NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。   作:柚子ゴル

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番外編 カカシSIDE

 

自分の父親であるはたけサクモは、かつて「木の葉の白い牙」の異名で各国の忍たちに知られており、その名の前では伝説の三忍の名すら霞むほど優秀な忍びだった。

自分の自慢の父親であり周りからも頼りにされていたのだ。

しかし、ある任務で、成功よりも仲間の命を優先し中断させた結果、火の国や里の仲間、最後には助けたはずの仲間にまで中傷を受けた。

それにより父は精神的におかしくなり自殺してしまった。

急に変わった周りの態度よりも何より腹が立ったのは自分の父親であるはたけサクモだった。

何故自分を置いて行ってしまったのか、何も言ってくれなかったのか。家には毎日侮辱するような紙が届きあからさまに中傷するような言葉を吐きすて石を投げてくる。しまいには家に上がり部屋を荒らす。窓ガラスが割られ破片が飛び散りそれを父がジッと見つめる。そして毎日冷たい目線が自分にまとわりつく。カカシは発狂しそうな生活の中本人である父はどれだけ悩み悔やんだのだろうか。

そんな毎日に嫌気が指すのもわかる。けれどやはり…何故自分だけさっさと逃げてしまうのか…。

自分の自慢の父親だった。他国にまで知れ渡る程の。しかしなんともその最後は呆気ないのだろうか。今まで木の葉のためと、仲間のためと頑張ってきた結果これだ。仲間の命を優先させた結果批判を受けなんとも無様に呆気なく父は死んだ。

カカシはその日仲間の命よりも優先させるべきことは任務の遂行、成功であると悟らなければならなかった。

 

それから月日は流れ…

奈良シカク、上忍のトップである忍びに娘が出来た。

名前は奈良シカミ。

いつもは厳しい顔で挑んでいる任務の時とは比べ物にならない程緩やかな笑みで一人娘のことを語っていた。しかしそれは数年経つ後になくなりしまいには少し落ち込んでいるようにも思えた。

いつもお世話になっている先輩なのだから話ぐらい聞いておいた方がいいだろうと思い少し訳を聞いてみた。するとどうやら娘が喋れるようになったのにも関わらず余り感情が出ていないということが心配らしい。

正直そんなことか…と思ってしまった。興味なんてなくただ大丈夫ですよなんて特に思ってもいないことを呟く。

すると奈良シカクはこう続けた。

 

「それでも最近急に修行をし始てな。その時だけは真面目な切迫詰まった表情になるんだ。なぁ、カカシ。お前確か部下に指導とかしたことないよな?将来の為にもシカミに指導、修行をつけてくれないか?」

 

「……………わかりました。」

 

 

先輩に、自分だって修行がありますので…そんな時間はないしその時間があるならば新術を作りたいです。なんて言える訳もなく了承するしかなかった。

きっと先輩は俺がどうかなさったんですか、と言った瞬間からこのことを考えていたのだろう。

そもそも忍びであり優秀な先輩に相談のりますよなんてあり得ないことを言ってしまった自分が悪い。

 

 

次の日早速演習場に行くと一人の少女がいた。自分はいつも5分前行動を気にしていて子供のことだから待つだろうなと思っていたが杞憂だった。10分前行動をしているらしいこの少女には少しだけ好感が持てる。

 

「こんにちは。頼まれて来ました。はたけカカシです。よろしくお願いします。」

 

「…こんにちは。」

 

シカク先輩の言う通りあまり感情がない。この年の子供は煩くて我儘で泣けば許して貰えるという甘い考えを持っていて…自分にとって嫌気が指す程嫌いだ。

しかしこの少女は静かであり淡々と自分が注意した所を直していく。上達もはやく一度注意したことを二度も言わせない。流石シカク先輩の娘さんだなと少し感心しながらシカクさんの言葉を思い出す。

"感情があまりなくて心配"

自分は忍びの理想だと思った。

感情を殺すのが余りできない忍びが多い中この子はそんな心配すらしなくてもよいのだからラッキーだなと思ってしまっている自分はおかしいのだろうか。

 

それから何回か修行を見てやっていた。シカミは手がかからないし自分の修行をしつつ先輩である奈良シカクにアピール出来る。

それに此処は余り人が立ち寄らない演習場。いつも自分には父の面影を見てくる好機の目はない。戦争中でなかなか休みがない中此処にくるのは大変だが家にいるよりも静かで落ち着けるこの場。

自分にとってはこの時間を気に入っていた。

 

しかし戦争が本格的になると休む暇もなく上忍である自分は駆り出される。戦争が終わり安心したのも束の間九尾が木の葉隠れを襲った。

戦争や九尾襲来により、大切な人達が死んでしまった。オビトやリン、先生も…。

 

自分だけが生きていてあんなにも賑やかだった俺の班は静かになった。

自分の心は枯れ果てていて何をすれば良いのかすらわからない。

気がつけばあの居心地の良い演習場に来ていた。

まだ朝日が登り始めたばかりだというのにシカミはもう修行場で訓練をしていた。

それをボーっと眺めながらゆっくりと近づくと相手は気がついたのかこちらを素早く見て来た。

ふと疑問に思った。何故この少女はこんなにも頑張れるのか。

 

「ねぇ…、なんでそんなにも一生懸命修行をするんだ?」

 

自分は親に褒められたいがために。周りの期待に答えたいがために頑張った。

だけれどこの子は違う気がした。別に親に褒められたいがためにやっているのではない。ならば何故…?

 

「…そんなの大切な人を守りたいからだよ。」

 

何気無いその言葉が胸に突き刺さった。自分だって頑張った。天才と周りにもてはやされ自信もあった。だが…結局誰一人守れなかった。

シカミの言葉にカカシは責められているような気がした。

ふと耳元で声が聞こえた。酷く耳鳴りがする。

何故お前が生きている。

私が、俺が…生きたかったのに!お前の…お前のせいだ!

カカシは思わず叫んだ。

 

「…やめろ!!戦争や九尾襲来で俺の…自分の周りの人達が次々と死んでいく…。俺だって…俺だって頑張ったさ!新術を開発したり…修行だって沢山している!それがどうだ?!周りの奴等に無様にも生かされ何も救えず何も出来ていない。

俺は…俺はどうすればいいんだ。」

 

シカミは黙って聞いていた。

カカシは何をこんな子に言っているのだろうと頭の隅で考えたが言い始めたものは仕方が無い。

流れに乗って思ったことを吐き出したかった。自分はもう限界だった。

 

「…………俺も死んでしまいたい。こんなにもしんどいのなら楽になりたい…。」

 

シンと静まり変える演習場。

カカシは言いたい事をいい少しだけスッキリとしていたが同時にとんでもない自己嫌悪と後悔が押し寄せた。こんな子に言っても仕方が無いことなのに。しかしその瞬間きつい言葉が少女から放たれた。

 

「自惚れるな!!!!」

 

静かな演習場にシカミの叫び声が響いた。ビクッとカカシの肩が揺れまだ耳の中でこだましているその声に驚愕の表情を浮かべる。

 

そして続け様にシカミは今まで聞いたこともないような大声で話し出した。

 

「お前の言う周りの人っていうのは忍びか?ならアカデミーを出ていろんな事を経験し覚悟出来ていたはずだ。それなのに関係のないお前に俺はお前のせいで死にたいと言っているようなもんだ。僕ならふざけんなと思う。自分で選び自分でやったんだ。お前には関係がない。仮にお前を守って死んだとしよう。守った人には笑顔でいてほしいと思う。僕ならね。それはこちら側のエゴかもしれない。けれどそれでも守ってくれた方に感謝を感じているのなら精一杯生きろ。笑顔で生きろ。自分が弱いと思うのなら更に磨きをかけろ。高みを目指し自分の大切な人達を守れるぐらい時間を惜しみ強くなれ。それが最低限の礼儀だと僕は思う。」

 

 

俺は父を責める周りが嫌いだった。この世間も。自分を置いて死んでしまった父もオビトやリン、先生も。

だけど一番嫌いだったのは自分だ。何も守れずただ見ているだけの自分。まだまだやるべきことは沢山あるのに何をする気にもなれず挙げ句の果て何をすれば良いのかすらわからなくなっていた。

…そういえば修行をしたのはいつだっただろうか。

死んでしまった人を想い嘆き修行を疎かにしていた。

嗚呼、なんだ。そうだ。何をすれば良いかだなんて決まっていたじゃないか。

この子の様な次世代の子のためにも俺が強くなり守ってみせる。

そのためにはこの子が言ったように時間を惜しみ自分を精進しなければいけない。

だからもう死んだ人のために涙を流し自分を疎かにするのは終わりだ。

ただ今日だけは許してほしい。

今日で覚悟を決めるから。

 

そう思った瞬間いろんな感情が交差し、実際にもう会えないのだと本当に死んでしまったことを再確認した。

重たかった身体が軽くなり身体の嫌なものが下に流れ、遂には自分の身体からなくなった気がした。今まで空気を吸いずらかったが今ではなんなく吸える。

カカシはこの日静かな演習の中、確かな決意と共に涙を流した。

 

ーーーーーーーー

 

 

「(随分と懐かしい夢を見た…)」

 

 

初めてシカミと出会い自分を怒り救ってくれた。

自分を叱ってくれる人が死んでしまい久しぶりに怒られ少し嬉しかったのは内緒だ。

そしてそんなシカミに淡い恋心を抱いてしまったのはまた別の話だが今更どうしてこんな夢を見たのか。今日もしかしたら自分の部下を持つかもしれないから?

 

あぁ…そういえばあの後シカミにもし僕の弟がお前と同じことを言っていたらこう叱ってやってくれって言ってたな。

つまりは自分を叱ったのはシカマルのためだと後から知ってひどくガッカリしたなぁ…。まぁシカミらしいけれど。

なかなか会えていないシカミを想いながらカカシは素早く着替え毎朝恒例の慰霊碑へと向かった。

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