気に会話をしつつ下を見る。
雲を抜けて見える先は一面の青色
「──海ぃ!?!?」
「来て!テガソード!!」
落ちたら確実に死……にはしないが、それはそれとしてずぶ濡れ確定な状態に藤丸が素っ頓狂な声を出す。
マシュが藤丸の手を掴むと同時、角乃がテガソードを構えれば即座に開く
雲を切り裂き、真横からテガソードが出現。
藤丸達は互いに手を取り合い、テガソードへと乗り込むのであった。
ある島の長閑な平原にて、黄緑の髪を持った男は杖を携え羊を見守る。
そんな男に背後から声を掛けるは海の荒くれ者、海賊。
「羊飼い、
明日から出航するから準備しとけってよ」
海賊がそう告げれば、やはりと言った様子で羊飼いは杖を懐へとしまう。
「魔力の乱れも感知したしそろそろだと思ってたけど、やはり
羊飼いは海の地平線を見つめつつ
「それじゃあ今回から僕も船員なわけだし……羊飼いは一時廃業して楽しむとしようか」
「心躍る冒険と、浪漫溢れる宝探しをね」
誰に向ける訳もなくそう呟けば、海賊に急かされつつも船員となった男は歩き出した。
「いやさかいさやか〜♪」
ある島の酒場、"テガソードの里"にて男は自らが作り出した讃歌を口ずさみつつコーヒーを淹れていた。
きっかけはこの世界に送られた時、海賊に襲われていた酒場を助け出した時の事。
店主の好意でこの店を譲って貰い、テガソードの里として男は経営をしていた。
中央に堂々と置かれているのはテガソード……のレプリカ。
ただし本物と遜色は無く、信者である男も満足出来る物であった。
「テガソード様より承った使命……成し遂げる為にはこの暴神竜儀、力を惜しみません……!」
テガソードのレプリカに祈りを捧げつつ、黄色の指輪を嵌めた竜儀は今日も今日とて酒場の経営を続けていた。
オケアノスでは怪力信者が来ます