ふしぎの海のナディアならフェイトさんが好き。
ビックリしたもの全てを吊り橋効果的に好きと勘違いしている説があるので初投稿です。
「どうするの?」
「交渉する」
双葉は僕を背に隠して、王の装束に身を包んだ自分自身と相対した。冷たい金の瞳が僕ら二人を見下ろしていた。
あの双葉の狙いは僕一人だ。現実世界の自分を傷つけたら、自分もまた存在できない。
「交渉の余地あるかな、これ」
「あれもわたしだ。あれの望みを一つ叶えてやったんだ。聞く耳くらいは持つ」
完全に殺しに来ているように見えるのだけど。
いや、しかし、殺すつもりならもう少しやりようはあるか。こちらが気づいていないタイミングで確実に仕留めてくるはずだ。白布の攻撃は威嚇射撃のようなものだった、のかも。当たりさえすれば十分に人の命を奪える鋭さだった。
「取引だ」
双葉は金の瞳を真っすぐ見据える。
問答無用で攻撃してくるかと身構えていたけれど、彼女は双葉の言葉を聞くことにしたらしい。認知上の双葉は、石畳を貫いた白布をしゅるりと引き戻し、高度を下げて床に足をつけた。
「お前もわたしなら、わたしに従え」
『認めぬ。偽物を排除し、真を取り戻す』
…ああ、そういうことか。双葉には資格があるから。
自分の心を自分の支配下に置く。完全に掌握し、外界と接する時の仮面とする。これは、その交渉だ。
パレスかペルソナかは、指向性の問題だ。世界を変えるか、自分を変えるか。どちらにせよ、力があるものにしか許されない。
「空席を作るなんて曖昧な方法で、取り戻せると本気で思っているのか。自分の意志でいなくなったものが、席が空いたくらいで戻ってくると?
別のものにすげ変わるだけだ。ここの一葉は、何度取り替えても本物にはならなかったぞ」
『道理だ。わたしの生み出すものすべて、真にはなり得ぬ』
金の瞳が閉じられる。
威圧感はそのまま、しかし確かに聞く耳は持ってくれた。曲がりなりにもこれは双葉。双葉の中にあるルールは共有しているようだ。
『しかして汝は真である。なれば何故、立ち止まる。
全てを盗り返せ。偽物の言葉が其程に重いか?』
「…そうだ。わたしには重い」
双葉はぐっと拳に力を込めた。その言葉を認めつつも引くつもりはないらしい。
「大切な人に危ないところへ行くなと言うのは当たり前だ。好きだから、いなくならないでほしい。ひどい目に遭わないでほしい。
その祈りを踏みにじるのが、軽い行為であっていいはずがない」
『笑わせるな。そのような欺瞞が、わたしに通用すると思ったか
裏切りは生じる。現にお前はここにいる。隠れ家で震えていればいいものを、この場所に足を踏み入れている』
認知上の双葉の髪が不可視のエネルギーによってはためく。明確に怒っている。
この双葉は嘘や誤魔化しを許さないらしい。本物の双葉以上に。
『お前は、我欲にのみ突き動かされる。今は我を従えんとする欲に。幻の言葉など何の枷にもならない』
「わたしが自分勝手なことくらい、知ってる。
パレスを…自分の弱さをうまく使おうだなんて傲慢だった。すぐに御しきれなくなって、また怪物を生んでしまう」
弱い心は何度挫いても、また形を取る。スフィンクスの姿を失ったら、副葬品へ、そして認知上の双葉を動かす力として。
断ち切るには、完全に支配下に置くしか方法はない。
「だから、お前を連れてわたしは進む」
『欺瞞だな。
真を映す目を持ちながら、お前は欲望のままに幻影の道を選ばんとする。これが歪みでなくて何だ。
…もう良い。これ以上、お前と交わす言の葉は持たぬ』
地につけていた足が離れ、認知上の双葉は再び僕らを見下ろした。
彼女が内包する力が膨れ上がる。その刃先はすべてこちらに向いていた。本能的に危機を察知したのか、皮膚がピリピリして、知らず息があがっている。
血のように赤いオーラを纏った女王は、厳かに宣言する。
『我は影、真なる我。
我が望みは、この手で掴み取ろう』
立っていられないくらいの揺れが起きて、双葉と二人蹲った。砂粒が肩に落ちてくる。
遺跡を構成する石材の表面には緑の筋が幾つも浮かび上がり、それぞれ石を持っているかのように組み替わっていく。
「思いっきり交渉決裂してるけど…! この後は?」
「ノープラン」
「嘘でしょっ!?」
ボス戦ステージが出来る流れだ、進◯ゼミでやった。6月くらいに!
石材の組み換えはあっという間に終わった。パレス内で久しぶりに見た空は、無数の星が瞬く夜空へと変わっていた。月明かりと緑の光だけが辺りを照らしている。
組み上がった石材は僕らの居るところを中心に4方向に伸びている。対角線上の2方向はやや広く、もう2方向は細長い。
「…鳥だ」
極めて平面的で図に起こしたような、鳥だ。ナスカの地上絵、という文字列が頭をよぎった。
もうエジプト関係ないじゃないか。
それっぽい古代文明なら何でもアリか。
ゲームやSFでは、しばしば両者は繋がりのあるものとして描写される。単に混同されていたり、宇宙人との接触を証明したりするために。
双葉の内面が実体化する認知世界では、古代文明というだけで両者の間に境はないのかもしれない。あって欲しかった。だって、
「飛、んでる…!」
「当然だ。枷がなくなったわたしは“もっと、遠くに行ける”から」
「そんな物理的な話なの!?」
自由=鳥だなんて、発想が貧困過ぎやしないだろうか。地面がぐんぐんと離れていく。
飛ぶなよ。なんか光ってるとはいえ、石の塊だろ。
王の間には、この世界を形作る数字の群れが浮かび上がっているように、物理法則はパレス内では必ずしも成立しない。
認知上の双葉は、更に高く浮かび上がる。
姿は変わらない。双葉に成り代わるのに、その姿を捨てるはずもない。
彼女は片手を上げ、こちらに掌を向けた。妖精が愛用する呪殺のエネルギーが収束していく。
『さて、どうする?
我を穿つ大弓は此処にはないぞ』
力の奔流が僕らを包む
「させないっ!」
寸前、弾かれた。
鉄の装甲、エンジンの唸り声。女教皇の名を持つペルソナが彼女の前に身を滑りこませた。
「下がって!」
遅れてやってきた怪盗団のメンバーたちも、僕らの前に立った。
ここまで近づいていたのに気づかなかった。黒と赤の戦装束に身を包んだ彼らは、完全に夜に溶け込んでいた。
(…あ、なんか大丈夫だ)
この人たちが来たなら、何とかなる。
僕らとの戦力差がどのくらいとか、呪殺が一発でも当たったら死ぬとか、頭の中にあった全てのことが一旦リセットされた。
こんな状況で気が抜けるのは不味いとは思うのだけど。
『人の手を借りねばならぬとは無様だな』
「信じて任せる勇気もないだけだろ。ボッチ乙」
呪いが飛んできた。
「挑発しない! あいつ顔真っ赤だから」
「つ鏡」
追加の呪いをすんでのところで避ける。危なかった。
安全圏に入ったと思った瞬間に、ネットのノリでレスバを始めてはいけない。
「踊れ、カルメン!」
火炎に包まれた人影は微動だにしない。やがて炎が消え去った後、変わらず宙に浮かぶ彼女の衣には燃え跡はおろかすす汚れの一つもない。
「次、フォックス」
「女性に攻撃するのは気が進まないな」
「んなこと気にしてる場合かっ!」
彼らは次々と攻撃を放っていく。ああ、弱点を探しているのか。しかし、これといって痛手を受けた様子はない。
『風もダメだ! こいつ、攻撃が全然効かないぞ』
「作戦変更。戦闘を長引かせて、可能な限り引きつけましょう」
黒猫の攻撃を最後にして、彼らは散開する。認知上の双葉を囲んで、代わる代わる攻撃を加えはじめた。
「一葉」
そんな中、雨宮先輩が僕のそばに来ていた。音もなく近づいてくるの、心臓に悪いからやめてほしい。
「これを」
先輩は仮面を手渡すと、身を翻して戦闘の輪に戻っていった。
…これはリャナンシーだ。
形こそ変わっているけれど、契約の結びつきを感じる。受け取ったそれは何の反応も見せず、手のなかに収まっている。
「封印が解けてない。貸して」
何の逡巡もなく、双葉は仮面に手を伸ばした。双葉の指先が触れた瞬間、仮面に小さなヒビが入る。
「えっと…いいの? せっかく封じたのに」
「いい。覚悟が決まったから」
ヒビは徐々に大きくなり、やがて仮面は真っ二つになった。
中に閉じ込められていた妖精は再び形を取った。こちらの姿を認めると、妖艶な笑みを浮かべた。
『…久しぶり、になるのかしら。でもあなた、全然変わっていないのね。仕方ないわ、また私が守ってあげる』
リャナンシーの指先がバチバチと帯電する。
『ナルカミ!』
それは守りを貫通する雷撃だ。絶大な威力を発揮する。いくら守りが堅くても、突破できる。
…しかし、彼女は火傷一つ負わなかった。
「やっぱり、実体じゃない」
双葉はぽつりと呟いた。
「我を穿つ大弓はないとあのわたしは言った。でも、わたし一人を殺すのにバリスタはオーバーだ」
「つまり?」
「…鳥だ。この鳥を落とす」
双葉はしゃがみ込んで、石材に無数に走る光の筋を指でなぞった。筋は脈打つように時折強く光を放つ。
「それぞれのブロックは光の線を伝って通信している、と思う。CPUがどこかにあるはずだ。配線を調べる」
双葉は石材の線を辿って走り始めた。こちらの双葉の金の瞳がその姿を追いかけている。呪いが放たれる。
「リャナンシー!」
『世話が焼けるわね』
妖精は身代わりに攻撃を受けた。守りの技など、この妖精は持っていない。
『吸血』
受けた分だけ補給すればいい、とばかりに妖精は攻撃を仕掛けた。幻には効果がないと思ったが、その照準は足元に向けられていた。妖精の傷が直っていく。
『あら。吸った分だけ元通りになるのね』
「わあ永久機関」
本当に永久かは分からないけど、ギミックボスはギミックを使って倒さないと苦労するものだ。
やがて双葉はある一点で立ち止まる。鳥の頭の部分。頭にあたる部分に頭脳を置くなよ、とは思ったが認知世界は見た目にかなりの影響を受けるものだ。脳を脳以外の場所に置くのは難しかったのだろう。分かりやすくていい。
「ここだ」
「やって!」
『ええ。ナルカミ…!』
雷撃が石材を貫くと、その外皮がボロボロと崩れていく。中には緑色に発光する立方体があった。0と1の数字の羅列が面をびっしりと埋めていた。
「まずはアレの無敵化を解く。ついでに紙装甲にしてやる」
双葉の指が数字に触れると0と1が切り替わる。書き換えはすぐに完了した。
攻撃が通るようになったらしく、怪盗団の戦闘は再び攻めを中心としたものに変わったようだ。
「次、翼の動力。全部落とす」
これもまた、すぐに完了した。
正常に動かすのは難しく、破壊するのは簡単。これは現実世界のプログラムと同様、そうした類のものだったらしい。
がくんと振動が発生して、床が傾きはじめる。
「落ちる前に、わたしを回収する」
鳥の胸付近。中央部に戻ると、決着はほとんど付いていた。
あれほど強力だったこちらの双葉は力なく地面に蹲っていた。
「助けてくれて、ありがとう…ございます」
双葉は怪盗団にペコリと礼をする。
いつも怯えて隠れている双葉の姿からは想像できなかった行動だったのだろう、怪盗団の面々は呆気にとられている。そんな彼らを尻目に、双葉は認知世界の自分自身の前に立った。
「わたしはお前を従えて、メメントスに行く。一葉と一緒に。そのための力を寄越せ」
石材にへたり込んだ女王は、金の瞳で双葉を見上げる。その瞳にはもう何の力も宿っていない。
『いいのか? わたしがお前のもとに還れば
、お前は“改心”するだろう』
「分かっている」
『わたしを切り離したままでいれば、お前は心穏やかに一葉と暮らせるのだぞ』
「そうかもしれない。でも、もう平気だ」
虚勢だ。双葉の足は震えていた。
『…人間らしくなったものだ』
「褒め言葉として受け取るぞ」
認知世界の双葉は嘆息する。
彼女は光に包まれて、自らを仮面の形へと変えた。あるべき場所に戻るように、仮面は双葉の顔を隠した。
「っ、…ぐっ……!」
双葉は顔に貼り付いた仮面を引き剥がす。
『我は汝、汝は我…。禁断の叡智は開かれた。いかなる謎も幻も、惑わぬお前の糧となろう』
「で、双葉、どうやって帰るの?」
「さあ」
さあって。
石の塊が飛ぶはずもない。動力を失った今、石の鳥は自由落下を始めていた。体が宙に浮く。バラバラになった石材のすき間から見える地面はみるみる内に近づいていっている。
「あ、でも何かいけそう」
「いけるって何が!?」
同じく落下中の双葉が何かを思いついたというように手を打った。
「ネクロノミコン!」
それは未確認な飛行物体だった。
“飛行”物体だった。
「ええい、全員回収…! しかるのち脱出する!」
ロボットアームだの謎の光だので、落下中のメンバーが回収されていく。中に入れるスペースはないらしく、皿に乗せるみたいに次々と盛り付けられた。
「一葉も…あっ」
「えっ…?」
スカッとアームが空振りした。
いや、空振りしたというか、今何かアームが光ったような…。最悪リャナンシーがいるから何とかなる、何とかなるのだが……。しかし、いつの間にか妖精はいなくなっていた。この肝心な時に!
一瞬でUFOの回収圏外に落ちてしまった。地面がすぐ近くに迫って
気づいたら、暗い空間にいた。
深い穴の底のような場所だ。辺りには使い物にならなそうな割れた壺や欠けた人形が散らばっている。ここにはきっと不要なものしかない。そう直感した。掃き溜め、という言葉が頭に浮かぶ。
上からのかすかな光を受ける場所に、鶴はいた。
小さな頃の双葉に見える。栗色の長い髪。いつも側にあって、幼い頃に見慣れた顔。こちらと目が合うと、にこりと微笑む。
違う、この頃の双葉はこんなことしない。
「双葉じゃないね」
『うん。ぼくは一葉だ』
本物ではないにしろ母があったように、双葉のパレスには失ったものも存在するらしい。
死者は思い出の中で生きるなんて言葉を字義通り受け止めたのだろうか。…流石に今の双葉はそこまで純真ではないか。居ると確信して、自分を騙したとき本当に現れるか確かめていた、とかその辺りな気がする。
例えば、本物は何をどのように考えているのか知るために。
『わっ、発言の順番を間違えたかな。ここでは双葉ってことにしないと、すぐに消えちゃうんだ。でも、間に合う』
にこにこと微笑む彼の体が末端から少しづつ解けていく。緑色の光へと変えられているようだ。
『引き留めてごめんね。知っていることは伝えておいたほうがいいと思って』
こちらの僕がこの僕の知らないことを知っていたように、双葉のフィルターを通している以上、多少のズレは出る。
とはいえ、そのことくらい“お兄ちゃん”が把握していないとは思えない。
『メメントスにはぼくがいる』
「いなくなったんじゃ…?」
『名前、影、生命力、魂、肉体。人を構成する要素は細分化できる』
以前、こちらの僕が言っていたようなことだ。
名前と肉体はこの僕として戻ってきた。肉体を動かす力として生命力、気力としての魂も同様だろう。
しかし、認知世界の自分自身…影だけは残っている。
『このぼくは、同一存在として彼の内部情報を参照しようと試みた。すぐに弾かれたし、二度は入れなかったけどね』
「ごめん、想像よりもやることやってたな…」
魂に不正アクセスとかできたのか。
それがアリなら、人間をゲームのキャラクターみたいに意のままに操作するとかもできたりして。
『そこで分かったこともある』
双葉には内緒だよ、と小さな僕は前置きした。
『きっとぼくはどちらでもいい。人間のことは好き、仕掛けには妖精が要る』
「?」
『それだけ。またね』
細かな意味を聞く前に、彼は消えてしまった。そこには、はじめから誰もいなかったかのように風化した物たちだけが残されていた。
遺跡の鳴動は止まらない。メメントスに落ちていきそうな感覚に抵抗する。もう、3回目だ。みすみす落ちてたまるか。
崩落するパレスに押し流されそうになるのを堪えて目をつむる。ここは自宅だ。目を開けたら、自分の部屋に出るに決まっている。
奇跡的に道を繋げられた感覚があって、故郷に遡上する魚のように現実世界へと復帰した。
双葉には幽霊でも見たかのような反応をされた。
ついでに蹴られた。蹴った足をしばらく見て、物理攻撃が当たるということは実在する人間だと理解したらしい。だって透けてたから、などと謎の言い訳が返ってきた。
「もう一葉はパレスに入るの禁止。危なすぎ」
「そんな予定ないって」
「どうだか」
信用がない。
今回のはうっかりというより、あっちの小さな僕に引き留められたからなのだが、弁解を聞き入れる余力は今の双葉にはなさそうだ。…まあいいか。
前回の件から渋谷コースだと思われていたらしく、駅に向かっていた怪盗団を止めてもらう必要があった。なんか申し訳ない。
「そういえば、オタカラは?」
「盗り忘れた。でももうパレスはないから、大丈夫」
「ええ…結局なんだったの?」
「内緒」
名前、影、生命力、魂、肉体。どこから出てきた話なのだろう。
気になったので落ち着いたタイミングで調べてみると、名前、影、生命力、魂、肉体の5つが古代エジプトにおいて人を構成する要素なのだという。馴染みがなさ過ぎる概念だ。
「ね、双葉。人って何で出来ているか知ってる?」
「うん? 水35L、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰1.5㎏、リン800g…」
「それ足りないやつ」
「魂的なことを言いたいのか?」
少なくとも、名前や影は真っ先に浮かぶワードではないらしい。
「名前、影、生命力、魂、肉体」
「なんだそれ」
知らなかったらしい。聞いたことあると言われるかと思っていたけれど。
パレスは主人が持ち得ない情報を一般常識から補完することもあるのだろうか。
例えば、鴨志田先生が一国一城の主として城の構造や装飾、兵隊の扱い方などの全てを把握していた…とは思えない。パレスを成立させるために、ある程度メメントスからの補助を受けていると考えていいのかも。
集合知ってやつだ。東京にはこんなに多くの人がいるのだから、誰かは知っているだろう。
逆に言えば、メメントスから本人に足りない知識を吸い上げる過程で、本物の情報を引き上げる可能性もある。記憶の葉は間違いなく本物の情報と言えそうだ。
だとしたら、いつの間にか持っていた一般常識も…いや、深く考えるのはよそう。それを言い出したら、どこまでが僕なのか分からなくなりそうだ。
変な顔をしていたみたいだ。双葉は首をかしげる。
「落っこちた時に不具合が出たか? うーん…困ったときは再起動だ。寝るぞ。わたしは眠い」
双葉はベッドにダイブした。同時に腕を回して、体重で僕を引き倒す。スプリングが軋んで重力過多に文句をつけた。
そして、双葉はほとんど気絶といっていいようなスピード感で寝息を立て始めた。
「えっ…えっ?」
僕も疲れていたのもあって、抜け出すこともできずにそのまま寝てしまったのを、恐らく佐倉さんに見られた。
一葉の読みですが、私は一葉という文字列として捉えているので音は問いません。何を当てても正解です。 気になるのであれば決めましょう。投票で多かったのが公式見解ということで、よろしくお願いします
-
カズハ
-
ヒトハ
-
イチヨウ
-
その他(感想へ)