若手カメラマンは覗き見たい。 作:水棲リクガメ
待ちに待った夏休みがやって来た。
これから一ヶ月強、学校という鎖から解放され自由を満喫できる、学生からすれば夢のような期間だ。
バイトに明け暮れるもよし、友達と一生の思い出を作るもよし、そして恋人と共に大人の階段を登るもよし。夏休みという単語が内包する万能感は凄まじい。
もちろん亨は、カメラを片手により良い写真を求めて駆けずり回るつもりだ。
そんな夏休みの初日。
亨はタクシーに揺られていた。目的地は四宮家別邸、すなわちかぐやの自宅である。
なぜ亨がかぐやの家へ向かっているのか。
それは昨晩、かぐやから電話があったからだ。
アフターヌーンティーへのお誘いという形で、かぐやから亨に電話がかかって来た時は心底驚いた。
亨とかぐやは協力関係にあるものの、互いの家に気兼ねなく誘えるほどの仲ではない。
何が目的かと始めは警戒していた亨だったが、かぐやから「一度ゆっくり話してみたいと思っていたの」と言われれば、亨に断ることはできなかった。
そんなわけで、かぐやが用意してくれたタクシーにありがたく乗り込み、亨は四宮家別邸に向かっているわけである。
◆◆◆
屋敷の門の前でタクシーから降りた亨は言葉を失っていた。
「でけぇ……」
それはもう、まさしく大豪邸。目の前にそびえる門だけで、家一つ建ちそうなくらいの高級感。
これで別邸ならば、本邸というやつはどれほどのものなのか。想像するだけで目眩がしてくる。
映画にでも出て来そうな光景に、亨は思わずカメラを構える。
「無断撮影はご遠慮ください」
聞き覚えのある声がした方を見れば、クラシカルなメイド服に身を包んだ早坂が、門の向こうに立っていた。
学校にいる時の姿とはまるで違う装いに、亨は言葉を失う。
「どうかしましたか?」
「メイドだなと思って」
「そりゃメイドですからね」
様になった仕草で、早坂は折目正しく一礼する。
「ようこそお越しくださいました。かぐや様がお待ちです」
ゆっくりと門が開く。
迫力に気圧され動けない亨に、早坂は小さく笑った。
「緊張してます?」
「そりゃ、ね」
「気を張らずとも、同級生の家に来たと思えばいいんですよ。実際そうだし」
——いや無理だろ。
くるりと背を向け玄関へ向かう早坂。それに引きずられるようにして亨は敷地に足を踏み入れた。
ここで亨は右手の紙袋の存在を思い出す。
来る途中にデパ地下で買った菓子折りだったが、果たしてこの屋敷に見合うものだろうか。
紙袋を早坂に差し出す。
「これ、つまらないものだけど」
早坂は差し出された紙袋を眺め、それから亨の顔を見た。
「つまらないものならいりませんが」
「えっ」
そのままの姿勢で亨は固まる。
気まずい沈黙がたっぷり十秒は流れたところで、早坂が吹き出した。
「冗談ですよ」
肩を震わせる早坂に、亨は顔をしかめる。
「怖いよ」
「すみません。緊張してる光くんが珍しくて、つい」
紙袋を受け取り、早坂は頭を下げる。
「ご丁寧にありがとうございます。あとでお茶の時に出させてもらいますから」
「デパ地下で適当に買ったもんだから、お口に合うか分かりませんけど」
「揶揄ったのは謝りますから、拗ねないでください」
庭もまた広かった。
よく手入れされた草花に彩られた庭園は、家の敷地というよりは、ちょっとした植物園のよう。
「これまたすごいね」
「専属の庭師が手入れをしています」
「へー、ちなみに写真は」
「ダメです」
「ちっ」
屋敷の内装もまた豪華だった。
至る所に誂えられた調度品に、高級感のあるカーペット。
父の個展の会場になったヨーロッパのホテルがこんな感じだった気がする。
前を歩く早坂に、亨は声をかける。
「白銀くんと四宮さん、仲直りはできたの?」
数日前、風邪をひいたかぐやの見舞いに来た白銀が同衾を迫り、二人の間に険悪な空気が流れた一件は、亨も聞き及んでいた。
「詳しくは聞いてませんが、解決はしたみたいですよ」
「それはよかった」
亨はもう一つ、気になっていたことを訊いてみる。
「俺、なんで呼ばれたの?」
表向きのかぐやと亨の関係は、同学年の知り合い。廊下ですれ違えば挨拶を交わす程度の間柄だ。
そして実態も、白銀に関すること以外はお互いにノータッチである。かぐやと連絡を取り合う際も、早坂を介すことが多い。
少なくとも夏休みの午後にお茶会に招かれるような間柄ではないと、亨は思っている。
亨の問いに早坂は「さあ?」とだけ返すと、足を止めて振り返った。側の扉を手で示す。
「直接聞いてみては?」
応接室の扉を叩き、早坂が「お連れしました」と声をかけると、中からかぐやの返事が聞こえた。
早坂が開けた扉を潜ると、部屋の中央に置かれたソファにかぐやが腰掛けていた。
「こんにちは、光くん。来てくれてありがとう」
「こちらこそ、お招き感謝するよ」
柔らかな笑みを浮かべたかぐやが、亨を迎えた。
◆◆◆
亨は高級感あるソファに座り、テーブルを挟んで向かいの席のかぐやを見やる。
学外で会うのは二度目。しかもかぐやの自宅で会うのは初めてだ。
何を考えているかは分からない。それが余計に亨の不安を煽る。
テーブルの上には、亨が持ってきた茶菓子のマカロンとティーカップが並べられ、早坂が紅茶を注いだ。
ティーポットを抱えて一歩下がり、早坂は一礼する。
「ありがと、早坂。下がっていいわ」
「えっ」
失礼します、と早坂は部屋から出ていった。
かぐやよりは早坂の方が、まだ気心知れている。そんな彼女の退席は、亨の不安を加速させた。
居心地悪そうにしている亨を見かねてか、かぐやが口を開く。
「紅茶は嫌い?」
「いや、そんなことは」
「良かったわ。いい茶葉が手に入ったから」
亨がティーカップに口をつける。
「うまっ」
思わず漏れた亨の声に、かぐやが満足げに微笑む。
良し悪しがわかるほど、亨は茶葉に詳しくないが、今まで飲んだ紅茶の中で一番美味しいのは確実だ。
紅茶のおかげか、少し力が抜けた亨は、ウエストポーチから封筒を取り出し、かぐやに渡す。
「昨日の生徒総会の白銀くんだよ」
堂々たる佇まいで生徒の前に立つ白銀の姿を収めた写真たちを、かぐやが眺める。
目元はいつも通りだが、緩む口元を抑えているせいで、かぐやの唇は奇妙な形に歪んでいる。
「悪くないわ」
「気に入ってくれてよかったよ」
亨の生暖かい視線に気付いたか、かぐやは誤魔化すように紅茶を一口飲んだ。
「それで、なんで俺を?」
「ゆっくり話す機会もなかったでしょう。あとお礼も言いたくて」
「お礼? 写真のことなら気にしなくても」
そうじゃなくて、とかぐやは亨の言葉を遮る。
「テスト直前、早坂と二人でいろいろやってくれたんでしょう?」
「早坂さんから聞いてた?」
「いいえ何も。ただ、会長に付き纏ってる女がいることには気付いてましたから。エスカレートする前に手を打とうと考えてたけど……」
さすがは四宮家息女、こちらのことはお見通しらしい。
「お節介だったかな?」
「いいえ、波風立てずに収めてくれてありがとう。——告白を焚き付けたのだけはいただけなかったけど」
「うっ」
たじろぐ亨に、かぐやはくすりと笑った。
「それからもう一つ。早坂のこと」
「早坂さん? 何かしたっけな」
「手紙。書くように勧めたの光くんなんでしょ」
「ああ」
母親になかなか会えずにいる早坂に、手紙のやり取りを勧めたのは亨だった。
「それこそお節介だったかなって思ってたんだよ」
「とんでもない。すごく楽しそうにしてるわ。時間を見つけては郵便受けを覗きに行ってるのよ、あの子」
かぐやはくすくすと笑った。その瞳はいつもよりも幾分か優しい。
「それならよかった」
「私も早坂のお母さんには小さい頃からお世話になってるから、次の手紙は二人で書こうということになってね。同封する写真、あとで撮ってくれる?」
亨はにっこり笑った。
「もちろん! 何枚でも撮らせてもらうよ」
頼むわね、とかぐやは頷き、それから真面目な顔で亨を見つめた。
「少し、個人的なことを訊いてもいい?」
「改まってどうしたの?」
かぐやは少し考える素振りをした。
そして、失礼かもしれないけど、と前置きする。
「私、光くんはカメラと写真に興奮する変態だと思ってるわ」
「この流れでホントに失礼なことあるんだ」
「でも事実でしょう?」
「否定はしないけどさ……」
言い方ってものがあるだろう、と亨は唇を尖らせる。
「これでもあなたのこと尊敬してるの。写真のために全身全霊で走り回れるあなたのことをね」
「そんな大それたことしてるつもりはないよ。写真なんて誰にでも撮れるものだし」
亨からすれば、カメラは日常だ。寝て食べることと同じくらいの当たり前のこと。
「誰にでもできることを誰にもできないくらいやれるのは、得難い才能だと思うわ」
「そんな有名な言葉に見合うほどのことはやってない……いや、せっかく褒めてくれてるもんね。ありがとう」
かぐやは頷く。
「私は光くんにとって写真が全てだと思ってた。この間の個展を見た時にも思ったわ。あなたは写真のために人生を捧げられるんだろうって。でも——」
「でも?」
「写真さえ撮れれば何だっていい、そんな態度を取りながら……いえ、そんなフリをしながら、あなたは人に尽くそうとしてるわよね」
どうして? とかぐやの瞳が問うてくる。
「別に、俺は冷血人間じゃないよ。人並みの優しさは持ち合わせてるつもりだけど」
かぐやは亨の言葉に首を振る。
「いいえ。あなたは優しい人間よ。早坂の手紙も、左近夕陽のストーカーも、そして石上くんのことも」
「何でいま石上くんの話を?」
「知ってるんでしょ、石上くんに何があったか」
「……さすが四宮さん。何でもお見通しだね」
光亨は知っている。石上優に何があって、何を守ろうとしているのかを。
そして、そのことに、四宮かぐやは気付いている。
「例の件を知るのは普通だったら難しいと思うわ。それをわざわざ突き止めて、全てを知った上で石上くんに寄り添ってくれてるんでしょう?」
「…………」
「石上くんだけじゃない。早坂の写真を撮ってまで手紙を書くよう仕向けたり、ストーカーだって止めさせるだけならもっと効率的で効果的な手段があったはず。私には、光くんが必要以上に人の気持ちを汲もうとしているように見えるわ」
かぐやの視線が亨を射抜く。
「あなたの優しさはどこから来てるの?」
かぐやの瞳に浮かぶのは、分析や興味ではなかった。懇願するような、教えを乞うような、切実さにも似た何か。
亨は少し困った。自分はかぐやに何かを伝えられるほど、崇高な人間でもなければ、賢い人間でもない。
「どこからって言われてもな……」
かぐやは手元に視線を落とし、ティーカップを撫でた。
「私も優しくなりたいわ。あなた達みたいに……」
「あなた達」が誰のことを指すのか亨にはよく分からなかった。しかしかぐやは答えを求めている。きっと「四宮さんも優しいよ」なんて無責任な言葉は欲しくないだろう。
亨は必死に思考を巡らせ言葉を探した。かぐやのために何か言ってあげたかった。
何とか捻り出した言葉は、呆れるほど抽象的だった。
「俺は四宮さんが言うほど優しい人間じゃないよ。俺はただ、いい写真を撮りたいだけだ」
かぐやが顔を上げる。
「光くんにとっての『いい写真』って?」
亨は唸った。自分の発言を後悔する。亨も『いい写真』が具体的にどういうものなのか分からない。
自分の中で『いい写真』を意識し始めた時のことを思い出す。この話がかぐやを満足させられるか分からない。でも、亨は話すことにした。
「少し昔の話をしてもいいかな」
「ええ」
◆◆◆
物心ついた時から、俺はカメラを握ってた。初等部の頃もそうだ、毎日のように写真を撮りまくってた。
あれは初等部最後の秋の頃だったかな。学園から言われたんだ。初等部卒業アルバムに、俺の写真も少し使わせてくれってね。
そりゃもう張り切ったよ。普段にも増して、撮って撮って撮りまくった。集まった写真のデータを持っていった時の先生の顔は面白かったなぁ。
写真のデータが多すぎて先生のパソコンがフリーズしてさ。
いや、そんなことはどうでもいいんだ。
とにかく、撮った写真を先生に見せた時、言われたんだよね。
「写ってる人に偏りがあるから、もっといろんな人をまんべんなく撮ってみてね」
ってさ。
今考えれば、アルバムの写真なんてほとんどプロが撮るんだから、俺の写真なんてほんの一部しか使われないのにね。
まあそんなわけで、先生の言葉を馬鹿正直に受け取った俺は、意識していろんな人を撮った。できるだけ偏らないようにね。
で、その中で写真にあまり写ってない奴がいることに気が付いた。もう名前も顔も忘れちゃったな。確か男、いや女だったかな。何せ前のことだから。
——あ、いいよ。わざわざアルバム出そうとしなくても。
とにかく、俺はそいつの写真も撮らなきゃって躍起になった。いつも一人で本を読んでるようなタイプでさ、俺がカメラ構えると逃げるから余計にね。
——ボールを追いかける犬? まあ確かにそんな感じだったかもね。
それで何とかそいつを説き伏せて、写真を撮らせてもらった。本を読んでるところをね。割といいものが撮れたと思ったけど、子供の俺は満足できなかった。
一人だけで写ってる写真が、何だか寂しそうに見えたんだよ。お節介でしょ? 俺もそう思うよ。
でも馬鹿な俺はそんなこと考えなかった。みんなで写った方が楽しいだろうって思い込んでたんだ。
クラスで仲良かったやつら何人か引っ張ってきて、無理やり一緒に座らせて写真を撮った。
結果から言うと、その写真は採用された。俺の撮った写真は他にも何枚か載ったよ。あれは本当に嬉しかったな。
卒業式で配られたアルバムを開いた時のことはよく覚えてるよ。「これは俺が撮ったやつだ」とか「何であの写真が採用されなかったんだろう」とか、友達と騒いでた。
そして、件の本好きのやつが写った写真を見た時、俺はショックを受けた。
すごい目でこっちを睨んでたんだ。
錯覚でもなければ写真写りの問題でもない。明らかに、俺を恨んでいる目だったよ。
そりゃ当然だよね。カメラマン気取りの同級生が押しかけてきて、仲良くないやつらと無理やり一緒に写真撮られてさ。
もちろん悪気なんかなかった。でも向こうからすればあんなのトラウマでしょ。
アルバムってのは、楽しい思い出がいっぱい詰まったもののはずなのに、俺は自己満足のために、彼、もしくは彼女を傷つけたんだ。
すごく申し訳ないことをしたと思ってる。あれは『いい写真』じゃなかった。
それからだよ。俺が『いい写真』って何だろうって考えるようになったのは。
◆◆◆
話を終えた亨は、肩をすくめた。
「ごめん。自分語りになっちゃった」
「いえ、ありがとう。話してくれて」
かぐやは少し考え、口を開いた。
「光くんの判断は一概に悪かったとは思えないわ」
「そうかもね」
亨がやらなくても、プロのカメラマンも同じようなことをやったかもしれない。
アルバムに載らないよりは良かったという見方もできる。
「でも、もっといいやり方はあった気がするんだ。あんな写真は迷惑でしかないと思う」
亨は紅茶を一口飲んだ。たくさん喋って喉が渇いた。
「『いい写真』がどういうものかは分からないけど、俺は誰かのいい思い出になる写真が撮れるようになりたいんだ。——これも結局、俺の自己満足だけど」
だから俺はそんなに優しいわけじゃないよ、と亨はかぐやに告げる。
かぐやはそっと首を横に振った。
「光くんもいろいろ考えてるのね」
「いろいろ考えてこれじゃあ、まだまだだけどね」
亨がこの話をするのはかぐやが初めてだった。別に隠していたわけでもないし、黒歴史でもないが、何となく自分を不必要にさらけ出してしまった気がする。
居心地の悪さを誤魔化すため、亨は話題の転換を図る。
「いつか、四宮さんのいい写真も撮りたいね」
「私の、ですか?」
「そうそう。結婚式とかどうかな、教会式か神前式か、まあどんな形式でもいい写真を撮って見せるよ?」
「なっ……」
かぐやの反応は劇的だった。
ダンと両手をテーブルにつき、前のめりになる。
「な、なんでそういう話になるんですか!?」
「いや別に、四宮さんはそういうの考えないのかなって思って」
「か、んがえないことも、ない、ですが……! そういうのはお互いに話し合って決めるものでしょ!」
亨はにやりと笑う。
「まるで話し合う相手がいるみたいな言い草だね」
「〜〜ッ」
わずかに頬を染め、座り直したかぐやは亨を睨む。
そんなお可愛い視線を受け流し、亨はマカロンを一つ口に放り込んだ。
「……光くんはどうなの?」
「何が?」
「結婚、とまではいかずとも、恋人が欲しいとか思わないんですか?」
「恋人ねぇ……」
いたら楽しいだろう。特に今は夏休みだ。クリスマスやバレンタイン同様、リア充生活を満喫するにはもってこいのシーズンである。
神妙な面持ちでティーカップを傾ける亨。
かぐやは悪戯っぽい薄ら笑いを浮かべた。
「早坂とか?」
「ゴフッ」
今度は亨が動揺する番だった。
「何でそうなるのかな!?」
「よく一緒にいるじゃない」
「それは四宮さんのためでしょ」
「個展でも仲良さげだったし」
「うーん、そう……かなぁ……」
亨は個展での出来事を反芻する。
苦手な取材で疲れていたところに、和田山からの嫌がらせという名の追い討ち。
完全に参ってしまった精神を回復させてくれたのは早坂だった。そのことは感謝しているし、これまでの関わりから早坂に一定の信頼を置いていることも事実だ。
亨は想像してみた。仮に早坂と
手を繋いで遊園地に行ったり、食事したり、砂浜を歩いてみたり。あるいは下の名前で呼び合ったりするのだろうか。
腕を絡めて頰を紅潮させ、上目遣いで「亨くん」などと呼んでくる早坂の姿は——。
「——ごめん、ちょっと怖い」
「物凄く失礼なこと言ってるわよ。まあ、私もないと思うけど」
早坂と恋人になることを想像したとバレようものなら、当人から鋭いハイキックが飛んでくる気がする。
亨は今の想像を頭から締め出した。
「でも、光くんのことを話している時の早坂は、少し楽しそうだから。これからも仲良くしてあげて」
「それはこちらこそ、だね」
◆◆◆
それから亨とかぐやは、四方山話と共にティータイムを過ごした。
それらが一段落すると、かぐやは早坂を呼び出し、亨は二人のツーショットを撮影。
また、亨の必死の頼み込みによって、絶対外部に公開しないという条件で、かぐやは四宮別邸の撮影を許可した。
夏休み初日。亨はそれなりに充実した時を過ごすことができた。