NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。   作:柚子ゴル

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第十話

 

あたりには焼け焦げた肉の臭いが充満している。サスケは自分の目で人が原型を失っていくのを全て見てしまった。

それは今まで見てきた中で最も醜く最もおぞましく恐ろしいもので初めての体験に例えようもない衝撃を受けた。辺りは悲惨な状況で昔見た絵本の地獄絵図ですらこちらの方が勝っている様子だ。

しっかりとこの目で人が内側から爆発するのを見てしまった。いつのまにかナルトは前にいなく自分が一番の再不斬に近くにいる。ここからみるに再不斬はまだ生きている。あれだけの爆発にあいながらも五体満足で生きているのは流石カカシを倒したことはある。浅い呼吸を繰り返し寝そべっていた。浅い呼吸と言っても自分もだ。目の前に敵がいるのにも関わらずただ突っ立ち浅い呼吸を繰り返す。自分は何故ここにいるのだろうか、と考えてしまう程今のこの状況から逃げ出したかった。

これが忍びの戦いなのか。

素直に自分には無理だと、サスケは思った。イタチはいつもこのようなことに耐えていたのだろうか。まだ自分の年よりも幼かった頃のイタチは時代が悪かったしきっともっと残酷なものも沢山見てきただろう。ふと懐かしい優しかった頃のイタチを思い出す。何故こんな時に思い出すのかはわからない。まだ自分は兄に未練を持っているのだろうか。いつかみたあの兄は本当の兄ではなく別の何かと考えたくなる。だが現実はイタチがうちは一族を殺したのだ。

だけど最後に見た涙を流していたイタチに違和感が芽生える。

それは自分がそうであってほしいと考える願望か実際そうなのか、サスケはもうわからなくなってしまった。ただ言えるのは今どうしようもなくイタチに会いたいということだ。殺す…とかそんなのは今考えてはいなかった。抱きしめて欲しい。ただ純粋に話をしたい。イタチにまた頭を撫でて欲しい。

優しかった頃の自分の兄が蘇りあんなにも憎かったイタチは思い出さない。

虚ろな目のままサスケはいまだにじっと再不斬を見つめていた。

 

マサキの発言から暫くは沈黙で急にナルトが呟いた。

いきなりのことに驚きながらサスケもゆったりとそちらを見やった。

 

「タズナのおっさんは…結局どうなったんだよ。」

 

か細く小さな声は震えていた。

だけれどシンと静まりかえった場所ではよく聞こえた。

 

「結局タズナのおっさんは死んだのか?!お前が殺したのか?!マサキ!!おい!答えろってば!そもそも…お前が…、お前がもっとはやく動けば…。あの時…再不斬にタズナのおっさんが連れていかれた時に…。俺を助けたみたいに動けば…。タズナのおっさんは…助けられたんじゃねーのかよ?!」

 

ナルトの声がやけに響く。

いつもは煩わしく思う声だが今はもっと言え…と思っていた。ナルトの言う通りこいつが動けば…。

俺がイタチに対してのこんな想いをせずにすんでいたのに…!

 

「ナルト…。今、それはいいよ。

それよりも…再不斬をどうするか…でしょ?」

 

「よくねーよ!!タズナのおっさんが…もしお前みたいなやつに利用されただけなら俺は…お前を絶対許さねー!!」

 

今まで笑顔を浮かべていたマサキは一瞬で無表情になった。

あまりにいきなりのことでその無機質な目が、何を考えているのかわからないそんな目が…恐ろしくてナルトは少しビクつく。

 

「いんだよ。ナルト。後で考えろ。

だいたいもしも僕がタズナを利用して殺したとしてもお前が許さないからなんだっていうんだ。

第七班全滅よりはいいだろ?

 

それよりも再不斬って言ってんだ。あいつの仲間がこの付近にいたら面倒だ。今のうちに殺しておいた方がいい。」

 

殺す…単純になんて簡単に言うんだろうかこの男は…。

サスケは再不斬に改めて目を向ける。これからマサキに殺されるであろう再不斬に少し哀れんだ。

先程まで自分達が殺されそうになっていたのにいつの間にかそんなことを思えるほど心に余裕が出来た。…訳ではない。

ただ現実と向き合いたくないだけで心に余裕なんてない。

いつまでも再不斬の元に行かないマサキに痺れを切らしそちらを見る。するとマサキもこちらを見ていてバッチリ目があってしまった。あの無機質な目が色を帯びることはなく笑顔になっていく。目をそらしたいのに逸らせない。

 

 

「ねぇ…サスケ。

再不斬殺してきてよ。」

 

 

ーーーーーーーー

 

今俺は再不斬が横たわっている隣に立ち僅かな息しかしていなく意識がない再不斬を上から見下ろしていた。

額からは嫌な汗が流れ苦無をもつ手が震える。

体の内側はあり得ない程熱を帯びているのに頭の中は嫌に冷えていた。

再不斬を俺が殺す…?

少し離れた所にいるマサキはこちらを伺って相変わらず気持ち悪い笑みを浮かべている。

 

俺は再不斬の、上忍の殺気が怖かった。自分で自分の首をかっ切りたい衝動に駆られるほど。

だけどこのマサキという人物はもう存在だけで異質だ。上忍の殺気よりも怖い。マサキは自分自身の死を選ばせてなどくれない。

自殺などしようとしてもまたあの気味の悪い笑顔で止めにくるに違いない。だけど…俺は…。本当にここでこいつを殺してしまっていいのだろうか…。わからない。

わからないんだ。

 

 

「サスケ…。遅いよ。いつまでそんなダラダラしてるの?

今の再不斬を殺す…なんて簡単だろ?無抵抗の相手なんだから。

君はさ、復讐者なんでしょ?いずれ人を殺す時がきてしまうよ。

それが今である必要はないけどね?僕は早ければ早い程いいと思うんだ。もし、人を殺す必要がきた時にそんなに戸惑ってたら相手の敵さんにもれなく殺されるよ。

さぁ、サスケ。君のその復讐への覚悟が本当なら僕に見せてよ。君の本気を…。」

 

いかにも俺の意志でやれと言っているように聞こえるがそんなものは形だけだ。そもそも逆らえる訳がない。それにやつの言う通り俺は復讐者。いつか必ず人を殺す日がくる。ならば、やるしか…ないのか。

 

「やって…やる……。」

 

声に出せば覚悟がきまる。

あんなに震えていた手も今でははっきりと苦無を握れた。

再不斬を見る。

ゆっくりと再不斬の心臓に向かい苦無を向ける。後は振り下ろすだけ。ナルトとサクラ、カカシが息を飲んで見守る。

サスケはゆっくりと苦無を刺していく。

さくり…とでも音がなるのではないかというほど苦無はゆっくりと沈んだ。そしてそこの傷口から血が出ると同時にサスケは飛び退いた。

まだ再不斬が息をしているのに安心しながら汗が額を伝う。

 

「まだ、死んでないよ。サスケ。」

 

慈悲に満ちた顔で言うマサキに手が震える。

何も見ていたくはなくて下をみるとまるで自分を嘲笑うように見てくる一つの視線があった。

それは…目玉。

おそらく自分が守るべき対象であったはずの目玉がじっとこちらを見てきた。

きっと爆風でここに飛ばされてきたのだろう。喉から何か逆流してくる感覚が起きた。思わずそこに膝をつき嘔吐してしまった。息が整わない。情けなくも涙目になる。だが最後の意地でなんとか涙は流さないようにする。

そして無意識に出てしまった言葉は…

 

 

「助けて…兄さん……。」

 

 

自分にだけしか聞こえない声。

自分にだけしかわからないこの気持ち。イタチが憎かった。復讐したいほどに殺してしまいたいほどに。

だけど所詮口だけだった。本当は殺す覚悟なんてなかった。

未だにイタチが何故一族を滅ぼしたのかわからない。一族を滅ぼす前の兄さんが嘘だとは到底思えない。そもそもイタチが強いといってもうちは一族を全員殺すのは無理だ。兄さん俺は…

 

まだあんたを信じたい。あの優しかった兄さんを。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「ちょっと、マサキ!サスケくんに再不斬を殺させようとするなんて…あんまりよ!あんた何考えてんのよ!」

 

「そうだってばよ!

もう決着はついてるだろ!

そこまでする必要があるのか?!」

 

サクラとナルトが何かを訴えている。頭が回らない。時間が欲しい。早くこの戦いが終わって欲しい。

マサキは俺をチラッと見た後あからさまに溜息を吐いた。

 

「必要がある…?ははっ…甘いよ。甘すぎる。敵を一人でもいかしておくと後々面倒ってことがわからないわけじゃないよね?僕たちは忍びだ。人を…殺さないとでも思ってたの?そもそもこのランクの任務を望んだのはナルト。君だよ。」

 

ビクっと肩が揺れるナルト。

目にはいつもの生気があるようには見えない。もう訳がわからないのだろう。サスケも意味がわからないでいた。

 

「だから、僕はまだ早いって言ったんだ。君達にはまだこんな現実を突きつけるのは厳しいんじゃないかって。下忍はDランクの任務に慣れる時期なのに。こんな任務をするなんて…ね。

 

ねぇ、君達は忍びに何を求めていたの?優越感?報酬?ある程度の地位?それとも…名誉?

君達はきっと夢を見ていたんだろうね。自分には輝かしい未来が待っていると。勝手に確信していた?

でもね、現実はそうじゃない。仲間の無残な死を見届けて時には自分を信用してくれていた相手を裏切りどん底に落としたり自ら敵の惨い死を望み実行する。忍びになるとさ、自分が思っている以上のクズに成り下がらなければいけない時が必ずくる。

 

それでも僕が忍びでいるのは…

 

大切な人を守るためだ。

その人の為に生きてその人の為に死ぬのが僕の夢。

だからどれだけ僕が汚くクズな野郎に成り下がろうとも、

その人が笑顔であり続けるのならば僕はより強くなることを望み自分を精進しつづける。

 

忍びって残虐にならなければならないし上手く感情をコントロールしなくちゃならない。甘い判断をするとね…?自分の首を絞めるどころかその大切な人まで傷つけかねないんだよ。

 

もし今守りたいものが、自分が知りたいことが、他人に認めて貰いたいとか、君等には色んな感情があるだろう。それらを叶えたいと思うなら戦え。

お前等みたいな中途半端な覚悟や力の弱さじゃ何も得ないし失うだけだ。」

 

 

辺りは静まりかえっている。

それぞれ考えているのだろう。

サスケはイタチが一族を殺した理由を知りたい。ナルトは大切な人を守り皆に認めてもらいたい。サクラはサスケに認めてほしい。

皆がみな忍びの覚悟だなんて決めていなかった。人を殺す事など考えていなかった。アカデミーの教科書に何でもないように書かれていた暗殺の文字を何の実感もなく暗記し聞き流した。ドベのナルトは勿論のこと、成績優秀なサクラやアカデミーで天才と言われていたサスケとて忍びの本質なんてわかっていなかった。そんな自分達がマサキに向かい忍びをわかった風に語り忍びやめれば?などと良く言えたものだ。しかし、マサキだって自分達と同じ下忍のはずだ。なのに何故こんなにも冷静でこんなにも忍びのことを話せるのだろうか。三人が同時に疑問に思った。しかし聞く事ができない。今マサキを見る事が何故か出来なかった。

 

マサキはそんな三人を興味無さげに見てから大声を出した。

 

「再不斬の追い忍さーん!

再不斬もう虫の息だから貰っちゃってくださーい!!」

 

そう叫んだ瞬間、再不斬の元に一つの影が落ちた。

 

その子の見た目はナルトとなんら変わらない年ぐらいの子供。

霧の国の額当てをしており抜け人狩りの仮面をつけている。

その子はマサキを数秒ジッと見つめると静かに声を出し再不斬共々去っていった。

 

「ありがとうございます。

僕はずっと再不斬を殺す機会を伺っていました。再不斬を殺す為に来た追い忍です。

何かと秘密の多い体なので…。

持ち帰ります。

それでは。」

 

 

去り際追忍がマサキに殺気を送ったのはマサキ自身にしかわからない。

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