「…………陸王、角乃、どんだけ飲まされたか覚えてるか?」
「僕はなるべく歌って誤魔化したけど……割と飲まされたなあ」
「探偵として飲むより飲ませるスキルは必須よ」
未成年だろうがお構いなしに酒を飲ませて来る海賊達。
藤丸は顔を青く染め、マシュに背中をさすられており
陸王は少しだけ顔を青くしつつも笑い
角乃は平然としていた、この辺りは流石探偵と言った所だろうか。
「情けないねえ、初めて酒を飲んだガキじゃあるまいし」
二日間たっぷりと酒を飲んだドレイクがグロッキー状態の藤丸を見て笑えば
「そろそろ出航するから早く酔いを覚ましな」
と聖杯ジョッキを取り出し、投げ渡しておく。
藤丸はジョッキから満たされる水を飲み、漸く一息を吐けば
「あてもないのに何処へ……?」
とマシュが首を傾げる。
するとアーチャーと会話をしていた竜儀が此方へと歩いき、懐から一つの本を取り出して見せる。
「奴と戦闘をしながら島を一周したんだが、その際に不自然な船を見つけてな。
見に行けば此処とは別の島への海図が載っていた」
「あの男は聖杯の所有者のサーヴァント、
で、勝てないと分かれば消えて行く。これがどう言う意味か分かるんじゃないかな、顔の見えない魔術師君?」
ドレイクが難しい話であることを察して船に向けて歩き出し、陸王がそれを追う。
ロマンは画面を表示してないのにも関わらず此方を見ているアーチャーを真顔で見れば
《あれは空間転移……一種の瞬間移動だ。
魔法の域に近い魔力を消費しないと先ず行使は出来ない……となると、聖杯が魔力源である事は先ず間違い無いと思うよ》
ほむ、とマシュはその言葉に頷くが
聖杯の所有者……2つの特異点に倣えば、スーパー戦隊の力も持っているであろうサーヴァントについて知っているかアーチャーへと尋ねる。
しかしアーチャーは肩をすくめて笑い、知らない事を示す。
「けれど
"鉤爪の男"だそうだ」
ドレイクが何故か苛立ちを覚えて首を傾げるが、アーチャーは気にせずに杖を携えて船へと歩き出す。
当面の目標は鉤爪の男の捜査、その為に海図が示す島へと向かう事は決まった。
藤丸は水を飲み干し、ドレイクに聖杯ジョッキを投げ渡しつつ何とか立ち上がる。
陸王が藤丸を肩で支えようとすれば──
「男っ手がっ足りな〜い♪」
「具体的に言うと♪水夫がっ足りな〜い♪」
ドレイクと船員が両脇から二人を抑えれば、そのまま担ぎ上げ
「野郎ども!水夫見習いが増えたよ!しっかりしごいてやりなー!」
ハイホーハイホー!とそのまま船へと連行されて行ってしまう。
少し離れた場所を見れば、竜儀が嫌そうな顔をしつつも船員達と共に船へと連れて行かれるのが見えた。
「ハイクラスでもラグジュアリーでもなーい!!」
更に遠くで角乃まで船に担ぎ込まれて行くのを見れば、マシュは咄嗟に藤丸救助へと向かおうとするが、アーチャーに止められてしまう。
「人間だろうがサーヴァントだろうが、この船に乗る以上アタシの命令は絶対だよ!」
ドレイクが誇るように腕で指し示すは全長37メートル弱、船首と船尾に4門ずつの砲を持つ他に、両側舷にも14の砲を搭載したガレオン船。
その船の名を
「これがこの海でのアンタ達の新しい家!!」
「アタシ達の!
フランシス・ドレイク伝説の船にマシュが驚きの表情を見せればドレイクはニヤリと笑い
「見たね?気持ちアガったね?
じゃあ……働こうか♪」
「え?」
気が付けばとんでもない汚部屋となっている船室へとマシュと角乃は入れられていた。
「ちょっと!!私達はこんな事の為に来たんじゃ──」
自分の好きな物とは真逆そのもののような部屋を見せられ、思わず角乃は叫ぶが
「関係ねぇって言ったろ?
新入りは下働き!それがこの船でのルール!」
と笑って一喝してしまう。
この場に居ないメンバーも居るが、藤丸も本来は掃除の予定だったが鼻が良すぎて掃除が出来なかった為別の雑用をやらされる事となり
陸王は耳を活かして異音の探査を、竜儀は怪力を生かした物の運搬をやらされていたりする。
マシュが何とか気を引き締めて洗濯物の山……藤丸が掃除以前に吐いた理由となった物へと挑まんとするが
船が急に動き、洗濯物の津波に飲まれれば
「……無理ですドクター!強制レイシフトを!!」
と全力で弱音を叫び、角乃は現実逃避気味に何かこの汚物を一層出来ないセンタイリングを探している光景を見て
《が、頑張るんだマシュー!!》
ロマンは外部から応援する事しか出来なかった。