前世競走馬だけどウマ娘になってない【未完・現在作り直し中】 作:ゲッテルデメルング
秋華賞が間近に迫って来たタイミングで新たに現れた三人のレジェンドウマ娘。
それぞれが伝説と言われるほどの偉業を成しており、スピードシンボリさんたちと同じように今のトレセン学園の生徒たちにも認識されているウマ娘たちだった。
初代ダブルティアラ女王でジュニアアイドルとして多くの人気を集めたウマ娘。現在では大女優として数多くの映画ドラマに出演。歌手としても大ヒットを果たしてハイセイコーと人気で並び立つ『大女優』スウヰイスー。
天皇賞秋の覇者*1にして、今は無所属のトレーナーでありながら多くの門下生を従えている上に地方中央問わず優秀なトレーナーすらをも育成・輩出している名門塾塾長『鬼女』クインナルビー。
現在までただ一人のティアラ路線出身でありながら天皇賞春を制したウマ娘にして、現在はトレーニング法・医術・リハビリ技術をURAに代わって認定する日本ウマ娘療法審査会の会長を務める『秋姫』レダ。
当時のトゥインクル・シリーズにおいて史上初のティアラ出身のウマ娘たちが大活躍した『初代
3人ともURAの業務内容を監視する運営審議会に名を連ねており、レースに関する様々な事柄を多く認識している。
私用が忙しいスピードシンボリさんとハイセイコーさんたちがいないときの代理だったり、あるいは二人が他の作業を行っていて声をかけられない場合などに対応するための追加の人員だった。
「──とは言ったもののヰの人気は低迷気味。最近ではお茶の間のドラマにすら呼ばれるのか危うい状態でな」
「ちゃんと呼ばれるし! キャロットマンからもオファーかかってるし!」
「いやなんでいるんですか」
そんなレジェンドウマ娘のスウヰイスーさんとクインナルビーさんの二人が、秋華賞当日に何故かアイの控室に顔を出していた。
「なんでって……激励だよな?」
「なんで疑問形なのナルビっちゃん。──いやあ、これを勝てばアイちゃんはトリプルティアラ! めでたいねえ」
「今までもダブルティアラなら何人かいたんだが……トリプルティアラには届かなかったからな」
「ヰの時代にはそもそも秋華賞もエリザベス女王杯もなかったしねえ」
スウヰイスーさんはそう言って何やら羨ましそうにアイを見ていた。
「──まあそんなことはどうだっていい。問題はお前が勝てるかどうかって話だ」
「勝つわよ。トレーナーが今まで私のためにトレーニングを組み立ててくれたのだもの。勝てるに決まってるわ」
「ヰッ、すごい自信。──ちなみにだけど、誰をマークしてるのかな?」
「ダブルゾーンをオークスで披露したユキノビジン。更に脚に鋭さを増したエアグルーヴ。この二人は間違いなく強いでしょ。マークはもちろんしているわ」
「それと、イクノディクタスさんにも用心を、と伝えています」
「イクノディクタス?」
「アイと同じくティアラレースに出走しているウマ娘だな。GⅠ以外の重賞でも何度も負け続けながらも挑み続けている鋼の挑戦者だ。……お前たちは知らぬ顔しているものだと思っていたが」
「そんなわけないじゃない。ちゃんと出走者は全員チェックしているわ。じゃないと影の刺客が現れるかもしれないじゃない」
「へぇ……聞いたかヰ。お前とは大違いだぞ」
「聞こえませーん」
イクノディクタスは極めて早いタイミングから領域を使っている。
しかしながら戦績は伴っていないが……特筆すべきはその安定性だ。
秋華賞に向けての調整を兼ねてとは言え過剰すぎる夏場の連続出走を成し遂げたその体力、そしてその全戦で領域を発動していた領域自体の発動しやすさはかなりのものだろう。
アイが何度も使っていて感覚がマヒするかもしれないが、実際領域を発動するためには本人に合った走りが実現できなければ意味がない。
熟練の(それこそアイのような)ウマ娘ならば領域の発動条件を多少緩められるだろうが、イクノディクタスはまだクラシック級。
なのにこの領域の発動しやすさは異質だ。
チームのみんなとの相談で出た答えは──体調。
イクノディクタスの領域は本人の身体の調子が良ければ発動するという極めて条件の緩いものだった。
しかしその緩さの代償か、領域が見せる走りの強さはそれほどではない──が、それでも安定さでは一線を画している。
マルチゾーンを用いるウマ娘が現れることになる秋華賞。
特に領域が交差するこのレースでは何が起きるか解らない。
もしかしたらの可能性は、捨てきれないだろう。
「一応の用心。受け止めておくわ、トレーナー」
「うん。……アイ、これでトリプルティアラ。かつて君がいたあの場所になる」
「そうね」
「僕は三冠を取ったことが無いからどう言おうか悩んだけれども……これだけは言えると思う」
「(トレーナー君、ひょっとして夢心地ってやつ?)」
「(このトレーナー、最初の担当がこの子だもんな……最初にこんな大物育ててたら実感も湧かなくなるわな)」
「勝てる。君なら必ず、世界中に新世界を見せられるよ」
「……そうね」
「だから、勝って来るんだ。他ならない君なら、君がアーモンドアイなら、できると信じてる」
「……ふふっ、そうねっ! 当然よ!」
そう言葉を返すアイの頬は、少しばかり赤く染まっていた。
ちょっと化粧を濃い目にしていたのかな? 今日は重くない芝だとは言え汗でグチャグチャになるかもしれないんだけど……まあ、女の子だし当然か。
尻尾は激しく揺れているから調子のよさは見て取れる。
あとはもう、アイの感覚に任せるしかないだろう。
僕は万策を尽くした。もう何をすることもできないだろう。
それでも、アイが勝つと信じてる。
アイが、勝利すると誰よりも強く観客席から思っているから。
きっと届くと思う。
そう思いたいなあ。
アイのファンは多いけど、ファンクラブ第一号は僕だから……ダメかなあ。うーん。
今やファンクラブは会員数も6桁を超えそうだし……その声援にかき消されないだろうか。
それだったらいっそのこと横断幕でも作ってくればよかったかもしれないなあ。アイのジョッキーが着てたあの勝負服のデザインを真似ればわかりやすいだろうし。
「…………届くわよ。ちゃんと」
「え、何か言った?」
「ふふっ、きっとレース中もトレーナーは休む暇なんてないだろうなってだけよ」
「そうだなあ。アイが勝つと信じることに夢中になっているだろうなあ。きっと今回は今まで以上にアイに釘付けになってると思う。反省会では碌な情報を流せないぐらいには」
「そ、そんなに???」
「そんなに。だって今日のアイ。本当に綺麗だと思ってるから」
過去の三冠・トリプルティアラの馬も(タクトちゃんも)こういう風格だったのだろうか。
これがクラシックを征するウマ娘の魅力なのだろうと感じられるような気品。
他者を置いてけぼりにできるぐらいには、美しすぎる出来栄えになっている。
その瞳は輝き、その身体は完全に整っていて、脚も万全を尽くした。もう二言は出せないぐらいには完璧だ。
そう想定していた僕の考えを、秋華賞の試走でアイは軽々と超えていた。
まさか、アレを成り立たせるとは思わなかったほどに。
アイは天才だと思い知った。
紛れもない、あのフサイチパンドラさんの娘なのだと感じ取った。
だからこそ、あのトレーニングには間違いなく意味はあったと言える。
だからこそ、今回のアイの能力も調子も、全てにおいて問題なく最強だ。
最強だからこそ、綺麗だ。
それがトリプルティアラの魅せる姿なのだろうと納得できるほどには。
「…………そんなに、なのね。そんなに思って……」
「ヰ、出るぞ」
「オッケー。これヰらがいちゃいけないやつだな。……耳が良すぎるってのも悩みの種だなあ」
「だから、アイ」
「う、うん」
「勝てるよ、秋華賞。今回も」
「──当然でしょ。私を誰だと思ってるの?」
「そりゃあもう」
努力家で、頑張りもので、超が九つ付くぐらいには最強を目指していて。
大胆不敵で不撓不屈。
過去の過ちから油断を一切しないと誓い、その思いは一切忘れていない。
僕の知る中で、一番の頑固者。
それでいて……一番の最強格。
ありとあらゆる情報を求め、それに見合った結果を見せる努力の実現者。
きっと君以上に印象に残っている
「それが君だよ。アーモンドアイ」
「──ありがと、ユグ。そんなふうに思ってくれて」
「だから信じてる。君なら勝てるって」
「何度も言わせないで──そんなの、超が九つ付くぐらいには当然なのよ! 」
その通りだろう。
だから観客席ではずっと見ているよ。
君が掴む秋の栄光、その記念すべき第一歩を。
それがトリプルティアラになるという、当然の大快挙を。
まさか出走前で1話使うとは思わんかった……
番外編 追加するなら どれにする? ※あくまで参考程度です
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18年皐月賞
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18年日本ダービー
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18年菊花賞
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19年天皇賞春
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19年宝塚記念
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20年京都記念
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20年ドバイシーマクラシック
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20年天皇賞秋
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20年ジャパンカップ
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21年ドバイシーマクラシック
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21年宝塚記念
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21年有馬記念
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その他