「ヒュウ♪結構大きな島だねぇ♪」
特異点ってのはやっぱ面白いね、と島へと降り立ったドレイクは笑い
藤丸、マシュ、陸王、竜儀、角乃も各々島へと降り立てば辺りを見渡す。
前に滞在した島よりも大きい島であり、森もある事から隅々まで見渡す事は叶わないが、それでも大きさくらいなら分かるものだ。
「特異点ってのはやっぱり面白いねえ、たった数日で空気の味が違う陸に着いたんだからさ」
「あ〜、山に行くと空気が美味しい!みたいな?」
ドレイクが大きく息を吸い込めば、角乃も同じように息を吸う。
しかして先程の島と特に変わった味もしないな〜、と少し首を傾げれば
《気温や海流が違えば、揮発する物質の種類や量も変わる。
空気成分には僅かな違いしか出ないだろうが……違いが分かるのは流石ドレイクと言った所かn──》
ダ・ヴィンチちゃんが先程の島とは僅かに違う空気物質を見つつ話せば、突如として雑音が鳴り響き通信が切断されてしまう。
そして地を揺らす大きな衝撃が響き、各々が咄嗟に戦闘体勢に入ると同時、
海賊船からの困惑の声を陸王は聞き取っていた。
「ダ・ヴィンチちゃん、ドクター、プロフェッサー、応答を!」
マシュが何度か通信を試みるも、カルデアに繋がる様子はない。
どうやら通信が切断された──と理解すると同時に船からアーチャーが跳躍し、藤丸達の前へと降り立つ。
「やあキャプテン、困った事になったよ」
アーチャーが言うには船が突如として動かなくなってしまった、らしい。
船自体に異常は無いがガッチリと固められたようになってしまった。恐らく魔術の影響だろうと語れば
「……陸王、角乃、アーチャーは船を守りな。
それ以外の面子で島を歩いて手掛かりを探すよ」
とドレイクは3人を指差し、そのまま島の奥地へと藤丸達を連れて歩き出す。
アーチャーはドレイクを見送れば、二人に向けて微笑み掛ける。
「てっきり着いて行くと思ったんだけどね」
二人に挟まれるように立っていたアーチャーは、それぞれにテガソードを突き付けられて尚笑みを崩さない。
「アンタ最初の時からずっと私に触れられないようにしてるよね、つか真名は?」
「敵を追う時には先ず味方から疑わないとだしね?」
二人が自らの指輪を構えつつ、アーチャーに詰問をする。
アーチャーは益々笑みを深め──
「……驚きました、
一方愉快な愉快な4人組は雑談を交えつつも森の奥へと歩き続ける。
話題はアーチャーへと移っており、アーチャーの真名がふと気になってマシュが尋ねたのだがまさかの解答に思わず目を丸くする。
「知る必要あるかい?」
とドレイクが首を傾げつつ先頭を歩くが
「あるに決まってるだろう、名前さえ知らない男が船員で良いのか?」
竜儀が変わった人物を見る目でドレイクを見つつも反論をするが、その反論を一蹴するようにドレイクは笑いつつも答える
「本名も出自も分からない奴なんてアタシの船にはごまんといるからね、サーヴァントなんてモンがいる海で味方だって奴が居たら飛びつくしかないだろう?」
色々言いたい事はあるが、言っても恐らく変わらんだろうと竜儀は肩をすくめた。
「しかも彼奴、楽器弾けるしね」
と付け足すドレイクを見て、音楽がどーしたと言わんばかりの目で見る藤丸に気付けば
「良い音楽が流れる海は最高だろう?藤丸は海に出た事は?」
「ねぇ」
「なら竜儀は?」
「無い、テガソード様の布教に忙しかった故にな」
「んじゃマシュは?」
藤丸が此奴常識人のようでテガソード関連の時だけおかしくなってんだよな……と竜儀を見ていたが、ドレイクはそれを気にせずマシュに尋ねる。
マシュは軽く微笑みつつも
「ありません、外の世界に出たことが無かったもので」
「……何?」
外の世界に出た事が無い、と言う言葉に竜儀が眉を顰めたが、流石に今尋ねるのは違うかと口を閉ざし
「じゃあ初めて海を見たんだろ?どうだい?」
とドレイクは尋ねるも、マシュは困ったように笑い
「船の生活で手一杯だったので……すっかり忘れていました」
と答える。
藤丸と竜儀はマシュを見つつも声を掛けず
ドレイクはふーん、と数秒何かを考えれば
「なら折角だ、アンタが見る海はアタシが見せてやるよ
きっととびきり綺麗な海になる、約束さ」
ドレイクはそう言って快活に笑ってみせる。
「は、はい!」
マシュがそう頷くのを見つつ、藤丸はなんとなくドレイクが船員に慕われている理由を理解した。
そして更に奥へと歩けば巨大な穴を見つけ、中を覗き込めば
人工的な地下迷宮が姿を現すのであった