Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

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海賊現る

「今回のレイシフト先は1537年のとある海域だ」

 

カルデア管制室にてロマンは藤丸、陸王、角乃、マシュに向けてそう話す。

 

「どうも地形的な変化が起きているらしいが……心配は要らない!

レイシフトは日々進歩してるからね、海上に出たりはしないさ!」

 

そう言いって胸を叩くロマンに、一同は何故か一抹の不安を覚えつつも

まあダ・ヴィンチちゃんも居るし大丈夫だろうとレイシフトに望み……

結果として、空の上へと放り出されたのであった。

 

《はい……海の上では無かったんですけど……そのう、まさか空の上だとは思わずですね……反省してます!!》

 

テガソードへと乗り込む事で無事に近くの島へと降り立つ事は出来たが、マシュが凄まじい圧力をロマンに掛けており

通信越しにも関わらずロマンは自主的に正座へと移行していた。

 

「もしあのまま着水する事になっていればわたしの宝具と先輩たちの変身があるとは言えただでは済まなかったんですよ!!!」

 

《悪気は無かったんだよおお!!!》

 

マシュがずいずいと画面越しのマシュに詰め寄り、ロマンが半泣き状態で叫ぶも

 

「まぁ生きてるし良いだろ」

 

と、自分より怒ってるマシュをどう反応すれば良いのか分からず困った顔で見つつも周辺を見渡す。

 

「人の話し声はするから無人島って訳じゃなさそうだね」

 

「人と出会ったら握手でも出来たら情報は確保出来ると思う」

 

陸王が耳を澄ませ、少し先の場所に賑やかな話し声を聞き取り

角乃が指輪に触れつつもそう話せば

 

《情報収集において二人はとんでもない位頼れるね……》

 

付近の探査を済ませる前に街の特定を済まされたロマンがそう苦笑する。

正直言ってこの二人がいれば大体なんとかなるのでは?と思ったりもしたが

まあ言わぬが花だと言葉を飲み込んだ。

何より自分達……管制室だからこそ分かった事もある。

 

《観測精度が上がって分かった事が一つ、この海域は海流も風も無茶苦茶でジャングルが有ったり温暖な海域があったり……極め付けは大陸らしき物が見当たらないんだ》

 

大陸が見当たらない。

それほど大規模な異常となるとやはり聖杯絡み、此処でもやる事は変わらないらしい。

となるとジルのような人物がこの時代にも居る事になるが……

 

「マシュ、この時代の有名人って誰か居るか?」

 

「はい!大航海時代におけるフランシス・ドレイクでは無いかと!」

 

いつも通り藤丸がマシュに尋ねれば、マシュが即座に返答をする。

人類史で最も早く、生きたまま世界一周を成し遂げた航海者

数多の戦績を刻んだ海賊として付けられた二つ名は海の悪魔(エル・ドラコ)

 

「その人が聖杯を持ってると話が早いんだけどねえ」

 

まぁローマで時代の中心人物であったネロに聖杯が渡って無かった事も考えるとそんな単純じゃないか、と話を聞いていた陸王が肩をすくめ

藤丸達は町へと降り立った。

小さな漁村とも言える町を見渡すと……明らかに海賊にしか見えない男達が酒を片手に銃をぶっ放し、殴り合ったりの大騒ぎを起こしていた。

 

「…………物騒すぎるだろ」

 

「しかもアレ見て」

 

藤丸がむせかえるような酒の匂いに顔を顰めれば、角乃が中心部にある酒場を指差す。

酒場には"テガソードの里"と書かれていた。

テガソードの里、こんなにも分かりやすい印が他にあるだろうか

 

「……ユニバース戦士確定って言った所かなあ」

 

陸王がまさかね、と一瞬思い浮かんだ男の顔を振り払ってそう呟けば

テガソードを構えて背後を振り向きつつ、男へと尋ねる。

 

「何か用かな?

僕は顔も良いけど耳も良いんだよね」

 

涼やかな緑髪の青年はやれやれと両手を上げつつ

 

「構える必要はないよ、僕は敵じゃないからね。

因みにアーチャーだ」

 

サーヴァントのクラス名を告げつつ、青年はそう穏やかに笑って見せる。

尚も警戒を続けている藤丸達を見つつも青年は爽やかな雰囲気を崩さずに

 

「人探しだろう?

この辺りを仕切ってる人間に合わせてあげるよ、着いてきて」

 

と言って歩き出してしまう。

藤丸達は数秒迷ったが、特に行く場所も無いので警戒はしつつも着いて行く事にした。

 

「じゃ、少し待っててよ」

 

テガソードの里へと青年は入っていけば、柄の悪い海賊達がニヤニヤと笑いつつも見せ物を見るような目で藤丸達を見る。

角乃が視線に対して嫌そうにしつつも、酒場の外に居た店員にさりげなく触れれば

 

「……店長は留守みたい、その間に海賊達が来たんだって」

 

と藤丸達に耳打ちをする。

テガソードの里を経営しているとなれば先ずスーパー戦隊の力はあるだろうし、海賊達を薙ぎ倒せそうな物だと思っていたがどうやらそもそも居ないらしい。

成る程な、と藤丸は納得しつつ……酒場の入り口から吹き飛ばされた男を避ける。

海賊達が慌てて逃げ去れば、クラシックな二丁拳銃を持ち、顔に大きな傷のある女海賊が酒を片手に入り口から悠々と現れる。

 

「ったく……危ないからって止めるからさね

危ないかどうかはアタシが決めるよ!」

 

どうやら吹っ飛ばされたのは仲間の一人だったらしい。

藤丸達は女海賊の右手に輝く……銀色のテガソードを見れば陸王と角乃が構えを取る。

 

「随分とキテレツなナリしてるじゃないのさ」

 

ふぅん、と見定めるように藤丸達を見る女海賊と臨戦体勢の陸王と角乃を見て、慌ててマシュが口を開く。

 

「わ、わたし達はカルデアと言う機関の者です!」

 

一先ず敵意が無い事を示そうとマシュが自身の所属を口にすれば、女海賊は首を傾げ

 

「カルデアぁ?星見屋が何の用だい?」

 

と言って見せる。

カルデアの起源を知っている……いいや、そもそも未知の特異点において島一つを取り仕切ってる時点で只者では無いか、とロマンは考え

 

《4人とも、慎重に交渉して》

 

と警告をする。

陸王と角乃は以前警戒を解かない……と言うか交渉が決裂する事前提で武器を構えているので、引き続きマシュが口を開く。

 

「ミズ・キャプテン。

今の状況はご存知でしょうか?」

 

「勿論、こんな海は見た事が無い……何ともおかしいね」

 

どうやら状況は把握しているらしい、それならば──とマシュは考え

 

「わたし達はその状況を修正するためにやってきました

協力をお願いできないでしょうか?」

 

単刀直入に現状を伝え、その上で協力を頼み込む。

女海賊は酒を一口飲めばただ一言

 

「ヤだね」

 

とキッパリと言い切る。

マシュはその言葉に驚愕しつつも

 

「な、何故ですか!?船長(キャプテン)もこの状況はおかしいと!」

 

と言い募る。

異常さを理解してて何故修復しないのか、マシュは本気で理解出来なかった。

しかし女海賊は酒を一息に飲み干せば

 

「ああ、確かにおかしい……()()()()()()()!」

 

マシュが絶句し、藤丸がテガソードを構え、陸王と角乃が分かっていたように指輪を嵌める。

女海賊は愉快そうにしつつ尚も言う。

 

「この海はおかしい!そして誰もこんな海は見た事がない!

だったらアタシ達が最初にこの海全てを奪い尽くす!

それが海賊ってもんさ!!

そうだろ野朗ども!」

 

腕を掲げれば、乱闘をしていた海賊さえも手を止めて高らかに腕を突き上げる。

その通りだと、姉さん最高!とキッパリ女海賊を賛辞する声が、熱狂が辺りを包みこむ。

 

「この海を直さねえと世界が滅ぶんだよ、信じらねえかもしれねえけど話をもうちょっと……」

 

頭を掻きつつぶっきらぼうに藤丸が尋ねれば、女海賊は空となった杯を投げ捨て

 

「うるさいねぇ」

 

自らの背後に大砲を出現させれば、即座に発射させる。

 

「は?」

 

「「エンゲージ!」」

 

辺りが煙に包まれる程の爆発が巻き上がり、床を破壊する。

女海賊は頭を掻けば

 

「海賊相手に世界がどうの話してどうすんのさ」

 

やれやれと呆れたようにしつつも、煙が晴れた光景

 

【ゴジュウレオン!】【ゴジュウユニコーン!】

 

青き鎧と黒き鎧を纏った二人が砲撃を塞いだのを見て、頑丈じゃ無いかと笑って見せる。

 

「お前もサーヴァントかよ!」

 

「失礼な、足がちゃんとあるだろ?人を幽霊扱いするんじゃないよ」

 

いきなり砲撃された事により荒っぽい口調で藤丸が叫べば、心外と言わんばかりに女海賊は足を叩きつつ否定する。

 

「アタシはちゃんと生きてるし、フランシス・ドレイクって名前もあるさ」

 

「……えぇぇぇぇ!?」

 

事前に調べていた情報や絵だと男だったと言うのに、眼前の女海賊がドレイクの名を名乗ればマシュは思わず驚愕してしまう。

 

「ネロの時もそうだったでしょ!良いから構え──」

 

カルデアに来た時に改めてネロの事を調べ、男であると記された事を見て

あの男装って本気で言ってたんだ……と数日ほど驚かされた角乃がテガソードを構えれば

 

「やっちまいな、アーチャー」

 

「アイ・キャプテン」

 

先程藤丸達を案内した青年が角乃の背後に現れれば、即座に杖を振るう。

咄嗟に陸王が間に割り込むが、それでも尚二人まとめて吹き飛ばされてしまう。

 

「……正直予想は出来てたよ、君の声は本当の事と嘘を半々に織り交ぜてる声だったからね」

 

「心外だなあ、僕は敵じゃないのは本当だってのに

でもしょうがない、僕は彼女の船員(クルー)だからね」

 

はは、と最初に出会った時と変わらない笑みを浮かべるアーチャー。

 

「大丈夫、殺すつもりはないよ」

 

キャプテンはどうか知らないけど、と付け足しつつもドレイクの側へと立つアーチャー。

陸王と角乃もまた藤丸達の前へと戻りつつ、ロマンより通信が入る。

人間だと言うのに無尽蔵の魔力を備えている以上……答えは一つしかない。

 

《フランシス・ドレイクは聖杯を持っている!気を付けて!》

 

「聖杯?アーチャーが言ってたアタシのお宝かい?」

 

ドレイクの胸元が黄金の光に溢れ、ちらりと聖杯の姿が目に入る。

 

「何だい、つまりはアンタらもお宝狙い?

良いねいいねぇ!話が早くなって来たじゃないか!!」

 

聖杯の所有者……即ち特異点の元凶と言う事。

やるしかない、と藤丸は指輪を嵌め、マシュもまた盾を構える。

 

【ゴジュウウルフ!】

 

人間だからと言って侮れはしない、それは人間でありながらサーヴァントと戦えた自分達が証明している。

辺りの海賊が武器を抜き放ち、ドレイクもまたテガソードにセンタイリングを嵌める。

 

「お、良いね。それなりに覚悟は決まったみたいだ。

──エンゲージ!」

 

【センタイリング!】

 

手を鳴らしつつもドレイクは笑う。

此処から先はいつも通りの行いだ

 

「さあ殺し合おう、奪い合おう!

都合良く弾も砲弾もわんさか出てくることだ!

始めようじゃないか──」

 

宇宙海賊のシンボルが空へと飛び出し、二つのXがドレイクの身体を赤き海賊姿へと乗り換える。

XとVのマークがドレイクの頭へと宿れば、額の銀色の海賊としての証が光を反射して輝いた。

 

【ゴーカイジャー!】

 

「海賊だらけのこの海で、勝つも負けるも……」

 

背後に再び無数の大砲を出現させつつ

剣であるゴーカイサーベルを右手に、銃であるゴーカイガンを左手に持てば

 

「派手に行こうじゃないか!」

 

「アオーン!!」

 

ゴーカイガンを回し、銃撃と砲撃を同時に行えば

ゴジュウウルフ達もまた、ゴーカイレッドへと向けて走り出した。




一番予想しやすかったユニバース戦士かもしれません
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