つまり設定は激薄だぜ!
目が覚めたら銃声が響く路地裏にいた
布団代わりにしていたであろう段ボールを押し除け起き上がる
こんな環境だからか体が少し軋む
「どこココ」
女子にしては低め、それでも男子より高い声が響く
誰の声だ?
銃声が聞こえてるし、兵士が近くに居るのかもしれない
両手を上げ、戦闘の意思がないことを示しながら声を上げる
「俺はなんも武器持ってま...」
その声は自身が言おうとしたことを言う
「...あー、あー」
「あいうえお、かきくけこ」
「情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さそして何よりもォ——速さが足りない!」
うん、これ俺の声だな
最後ので確信したわ
手も薄汚れてるとはいえ細くて色白
どう考えても女性の体だ
一体何が起きてんだこりゃあ
最近流行りの転生とか言うやつか?
にしては境遇が...悲惨すぎませんか
路地裏段ボールハウススタートの転生ってマジかよ
とりあえず所持品確認
ポケットになんか入ってるな...
コルトガバメント?この体兵士だったの?
いや軍だったらもう古いか...自衛用?
銃社会なのかココ?
今俺が着てる服はいわゆる学生服に見えるんだけど
破けてるし色落ちしてるし穴空いてるけど
銃の細かなチェック
弾倉には6発、薬室に1発
弾は...実弾だなこりゃあ
セーフティを掛けてしまっておこう
他には何か...
自身の身体確認をしていると不意に眩暈がした
足元がふらつき、壁にもたれ掛かるように座り込む
何だ...?突然何が...
理由は一瞬で理解した
腹が減ってる
所持品に財布はなかったし、硬貨を別で持ってるわけでもなかった
まともな食料食えてなかったんだ
「誰か...飯を...」
誰も通らない路地裏
弱々しいその声は大通りに届くことはなく、意識が薄れていく
「クソが...転生して即死亡とか...ふざけんじゃねぇぞ...」
それが最後の言葉だった
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真っ白の天井が最初に目に入った
「...今度は何だ?」
声は変わっておらず、意識を失う前と同じ体であることがわかる
体に力が入らず、うまく動けない
目線を動かして周囲を確認する
自身の体に白い布がかけられており、左腕があると思われる場所からはチューブが伸びている
チューブの先には点滴があり、ここがおそらく病院で、助かったことが理解できた
「...ナースコールとかねぇのか?」
こう言うのって手に握らせておくとかするらしいけど何も握ってる感覚がしない
「...気がつきましたか?」
左側の壁に穴が空く...と思ったがあれば扉らしい
溝があまりにもなくて気づかなかったが
入って来たのは黒いスーツを着た人
訂正、頭部が真っ黒であり、人の顔のパーツのように空いた穴は白く発光している異形だった
「色々聞きてぇことはあるが...まずは助けてくれてありがとう。」
「礼が言えるほど良くなったようで。かなり衰弱していましたが、何があったのですか?」
異形だけど全然普通に会話できるな...
「俺にも分からん。記憶喪失なのかココについて何もかもわからない。」
咄嗟の嘘としては上々かな
とにかく情報が欲しい
「...今はそれに乗りましょうか。記憶喪失ですか...どこまで忘れてしまったのですか?」
「自身の名前とかも覚えていない。」
「なるほど、ではココの常識からお教えしましょう。」
「ここは学園都市キヴォトス、数千の学園によって構成される巨大都市です。」
「ここでは銃の携帯が必須です。弾も当然実弾です。」
ほうほう学園都市、つまりこの体もどこかの学校の生徒ってことか?
そして実弾と銃の携帯が必須...とんでもねぇ治安だな
「あなたが居た場所はブラックマーケット、様々な理由で学園を去った生徒やならず者が集まる...いわゆるスラムに近いところです。」
悲報、学園都市なのに俺生徒じゃない説が出てくる
「それとこのキヴォトスの運営は生徒が行っており、皆女子生徒、大人はロボットや獣人などです。」
?????
ちょっと何言ってるかよくわからない
つまり...大人に人間は居ないし子供はみんな女性ってこと?
「なんだそれ。」
「本当に常識すら忘れているのですね...情報源としては期待できませんね。」
情報源?
...そういやこいつは何だ?大人なんだろうけどなんか雰囲気が医者っぽくないんだよな
「お前はなんなんだ?」
「私ですか?」
その大人はすこし考える動作をしたのちに答えた
「私は...黒服と呼ばれています。所属はゲマトリアです。」
呼ばれています、つまり本名ではない
名前を教える気は無いのか?
「黒服、ゲマトリアって何だ?」
「ゲマトリアは、観察者であり、探求者であり、研究者です。」
「何の?」
「クックックッ、興味があるようですね。」
「そうですね...強いて言うなら『崇高』でしょうか。」
『崇高』...?
話の脈絡的に何かの名前だな
「その『崇高』ってのは「これ以上は少々話しかねますね。」...そうか。」
質問会は終わり
かなり教えてもらえたな、見た目の割にいい奴なのかな
「さて、貴方には手伝ってもらいたいことがあるのです。」
「手伝って欲しいこと?」
「我々では少々...扱えないものを扱い、データを取って欲しいのです。」
「もちろん、今すぐにとは言いません。まだ動けないでしょうからね。」
「まあ治療費と情報費代わりとでも思ってください。」
...前言撤回、アイツは大人だ
恩を売り、利益を搾取する
ビジネスマンみたいな奴だ
俺は嫌いじゃないが...距離感をミスったらいけないタイプの奴だな
それでデータを取るって言ってたよな
それ実験をするって言ってるようなもんだろ
とりま今は休むとしますか
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1日経ったらかなり動けるようになった
まあ元が空腹だし、栄養補給すれば治るよな
「で、何すればいいん?」
「ついて来てください。」
黒服に連れられ病室を出る
格好は白一色の病衣だ
...気にしたら負けな気がする
薄々勘づいていたがここは病院じゃない
おそらく黒服の実験施設とかそう言う所だろう
「着きました。この部屋のラックZの1を持ってさらに奥の部屋に行ってください。」
「ラックZの1ね、分かった。」
その部屋には色々なものがあった
俺にはそれらが何なのかはわからないが...とりあえずZにナンバリングされているところに向かった
「Z、Z、Z...ここか。」
ラックZの1、そこに入っていたのはコードが伸びているヘルメットのような物と、手袋の手の甲の所に金属製の筒を取り付けたような物
とりあえずそれを持って入り口の扉とは逆の方にある扉に入る
『ええ、それであっています。』
「コレどうやって使えば良いの?」
『まずZ1-Aを被って...言い方を変えましょう。』
『ヘッドギアと手袋を最初につけてください。』
型番で言おうとしていたみたいだがこっちがわかりやすいように言い換えてくれた
「付けたぞ。」
金属っぽい見た目だけどそんな重くないな
『では、ヘッドギアから伸びているコードを手袋に差し込んでください。』
差し込む...この筒の後ろに付けれそうだな
カチッという音と共にコードが固定される
『最後に手袋を付けている方の腕を正面に構えていてください。』
なんかちょうど良い所に訓練場とかにある人形の的があるからそれに向けておく
頭上から何か物音がし始めたと思うと感じたことのない痛みが走る
「―――!?」
『もうしばらくそのまま構えていてください。』
体は痛くない、それより奥...例えるなら自分自身が欠けていくような感覚
ハッキリしている意識を少しずつ削られているような...
手袋の筒に黄色い光が集まっていく
『準備できました。手袋を付けている手を握り拳にし、もう片方の手でコードの途中にあるトリガーを押してください。』
痛みの中俺は指示に従い、トリガーを引く
ドガアアァァン!!
筒から放たれた光弾は的を消滅させ、実験室の壁に大きなクレーターを作り上げた
「はっ...はっ...」
疲労からか肩で息をする
んだよこれ...1発打つのにクソ体力使ったんだが?
だがその代償によるこの威力...最高か?
『...さすがは純神秘の弾丸というべき威力ですね...』
なんか黒服が言ってるけど、その神秘って奴のおかげでこの威力が出せてるんだよな?
「おい、黒服。」
『何でしょうか?』
「俺を、ゲマトリアに入れてくれないか?」
「どうせ所属してる学園もないんだ。ここでやりたいことをやらせて欲しい。」
『クックックッ...良い拾い物をしました。』
『貴方は資格を満たしていると言って良いでしょう。』
『ゲマトリアに入ることを許可します。』
それから俺のキヴォトスでの生活が始まった
代償付き高威力?最高だろjk(常識的に考えて)
あとオリ主君のビジュは黒髪ショートに紫のメッシュが右側に1本入ってて黒目、肌は色白のほっそい子、身長は160くらい