NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。 作:柚子ゴル
僕は死んだ。
僕は身体が弱く病気で死んでしまった。
でも別に病院生活には不満はなかった。
外の世界や運動など思いっきりしてみたかったけれど漫画やアニメを見るのも嫌いではなかったし両親が愛してくれていたのもわかっていたから。
死ぬ時は、自分でなんとなくわかるものでああ…自分後少しで死ぬなぁということがわかった。
体力がどんどんなくなり思考能力が下がっていく。
別に未練なんてなかった。
いや、一つだけあった。
それはもうすぐ生まれてくるはずだった弟の顔を見れないこと。
母は僕が病院生活をしている頃身ごもっていた。
母は徐々に僕の病室にいる時間がなくなっていき父は母が心配だからとすぐに帰った。
正直寂しかった。
ずっと病院生活で同い年の子は周りにいなく友達がいなかった。
その分アニメや漫画で寂しさを紛らわせた。
母や父は僕に寂しい想いをさせてごめんねと僕にいった。
けれど心配かけたくなくて強がって大丈夫、頑張ってねと無理矢理笑顔を作り言った。
母さんいなくならないで、そんな子にばっかり構わないで…と思ってしまっている自分が嫌で嫉妬心や焦燥感をまだ顔もわからない弟に感じてしまっている自分がもっと嫌だった。
だけど両親の喜ぶ顔や弟のお腹のエコーを見るうちに僕もどんどん楽しみになっていた。
母のお腹が大きくなるにつれ弟の話題で持ちきりになりまだかなーまだかなーとソワソワしていた。
けれど僕は弟の顔を見る前に死んでしまったため結局弟には会えなかった。
ゆっくり瞼を閉じる。
目の前が真っ暗になり泣きついていた母や涙をこらえる父はもう見えない。
そして一瞬力がなくなり浮遊間に襲われるとどっと重力が体にかかった気がした。
思わず目を開けるとそこには全く見覚えのない世界が広がっていた。
知らない女の人に自分は抱かれ視界のはしにはボヤけて嬉しそうに笑顔を見せている男の人が見える。
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暫くしてわかったことは此処はNARUTOの世界。
そして自分はきっと転生トリップをしてしまったのだろう。
普通に考えて信じられないが痛みの感覚や新鮮な空気。このリアルすぎる景色など到底夢とは思えなかった。
NARUTOは病院生活の中でよく見ていた作品で大好きだったものの一つ。
けれど、トリップなんて嬉しくなかった。喜べるはずなかった。
僕は木の葉の名門奈良家の長女として生まれ僕はもともと男なのにも関わらず女になってしまったのだ。しかもこの忍びの世界で死亡フラグが沢山立つ中喜べないのも仕方ない。
あまり感情表現を出さない僕を心配している両親を横目に僕はただぼーっとしている生人形に変わった。毎日がつまらなくいやいや長女として修行をさせられる毎日に嫌気がさしていた。
けれど状況は一変し母に弟が出来た。どうやら神様は僕の最後の願いを叶えてくれたらしい。
僕は楽しみになり毎日がきらめいていた。修行も弟を守れるよう自分から今まで以上にちゃんとやったし奈良家はじまって以来の天才としてもてはやされた。でもそんなことはどうでもよくて母のお腹にいつも手を当ててニコニコしていた。
そして母は弟を産んだ。
僕はすぐにシカマルの所に駆け寄り近くで見ると猿みたいなしわくちゃな顔が印象的だった。
だけれど凄く可愛くて愛おしくてなんとも表現し難い感情が体を支配した。
名前を何度も呼びながら手を近づける。すると僕の愛おしい弟は僕の指をしっかりと握った。
赤ちゃんが近くにあるものを握るのは別に意図的に何かを考えていたとかではなく弟にとってはなんとでもないことだったのだろう。
が、僕にとってはまるで此処にいて欲しいと必要とされているみたいに感じた。自分はイレギュラーの存在でどうしようもなく虚無感があった毎日に弟が必要としてくれている。
僕は思わず泣いてしまった。
このどうしようもない程湧き出てくる感情を表現し難い感情が涙として外に流れていく。
なかなか泣かない僕が泣いているのを見て両親は驚きの余り固まっているのを感じながら弟に話かける。
「僕はさ、君を守るために生きていくよ。病気なんかしないでしっかり生きてね。ああ、でも安心して僕がしっかりと治してあげるから。どんな怪我や病気でも絶対絶対治すから。だからいつも笑って元気な子でいてね。」
僕は病気で死んでしまった。
本当はもっともっと生きていたかったし弟も見たかった。
漫画やアニメをみる度に外の世界への憧れは強くなってくるのに出られない絶望感を弟に与えたくなかった。
だから僕が治してあげる。
怪我や病気をしても僕が治せるように。
そのためには一杯勉強して医療忍者になり尚且つ戦える忍びであることがベストだ。この世界でやるべき事も決まった。
「約束するよ。僕は君のために生きる。ね…、シカマル。」
シカマル 0歳
僕 6歳
僕が初めてこの世界で生きて来てよかったと思えた日。