ボーダー内の食堂に、言い争いをしている神園と影浦がいた。
「テメェ、なにインチキしようとしてやがんだ」
詰め寄る影浦と何食わぬ顔をしている神園。神園の両隣にいる不満気な風間と呆れ顔の奈良坂。
「いやいや、カゲさん。インチキなんかじゃないよ。むしろ、カゲさんインチキしてない?月見さんのこと買収したでしょ?」
「買収する必要がねぇくらい結果は明らかだったろ」
神園隊の隊服にコスプレ感があるか否か。月見は神園の表情を確認し、迷いながらもコスプレ感があると答えた。その回答で神園の敗北、影浦の勝利が決まった。
「そんなことはなかったと思うけど、負けは負けだから罰ゲームをしてあげるって言ってるじゃないか。カゲさんは文句が多いなぁ」
(僕は負けたけど負けてない。負けたとしても、僕に被害がなければ実質的には勝利に等しい。万が一負けた時のことを考えて、僕には奈良坂と風間さんという2人の生贄がいる。ふふん、最後に笑うのは僕だよ)
「風間、奈良坂、テメェらは何してやがんだ。これから、こいつが何をするか知ってるか?フリーハグだぞ。隣に突っ立っていようものなら、テメェらも巻き込まれるって分かってんだろうな」
「無駄だよ、カゲさん。2人とも買収済みだからね」
「んなわけねぇだろ」
(こいつらがフリーハグに巻き込まれると知っていながら買収されるわけがねぇ。どっちかっつーと、意地でも避けるタイプだろ)
「奈良坂には手作りのチョコレートポップコーンを。負けた時のために昨日作っておいたんだ」
「何も言わず口を開けろと言われ、言う通り開けたらポップコーンを放り込まれた。美味しかったが、こんなことに巻き込まれるなら絶対に食べなかった」
ポップコーン(チョコ味)が入っているであろう可愛らしいピンク色の缶を持っている奈良坂。影浦はソッと目を逸らした。
「食堂でカツカレーを注文したら、後ろから神園がカツ追加トッピングを勝手に注文して代金を払った。金を渡そうとしても、『風間さんが食べている姿を見て癒されたいんです』とか言って受け取らないから、諦めてカツカレーを食べ始めたら巻き込まれた。金は払うから解放してくれ」
「ダメです。風間さんと奈良坂は僕と一心同体ですから。逃がしません」
「そんな事初めて聞いたぞ」
「都合のいいやつめ」
(よく考えてみれば、俺に損はねぇよな?風間と奈良坂が巻き込まれたのは多少同情するが、神園がフリーハグをするのは変わらねぇ。こいつはバカだから2人に押し付ける気満々だが、テメェが逃れられるわけねぇだろ。むしろ、3人揃って握手会みたいな流れでハグされるに決まってんだろ。奈良坂はともかく、風間が巻き込まれたのは若干面白れぇしな)
「確かに、テメェの言う通りインチキじゃねぇな。よしっ、俺は納得した。離れた席で眺めてやるから、きっかり1時間やれよ」
「お前たち、後で覚えておけよ」
「神園、ポップコーンだけだと割に合わない。別のお菓子も今度持ってこいよ」
不機嫌な風間と諦めて追加報酬を要求する奈良坂。神園は笑顔で承諾し、2人の手を引っ張って食堂の端っこに向かう。
「隅で大人しくしてれば、気づく人なんていないよ。だから2人とも安心して」
(気づいて誰かが近づいてきたとしても、A級隊員が2人もいるんだから、僕よりも2人に目がいくはず。知らない人とハグなんて僕は嫌だよ)
「おい、なんでお前が後ろに隠れてるんだ。せめて俺たちよりも前に出ろ」
「風間さんの後ろには隠れることが出来ないんだ。奈良坂、協力してくれ」
「悪口か?」
「褒め言葉です」
(あいつらバカか?隅に行ったとしても、テメェらみたいな有名人は注目されるに決まってんだろ。そもそも、食堂にいる時点で注目されてたんだから手遅れだろ)
影浦の考えとは裏腹に、3人に近づく人間はいない。フリーハグと書かれたプラカードを首にぶら下げているのは神園1人。文字はある程度近づかないと見ることが出来ない。だが、この3人がわちゃわちゃしている中、何をしているのか近づいて確認しようとする猛者はいなかった。
(まさか、1時間このまま何事もなく終わんのか?いや、光には教えてやったから後で来るはず)
影浦は奈良坂が置いていったポップコーンをサクサクと食べる。この罰ゲームを提案した今を性悪だと思っていたが、勝者側になると悪くない。映画を見る観客気分である。
(視線は感じるが、誰も近づいてはこない。そうか、神園がぶら下げているプラカードの文字が見えないのか。傍から見れば、俺たちは男3人で戯れているだけ。これなら、最後まで誰も来ずに終われる可能性がある。となると、むしろ俺が前面で神園を後ろに隠した方がいい)
「神園、やっぱり俺の後ろ──なにしてるんですか、風間さん」
「見て分からないか?神園を俺の背中に隠してやっている」
((隠れてない))
神園と奈良坂は同じことを思ったが、流石に口には出さなかった。2人はアイコンタクトをとり、渋々運命を天に任せることにした。満足気な顔をしているのは風間だけである。神園が風間の身長が低いと暗に伝えたのが悪い。風間は意地になった。
(おっ、誰かアイツらの元に向かってる。確かあれは、B級8位の那須隊の隊員だったか?)
「そんな場所でなにして──フリーハグ?」
近づいてきたのは熊谷だった。神園が食堂の隅で奈良坂と風間と何かしているのが気になって近づいてきた。
「弁明しておくが、俺と風間さんは神園に巻き込まれた被害者だ。ハグをする場合は神園だけが対象になる。遠慮なく背骨を折ってくれ」
弟子がいる隊の隊員の心証を悪くしたくない奈良坂は先んじて弁明する。それに驚いたのは神園だ。
「え、奈良坂?なんか今、物騒なこと言わなかった?」
「気のせいだ」
カクカクシカジカ
「熊谷、君には4つの選択肢がある」
経緯の説明が終わり、神園は選択肢を提示する。
「僕か奈良坂、風間さんの誰かとハグする。気づかなかったことにしてここから去る。僕のおすすめは、ここから去ることなんだけど、どうかな?」
「え、でも、誰かとハグしておかないと、あんたの罰ゲームにならなくない?」
「うぐっ」
気にしてることを指摘されダメージを受ける神園。ここぞとばかりに追撃する風間&奈良坂。
「もっともだな」
「ほら、腕を開け神園」
不承不承、腕を広げる神園。熊谷は内心動揺している。
(た、確かに、罰ゲームにならないとはいったけど、私がハグするとは言ってない。どうしよう、訓練室で運動したばっかりだから匂うかも。シャワーを浴びてきてから、いやでも、それだと解散しているかもしれないし、待って。まずは、玲に連絡をするべき?いや、ハグの後に連絡すれば問題)
「あ、もしかして、僕とハグするの嫌だった?なら仕方ない。代わりに風間さ」
ぎゅっ
(あ、これよくない。胸が当たってる。罰ゲーム?これって、罰ゲームだったよね?別に知り合いとハグするのは嫌じゃないから罰にならない。いや、気恥ずかしさはある)
「じゃ、じゃぁ、私もう行くから」
数秒ハグしてから、熊谷は逃げるように食堂から去っていく。その様子を見て奈良坂と風間はため息をついた。
「俺たちは何を見せられてるんだ」
「あの反応は完全に....」
(映画のジャンルはラブコメだったか?クッソ、このポップコーンも相まって甘ったるい。お、次のやつが──死んだな、神園)
「こんな場所で、何をしてるのかしら。不審者にしか見えないのだけど」
冷や汗が流れる神園と奈良坂。表情が変わらない風間。風間の手は奈良坂と神園を逃さんと2人の袖を掴んでいる。
「これはその、ボーダー内で交流を深めようと思って。そうだよね、奈良坂?風間さん?」
「ああ、そうだ」
「そうだったかもしれない」
前のランク戦終了後に怒られ、真木さんってもしかして怖い感じなのかとビビり始めた神園は罰ゲームと言えば怒られる予感がして嘘を吐いた。冬島隊のナタ振り係がキツイことを知っている奈良坂。歳下から口撃されたくない風間。
「は?それでフリーハグって、どういう思考を」
(待ちなさい。このまま神園くんを責めたら、本格的に嫌われるかもしれない。今だって、奈良坂くんの後ろに隠れようとしてる。前はそんな行動とらなかったのに)
「試しもせずに否定するのは違うわね。それで、誰にハグをすればいいのかしら?」
(本当に真木理佐か?)
(誰にも何も、ずっと神園を見てるじゃないか)
「「神園だ」」
「そうなのね。なら、抱きついてきてくれるかしら?」
おずおずとハグする神園。頬が緩む真木理佐。助かったと安堵する奈良坂&風間。安全圏で楽しんでいる影浦は声を抑えて大爆笑。
「神園くん。ランク戦が終わった時に少し厳しく言ってしまったのは、あなたが他の人に安く見られるのが嫌だったからなの。だから、あまり気にしないでね」
(本当に真木理佐か?これは幻覚か?)
(まさか、真木理佐が。そういうことなのか?)
「いや、僕も前の試合は褒められた内容じゃないと思ってたからいいんだ。ただ、真木さんが優しいのは分かってたけど、2時間も説教されのは怖かったかな」
「そうよね、ごめんなさい」
落ち込んだような声色に、神園は申し訳なさが。奈良坂と風間は互いの頬をツネった。
(真木が優しい?優しい??)
(真木理佐は、冬島隊のナタ振り役だぞ)
「いや、むしろありがたいよ。あんなに時間を費やしてまで指摘してくれるなんて嬉しい...かもしれない。うん、多分嬉しい。きっと多分」
(自分に言い聞かせてるな)
(2時間の説教は嬉しくないだろ)
「なら良かったわ。今後もよろしくね」
(ハグ時間長いな)
(話が終わったのに、全然離れようとしないじゃないか)
「あの、そろそろいいかな?」
「.....そうね」
そう言いながら10秒ほどは離れず、離れたかと思えばそそくさといなくなっていった。
「神園、お前は常にトリオン体で生活した方がいい」
「刺されないように気をつけろよ」
「なんで唐突にそんなに物騒なことを???」
「お前ら、こんな隅っこで何してるんだ?」
「「「東さん」」」
カクカクシカジカ
「なるほど。なら、俺もハグで元気をもらっておくか」
東含め、知り合いの男子隊員たちもちょくちょく訪れ、気がつけばいつの間にか残り時間は10分程度。
「あとは、何事もなく終わりそうですね」
「そういう発言はフラグだぞ、神園」
「お前たち、飯はまだだろ?これが終わったら奢ってやる。俺も小腹が空いたしな」
「あ、いた。熊ちゃんから神園くんがフリーハグをしてるって聞いて来たよ」
「遊びに来ました!」
「分かった、那須。ポップコーンをあげるから、回れ右してそのまま引き返すんだ。あ、日浦には無条件でポップコーンをあげよう」
「神園くん?私と茜ちゃんで対応が違う気がするんだけど?」
「ありがとうございます!」
「神園、俺の弟子は渡さんぞ。それと、俺に渡したポップコーンで全部じゃなかったのか」
「奈良坂が渋った時用に予備を2缶用意しておいた」
「くっ、もっと渋っておけばよかった」
「おい待て、俺の頭を撫で回すな。小動物じゃないんだぞ」
(日浦、風間さん相手にそれは度胸がありすぎだ。ハグじゃなく撫で回すなんて)
そう思いながらも、日浦の頭を撫でる奈良坂。満足した日浦は奈良坂、神園と順番にハグをする。
「那須先輩もどうぞ!」
日浦に促され、那須は風間奈良坂と順番に軽くハグする。神園の前に移動した那須はピタッと止まる。
「神園くん、最近遊びに来てくれないよね」
「え、うん。自分の隊室ができると、大抵はそこにいるかな」
「私たちは都合のいい存在だったんだ」
「え、待って。それは人聞きが悪い」
「いらなくなったらポイって捨てられるんだね」
儚げな表情を浮かべる那須と、神園に非難の視線を向ける風間。しゅんとしている日浦。弟子がしゅんとしてるのを見て神園を小突く奈良坂。
「僕が悪いみたいな空気になってない??なんで??」
「私たちは神園くん(の指導)がいないとダメなの。それと、オススメの映画を持ってきてくれるって言ったのに、いつまで待っても持ってきてくれないし。悲しいよ、ね?茜ちゃん?」
「はい.....」
風間が右脇腹を、奈良坂が左脇腹を小突く。
「わかったわかった。僕が悪かったよ。今度また模擬戦してあげるから。なんなら、奈良坂と風間さんも連れていくからそれでいいよね?映画は、その、まだ選んでる最中だから待って」
(俺たちも?)
(なぜ俺まで?)
(2人も僕を責めてるなら、協力してよ)
「ふふ、よかったわ」
そこまで神園を追い詰めてから那須はハグする。
「あ、神園くん。こんな所にいたのね。ご飯がまだなら、これから炒飯を作るん──なにをしてるのかしら」
加古から発せられた冷たい声。比較的付き合いの長い風間はビクッと身体が跳ね、奈良坂は冷や汗を流した。神園は冷たい視線から目を逸らした。食堂全体の温度が5度くらい下がった気がする。
(ラブコメとサスペンスを繰り返して飽きねぇな。それにしても、なんで光のやつは来てねぇんだ?)
奈良坂のポップコーンを食べ尽くした影浦は、二宮と諏訪と共に安全圏から眺めている。二宮と諏訪は事情を聞いて興味本位から加わった。
「あ、いや、加古さん。実は」
カクカクシカジカ
説明中も那須は神園から離れようとしない。身体の弱い那須を無理に引き剥がすことは出来ず、説明中は加古の冷たい視線が神園に刺さり続ける。唯一、日浦だけはあわわわわわわと分かりやすく狼狽えいた。
「そうなのね。那須ちゃん、もう充分よね?私に譲ってくれるかしら?」
「────はい、分かりました」
長い沈黙の後、那須は加古に譲った。
(刺される。神園は近い将来刺される)
(今日は厄日なのか?2度と神園にはカツトッピングを頼ませない)
「最近炒飯を食べに来てくれないのは、どうしてかしら?もしかして、私の炒飯美味しくない?それとも、飽きちゃった?」
神園の耳元で加古は囁くように話す。美形の暴力に同じ美形の奈良坂が目を逸らし、那須は目が笑っていない笑みを浮かべ、風間はカツトッピングを呪った。遠くから見ている三人衆は楽しんでいる。
「いや、加古さんの炒飯好きですよ。その、今さんがご飯を作って持ってきてくれるんで、お腹が空いてなくて。加古さんの炒飯は美味しく食べたいんで、空腹の時に食べたいんです」
「そう、なのね。今はお腹すいてるかしら?炒飯を作るんだけど、食べに来てくれる?」
「空いてます。この後、風間さんにご飯を奢ってもらう予定だったんで、奈良坂と風間さんも一緒でいいですか?」
(終わった。加古さんの炒飯の噂は聞いている)
(神園が加古炒飯を食べる時は10割ハズレ。太刀川がそう言っていた)
「もちろんよ。那須ちゃんと茜ちゃんもどうかしら?」
「折角の機会なので、ご一緒させてもらいます。茜ちゃんもそれでいい?」
「はい!」
(まさか、那須と日浦は知らないのか?くっ、俺は弟子と親戚の女の子の味覚を守ることが出来なかった)
(そもそも、俺はカツカレーを食べているから空腹では無い。少しだけ小腹が空いてるだけなんだが。今まで避けてきたのに、俺もここで加古炒飯の犠牲者になるのか)
「加古さん、あと3人増えてもいいですか?」
神園は影浦、二宮、諏訪が座っている席を指さし、加古もその3人を認識した。奇しくも、神園が加古炒飯を食べる時に初めて巻き込んだ記念すべき3人だ。
「今日は随分と大人数になりそうね。もちろん大歓迎よ」
(美味しい炒飯が出てくるはず。今までハズレしか引いてないんだから、そろそろ当たりが来てくれるはず)
「神園、テメェは人を巻き込まないと死ぬ病かなにかか?おい」
『今日は女の子もいるから、白桃ジャムを入れてみようかしら?』
「そう言うな、諏訪。俺は神園が当たりを引くまで付き合うと決めている。お前たちも腹をくくれ」
「ビビってんのは諏訪だけだろ。俺はとっくに覚悟決めてんだ」
神園に巻き込まれた経験がある3人は、発言はともかく既に覚悟は決まっていた。特に二宮は、神園が当たりを引くまでは付き合うと覚悟の重さが違う。
『フルーティなのがいいわよね?パイナップルも入れましょう』
「那須先輩、さっきから聞こえてくる言葉が炒飯に関係ない気がするんだけど....」
「日浦、那須。炒飯は美味しそうに残さず食べること。それが唯一にして絶対のルールだ」
奈良坂の言葉に、日浦に後悔の波が襲ってくる。当然ながら、那須も同様である。
『イチゴもいいわね』
10分程度経過し、加古が人数分の炒飯を持ってきた。
「フルーツ炒飯よ、召し上がれ。でも、ごめんなさいね。今回は人数が多かったから、おかわりはないの」
主に神園に向けて加古は言う。オカワリをするのは、神園くらいのものだからだ。
8人はスプーンを手に取る。炒飯とは思えない甘ったるい匂いに、初めて加古炒飯を食べる奈良坂、風間、那須、日浦の手が止まる。
対称的に、二宮、影浦、諏訪、神園は迷わず炒飯を口に運ぶ。特に神園は早いペースで食べ進めていく。
(うぐっ、)
(やっぱり、)
(今回もハズレか)
3人は表情にはださないよう気をつけながら、バレないように水で流し込みながら炒飯を食べ続ける。
(まさか、美味いのか?)
(俺たちが怖がりすぎたのか)
(普通に食べてる?)
(きっと美味しいんだ!)
奈良坂と那須は恐る恐る口に運び、風間は警戒しすぎたと反省しながら口に運び、普通に食べ進める4人を見た日浦は美味しいのかなと思いながら1口目を口に運び
「っ」
「ゑ」
「──っ!」
「っっっっっっっっ!!?」
止まった。
「4人ともどうしたの?」
そんな4人が見逃されるはずなく、加古は不思議そうな顔をしている。
「フルーツ入りの炒飯は初めてだったので、味わってました」
「ああ、奈良坂の言う通りだ」
2人は味わうのは当然だろと言わんばかりの姿勢を取り、内心絶叫しながら二口、三口と食べ進める。
対して那須と日浦は完全に手が止まっていた。二口目をスプーンに掬うも、そこから手が動かない。
「那須ちゃんと日浦ちゃんは」
「久しぶりに加古さんの炒飯食べれて嬉しくて、1杯じゃ足りないですよ。那須、日浦、悪いんだけど分けてくれない?確か、2人はここに来る前に昼ごはん食べてたんだよね?あんまりお腹すいてないんじゃないかな?」
(那須は身体が弱い。体調を崩したら大変だ。日浦はまだ子どもだし、ハズレ炒飯を完食させるのは酷だろうね。熊谷にLINEを送ってっと)
「あら、そうだったの?」
「はい。射手の先輩と交流を深めたくて来ましたが、あまり食欲がなくて。神園くん、本当にいいの?」
「う、いや、でも。本当にいいんですか?」
那須と日浦は申しわけなく思いながらも、救いの手に感謝していた。
「成長期なんだ。加古さんの炒飯が美味しいのが悪いよ」
嬉しそうな表情を浮かべる加古。神園の行動に二宮、諏訪、影浦は内心スタンディングオベーションしている。奈良坂と風間は驚きを隠せない。
(すまない、神園。お前のおかげで親戚と弟子の味覚が守られた。今度お礼にジュースを奢る)
(今度牛乳を買ってやる)
prrrrrrrrrrrr
「あ、電話が」
「気にしないで出ていいわよ、那須ちゃん」
『熊ちゃん?え、急ぎで相談したいことがある?茜ちゃんも一緒に?わかったわ』
「用事ができたのね、2人ともまた食べに来てね。女の子は、あんまり食べに来てくれないから」
「はい。機会があればぜひ」
「あの、ご馳走様でした」
(熊谷がすぐにLINEを見てくれてよかった。にしても、流石に3人前はキツイなぁ)
「次も神園がいる時は呼んでくれ。ご馳走様」
「二宮くん、神園くんが来てから変わったわね。前は何かと理由をつけて来なかったのに」
「ふん、気のせいだ」
「ごっそさん。悪くなかった。諏訪、ランク戦するぞ」
「あ、おい、お前とランク戦とかやりたくねぇぞ。ごっそさんな!」
「ふわぁ」
「あら、また眠たくなったのて。休んでいっていいわよ」
胃袋と味覚にダメージを負った神園。加古はいつものように、神園に寝っ転がるように促す。
「あ、でも、僕も自分の隊室が出来たから、今回からはそっちぇ休」
「遠慮しなくていいわ」
少し強引に加古は神園を寝かせ、普段はしない膝枕をした。横にされた神園は抵抗する余力なく、いつものように半ば気絶するかの如く睡眠についた。
「いい子ね」
眠りにつく神園を見て、加古はその隣で横になる。
(私が神園くんを隊に入れたいのは、優秀で可愛らしいから思ってたけど──それだけじゃなかったみたい)
眠っている神園の頬を優しく撫で、加古も眠りについた。
奈良坂透←同級生。僕たち仲良し。君が好きなきのこの山をあげる
熊谷友子←君の活躍で那須と日浦は救われた。胸の感触が残っている気がする
日浦茜←よしよし、いい子だね
影浦雅人←安全圏から眺められるはずがないよね?
仁礼光←え、ハグ?フリーハグ終わってるから。ごめんね?
真木理佐←やっぱり、優しいよね?みんな不思議そうな顔をするのはどうしてだろうか
那須玲←持っていく映画決めたよ!
東春秋←渋くてかっこいい
加古望←起きたら顔が目の前にあった。整ってて美人さんだよね
風間蒼也←牛乳2Lを3パック?あ、あの、何か怒らせました?
二宮匡貴←ちゅき
諏訪洸太郎←遊んでー
月見花緒←連日挑んでくるから顔と名前を覚えた。こんなに食い下がってくるのは君が初めてだよ。わかった、わかったから。入隊を検討するから付きまとわないで。あと、生意気。同級生だったみたい。え、月見さんの妹?太刀川さんの幼馴染み?だから?七光りを求めるなら、太刀川隊に行けば??
月見蓮←コスプレ感ないのに、酷いよ
奈良坂透→ナンパ避けに俺を利用するな。チョコ菓子を与えればなんでもやるわけじゃないからな。俺はタケノコ派だ
熊谷友子→玲、ごめん。やっぱり、私も──
日浦茜→奈良坂先輩と同じくらい尊敬できる先輩
影浦雅人→刺されるなよ
仁礼光→コタツで寝落ちしてフリーハグしていることを知ってたのに行けなかった。ハグしーろーよーー!
真木理佐→嫌われてなくてよかった。同級生だし、学校でも話しかけていいわよね?
那須玲→私は自分の気持ちを理解してる。庇ってくれて嬉しかった
東春秋→楽しくやってるみたいで良かった
加古望→那須と神園がハグしている所を見て自覚。嫉妬心、独占欲。今結花の名前をインプットした!テレレン!
風間蒼也→お前自身の分、那須の代わりに食べた分、日浦の代わりに食べた分、炒飯3人前平らげたから牛乳3本やろう。かっこいいじゃないか
二宮匡貴→所々の行動に昔の自分を思い出す。後方理解者面
諏訪洸太郎→今は遊ばねーよ!てめぇ、次のランク戦相手覚えてねぇのか!
月見花緒→絶対に強くなるから。役に立つから。入隊させてくれるまで付きまとうから。お姉ちゃんの妹とか、慶と幼馴染とか、そういうの関係なく評価してくれるんだね
月見蓮→童話の王子様をモチーフにしてるかと思った。純粋な眼に同意するか迷ったけど、流石にあのデザインをコスプレ感がないというのは無理。フリーハグは迷った末行かなかった
今結花↑↓→←寒気がした
三上ちゃん!!三上ちゃんがハグに来なかった!!
国近さん!なんで来てくれないんですか国近さん!
小佐野さんはどこに!!?
加賀美さんはどこにいるんだー!!!!