前世競走馬だけどウマ娘になってない【未完・現在作り直し中】 作:ゲッテルデメルング
「なんでやーッ、なんで本格化の時期がアイとお揃やないんやァーっ!!!」
「……」
「……」
「ウチの――ッ、ドアホーッ!!!」
「……」
「……まさかララが前世の記憶を取り戻したなんて……」
僕も驚きだ。
前世の記憶を持っていたのは僕とアイの二人だけだと思っていたから。
それに、こうして後発的に記憶を思い出すなんてことが起こるとも思っていなかったのだから。
アイと僕は前世の記憶を持ったままこの世界に産まれている。
言うなれば記憶の
それは僕とアイ両方に確認できたことだったからこそ、前世の記憶は生まれた時から持っているものだと思い込んでしまったのだ。
それゆえに、記憶を思い出すというパターンを予測できなかったのだ。
そしてその件のララ――ラッキーライラックは、河川敷の小石を思いっきり振りかぶり投げる水の石切りを行っていた。
現在のスコアは7だった。ウマ娘の腕力で遠くへは飛ぶものの、そう何度も跳ねてはくれないようだった。
「はぁっ、はぁっ……あ゛ーっ、恨むでウチの身体ぁ……――なんで1年本格化を早めてくれんかったんやぁ……」
「1年?」
「ああ、うん……お医者さんにそう言われたんよ。ウチの本格化は来年から。メイクデビューも来年からになりそうなんや」
「来年! それは良いことを聞いたわ。ララとまたレースができる日がこんなに近かったなんてね!」
「…………いや、アイのこれは本音やな。変な意味とか無いんよなあ……」
ララの耳と尻尾は垂れさがっており、見てわかる傷心具合と言ったところだ。
「アイとクラシックに出られなかったこと……か」
「せやなあ……アイとクラシックを、トリプルティアラを賭けて争うことができないのも辛いけどな……一番つらいのはウチの情けなさや」
「情けなさ?」
「そうや! ウチはアイと競いたくて競いたくてたまらんかったのに、本格化が遅れたことをほっとしているウチがいたことが情けなくてたまらんのや! あんな、惨めな……」
なるほど……。
記憶を取り戻す直前まで、ララの脳内では『同じ世代にデビューしなくてよかったと安堵しているララ』がいた。
そして記憶を取り戻し、そんな自分の存在があったことが情けなさ過ぎて――今に至る、と言うことか。
「――ごめん、アイ! ウチはアイを恐れてしもうた……アイに勝てんと思うとったウチがいた!」
「そこの謝罪は受け入れるけれど――ねえ? そう言うってことは『私に勝てる』って言ってることと同じだけど?」
「ああ、せやなぁ。――ウチは『勝つ』よ。前世と同じ羽目に二度も遭うわけあらへんからなあ」
「ふふっ、私に勝てず仕舞いだったのに言うじゃない」
「勝てずじまい? 逃げたんやろ? アイが乙女の戦場から」
「え、逃げた? 私が?」
「アイ、ジブンはこれ以上
「――なるほどね。それはあなたにも言えるんじゃないかしら、ララ? ――女々しいだけの舞台で
「へぇ……」
「ふふっ……」
これ以上話をさせてはいけない気がする。
彼女たちの背後に高く積もったとても怖い茨の花の生垣が見えるようだ。
それだけならまだいいだろうが、それが炎のようにずぞぞぞと揺れ動く様まで見える気がしてしまうのは本当に危険な状態な気がしてならない。
「まあまあ、これ以上は――!」
「……まあ、これ以上の言い争いは不毛やな」
「ええ。言葉では決着はつけられそうにないものね」
「ほっ――」
「やっぱウチらの武器は口やのうて
「ええ。2年も待つことになるのは残念だけど――期待してるわよ、ララ」
「そのまま言うてな。2年なんてあっという間やからなあ」
「そうね。それで、夏か秋か、それとも冬か――いつがいいかしら?」
「はっ――当然、夏や。長く待つのはもう御免やもんな。ウチも……アイも」
「――望むところよ。2年後、安田記念で待ち受けるわ」
「えっ???」
なんかあっという間に2年後のスケジュールが指定された!?
「宝塚記念はどうするんだ???」
「そんなのクラシックで取ればいいじゃない」
「春シニア三冠はどうするつもりなんだ???」
「クラシックとシニアをまたいでも春シニア三冠って呼べるのかしら?」
「確か新聞でそういう獲り方をしたウマ娘の記事があるてクロノはんが言うとったなあ。*2別にええんとちゃう?」
「そう? それなら何の問題もないわね!*3」
そう言っているアイの表情はイキイキしていて、背中には闘志のようなものが燃え上がっているように見える。
僕は怒涛の状況に唖然としたが――納得もした。
アイは今、前世のライバルとようやく再会できたのだ。
そしてそのライバルとの決闘を申し込まれた。アイはそれを見逃すことはしない。
アイはようやく――自身に対等なライバルを見つけたのだから。
……やれやれ。
そんな表情をするアイを止めることはできない。
「わかった。でもクラシックの前期中に中距離GⅠを2回も入れることになるから中距離用のトレー二ングを割り増ししていくからな」
「もちろんよ!」
「いい表情してるなあ。アイ」
「ふふっ、そう見えるかしら?」
「顔にそう書いてあるよ」
夕焼けよりも紅い目の輝きが、それを如実に語っているのだから。
――それにしても、宝塚かあ。
2400メートルのオークスを走る以上、距離的な問題には対応できるだろうけれども。
クラシックで走ることになる以上、シニア級のウマ娘たちの動向をチェックしておかないといけない。
来年からも忙しい日々になりそうだと覚悟を決める必要がありそうだ。
「あ、そやそや。ユグはん、ちょいとええかな?」
「どうしたんだ、ララ?」
「ウチも来年にはメイクデビューをすることになるんやし……トレーナーが必要なんよ」
「ああ、そういうことならいいけど」
「だからもしよければやけど……って、え、ええの?」
「アイが良ければだけど……アイ、良いかな?」
「別にいいわよ? 併走もトレーニングのお誘いも何度でも受けてあげるわ!」
「でも、1つ問題があってね」
僕としても、ララのトレーナーになることには何ら問題はない。
なのだが、トレセン学園のトレーナーとしての問題ならあるのだ。
「僕は新人トレーナーだから、実績が皆無なんだ。今回の阪神ジュベナイルフィリーズである程度の評価を得られたけど、それでもせめてもう一つGⅠの勝利がないと複数のウマ娘を担当できない」
「何よそれ。トレーナーって不便なのね」
「複数のウマ娘に対する管理能力を確認するための指標みたいなものだから許してほしいな」
「それなら、桜花賞まではトレーナーやないってことか……」
「それでもトレーニングを見ることはできるから」
「Dream Festは使えないのかしら?」
「「え?」」
「だから、Dream Festよ。ちょうど年末にあるんでしょ? オールスター戦なんだから、実質GⅠじゃないのかしら?」
「……なるほど。そう言われれば確かに」
スピードシンボリさんに確かめる必要性もあるだろうけど、アイの言っていることはその通りだ。
年末のDream Festにはジュニア級のオールスターが集結する……確かにGⅠと言って差し支えないスーパーレースだ。
そのレースで勝つことができれば……複数のウマ娘を担当する許諾が下りる可能性はある。
「それを勝てば、他のトレーナーたちもユグを認めるでしょうね!」
「なるほどなあ。なあアイ、こんなんで変に負ける無様晒すんはあかんからな!」
「当然でしょ! もちろん私が勝つわよ! ――ね、ユグ?」
「――ああ、もちろんだ」
アイは今絶好調のアルティメットシャイニングウマ娘だ。
この勢いをララとの共同トレーニングなどを行って保ったままDream Festに進めば勝利の可能性は極めて高いものになるのは間違いない。
それを維持するはトレーナーの役目。僕の役目。
「Dream Festまでもう残り僅かだから、一気に追い込む。アイ、頑張れ」
「おー!」
「へえ……アイがこんなに。なるほどなあ」
――アーモンドアイ、Dream Fest Stellaに出走予定。
――ラッキーライラック、新人トレーナー善財樹の担当ウマ娘になる予定。
番外編 追加するなら どれにする? ※あくまで参考程度です
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18年皐月賞
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18年日本ダービー
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18年菊花賞
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19年天皇賞春
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19年宝塚記念
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20年京都記念
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20年ドバイシーマクラシック
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20年天皇賞秋
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20年ジャパンカップ
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21年ドバイシーマクラシック
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21年宝塚記念
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21年有馬記念
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その他