リリカルで最強の力はあの子の為に   作:プリンブラン

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また遅い投稿になってしまって申し訳ありませんでした。

こんな亀さん投稿なのに高評価してくれた七七志野さん、アクルカさん、らはささんありがとうございます。それにお気に入りしてくれた皆様もありがとうございます。

 これからも皆様の満足する作品になる様頑張るのでよろしくお願いします


ステータスプレート&取引

 

 天之河の先導で戦争に参加する事を表明した愛護達は、翌日には早速王国騎士団の下で訓練が始まった。

 

 午前中はこの世界について無知である自分らが、この世界で暮らす為に必要な一般常識や、法律等を学ぶ時間となった。折角異世界に来たのに普段と変わらない座学に飽き飽きしていると昼食を取りながら愚痴をこぼす彼等に待っていたのは『皆の力を測るため外の訓練所集合』という吉報だった。

 

 今日一日座学で終わると萎えていた頃に、早速異世界らしい展開が舞い降りてきて浮かれ気分の一同。

 

 集合すると、午前中の座学ではいなかったゴツイ男が待機していた。

 

 ゴツイ男はメルド・ロギンスと言うらしい。騎士団長をしている様だ。そのメルド団長から初めに『ステータスプレート』と呼ばれる自分の能力を可視化する事が出来るアーティファクトを貰う。血を垂らせば所有者として登録され、そのままその者の能力がステータスプレートに表示されるらしい。

 

 正直なところ、この測定方法はあまり好ましくない。身体能力なら精々上の下程度だが、魔力のステータスは十中八九他の者の比ではない。そんなステータスがバレれるのはあまりにも危険だ。人間族も魔人族に対抗する力を欲しているとはいえ、あまりにも突出している力は恐れの対象となる。いずれ自分達に牙を向くと考え、出る杭は打たれかねない。

 

 「はい」

 「ありがとう…」

 

 血を垂らす用の針が皆に配られる。渡された針を見ながら思考を巡らすが、こんな時どう切り抜ければいいか名案が浮かばない。改めてクロノやユーノみたいな頭脳派の有り難みを知る。

 

 悩むが結局案は浮かばず、取り敢えず登録してみる事にした。針を指に軽く刺し、ステータスプレートに血を垂らす。すると直ぐにすぅーっと文字が浮かび上がってきた。

 

 

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 影山愛護 17歳 男 レベル:1

 天職:魔導師

 筋力:65

 体力:70

 耐性:40

 敏捷:50

 魔力:7000

 魔耐:5500

 技能:魔力感知・影魔法・闇魔法・復元魔法・念話・言語理解

 

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 基準がよく分からないが、筋力等の身体能力から察するにとんでもない数値になっているだろう。確か魔力量だけならなのはに近いモノを持ってるとクロノが言ってたっけ?まぁ魔法操作も発動速度も遠く及ばなかったからここにいる訳だが。

 

 「お前らも終わったか?」

 

 ステータスを確認し終えたであろう二人に声を掛けたが返事がない。何やら様子がおかしい。顔色が悪いすずかをアリサが介抱している様にも見えた。

 

 「……どうした?」

 

 自分が聞いてもいいか迷うが、放っておく事も出来ず声を掛ける。もし話を聞かせてくれたら真摯に聞くし、突っぱねられたのなら聞いて欲しくないのだろうと深入りしない。

 

 俺の声を聞いたアリサがすずかに耳打ちすると、再び俺の方を見て手招きしてきた。どうやら俺が聞くのはいいが、周りには聞かれたくない内容らしい。

 

 「何があった?」

 

 小声で話しかけるとアリサに促されすずかが自身のステータスプレートを見せる。すると天職の欄に『吸血鬼』と記載されていた。これは恐らく彼女の出生が関係しているのだろう。ステータスも全てが100以上と俺の魔力関係以外のステータスを大幅に超えている。技能も吸血など、それらしい技能が発現している。

 

 すずかはこの事を隠して生活している。知っているのは身内の他にはアリサや愛護、なのはと極僅か。彼女は自分が普通ではないと皆に知られ、迫害される事を恐れているから無闇矢鱈に口外しないのだ。

 

 「どう思う?」

 「確かに、あまり知られるのは良くないな」

 

 ここの人々の事をまだよく知らない。もしかしたら昔の風習の様に、自分達と違う者を忌み嫌い、迫害し、最終的には始末する過激な考えの持ち主かも知れない。能力が突出している俺以上に危険度は高い。

 

 メルド団長は皆の能力を把握する為、生徒達からステータスプレートを拝借し閲覧している。丁度今天之河のステータスで盛り上がっている。きっと俺やすずかのステータスプレートを見られる。今のところそんな事をする人に見えないが、何かあってからでは遅い。

 

 「ねぇ、どうすればいい?」

 

 アリサも事の危険性が分かっているのか助けを求めてくる。対処法はすずかのステータスプレートを誰にも見せない事しかない。だが相当な無理難題ではある。メルド団長は言った。ステータスプレートは身分証でもあると。つまり何かする度にステータスプレートを確認する事もあるだろう。その度にすずかの自分の天職を公開する羽目になり、メルド団長はそんな男でなくとも、いずれ危ない思想を持つ者に見られる可能性もある。

 

 「お前達3人はどうだった?満足する結果になったか?」

 

 笑顔で手を差し伸べるメルド団長。ステータスプレートを渡して欲しいのだろう。しかしこちら側としては簡単に渡せられない。かと言って頑なに見せないのは返って逆効果。

 

 「なんだ?もしかしてあまり高い数値じゃなかったか?心配するな。これからミッチリ稽古付けて直ぐ俺以上にしてやるぞ!」

 

 メルド団長は笑顔で声を掛けてくれるが、すずかの天職を知っても同じ顔でいられるかどうか。そんな時、ある事に気付く。

 

 「メルドさん、このステータスプレートって身分証になるって言いましたけど、どこか出かける時にもステータスプレートを見せる事になるんですよね?」

 「あぁそうだ。旅行したり、銀行をからお金を下ろす時にも使うぞ」

 「その時ってステータスも見られるんですか?」

 「いや、それはない。ステータスプレートにはロック機能があり、所有者の意思で隠す事も出来る。だから誰かに見せる時はロックして『名前』『年齢』だけが見える状態にするのが普通だな。そうじゃないと個人情報がダダ漏れだからな」

 

 思った通りだ。幾ら何でもステータス全てを常に公開しなければいけないのは色々と危険すぎる。つまりすずかに関してはメルドさんさえこちらに引き込む事が出来れば、身の安全が保障される。その為には交渉材料が必要だが、それについてはとっておきがある。すずかとアリサを護れるなら安いモノだ。それに、

 

 『2人の事、お願いね』

 

 それがアイツと交わした約束だしな。

 

 「メルドさん、すずかのステータスの事なんですけど……」

 「愛護‼︎」

 「安心しろアリサ。お前達が傷付く事はしない。俺を信じてくれ」

 「どうしたんだ?何かあったのか?」

 

 俺を咎めようとしたアリサの危機迫る表情に只事ではない事を察するメルド団長。アリサは俺が何をするのか予想出来ずにいるが、簡単な事だ。危ない事なら、それ以上のメリットを与えてやればいい。俺はメルド団長の耳元にそっと囁く。

 

 「すずかのステータス、主に天職に関して他言無用でお願いしたい」

 「……何故だ?なんらかの事情があるのはお前達の様子を見れば一目瞭然だが、俺は王国騎士団団長だ。皆のステータスを把握するのは勿論、それを団員達にもある程度は共有し、その者が強くなる為に効率よく指導する必要がある。それに王国に仇なす可能性がある場合はそれなりの対応を取るのは当たり前だ」

 「分かっています。あなたの言っている事は正しい。でもお願いします。すずかの天職が訳ありでして、あまり広く口外されたくない。出来ればメルドさんだけの心に秘めてもらいたい」

 「天職が訳ありだと?どんな天職なんだ?」

 「……吸血鬼です」

 「なっ⁉︎きっ………オッホン」

 

 メルド団長は思わず口に出そうになるが、ギリギリの所で飲み込む。そんな様子を見ていたアリサから口にはしないが非難の眼差しで背中を滅多刺しにしているのが容易に感じ取れる。

 

 「彼女はその末裔なだけで、悪い心を持ち合わせている訳じゃありません。誰も殺めていませんし、メルドさん達を襲う事もありません」

 「ふむ……しかし、勇者達であっても王国騎士団の団長である立場上、危険分子は監視し、皆を護る責任がある」

 「だからそこで提案です」

 「提案だと?」

 

 俺はメルド団長にだけ自身のステータスプレートを見せる。これがとっておきの交渉材料だ。

 

 「なっ⁉︎なんだこの数値は‼︎」

 

 流石に今回は我慢出来なかったのか、大声を出してしまった。周りからの注目度が高くなるが、直ぐに終わらせるから問題はない。

 

 「実は俺も訳ありで、元の世界からそれなりに魔法に携わっていたんですよ。このクラス全員が束になってもそれ以上に強い自信があります。そこで提案なんですけど、俺のこの力、魔人族を討伐に全力で手を貸します。人間族の刃となって魔人族を討ち、盾となってあなた方を護る事を誓います。ですのですずかの件は他言無用でお願いします」

 

 俺のお願いに頭を悩ませるメルド団長。小声で喋っていた為、聞こえなかったであろうアリサもメルド団長の動向を伺う。すずかもアリサに支えられながらメルド団長の様子を伺っている。これで失敗でもしたなら一生恨まれるだろう。

 

 「………」

 

 メルド団長は一度顔を上げてすずかを見る。メルド団長に見られ身体を震わせるすずか。再び考え込む様に顔を下げるメルド団長。

 

 そんな時絡んできたのはいつもはじめに絡んでいる檜山の取り巻きである、斎藤、近藤、中野の3人だった。

 

 「おい、どうしたんだよ?アリサさんも月村さんも」

 「どうしたの?調子悪いの?

 「月村そん大丈夫?」

 「ちょっと大事な話してるんだ。少し放っておいてくれ」

 「なにっ!」

 「心配しただけだろうが!」

 「幼馴染だからって調子乗ったんじゃねーぞ!」

 

 3人はアリサとすずかに惚れている様でちょくちょく絡んできたいたが、アリサに拒絶されて以降は大人しくしていた。だがすずかの様子がおかしいのを言い訳にもう一度お近づきと考えているのだろう。切羽詰まった状況だからと多少言葉が強くなったが、想い人と距離が近い俺の言葉という事もあり簡単に怒りの沸点に到達してしまったらしい。

 

 「やめるんだ!」

 

 3人が俺に掴み掛かろうとした所でメルド団長が声を張り上げる。3人は舌打ちをして引き下がり、代わりにメルド団長が近づいてくる。答えが出たのだろう。最悪の場合、すずかとアリサを連れてここから逃げる。クラスメイト達には悪いが、この2人は特別なんだ。

 

 「先程の提案、しかと心得た」

 「本当ですか?」

 「だが完全に信用した訳ではない。この事は誰にも口外せぬが、本当に安全か分かるまで目を光らせさせてもらう。勿論お前もな」

 「はい、それで構いません」

 

 きっととても真面目な人なのだろう。ずるい人なら言葉では適当な事言って済ますだろうに。でもだからこそ信用出来る。

 

 「すずか、安心してステータスプレートをメルドさんに見せてあげてくれ。大丈夫、メルドさんはいい人だ」

 「取引に応じてる時点で悪い人だがな」

 「プラマイで言えばプラスですよ」

 「取引って、あなた何したの?」

 「メルドさんと俺だけの秘密だ」

 

 すずかが恐る恐るステータスプレートをメルド団長に渡す。すずかの天職を見て顔を顰めるが、それ以上にステータスが天之河よりも高い事を口に出して評価する。確かに彼の中ではまだ疑惑の存在だが、本当に仲間だとしたらすずかの力を頼もしいだろうし。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで初日は無事?終了する事が出来た。その代わり自分が王国の鎖に繋がれる事になったけど、それで2人を護れるなら安いもんだ。




ご愛読ありがとうございました。
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