ラウンドワン入口前で、神園はじっくりと時計を確認しゆっくりとため息を吐いた。時計だけでは飽き足らず、スマホでも時間を確認する。
(──集合時間1時間間違えた)
同情の余地もない、完全に自業自得。
(10時から約束してたのに、なぜ僕は9時に来てしまったんだ。くっ、これも全て歌歩が悪い。家の時計を全て1時間狂わせるなんてイタズラ、いつの間にしたんだ)
多少の同情の余地はあったようだ。不味くて甘いジュースを飲ませた仕返し、ランク戦で前例のないマップ&天候を選んだことに対する八つ当たり、とんこつラーメンを一緒に食べに行かなかったことに対する八つ当たり。神園の行動が起因して起きた、三上の暴挙である。
(せめて家で腕時計を見ていれば気づけたのに。こんな時間だと喫茶店もやってないし、このまま1時間も待機しないといけないってことだよね。帰るにしては微妙な時間だしなぁ)
神園は諦め、邪魔にならない場所で熊谷を待つことに決めた。
(歌歩に電話しようかな。時間を持て余してるのは歌歩のせいでもあるわけだし、時間を潰すのくらい付き合ってくれるはず)
「あの、神園だよね?」
神園がスマホで三上の連絡先を探していると、自信なさげに声をかけられた。知り合いかと思い、神園はスマホを見るために下げていた視線を上げる。
「あ、はい──って、熊谷?」
「そうだけど....」
神園と熊谷、互いに顔を見合わせる。先に神園であることを認識していた熊谷は驚きが少なく、対して神園は熊谷がいることに驚いていた。
「なんでこんな時間に?集合時間10時だよね?」
「そうだっけ?あ、時間勘違いしてたみたい。それで、神園はどうしてこんな時間に?」
嘘である。熊谷は時間を勘違いなんてしていないし、なんなら前日に何回も約束していた時のスマホの画面を見返していた。事実は、緊張で目が覚めてしまい、いても立ってもいられなくなったからである。
「僕は」
ここで神園は気がつく。熊谷と同じ言い訳をしようにも、自身は先程正しい時間を口に出していたことに。
(歌歩のイタズラのことは本人のイメージが崩れるかもしれないし、できるだけ言わない方がいい気がする。昔話の小さな歌歩の話じゃないからね。となれば、なんて言い訳すればいいのか。いやまて、別に遅れてるわけじゃないから言い訳じゃない。この考えている間の沈黙の方がよくない気がする。なんでもいいから口にだすんだ)
「秘密、かな」
(なんでもいいけど、なんでもいいわけじゃない)
「そ、そうなんだ。なら、もういこっか」
(あれ、乗り切れたっぽい。今の返答でいいの?え、なにそれ。優しすぎる)
あまりにも適当な質問の答えに追撃されると思っていた神園と、神園に赤く染った顔を見られないよう上手く理由をつけ顔を背けた熊谷。
(秘密ってなに、どういうこと。私には言えない理由ってこと?私と待ち合わせしていて、私に言えない理由ってなに?それも、1時間早く来る理由って。え、そういうことなのかな。まって、玲助けて。心臓やばいかも)
なお、2人の格好について、神園はいつもの如くジーパンとパーカーだが、熊谷はこの日のために悩みに悩み抜いた末に購入したスカートである。
アミューズメントコーナーに、ビリヤード、ダーツ、カラオケで昼食がてらポテトやピザをつまみ、そこからスポッチャ。満喫しながらも最後にいきついた先はボウリングである。
「熊谷が遊び慣れてるってことはわかったよ」
「そんなことないよ。むしろ、神園の方が慣れてないことにびっくり。遊んでそうな顔してるのに」
「どんな顔さ、どんな。初めてなんだから、仕方ないじゃないか」
「ボウリングはやったことあるでしょ?」
「ルールは知ってる」
「なるほど、やったことはないと」
「あんまり僕を舐めないでよ。やったことがなくても、全てのピンを倒せばいいってことは知ってる。もし僕が負けたら、ジュース1本奢ってあげる」
「そう言って、既にジュース2本奢ってもらったんだけど。ビリヤードとダーツで負けたこと覚えてないの?」
「うぐっ」
ビリヤードはルールさえまともに把握して出来ておらず、熊谷にぼろ負け。ダーツは的を捉えずにぼろ負け。
「ボウリングの玉もバイパーと違って自由自在に曲がらないよ」
「だ、大丈夫。真っ直ぐ転がして倒すだけの簡単な作業のはず、だよね?」
ダーツで負けた時の神園の言い分が『バイパーならど真ん中を捉えていた』と無茶苦茶なものだった。珍しく負け惜しみを言う神園を熊谷はここぞとばかりに揶揄う。
「自信なさそうじゃん。ジュース3本目、ご馳走様ね」
「まだやってない。まだ負けてない。僕が勝つから」
(えっと、まずは名前を入力してと。負けっぱなしだと可哀想だし、手加減した方がいいかな)
「はい、神園からだよ」
「その目をかっぴらいて見ておきなよ」
(あ、思ったより簡単だ。本当に真っ直ぐ転がすだけでピンが全部倒れてくれる)
「どうだい、熊谷。これが僕の実力だ。全力で来なよ。その上で僕が勝つだろうからね」
一投目で勝ち誇っている神園を、熊谷は微笑ましく思いながら笑う。それはそれとして、熊谷も負けず嫌いである。
「今日初めてやった初心者には負けないからね!」
『ストライク!』
「え、あれ?玉が勝手にガーターに。熊谷、なんで?」
『ガーター』
「玉の持ち方が独特だからね。まっすぐ投げてるつもりでも、リリースする時にブレちゃってるんだよ。私も初めてやった時そうだったし」
『ダブル!』
(待って、今改めて熊谷が投げる姿を見てみると、これはよくないよ)
「あ、あれ、あれ、おかしい。こんなはずじゃなかった」
『ガーター』
「遠慮なく投げるね」
『ターキー!』
(熊谷が投げる度に、スカートがヒラヒラして集中できない。こういうの指摘すると気まづくなったりするんだよね。どうでもいい相手なら気にしないんだけど、熊谷はそういう訳には行かないからなぁ)
『ガーター』
「熊谷、膝元寒くない?僕のパーカーで悪いけど、かけておきなよ」
「え、うん。大丈夫、寒くないから」
(どうしていきなり?室内だから空調抜群だし、パーカー借りなくても大丈夫なのに。寒そうにしてたかな?)
(通じないか。今ので察して、パーカーを腰に巻いてくれたら良かったんだけど)
『フォース!』
「やった!なんか、すっごい調子いい!」
今まで1度も出したことの無い連続ストライク4連チャンにテンションが上がり、熊谷は無意識に神園とハイタッチしていた。神園も周りでボウリングしている人間がよくハイタッチしているのを見ていたので、とくにかわすようなことはせず受け入れる。
(さっきので気づいてもらえないとなると、どうするか)
『ガーター』
(い、今、何気なくハイタッチしちゃった...)
『6ピン!』
「そういえば熊谷、今日の服もよく似合ってるよ。スカートを履いてるなんて珍しいね」
『ガーター』
「え、あ、うん。ありがとう。あの、ネットで調べてていいなって思って買ったの」
(な、なんでこのタイミングで!嬉しい、帰ったら玲に話──したらダメだね。茜なら聞いてくれるかな)
(履きなれてないね。いや、きっとスパッツとか履いてるんだろうけど、どちらにしても僕の心臓に悪い。どうしたら気づいてもらえるだろうか)
『4ピン!』
「そうなんだ、なら今日が初お披露目だったりするのかな?どうせなら、僕もちゃんとした服装でくればよかったなぁ」
「いや、全然!」
「そ、そう。そんな力強く否定しなくても。こう見えて僕、ダサTシャツ以外はなんでも似合うんだけど」
神園が伝えたいことは何も熊谷には伝わらず、純粋に褒められたことが嬉しい熊谷はドキドキである。勇気を出してよかったと自分を褒めている。
『ガーター!』
「でも、神園がジーパンとパーカー以外着てるの見たことないかも」
(お洒落してる姿、見てみたい)
「楽だからね。まあでも、気が向いた時はお洒落するよ。面倒だし、滅多にないけどね」
(熊谷が玉を投げる時、他の席の男共の視線が集まっている気がする。オブラートに伝えたかったんだけど、こうなったら仕方ないか)
『ガーター』
『スペア!』
投げ終わって戻ってくる熊谷を神園は真面目な顔で出迎えた。意を決して、神園は口を開く。
「ごめん、ちょっと集中できなくて。僕のパーカーで本当に悪いんだけど、腰に巻いてもらってもいい?」
「?」
なるべくストレートにオブラートに包みながら発した神園の言葉は熊谷の首を傾げさせた。何も伝わっていない。
「ひらひら」
「?」
なんとか単語で伝わらないか神園は試みるが、それも伝わらない。神園はオブラートに包むのを諦めた。
「スカートがひらひらしてるから、パーカーを腰に巻いて。お願いだから」
「!!!」
バッとスカートを抑える熊谷。動いていない時に抑えても意味がない。熊谷の顔はみるみる赤く染っていく。
「ごめんね、ちょっとトイレに」
その顔を見る間もなく、神園は席を外す。熊谷が気まづいだろうなと思った故の気遣いからくる行動である。
(ぎゃーっ!やっちゃった、全然気がつかなかった。もしかして私、痴女とか思われてないよね?大丈夫だよね?ってか、見えてないよね?いやでも、見えててもスパッツ履いてるから──履いてるからなに!?見られたら恥ずかしいの変わらないじゃん!?)
(戻るか。にしても、僕ガーター連発しちゃったなぁ。また負けか。今日は楽しいけど、とことん負け続きだ)
トイレから神園が戻ると、見知らぬ男に熊谷が絡まれていた。
(め、めんどくさい。絶対ナンパだ。ナンパするような手合いは、大体は僕が行けばすぐにそそくさといなってくれるけど、それでもしつこくくい下がる輩が一定数いるからめんどくさい。歌歩と出かけた時に経験済みだ)
(仮にナンパじゃなくてもめんどくさい。熊谷の知り合いだとしても、知らない人がいる空間に行きたくない。いやでも、放置してナンパだったら熊谷が気の毒だよね。とりあえず追い払ってしまおう。もし熊谷の知り合いだったら、熊谷が後日誤解をとけばいいだけだし。歌歩の時と同じように。彼氏はいないって言ってたし、問題ないはず。あ、でも、熊谷許してくれるかな?まあいいや、怒られたら僕にやり方を教えた歌歩が悪いってことで)
「茜は頑張ってるよ」
「そ、そうか。茜が迷惑をかけてないならよかった」
(茜のこと何回も熱心に聞いてきて、シスコンなのかな?よっぽど茜のこと好きなんだね)
熊谷は偶然友達と遊びに来ていた日浦兄と話していた。熊谷に恋心を寄せている日浦兄は熊谷が1人なのを見て、なけなしの勇気を振り絞って熊谷に話しかけたのだ。
日浦兄は一般的な高校生である。運動も勉強も程々に頑張り、人並みに恋をする。その相手が熊谷だった。なお、その事を妹の日浦茜は知らない。
なけなしの勇気を更に振り絞って、日浦兄は勝負に出る。
「で、でさ、俺たち別の席で遊んでるんだけどさ、よかったら熊谷も合流しないか?あ、もちろん、連れも一緒でい」
「友子、待たせてごめんね」
そんな日浦兄の前に突如として現れたのは顔のいい男だった。男は戻ってくると熊谷を親しげに名前で呼び、バックハグをかましていた。
(え、て?夢?いやいや、夢じゃない。朝にほっぺたツネったけど痛かったもん。待って待って、現実?いきなり名前呼びでハグされてるの、私?なにそれ、都合よすぎない?)
熊谷が嫌がっている様子はなく、日浦兄の目にはどこかはどう見ても照れている熊谷が映っている。
神園は睨みつけるように日浦兄に視線を向け、少しだけ低い声をだした。
「悪いけど、ナンパなら他を当たってくれるかな。意味、わかるよね?」
有無を言わさない神園の視線に、日浦兄はたどたどしくその場からいなくなった。平凡な高校生はこの日初めて、脳破壊なる感情を知った。
「いなくなったってことは、ナンパでいいんだよね?」
(よかったァ、知り合いとかだったら後日訂正の手間が増えるからね、熊谷の)
「あ、あ、あれ、、茜のお兄ちゃん」
幸福感が脳を支配し、まともに回っていない頭で熊谷は答える。神園は聞こえなかったことにした。
「そっか、ナンパね。ナンパ。もし違ったら、適当に訂正しておいてね」
この後は熊谷が腰にパーカーを巻いてくれたおかげで、神園の精神的動揺はなくなり、本来の実力で熊谷と競った。
「あそこのボウリング、ガーターしか出ないように調整されてるよね?」
「あんたが下手なだけ」
「今日は僅差で負けたけど、次は僕が勝つから。家まで送ろうか?」
「おね──いや、大丈夫」
「そう?じゃあ、僕はボーダーに行かないとダメだから。シフト入ってるんだ、今日」
「僕は本当に助かったんだけどさ、君はそろそろ帰らないとダメなんじゃないかな?」
とある筋から、月見蓮激おこ情報を仕入れた神園は待ち伏せされている可能性を考え、かつ怒っているであろう自身の隊員がいる隊室ではなく、那須隊の隊室に匿われていた。
「大丈夫、今日は私もシフトに入ってるから。だから、安心してここにいていいよ」
(那須が隊じゃなくて個人でシフト入ってるの珍しい。ってことは、僕の隊と合同か)
「ああ、やっぱり困った時に頼れるのは友人に限る。君には飴ちゃんをあげよう」
「ありがとう。茜ちゃんがいつも貰ってるから気になってたの」
飴玉を口に放り込む那須と、安息の地が手に入りご満悦な神園。
「ねぇねぇ、神園くん」
「なんだいなんだい、那須さんや」
「お願いがあるんだけど」
「いいよ」
「まだ何も言ってないのに?」
「無理なお願いはしてこないだろうからね。ちょっとしたお願いくらいなら構わないよ。まあ、匿ってもらったお礼代わりにね」
互いに微笑み合う。那須を信頼しているからこその対応である。
「月見さんと戦い」
「うん、ダメ」
「いいよって言ったのに」
「ダメダメ、戦いたいなら僕を通さずに戦って」
「むぅ、前に月見さんに声をかけたら神園くんに那須とは戦ったらダメって言われてるって」
矛盾である。自身を通さずに戦えと言いながら、戦えないように裏で手を回している。元より、神園は月見花緒と那須にランク戦をやらせるつもりは微塵もない。
「二宮さんがB級下位の隊員を虐めるのと同じくらい酷いことをしようとしてるよ。いじめっ子、かっこよくない」
「そんなに力の差はないと思うけど。なんでダメなの?神園くんの1番弟子として、確かめてみたいだけなのに」
「本気で言ってるんだとしたらタチが悪い。君は自分を猫だと思い込んでるライオンだよ。本当にタチが悪い」
「酷い」
「うちの隊員を虐めようとしてる君の方が酷いよ。今の花緒と那須だと、花緒は100本やっても1本も勝てない」
「神園くんにそんなに褒められると照れるね」
優しい笑みを浮かべる那須と、バトルジャンキーに褒めてないと視線で訴える神園。神園はこのバトルジャンキーを野放しにしてはいけないと感じた。
「僕で我慢しておきなよ」
それ故の決断。
「ふふ、いいの?ランク戦嫌いの神園くん」
「戦闘狂にうちの生意気な新人を狩られるわけにはいかないからね。それとも、射手2位の僕だと不足かな?射手ランキング5位の那須玲さん」
「前のランク戦、腕が鈍ったのかな。今までは1位になりたくないだったかもしれないけど、今は1位になれないかな?2位止まりの神園冬くん」
「へぇ、随分と生意気を言うようになったね。友人として師匠として、少しだけ躾てあげようか」
「いつまでも自分が上だと思ってると、足元すくわれるよ。躾られるのはどっちかな」
「ふふふ」
「ハハハッ」
互いに珍しく、本当に珍しく好戦的に笑い、訓練室へと向かう。道中すれ違った人間は全員口を揃えて『目を合わせたら殺されると思った』と残している。
(こうでもしないと、神園くんはランク戦してくれないからね)
那須隊室に引きずり込んでから、全ては那須玲の思い通りであることを神園冬は知らない。
二宮匡貴は早歩きで訓練室へとやってきた。『加古炒飯を美味しく食べようの会』のグループLINEに、神園がランク戦をしていると影浦からのタレコミがあったからだ。
「まだやっているようみたいだな」
「二宮ァ、遅せぇよ」
「順番守れよ。那須とのランク戦が終わったら、俺がやる」
二宮、諏訪、影浦、この3人と神園は『加古炒飯を美味しく食べようの会』で度々交流しており、良い関係を築いている。
「構わない。その次は俺だ」
「俺を抜かすな」
「なんだと、諏訪。お前もやるつもりか?」
サポート重視の諏訪が神園とランク戦をやると言い驚く二宮。
「ったりめーだろ。やれる時に遠慮するのはバカのやることだ」
「そうか。なら、俺はその次でいい。今は20本勝負の2本目か。少し時間がかかりそうだな」
自身の順番までの時間を逆算して発言した二宮。影浦は下を向き、諏訪は天を仰いだ。
「俺は40分前からここにいる」
「俺ァ、20分前からだ」
「なんだと?」
「1本目が終わるのに1時間かかった」
「嘘だろ?」
「本当に決まってんだろ。どうせこれもそれくらいかかるなら、教えてやる。1本目がどんな試合だったのか」
今来たばかりの二宮と、途中から来た諏訪は影浦の話に耳を傾ける。
「互いにバイパーのフルアタック、ステージを訓練室にしているから障害物はねぇ。普通に考えれば速攻で終わる戦いだ」
「だろうな。諏訪なら3分も持たないぞ」
「うるせぇ、二宮。喧嘩か?喧嘩売ってんのか?」
「互いが互いのバイパーを寸分の狂いもなく相殺させて、相殺させて、ようやくすり抜けたと思いきやそれも相殺して、長引きに長引いてた」
「だが、那須はトリオン切れがあるだろ。あいつのトリオンはそこまで多くないはずだ」
二宮は那須玲のことを認識している。神園に戦闘スタイルが似ていて、確かな実力を持っており、神園から2人が師弟関係にあると聞いて納得した。期待の若手として注目していたくらいだ。なんでも、気づけば師弟関係になっていたらしい。
「あるだろうよ。あるだろうから、那須は40分くらい経過した時に勝負をかけた。バイパーのフルアタックを継続したまま、神園に突っ込んでいきやがった」
「あれは驚いた。動きながらでもバイパーの精度落ちねぇとは、射手は魔境だな」
(そんなわけあるか。リアルタイムで弾道を引くのも、動きながらバイパーの精度が落ちないのも、そいつらが特殊なだけだ)
諏訪の言葉に二宮は心の中でツッコミを入れておく。
「だが、近づいたところで神園は対処するだろ。距離が近くなっても状況は変わらないはずだ」
「ああ、そうだ。距離を縮めるだけならテメェの言う通りだが、那須はそうじゃなかった。ゼロ距離まで近づいて、神園のツラをぶん殴りやがった。バイパーの攻撃は継続したままでな」
「?」
「分かるぜ、二宮。そうなるよな、俺も見てなかったら影浦の話を信じることは出来なかった」
「殴られるとは思ってなかった神園は吹き飛ばされ、壁に激突。迫り来る那須のバイパー」
「まさか、やられたのか?」
「いや、グラスホッパーでかわした。そこからは、バイパーで攻撃する那須とグラスホッパーを活用して逃げる神園。今度は神園が那須に近づいて那須に足払いして体勢を崩しやがった」
「そこでやっと決まったのか」
「テメェの気持ちよく分かるぜ、二宮。まだ終わりじゃねぇんだ、影浦頼む」
「神園は戻ってくるよう設定された那須のバイパーを察知して追撃せず回避行動。それでも腕1本やられた。もう少し遅かったら落とされただろうな」
「那須にそこまでの実力があったのか」
「那須もランク戦に滅多に出てこないレアキャラだからな。知らねぇのは無理もねぇ。影浦、続き頼む」
「そこからはまた膠着状態──かと思えば、ここで那須が合成弾」
「無理だろ?合成弾は、そう簡単なものじゃない」
「それをやりやがった。バイパーのフルアタックを解除して、今度はメテオラをフルアタックで起動。当然、神園はその一瞬の隙を逃さずにバイパーで攻撃」
「ようやく終わったのか。いや待て、合成弾といったな?」
(メテオラとメテオラの合成弾なんて聞いたことがない。影浦の説明ミスか?)
「ああ、一瞬で【メテオラ+メテオラ=
「2本目は顔を殴られた事が余程嫌だったのか、神園が那須に接近して足払いを仕掛けるも那須に読まれていたのか防がれハイキック。神園はそれをかわして再度足払いを仕掛けるも、かわされ那須からの頭突きがヒット」
「神園のやつ、足払い以外しねぇからな。腹を殴るのも顔を殴るのも抵抗あるんだろ。だから読まれちまう」
「射手がなんで肉弾戦をしているんだ」
「それは、テメェらの方がわかんだろ。射手と銃手なんだからよ」
「分かるかァ!!怖ぇぇぇよ!なんで、あいつらずっと笑ってんだ!!戦闘中毒者かよ!」
「射手の適正に肉弾戦はない」
「んで、2本目は肉弾戦から始まって徐々に撃ち合いに。またまた膠着状態、今に至るってわけだ」
「なんでアイツらB級で戦ってやがるんだ?」
「那須隊は那須が病院への通院とか忙しくて、前シーズンまでろくにランク戦に参加できてねぇからな」
「なんでも、改善傾向にあるんだってか?」
「諏訪、なぜお前が知っている。まさか、ストー」
「ぶっ殺すぞ、二宮ァ!テレビ特集で目に入っただけだ!」
仲良く順番待ちしていた3人だが、那須と神園のランク戦途中で防衛任務の時間になり誰もランク戦をすることは出来なかった。なお、2人の勝負は2本行いどちらも那須の合成弾による引き分けである。
「那須とは訓練室ステージで戦いたくない。逃げ場がない自爆技は厄介だ」
(近づいてくるのはわかってたけど、まさか顔面を殴られるとは。生粋のバトルジャンキーだ)
「楽しかったね、神園くん」
すっごく、それはそれはとてもとても嬉しそうな那須と、なぜ自分が那須隊室に匿ってもらっていたのか忘れている神園。今はただ、神園は那須の眩しい笑顔に目を焼かれていた。
神園 冬
〔PROFILE〕
烏丸京介←え、ランク戦?無理無理、那須との戦いで疲れた。え、えー?後輩特権?
出水公平←那須と僕と君で三つ巴?無理無理、過労死する
奈良坂透←内通者。激おこの月見蓮の情報を教えてくれた
辻新之助←ランク戦?やだやだ、疲れた
影浦雅人←ランク戦?無理無理無理、長引くから今はヤダ
真木理佐←また送信取り消しされてる。まあいいや、自撮り送っておこう
那須玲←教えているうちに本当に師匠の座についてしまった。彼女と戦う時に攻撃手トリガーは使用しない。僕を超えるのはまだまだ先みたいだね
熊谷友子←なんか、沢山写真撮ってたよね?思い出に僕にも送って〜。あ、私服可愛かったよ
東春秋←え、那須との個人戦でクレームですか?違う?え、那須と僕のカプで二次創作が出回ってる?癖を曲げられた隊員が出ている?ごめんなさい、カプってなんですか?
二宮匡貴←んんん?射手の常識をぶち壊すつもりか?どういうことですか??
諏訪洸太郎←ランク戦?無理ですよ無理、また今度で
月見花緒←謝らないからね。美味しいジュースなんて一言も言ってないもん
月見蓮←ごめんなさい。2度とやりません。すいません、許してください。慈悲を、慈悲をください
今結花←ぴぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえん!月見さんに2時間正座させられた!!!
烏丸京介→やってくださいよ。可愛い後輩からのお願いですよ
出水公平→俺も混ぜろよ。弾バカ同士仲良くやろーぜ
奈良坂透→密告した罰として神園と一緒にゲロマズジュースを一気させられた。激しく後悔
辻新之助→やろうか。攻撃手としてね
影浦雅人→あぁ?時間作れよ。俺とも楽しもーぜ
真木理佐→送信取り消ししたら自撮りが送られてくる??悪いことを覚えてしまった。取り返しがつかない
那須玲→楽しいね、お師匠様。殴り合いなんて初めてやったよ、こんな身体にした責任とってね。もっと構って
熊谷友子→ツーショット沢山でホクホク。周りが写真を撮っている人が多かったので試しに言ってみたら沢山一緒に撮ってくれた。ハグされた時の温もりを忘れられない
東春秋→本部から言われたんだ『美形が狂気的に戦っている姿』に魅入られた隊員が出ているから注意しろってな。あと、神園×那須?のナマモノ?とやらが出回ってるらしい。すまん、聞かれても俺もよくわからん
二宮匡貴→お前と那須は射手であり射手ではない。だが、誰よりも理想的な射手だ
諏訪洸太郎→やろーぜ、ランク戦の借りを返してやる
月見花緒→お姉ちゃんと対応違いすぎる!!別にいいけど!かなり過保護にされていることを知らない
月見蓮→2時間の説教+ゲロマズジュース2本の一気飲みで許してあげた。密告者の奈良坂にも1本飲ませた。ついでに関係ない太刀川にも1本飲ませた。可愛らしいイタズラにやり過ぎたかしら?あ、どこに行くの。走って離れていかないで、怖くないから。あ、ちょっと
今結花→イタズラの仕返しにどんなイタズラをするか考えていたら膝元に飛び込んできた。大丈夫、私は怒ってないから。ほらほら、温かいお茶飲む?
熊ちゃんのデート服。上から作者が好きな順です。
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構ってもらう方法を考えている那須様
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日浦兄、脳破壊されたってよ