「巨大魚だー!!」
「突っ込まれたら穴開くぞ!」
「姉御は!?」「酔って寝てます!」
「アーチャーは!?」「潮風がベタついて嫌だと!」
今日も今日とて海賊船はとても賑やか。
前方に見えるは船の半分ほどのサイズの巨大な魚。
「じゃあ新入り5人組はどうしたぁ!」
「それが──」
アイドルは潮風対策の自らのケア中、探偵はストレス過多によりイマジナリー妹にご飯を作ると言う名目の元調理場に引き篭もり中、信者は探偵の料理監督により出撃不可。
「仕方ねえな、俺が──」
揃いも揃って何やってんだ彼奴等、特に角乃……と思いつつ藤丸がテガソード片手に魚へと向かい合い
「マシュ・キリエライト──吶喊します!!」
それよりも先に盾を持ってマシュが魚へと跳躍
脳天へと盾を直撃させる事で、一発でKOさせた。
「……かっけぇ〜」
凄く凛々しい後ろ姿……魚に対してストレスをぶつけてる姿を見て、藤丸は軽く笑いつつ呟いた。
船員達は大盛り上がりで早速魚の回収を始めていた。
実は魚を取れる機会は海だと中々無いので、かなりめでたいらしい。
「美味え……」
「ですね!」
巨大魚のソテーを美味しく二人で食べつつ藤丸は舌を打つ。
海の匂いには大分慣れたし、慣れれば案外良い匂いである。
「どう?美味しく出来たでしょ!」
「全く……食材を無駄に贅沢に使おうとするな、此処は海上だぞ」
「此処でハイクラスアンドラグジュアリー発揮しないとやってらんないわよ!
ああ……緒乙が此処に居なくて良かったけど辛い……」
エプロン姿の角乃と竜儀が姿を表し、竜儀が肩をすくめれば角乃がそう叫ぶ。
ハイクラスアンドラグジュアリーを心情とする角乃には、やはり海賊生活は割と答えたらしい。
今はまだ正常を保っているが、マシュを緒乙に見立てて可愛がってた時は海賊にも大分引かれてた物だ。
角乃曰く「純粋さが似てる」らしいが……藤丸立香には分からなかった。
厨房の仕事から少しだけ様子を見に来たらしく、暫くやいやいと話していたが
「何をサボってるでちか?
まだまだお仕事は終わってまちぇん!」
「料理長!さっさと行くぞ角乃!」
「なんかその口調逆らえなくなるからやめて〜……」
海賊船に居るにしてはとても珍しい赤い髪の少女……船員曰く"厨房の閻魔大王"が背後から声を掛ければ
竜儀が慌てて角乃を引き摺っていき
角乃は手を振りつつ大人しく連行されていった。
《いやぁ〜、スーパー戦隊もたじろぐ活力と未知への好奇心!
これぞ海賊って感じやなぁ!》
「巡、詳しいのか?」
笑いつつ通信を入れてきた巡に、藤丸が海を見つつ尋ねる。
《海賊戦隊ゴーカイジャーを調べる内にな、
……せや!丁度ドレイクが変身しとるんやし、かるーく解説だけしとこか》
冒険とロマンを求めて宇宙の大海原を往く若者たちがいた。
宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、海賊の汚名を誇りとして名乗る豪快な奴ら
その名は……!
海賊戦隊ゴーカイジャー、35番目のスーパー戦隊にして
ブンブンジャーを含むスーパー戦隊の大いなる力を扱う偉大な宇宙海賊。
《因みにレジェンド戦隊の力を扱えるのはゴーカイジャー、ゼンカイジャー、ドンブラザーズ、そしてゴジュウジャーやな
一部例外があるっちゃあるが……まあ気にしなくてええで!》
他の色に姿を変えたのは、全ての戦隊の力を扱えるゴーカイジャーの力が由来だったのか、と藤丸は納得したように頷けば
《ならついでにフランシス・ドレイクについても話しておこうか!》
ダ・ヴィンチちゃんが巡の通信画面へと割り込めば、そのままドレイクの解説を始める。
無敵艦隊を打ち破った星の開拓者、大航海時代を切り拓いた女傑。
彼女が宇宙海賊の力を手にするのも、納得が行く。
「腹減ったー!」
「……のんべぇだろアレ」
まあ本人が腹が減ったからなんて理由で目覚め、竜儀の料理を食べているのを見るととても星の開拓者と名付けられるような偉大さは見えないのだが。
《因みにこの時代の香辛料である胡椒は黄金にも勝る価値を持っていてね、転送した胡椒瓶を見せてごらん?》
黄金以上ぉ?と藤丸は揶揄われてるんじゃねえだろうな、と思いつつも
マシュの盾から胡椒瓶を受け取り、モグモグと干し肉を食べてるドレイクの前に置けば
「マジでぇぇ!?!?」
ドレイクはたっぷり数秒凝視した後、椅子から立ち上がり損ねてそのままぶっ倒れた。
聖杯があるなら出せるだろ、とも思ったが
まあそれはそれとして貴重なんだろう……と偉大さが見えない船長を見つつ藤丸が息を吐けば
「皆んなー!目的地の島見えてきたよー!」
一旦の旅の終わりを告げる陸王の声が船へと響き渡るのであった
料理長は見た目だけ女将さんです、ストーリーにはたぶんもう出ません