Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。
まず3日に一回投稿の予定が4日に一回投稿になってしまい申し訳ないです。言い訳ですがめっちゃ難産でした。
次話は今週中に投稿します。

加えて評価感想誤字報告励みになります。いつもありがとうございます。そしてリビルドワールドのSS増えてくれ。



コードギアス 契約のアキラ

 翌朝─アキラはハンター協会提携店の買取場に来ていた。先日手に入れた遺物を売却しにきたのだ。

 

「よぉボウズ! 今日はまともなモン持ってきたかぁ?」

「いつも微妙なヤツで悪かったな!」

 

 店のカウンターに、アキラはハンターライセンスと医療キット、刃物を置いていく。医療キットや刃物等は自身のハンター稼業でも使用できるため、不必要分を売却することをアルファからアドバイスを受け、遺物を整然と並べる。

 

 店主のキリムが光学スキャナを滑らせ、目を丸くした。

「いつも通り微妙な遺物かと思ったら、旧世界製の回復剤と小型光学ナイフか。しかも未開封とはこいつは珍しい……。どこで見つけてきたか聞きたいが」

「遺物の場所か? 特別に教えてやるよ、遺跡だ」

「そんなコトはわかってるボウズ、そうだなまとめて20万オーラムでどうだい」

 

「20万か! そりゃあいい!」

 アキラはすぐさま売却に同意した。

 

「こんな上物ならいつでも大歓迎だぜ?」

「どうだかな、今回は運が良かっただけかも知れねぇぞ?」

「まぁ期待して待ってるさ、支払いは振り込みでいいか?」

「ああ、いつも通りで頼む」

 

 キリムはアキラのハンターライセンスをカードリーダーにかざし、入金を行うとアキラにライセンスを返した。アキラは自身の情報端末から、自身の口座に20万オーラム入金されてる事を確認して、キリムに挨拶をしてその場を去った。

 

 

 アキラは買取所を出てから上機嫌だった。10万オーラム以上の取引は過去に何度かあるが、20万越えは今回が初だった。

 その様子を見て、アルファが落ち着いた口調で声を掛ける。

 

『落ち着いてアキラ、思ったより稼げて嬉しいのはわかるけど、20万ちょっとの金でそんな感じだとこの先ついていけないわよ?』

 

 前世基準でも手取り20万は新卒レベルだった。だが今世で20万の手取りがあるというのは、この世界の仕事ぶりが順当に評価されている事だ。

 労力以上に評価されたという嬉しさがアキラにはあった。

 もっともその評価もアルファのサポートであることは理解している

 

「いや、何を言ってるんだよ。20万は十分大金だろ、スラムのガキが持っていい額じゃあない」

 

 しかしアルファは少し強い口調で断言する。

 

『いいえ、はした金よ。私のサポートを受けた上で、命懸けで手に入れた金額と考えれば、間違いなくはした金よ。アキラもそう認識しなさい』

 

「そ、そう言われても……」

 

『わたしの依頼の遺跡攻略だとオーラムじゃなくコロン払いの装備が必要になるからね』

「は? コロン? あの都市伝説の?! あのレベルの装備を要求されるのか……」

 

 コロンは旧世界で使われていた通貨やデジタル通貨だ。そのためかなり高価なものやそれこそ旧世界式のなんらかの契約を実行する際に、コロンで取引されることもあるらしい。そのため旧世界の存在との取引に使えることから東部では絶対の価値を持ち、企業通貨とは比較にならないほど価値が馬鹿程高い。

 現に五大企業は旧世界の存在との貿易などで入手していて、稀に遺跡からチャージされたプリペイド形式のコロンカードが遺物の形で発掘されるため、ハンターの中でもそれを求める者は多い。コロンの売却で、つつましやかな生活なら一生分できるといっても過言ではない。

 なおコロンは所有者情報が厳密に紐付けられておりクレカ情報とかよりがっちりとしたセキュリティでロックされている。現代においてはロックされたコロンを実用可能にする実コロン化が必要であり、現代においては五大企業の文字通り法外な手数料でオーラム等をコロンに交換することができる。

 

 そんな高価かつ自身の手の届かないコロン払いを要求されるなんて思っていなかったアキラは唖然とした。

『まぁそこのあたりはまた話し合うことにしましょう』

 

 

 

 

 夕方─廃工場元アキラの私室

 鉄骨だらけの部屋に赤錆の西日が差し込む。机の上には売却金の入った封筒と、旧防護服の名残の布切れ。

 アキラはドアを施錠し、椅子に深く腰を下ろした。そしてアルファが向かいの椅子に座る。

 

「アルファ、昨日の続きだ。正式に手を組みたいと思う、契約内容の確認をしたい」

 

『ええ、わかったわ。では始めます』

 今まで友好的な態度をとってきたアルファが機械的な対応を始めた。突然のアルファの態度や雰囲気の変わりように、アキラも自然と緊張を覚えた。人生の大きな分岐点の前に自身は今いるのだと、気づいた。

 

 アキラはアルファと契約することを決意した。

 当初は契約するつもりはなかった、得体の知れない高性能な人工知能を自身に扱える自信があまりなかった事や美味い話なんて基本的にない事を前世から理解していた。

 だが、アルファが提示した自身の有用性とそれに対するアキラにもたらされる利益を考え、この世界で生きていくために、コレと契約する事を決意した。

 

『アキラに対するより高度なサポートの実施を円滑に行う為ために、事前の説明、承諾無しに多種多様な操作をアキラに対して実施しても宜よろしいですか? これにはレベル5個人……』

 その後もアルファからアキラへ契約に対する説明が行われる。

 

「アルファ、契約内容の要約化は可能か?」

『了承。以下契約内容の要約です。

 ・事前説明や同意なしであらゆる操作を行える包括的な権限(思考誘導・自由意志干渉を含む)

 ・レベル5の個人情報を無制限に取得・利用する権限の許可

 ・条文は極めて膨大であり、口頭で完全に理解するには約120年かかる、そのため詳細説明は事実上不可能。

 ・この権限は「生命・思想の保護」を名目とし、自足自縛行動法213873条などで合法化され、協力者にも適用される』

 

 

 アキラは天を仰いだ

「事前説明なしで体が乗っ取られたりするのはやばすぎだろ……。しかも思考誘導もされるとかもはやいいようにされる洗脳に近いじゃねぇか……うっそだろお前」

 

 内容を聞いて愕然とした。原作アキラとは違い、ある程度の契約内容は理解できた。理解できてしまったからこそ、契約に踏み切ることにためらいが再度生まれた。このまますべての条件を飲むわけにはいかない。これは契約だ。相手の利益と自身の利益が相互に発生する契約を勝ち取る必要がある。

 

 鉄骨に夕日が沈む。

 アキラは深呼吸のあと、机を指でとんとんと叩いた。

 

「条項は理解した。だが──“身体操作”と“思考干渉”が無制限なのは飲めない。少なくとも停止スイッチを俺の手に残させてもらう」

 

 机越しにアルファが応じる。声は依然として機械的だ。

『提案をどうぞ。なお発動条件を緩めれば死亡率が上昇します』

 

「構わない。自分を殺して生きるなんて死んでるのと同義だ。それなら己を貫いて死ぬことにするよ。それに生き残るかどうかは俺自身のリスクだ。

 ──停止方法は二系統で行く。

 一つ目は音声による停止、何らかのキーワードを口頭で発言することによって強制停止だ。二つ目、脳波で感知しろ。遺跡の時に俺のバイタルについて言及してたんだから脳波ぐらい読み取れるだろ? 

 この二つを受理しろ。緊急モード中でも例外なく、だ」

 

 数ミリ秒の沈黙。電子ノイズが一瞬だけ弾け、アルファが答える。

『承認。追加条件:

 a) 音声データの信号強度が–40 dB以上減衰の場合は無効

 b) 脳波もしくは念話によるトリガーは冷静時シータ波レベル 0.3 未満で有効

 c) 停止解除コマンドは “リブート・アルファ” に一本化

 ──異議は?』

 

「さらに追加だ、連続して3時間以上の身体操作権を利用することはできない。加えて契約内容や条件の変更は俺とアルファの双方の同意、また試用期間の1年間は俺からの一方的な契約破棄を可能とする。可能か?」

 

 アルファが再度発言する。

『おおむね了承。しかし、一方的な契約の破棄については了承できない。契約内容の緩和か、もしくはこちらに対する譲歩を必要とする。

 提案:より深層心理への干渉の許可、もしくは連続身体操作権限の時間制限の緩和、試用期間の短縮』

 

「深層心理の干渉の許可は却下、身体操作権限に対する時間制限は5時間に延長、加えて試用期間は3ヵ月。これでどうだ?」

 

『同意。キーワードを決定し、送信します』

 

 アキラの脳内にアルファから操作権限停止のキーワードが送られ、試験的に声を張る。

「フリーズ・アルファ!」

 

 HUD が赤から灰色に。アキラの腕を引く感覚が消える。

 二秒後、アキラは静かに息を吐き、

 

「リブート・アルファ」

 

 HUD が緑に戻った。

 

『停止/再開プロトコル正常』

 

「操作キーの再発動クールタイムは?」

『24時間に1回まで。残回数は常時 HUD 表示』

 

「停止キーワードは音声だけ?」

『思考トリガーでも可。ただし誤爆防止で2秒遅延が入ります』

 

 十分だ──そう判断すると、彼は深呼吸した。

「じゃあ条項に同意する。ただし俺が“危険”と判断したら即、停止プロトコルを叩く」

 

『確認。デュアルキー契約、合意取得』

 

「よし、リブート・アルファ」

 

『停止を確認。正常動作』

 アルファが淡く息をつくように告げる。

『これであなたは、私に“首輪”と“鍵”を同時に渡したことになるわ。……怖い?』

 

「そりゃ怖いさ。でも命綱は俺の手にある。危ない橋を渡るなら、互いに保険をかけておくのが契約だろ?」

 

 数値 HUD がブルーへ変わり、《CONTRACT UPDATE / 完了》 の文字が走る。

 

『了解。追加条項をログに固定──アキラ、正式にパートナーね』

 

「よろしく頼む、アルファ」

 

『受諾。相互利益を確認。支援モードへ移行するわ』

 柔らかな声とともに、インナーディスプレイに薄い契約文が流れ込む。脳裏に響くのは無機質なビープ音。

 

《契約完了──オペレーションモードへ移行》

 

 視界がわずかにクリアになり、耳鳴りが遠のいた。同時に頭の奥から涼しい感触が広がる。

『ナビ精度、戦術予測、資産運用支援を順次オンライン。……初仕事として報告。買取額が当社比一二%上振れ。優秀ね』

 

 アキラは小さく笑った。

「じゃあ手始めに、子どもたちが飢えない仕組みを作ろうぜ。帳簿番に数字を渡さなきゃな」

 

 アルファがくすりと笑う。

『了解、パートナー』

 

 工場の窓から差し込む夕陽が、二人(と一体)の新しい契約を赤く照らしていた。

 ◆  ◆  ◆

《クガマヤマ都市職員フロア》

 

 キバヤシは巨大モニターに投影された戦闘ログを指差し、涙を流しながら笑っていた。

 

「ちょ、ちょっと待て! 拳だと!? ウェポンドッグの頭を素手で殴って、挙げ句に眼球突っ込んで銃で〆!? アハハハハ!!」

 

 顎を外しかけた勢いで笑う上司を、部下たちがポカンと見守る。しかしこの上司には悪癖がある。それは無理無茶無謀を体現するハンターにさらに困難な依頼を重ね、その反応を楽しむというものだ。

 たとえその依頼でハンターが死んでも問題ない、多くのハンターは死ぬからだ。だがまれに生き残るヤツがいる。ソイツらは無理無茶無謀を体現する頭のネジが吹っ飛んでるか異常者だ。そして生き残るヤツや大抵が成功者となり大きな力を手に入れる。

 そうして結果的にそういった成功者のコネを作り出し、そのコネが都市への利益になることで、キバヤシという男は良くも悪くも有名だ。

 

「そ、それで……どうします? 機械の故障やハッタリって線も」

 

 キバヤシは即座に手を振る。

「いや! むしろホンモノであってくれ! こんな狂ったガキ、目を掛ける以外の選択肢があるか?」

 

 部下が目を瞬かせ、そして呆れる。

「キバヤシさんが自身で?」

 

 キバヤシはコートを取り、肩に羽織る。

「当然さ! 派手なヤツは派手に口説く! こっちが笑い転げるほどの逸材を逃がしてたまるかよ! 俺好みの無理無茶無謀のヤツをな!!」

 

 部下たちが慌ただしく車の準備を始める。工具箱、見本用の義体パーツ、契約書──ありとあらゆる“アメとムチ”がトランクへ放り込まれた。

 

 キバヤシは鼻歌交じりでサングラスをかけ。

「拳で犬を殴る少年ハンター……こんなバカで無謀な逸材がどこにいんだよ。さぁ、お迎えに行こうじゃねぇか!」

 

 エンジンが咆哮を上げる。夜のスラムへ向けて、金属の巨獣が走り出した。

 

 嵐の前触れ。次なるステージは、すでに照準の先にある。

 

 本契約。その距離は埋まっていない。

 けれどその日、少年は“旧領域の亡霊”と手を組んだ。

 彼の生き方が大きく変わる、最初の分岐点だった。

 




読了感謝です。

 まず結論として「原作通り操作権等を委譲するが、条件付きかつ強制停止が可能であること」で今作のアキラとアルファの契約内容とさせてもらいました。
 難産だった理由がアキラとアルファの契約をどこまで細かく描くのか、原作通り全部アルファに権利を譲るのか。譲らない場合、アキラ君の死亡率が爆上がりするだろうな、かといって自分の身も心もアルファに渡す行為を今作アキラ君が納得するか?とかなり考えました。で、結果こういう形に落ち着きました。

 そしてここでキバヤシが登場したのは原作のキバヤシがアキラを気に入った無理無茶無謀の緊急クエスト介入を今作アキラはしないと思い、ろくに格闘経験もないスラムの異常児がウェポンドックとの戦いぶりを見て興味を持つという展開にさせてもいました。これでAKIRAバイクができなくなった…

なおコードギアスは奪還のロゼ以外は見てます。独占配信を許すな。コードギアスで好きなキャラはジェレミアです。最初は嫌いだったんでしたけど、復活でもその忠義を貫いた誇り高き騎士が好きになりました。


追記:内定もらいました。七月から社会復帰します。一か月のニート生活最高だぜ!(バイトは行ってるのでフリーター)


 
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