NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。 作:柚子ゴル
空也と出会ったのは忘れもしない初めて僕が人を殺した日だ。
巻物を奪う任務で、中忍がしくじり三人の敵の追忍がやってきた。
そのうちの2人は、強いと里中で噂の上忍が相手にして、1人は僕が相手にした。
ボロボロになりながらも、なんとか勝ち、上忍の命令でそいつに止めをさし、帰ろうとする所だ。
上忍が消失している僕に話しかける。
「追忍が他にも来るかもしれないから、さっさと里に戻る。
早く立て。」
「……。」
「おい。」
「……。」
「……動けない奴は殺すだけだ。
殺されたくなければ早く動け。」
「……。」
僕は無言のまま立ち上がる。
自分の命が惜しいと思った。
少年漫画の主人公の如く、カッコよく、生きたいと昔は思っていた。
少年漫画の主人公なら、きっと敵に情けをかけ、この冷酷な上忍さえ納得させてしまう事が出来るかもしれない。それこそ命がけで証明するとか、そんなことで。
でも、僕は命なんてかけれない。
そんな度胸なんかないし、なんて自分はカッコ悪いのだろう。
今殺した忍びにも大切なものがあったかもしれないのに…。
シカマルに恥のない人生、姉であるように、頑張るつもりだった。
それならば、人殺しなど、してはいけないのではないか?
自問自答をしても、もはや遅い。
この手に着いた真っ赤な血は、付着した液体を流しても、匂いは消えることはない。
感触やあの時の感情は色濃く、身体や頭にへばりつく。
そもそも、僕は今まで任務で嘘も平気で吐き、善人だって騙した。
正義のヒーローはそんな事はしない。
何もかも、ヒーローを名乗るには遅すぎた。
僕はもう、昔夢見たヒーローではなく、悪人なんだ。
そう思えば、どんな非道なことも出来る気がしたし、客観的に忍びを見れた気がした。
「忍びってとんだ汚れ仕事ですね。」
僕がそう呟けば、やけに素早く返事をしてきた。
「里を守るためだ。汚れ仕事などではない。」
僕はそうは思わない。
何故貴方は顔を真っ直ぐ此方へ向けないのか…。
「そう…思う事で自分を守ってるんだ…。」
「何だと…?」
不穏な空気になっているのはなんとなくわかっていた。
けれど一度開いた口はなかなか閉じはしない。
「本当は上忍もわかってるんだ。
忍びの仕事なんて夢で見たような仕事なんかじゃない。
木の葉を守るという名義にかけて、どんな非道な事でも許されている現状は明らかに可笑しいのに…!」
「黙れっ!」
僕に近づき、上忍は仮面に空いた穴から僕を睨みつけ、胸倉を掴む。
「僕は…僕は…
自分はそんなことをするために忍びになったんじゃない…!」
「うるさい!
どんな非道な事をしたとしても、それが木の葉を守る事になるならば、私は…。
私はどんなクズになろうとも構わない!次世代にこんな事をさせないためにも、私がやるんだ!
いつか誰かがやらなければならない。だから、私がやる。
確かに、昔夢見たような忍びではない。私は…真っ直ぐ清く正しく生きよが忍道だ。
私は未だそれを守っているつもりでいる。
私は次世代の子達にこのような任務をさせないために、私がやる。
これが私の正義だ。
クズにもクズの正義がある。」
「………。」
ただただ驚いた。
確かに、どんな世間一般的なクズになろうとも、正義があるんだ。
僕にだって僕なりの正義を作っていいんだ。
どんなに非道になろうとも構わない。
僕もシカマルにこんな任務をさせたくない。ならば、僕がより一層汚れればいいんだ。
妙に納得した。手についた赤がそこまで気にならない。
「ありがとうございます。上忍。
なんだか頭がスッキリしました。」
「…そうか。
急ぐぞ。無駄話が過ぎた。」
「は…い。」
返事をしっかりしようと思い、下を向いていた顔を上げると、苦痛に歪める上忍がいた。
真新しい血のにおいがする。
よく見てみれば、自分から見て上忍の左腕が丸ごとない。
あまりにもいきなりなことで何も話すことが出来ず、惚けた顔で上忍を見る。
上忍は片腕で奪った巻物を渡してきた。
僕はそれを受け取ると上忍をちらりと見る。
片腕はなくなり、血が大量に出ているけれど、僕の医療忍術で止血ぐらいなら出来そうだ。
上忍は目を瞑り、腕をやった犯人を捜す。
するといきなり、目を瞑ったままの上忍のもう片方の腕に切り傷ができた。
その犯人を僕は見た。
かなりのはやいスピードでビュンビュン飛んでいるそいつは明らかに小さい。
獣か…何かなのだろうか。
何はともあれ、上忍が反応出来ていないのではあれば、僕はどうしようも出来ない。
とにかく逃げるしかない。
僕は今だに目を瞑り相手の気配を探っている様子の上忍を一瞥してから、木の葉へと走り出した。
”動けない奴は殺せ”
上忍はあの意味がわからない生き物にロックオンされて、もう動けないだろうが、僕は殺しはしない。きっとあの上忍は勝手に死ぬだろうから。
あの小さい物体は何故かとても恐ろしいように見えるから。
あの上忍には悪いけれど、僕の踏み台になってもらおう。
「グッパイ、上忍。
なかなか興味深く、面白い独白だったよ。」
ーーーーーーーーーーーー
(何処だ?何処にいる?!)
上忍は、自分には見えない敵を必死に探していた。
目で見てもどこかはわからない。
気配を探るけれど、何者がやっているのかもわからない。
けれど傷は出来るばかり。
一緒の任務の下忍はけろっとした態度で立っているのを見て、巻物を渡す。
何故か自分は酷く疲れている。
何も運動はしていないのに、息が乱れ整わず頭がクラクラする。
血を流し過ぎた?貧血?それとも傷跡に何か毒が塗られていた?
いやこれはそんな軽いものではない。力が吸い取られているような…そんな感じだ。
自分はこれまでだろうか…。
ふと考えた。まさかこのような所でこんなことを思うだなんて…
情けない。誰にやられてるかもわからないで、何かの術にかかっているのかもわからない。
静かな覚悟を決め、その場にいた下忍に木の葉にお前一人だけで帰れと言う。
「おい、下忍。
私は何故か全く力が入らないんだ。
きっともう駄目だ。
だからお前は木の葉に戻れ。
そして…。余りにも図々しく思うかもしれないが…。
自分の分まで次世代の子達にいろいろと教えてあげて欲しい…。」
なんとか言い終わり、ホッとする。
返事がないことを不審に思いながら、力を振り絞り、目をあけると…。
下忍はもはやいなかった。
気配が、いるかいないかもわからないぐらい弱っている自分にも驚いたが、何より、簡単に独断で自分を見捨てた下忍に驚いた。
別にそれが悪いとは言ってはいない。ただ、”簡単に”それが出来る下忍を今まで見た事がなかった。
取り乱し、暴れ、出来もしない事を叫ぶ。
昔も自分はそうだった。
仲間のためだなんだと叫び、任務を幾度とかさねるうちに、仲間を助ける事など自分には出来ない事だと悟った。
時には同期を見捨て、泥水を喜んで飲み、いろいろな人物の頭をはねた。
今、自分がやっている事を正当化し、次世代のためだなんて所詮は綺麗事だと本当は知っていた。
自分には何もない。ただ生き、呼吸をしているだけ。
つまらなかった。
息が詰まりそうだった。
仲間を平気で見捨て、時には任務成功のため味方をうる自分を異端だと言い、冷酷だと言う。
でも、それでも、自分よりも異端で冷酷なやつなんて腐るほどいる。
その中でも群を抜いているのはもしかしたら、下忍の奈良シカミかもしれない。
「ふふっ……、ははっ…!」
いろんな任務を重ねた先の奈良シカミに是非会いたかった。
そう思った所でいきなり身体と自分自身…意識ともいうべきものがはなれ、私は死んだ。
ーーーーーーーー
クソっ…なんなんだよ。
森の中で走りながら横でジッと見てくる気持ち悪い視線に耐えれなくなり、僕は一度立ち止まり、ついて来ている小さな生き物に話しかける。
「君…なんなわけ?」
「…私が見えるの?」
そう答えたのは人間を極端に小さくさせた、一般的にはイケメンな部類にはいる、男。
「見えるよ。
てか、君上忍の腕とか切り落としてたよね…?」
「そ!…怒ってないの?」
顔色を伺うような仕草を見せるその表情に疑問を抱く。
「は?怒る?
嗚呼…上忍?死んだの?
ふーんって感じ。
それより君何者。」
「ふーんって…それよりって…
はははっ!面白いなぁ。
私はね、妖精!
魂を主食としていろいろな世界を飛びまわってるよ!
ね、私、君のくちよせどうぶつ?なるものになりたい!パートナーになりたいな!」
「は?」
「僕の一族は極端に数が少ないんだけどその中でもパートナーになってやるなんてすごい稀なんだよっ!
ね!なろうよ!パートナーに!
条件は、二つの記憶があるもの。人としてどこか欠落しているもの。だよ。」
「いや、ちょっと…。」
「でも大丈夫!もう条件はクリアしてるから!君は!」
「僕が人としてどこか欠落しているとでも?」
「どうかな?」
「ここまで話を聞かない相手は初めてだよ。」
「どうかな?」
少し考える。
確かに口寄せは欲しいと思っていたところだ。
「…僕のメリットとデメリットを教えて。」
「メリットは、いろいろな事が出来るようになる!
例えば、姿、気配を消したりもできるよ!」
僕はそれを喜んだ。
いろいろな事…後で詳しく聞かなければ。
「それはとてもいいね…
後ろから気配を消して近づいて影真似出来たりするじゃん。」
「デメリットが…」
「契約結ぼう。」
僕がいきなり言ったからか、一度フリーズしてからもう一度言葉を発した。
「え?」
「よく考えれば僕は強くないといけないから。」
僕が守りたいのはあくまでシカマル一人で、それ以外なんかどうでもいい。でも、シカマルは木の葉にいるから、木の葉を必然的に守らなければならなくなる。
だから、その分強くならなければならないのだ。
「デメリット聞かなくていいの?」
「一応聞く。」
「私の食事を用意する事と、君が死んだ後、魂は私の好きに出来る。」
自分はそれに即答する。
「全然大丈夫。」
「本当?!」
多分だけど、食事はきっと人間とか魂とかなんだろうけど、今は荒れている時代だから敵の死体など沢山手に入る。
魂も別に、シカマルがいない世界などどうでもいい。死んだ後のことなどどうでもいい。
それよりも、生きている今が大切だ。
「僕の名前は奈良シカミ。
よろしく。」
相手の正面で目を見ながら話す。
「私の名前は空也!
よろしくね!」
嬉しそうに微笑んだ小さな顔を見ながら、僕は木の葉へと向かった。
これが僕と空也の出会いだ。
オマケ
シカミ「ねぇ、空也って男?」
空也「……書類上男。けれどそれ以外は女よ。」
シカミ「……ふーん。」
オマケ
空也「あ、銀髪で顔があまり見えないけどかなりのイケメンな雰囲気…。食べちゃっていい?」
シカミ「いいよ。」
間
空也「魂の食事は主人より弱くないといけなかったみたい。食べれなかったわ。」
シカミ「ふーん。」
空也「シカミがさっきから見つめて触ろうとしてるけど止めてる黒髪の少年は食べていいの?」
シカミ「殺すぞ。」
空也「なるほど、わかったわ。絶対手を出さないからその鈍器はしまって。ね?」