NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。   作:柚子ゴル

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番外編 イタチSIDE

 

 

奈良シカミを初めて実際に見たのは中忍試験の時だった。

自分の一つ上で、その上の世代でも優秀と言われる奈良シカミ。

噂は一人歩きを続けそれも本当か、嘘かわからない頃に出会った。

噂とは奈良家始まって以来の天才児とは名ばかりで実際は奈良家始まって以来の変態など、どういう意味かわからないものも多かった。

変態と呼ばれる由縁は、どうやら弟を溺愛しているらしい。

しかし、それを言うならば自分だって弟が大好きであるし、何故変態呼ばわりされているのかわからなかった。

中忍試験で一対一の試合で、奈良シカミの相手方がシカマルに変化しなければ。

 

 

奈良シカミがシカマルにめっぽう弱い事を知っていた相手方は、これ幸いとシカマルに変化した。

愛する相手に攻撃など出来ないと考えた相手方は、ニヤリと口角をあげる。

これでこの試合は自分の物だと確信しているように見える。

しかし、相手方は知らなかった。

奈良シカミを。

奈良シカミは皆が想像を絶する程の人物だということを。

奈良シカミは相手方を、容赦無く殴りつけ顔が地面に減り込んだ。

そしてやはり、容赦無くめり込んでいる頭に向かって蹴りを炸裂させる。

チャクラをコントロールし、足にチャクラを集中させ、馬鹿力で、それはもう殺す勢いで足を振り上げる。が、相手方は急いで地面から顔を抜き、奈良シカミから距離を取る。

相手方は自分の作戦が失敗し、呆然としている。

そんな奈良シカミを見て、やはり変態というのは間違いだと思った。

何故なら、弟か、弟ではないかを冷静に判断し相手の隙をつき攻撃を加えた。

そういえば、奈良シカミは下忍でありながらも殺しをした事があると聞いた事がある。重要な巻物を奪う任務にて、優秀な上忍や、中忍がいる中、たった一人で帰り、巻物を見事火影に渡した人物である。

変態などではなく、実力は確かとイタチは思った。

 

しかし、それは検討違いだった。

奈良シカミは、予想を超える実力と、自身の弟、シカマルへの愛をこの試験で皆に印象付けた。

 

向かい合いながらも、相手の出方を見ている敵とは対照にシカミは楽な体勢で手を震わせていた。

敵はそれを見て、自分は間違えていなかったのだと歓喜に心を震わせる。

 

「なんだよ…。やっぱり大好きな弟を殴って嫌だったんじゃねーか!見栄はりやがって…!ほら、殴ってみろよ…っ‼︎」

 

相手はシカミを煽る。

しかし、シカミの表情を見るや否やピタリとその動作を止めた。

シカミはゆっくりと敵の前へと進む。

 

「僕の弟?ねぇ…それ本気で言ってんの?

僕の弟はねぇ…もっと…もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっとずっと…」

 

 

そう言いながらも歩くペースをあげる。

相手はまだ動けないでいるとあっという間に距離は数センチ。

そしてシカミは相手に顔を近づけ耳元でボソリと言った。

 

「素晴らしいんだよ。」

 

その言葉自体は怖くはないが、重みが凄まじい。その一言に殺気をなじませ話すシカミに敵わないと思ったのか、相手はすぐさま手を挙げ参ったと言おうとする。

 

「まいっ「そもそもね、」

 

しかし、それをシカミが許すはずがない。参ったという言葉渡り、未だに言葉を続ける。

 

「変化の術、下手だよ君。

よくそれで中忍試験受けようと思ったね。馬鹿なの?馬鹿なんでしょ。

そんな馬鹿にいかに君が駄目か教えてあげるよ。」

 

すっと距離を置き、相手に向かって攻撃の構えをする。

そして足に力をいれ、一気に近づき足を思いっきり蹴る。

 

「ぐあっ…!」

 

「まずは足…!

そんな真っ直ぐ立っていない!

もっとゆったりとしてるしホワホワ感が足からも出ていて、それすらも可愛いんだよっ!あと、最近身長も伸びて僕が見た中では、0.08cm伸びてるっ!」

 

「いっ!」

 

「そして手…!

爪は後平均0.009cm長い!

そんなに見た目肌硬くもないしもっと柔かそうに輝いていて、そうまるで真珠の如き輝きなんだよっ!」

 

手を捻りあげ拘束したと思えば腹を蹴り上げ敵を中に浮かす。

敵はあまりの速さに身体が追いつかない。

 

「やめっ…!まいっ…!いっつ…!」

 

「それに顔っ!

シカマルはそんなに不細工じゃないし細かい所も全て違う!

全く違う!

眉毛も!睫毛も!髪も!目の形も!目の黒目の大きさも!唇の色や形も!鼻の形も!雰囲気やちょっとした仕草でさえ…!

全て違うんだぁああああ‼︎‼︎‼︎」

 

「うわあぁぁ‼︎‼︎」

 

駄目な箇所を言う度に殴りつけ、最後はやはり頭を蹴りつけ地面にめり込ませた。

地面が割れる音がして、辺りに煩わしい音が鳴り響く。

シカミの周りは砂がまい、よくは見えないが、敵は地面に刺さっている。

 

審判はそれを見て試合終了の合図をする。

 

「試合終了!勝者!奈良シカミ!」

 

「ふんっ、シカマルに変化するなんて随分と舐めた真似をする。

その下手な忍術からして、アカデミーからやり直したら?」

 

負けてもなお罵倒しつづけるシカミを見てイタチは、この女に近づかない方が安全だ…という認識を持ち、更に変態であるということがわかった。

 

 

 

 

 

関わりたくはないと思っていたのにも関わらずにはいられない忍びの任務。

とある任務で奈良シカミと同じ任務についてしまい会わなくてはならなかった。正直嫌で嫌で仕方なかったがこれは任務と割り切りまっとうした。

 

意外な事にこの奈良シカミ、任務はきちんとやっていて、任務中に弟の写真を見ていること以外では特に問題はなかった。

忍びとしての素質は充分あり、努力を惜しまず続ける彼女にマイナスイメージはなくなり、むしろ好感が持てた。

幾度と任務を共にすれば、慣れてきて、話す話題も増える。

いつの間にか、友人のような関係になっていた。

任務が終われば、行きつけの甘味処へ行き、団子を食べ、時にはこの間の任務はあーだった、こーだったと議論し、お互いの駄目な所を言い合った。最も、自分とシカミは弟の話ばかりをしていた。

どちらの弟がより可愛いか、何をしたか、どれほど愛しているかなんて…くだらないことを話していた。

自分は普段うちは一族の天才だなんだと言われ年齢の割に大人だと言われていた。それは期待という意味で嬉しくもあったが自分にはとても大きな重みだった。

だから、ただ何も考えず、自分の思っている事を口にし、冗談を言ったりくだらないことで議論したりできる場はとても大切な場所だった。

サスケに会いたいと言うので会わせれば、自分の弟の方が可愛いと言った。それに勿論反論する。そのやりとりすら楽しかった。

 

奈良シカミは、とても面白いやつでもあった。

自分でいうのもなんだが、自分はモテるらしい。自分と仲良くしている事で嫉妬の対象になっているのは知っていたがこの妙に心地良い関係を壊したくなかった。

しかし、それがよくなかったのか、ある日、数人の女子グループに連れて行かれるのを見た。

自分は後を追い、危なそうならすぐさま助ける気でいた。

グループの女の1人がシカミに話しかける。

 

「ちょっと…何イタチに色目使ってんのよ。このビッチ!」

 

「そうよ。そもそもあり得ないわ。あんたみたいな変態が…!イタチさんと仲良くなれるなんて…!」

 

シカミは俯いていた顔を挙げ、笑いの堪えられない顔で言った。

 

「はぁ?そんな関係な訳ないじゃん。

僕にはシカマルがいるのに。

何、あんたらあいつにお熱なわけ?

悪いけどイタチは弟にしか興味ないよ。知ってる?イタチの弟に対する愛情。あんたらがイタチに向けてる愛情とは比べ物にならないほど、熱いよ。

ま、それ以上の愛情を僕はシカマルに向けてるけどね!」

 

ニッコリと笑い、その場を後にするシカミを見て女子グループは開いた口が塞がらないようだった。

自分は自分で、シカミを心配すること自体無意味だと何故か笑いがこみ上げてきた、と同時に何故か胸がちくりと痛んだ。

 

そのあと、婚約者がうちは一族の中で決まり、それを父に告げられた後に何故かシカミに会いに行った。

婚約が決まったことを言えばシカミは驚いた顔をした後に、おめでとうと笑いかけてくれた。

それを見た瞬間胸が張り裂けそうなぐらい苦しくなり何故このようなことになるのかはわからなかったが、かなりイライラした。

ありがとうとボソリと呟いた後すぐさまその場を後にした。

 

あれからいろいろあり、自分が暗部部隊長になったのもあるが、忙しかった。忙しさを理由に酷くシカミの顔を見たくはなかった。いや、本当は会いたかったし、話したかった。

けれど、何かの感情が自分を邪魔する。

葛藤している間に時は流れ、とある事情で、サスケ以外のうちは一族を殺した。とある事情というには簡単すぎる言い方だがそこには深刻な事がいろいろあったとだけ言っておく。

知り合いを殺し、顔見知りを殺し、婚約者を殺し、罪無き小さな命まで奪い、そして両親を殺した。

木の葉を後にしなければならなくなり、震える手をしっかり握る。

サスケに会い、言いたくもない言葉を発し自分を恨ませる。

完璧である作戦に異端視があるとすればそれは奈良シカミだろう。

シカミは門の前に立っていて自分を待っていたような顔で話しかけてきた。

 

「どうしたの、そんな血だらけで。

どこ行くの。」

 

「……俺は肉親を殺してきた。

裏切ったんだよ。お前すらも俺は裏切る。邪魔をするならばお前とて殺す。」

 

「ふーん。」

 

「…それだけか?」

 

「いや、

身体、気をつけてね。

特に目。視力…大丈夫じゃないんでしょ。写輪眼。」

 

「…止めはしないのか?」

 

「僕はさ、知ってるんだ。

イタチがどういうやつなのか。

お疲れ様。頑張ったね。」

 

「っ?‼︎」

 

「また、シカマルの素晴らしさを語ろうね。」

 

驚いた顔をしたイタチは、次に自傷気味に笑った。

 

「俺がいつ語った?

俺はサスケに…

いや、やめよう。お前と話してると気が抜けるよ。」

 

「もっと別のやり方があっただろうに…本当馬鹿だよ。」

 

「嗚呼、俺は馬鹿さ。

だから……サスケの事よろしく頼むよ。俺はもうお前に頼む事しかできないから。」

 

「なぁ…また団子一緒に食べていっぱい話そう!絶対死ぬなよ!」

 

その返事は返ってくることはなく、イタチは肩を震わせながら、闇の中へと消えていった。

不思議と胸の痛みは消えていた。

 

 

 

 

 

(愛…ね。)

 

夜の森を駆け抜ける中、イタチは自分の残してきた弟、シカミの事を考えていた。

残してきた弟は心配には心配だが、木の葉のダンゾウには脅しをかけたし、大丈夫だ。

 

最後にシカミの姿を見れてよかったと心の底から思う。

今でも胸が騒ぐ。妙に身体が火照り、心拍数が高い。シカミの事が気になる。

人はこれを恋と呼ぶ。と、カカシ先輩が言っていた気がする。

カカシ先輩はシカミが大好きで、いつもデートなんかに誘っては断られていた。それに比べ自分とはすんなり約束をしてくれるため、なんだが優越感と同時に心が躍る気持ちだった。

昔、胸がムカムカしたのもこれで説明はつく。まるで眼中にないみたいな態度が嫌だった。婚約者が決まった時、おめでとうという言葉など聞きたくなかった。

 

(シカミの事をもしかしたら俺は…)

 

いや、考えるのはやめよう。

これ以上考えたって、次会うときは敵なのだから。

これ以上考えても無駄だ。

頭をふり、綺麗な月を見ながらただただ前に向かって走り続けた。

 

 

 

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