「負けた負けたー!!
持って行きな、
夜の酒場、テガソードの里にて。
酒により顔を赤くしつつ、上機嫌でドレイクは自らの胸元を広げて聖杯を出現させて見せる。
何となく気まずいのと一応年相応な藤丸が若干顔を赤くしつつ顔を逸らし
陸王は笑いながら180度身体の向きを変え
竜儀はやれやれと溜め息を吐きつつ身体ごと顔を逸らした。
「えと……良いんですか?」
藤丸を若干ジト目で見つつもマシュがそう尋ねれば、聖杯をジョッキに変え、そのジャッキで酒を飲みつつドレイクは頷いて見せる。
「命の代わりに差し出すモノとしちゃ安いくらいさ!」
ドン、と酒を飲み干してジョッキ型の聖杯を机へと置けば
マシュはそれを受け取り、盾へと収める。
呆気なかったな、と藤丸が思いつつ周囲を見渡し──
暫く待っても、何も起こる事は無かった。
「あれ、特異点って聖杯が回収された時点で修正されるんじゃ無かった?」
角乃がしれっと料理を摘みつつ首を傾げれば
アーチャーがひょいと聖杯ジョッキを手に取り
「これは君達の探してる聖杯じゃないからね、当然だと思うよ」
とはっきりと言って見せる。
探偵である角乃はふむふむ、と数度頷けば
「じゃあ聖杯は二つあった……って事?」
と呟く。
その呟きにアーチャーははっきりと頷いて見せれば
「僕はマスターが居ない逸れサーヴァントだからね、僕を呼んだ聖杯が何処かにある筈さ」
陸王が声から、角乃がアーチャーに触れる事で心から、それぞれ嘘を付いてない事を理解すれば
「じゃあ取り敢えずもう一つの聖杯探索が目標って訳だな」
その辺の机に置かれていた魚を食べつつもそう言う。
ドレイクはその話を聞けば、藤丸の横へと座りがっちりと肩を組めば
「話は分かった!アタシ達も着いて行くよ!」
と満面の笑みで言う。
マシュに退かされつつも何故協力するのか理由を尋ねられれば
「元々明日にでも出航予定だったし良いんだよ、海賊がいつまでも陸にいちゃ締まりが無いからね」
と笑いながらアーチャーから聖杯ジョッキをぶんどり、新しく満たされた酒を飲む。
「だ、だったら何故戦闘を!?」
無茶苦茶とも言える言動に、マシュが動揺しつつ尋ねれば
ドレイクは相変わらずの豪快な笑みを見せつつ
「面白そうだったから、それだけさ!」
と答え
既に仲間になるのが決まったかのように、藤丸とマシュを両腕で囲えばそのまま船員と共に何度目かも分からない乾杯の音頭を取った。
「一応言うが、私も着いて行くぞ。
テガソード様からの使命故にな!」
「有難う、正直言って嬉しいよ」
やれやれ、と新しい料理や酒を出しつつ竜儀が話せば
陸王がジュースを飲みつつもそう言って笑って見せた。
「……此処の海賊って無茶苦茶だね」
角乃がドレイクが聖杯を持っている経緯、世界を救った結果元々あった聖杯に選ばれた経緯を周辺の海賊から読み取れば、胃もたれしたようにお酒を一口だけ飲んだ。
「オラオラ飲みな飲みなぁ!」
「やめろー!未成年だぞ俺は!!」
「せんぱーい!!」
因みに宴は二日程続き
藤丸含む全員が文字通り酒を浴びるほど食らう事になったとさ。