Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
3日に一回のペースをキープしてる俺偉い。このまま一生更新して、どうぞ。
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アキラはキバヤシの紹介で都市外壁近くのバイク専門店に訪れた。都市の外壁に近く立地も客層もいいはずだが、近づくと鉄屑と焼けたゴムのにおいが鼻をつく。ここは駆け出しハンターから中級くらいのハンターが利用するらしい。店主の無骨な男がアキラの姿を見るなり、目を細めた。
「こんちわーキバヤシの紹介でバイクを買いに来ましたー」
「ハンターか。残念だがあいつのツケは効かねえぞ」
「もちろんだ俺が払うよ。で、バイクが欲しい。荒野用で、燃費より馬力。遺物や武器を運ぶから、荷台とサイドバッグも欲しい」
「予算は?」
「30万くらいだ、まともに動くやつが欲しい」
「カラーリングに指定は?」
もちろん赤色だと言いそうになるが、それは別のAKIRAなのでやめておいた。この店主は愛想がないが、顧客の要望から必要なバイクを選んでくれるとキバヤシから話に聞いていたとおりで安心した。同時にキバヤシに騙されていないことにも安堵した。
「色は特にない。色つけるのにも金がいるんだろ。色より性能優先だ」
整備士が鼻を鳴らし、ガレージ奥に案内する。そこにあったのは、旧式のオフロードバイクだった。鋼鉄製の外装に無駄な装飾はなく、汎用規格のマウントが各部に取り付けられている。
『自動補助制御付き。しかもマニュアルでアクセルとブレーキだけで走行可能。私の操作にも適応可能ね、これにしましょう』
「これ、いくらだ」
「改造込みで三十万ってとこだな。ちょっと古いが、荒野で死なないのが第一だろ?」
「……違いない。よろしく頼むぜ」
店主はアキラからハンターライセンスを受け取り、引き落としを行う。
数日後、バイクはアキラのもとに届けられた。サイドバッグには収納ケース、荷台には金属パイプ製の簡易フレームが荷台に組み込まれていた。
「ようやく足が手に入った」
『しかも私の支援つきだからより高性能な運転が可能よ。私の演算能力でどの道を入ればいいかとかも計算できるわ』
「なるほどな、このバイクもアルファが操作する感じか?」
アルファの支援のために、アキラの情報機器や情報収集機などの電気デバイス類はアルファの指示のもと、アルファがアクセスでき、かつ支援できるように調整や設定を施している。また以前の依頼の際に見つけた遺品の情報端末や情報収集機を使っているので前の情報端末より高性能だ。その情報端末もアルファが初期化して完全にアキラとアルファのモノになっている。なお、前まで使ってたものはシェリルに渡した。
ハンドルを握る手が自然と強くなる。これで、運搬と機動の問題は一つクリアだ。
徒党のアキラの自室、夜。周囲に子供たちの気配もなくなった静かな時間。
「で、つぎの訓練は念話? だっけ?」
『ええ。声を出さずに会話する、とでも考えて。そこから順に進めていきましょう。高速で正確な情報伝達は戦闘でも重要よ。それに、アキラがこれ以上虚空と会話する不審者になることもなくなるしね。早めに覚えてしまいましょう』
アキラは、どんな訓練でも真面目に取り組むつもりだった。ただ、今回はいささか勝手が違う。
「虚空に話しかけてる薬中みたいに思われるのは嫌だから、頑張るけどさ……具体的に、どうすれば良いんだ?」
『具体的な方法を口頭で説明するのは難しいのよ。耳で聞き、口で話すのではなく、脳で聞き、脳で話す。その感覚を掴むしかないわ』
「なんて? 抽象的すぎるんだが……」
『まずは私に心の中で話し掛けるように念じてみて。右を向け、とか簡単な指示でもいい。私もそれに応えるから、それで伝わっているか確認しましょう。始めて』
アキラは目を細め、頭の中で何度も呟いた。
──まえーならえ。右を向けー右
だがアルファは微動だにしない。アキラは唇をわずかに動かしてしまい、アルファからすかさず「それは発声よ」と注意される。仕切り直して、今度は凝視しながら念じてみる。目を閉じて集中してみる。だが反応はない。
数十分が経過し、アキラは額に汗を浮かべながらも根気強く試行を続けていた。アキラは結局イメージの問題だ、自身でイメージがよりしやすい文字とかの方が簡単かもしれないと思い簡単で強烈なワードを使い始めることにした。
『ファミチキください』
『アキラ、ふぁみちきって何?』
「なんでネットスラングだと秒でできるんだよ!?」
この数十分の苦労はなんだったんだと嘆いた。さすがに口から叫んだ。
『なかなか良くなってきているわね。これでどんな轟音の中でも、もう私の声を聞き逃すことはなくなったわ』
『ああ、確かにこれは便利だな。……でも、こんな訓練、外でやってもよかったんじゃないか?』
『虚空に必死に呼び掛けている不審者そのものの姿を、わざわざ人目に晒す必要はないでしょう?』
『ちくわ大明神』
『そうそう。そういう感じよ。ところで今の何?』
さらに数分後にはだいたいのコツが理解できた。アキラは本来、感覚で覚えることに長けている。戦闘中の反射や、スコープ越しの風読みと同じで、念話も「感覚」で掴んでいった。だが訓練は、これで終わりではなかった。
『相変わらずアキラの言ってることがわからないけど、口頭レベルの通信は十分ね。次はイメージ伝達。戦闘中の意思疎通には、視覚的な情報の伝達が必要になることも多いわ』
『イメージ、か。たとえば?』
『じゃあ、私の服装をイメージして送ってみて。私はそれを再現するから』
アキラは素直に頷き、脳内でアルファの服装をイメージする。──が、浮かんだのは、先日シェリルに贈った旧世界製の衣服だった。アルファがそのまま変化した瞬間、アキラは顔をしかめた。
『……さすがに別の女に渡した服を別の女に着せるのはどうかしてるわよ』
「違う! いや違わないけどさ! つい、シェリルの服が浮かんで……」
慌てて再送した結果、アルファはまた全裸になった。
『失敗ね。それとも、私の裸を見たかったの?』
「眼福だけどみたかったわけじゃないって! 早く何か着ろよ痴女!」
『誰が痴女よ、アキラのせいでしょ。さぁ裸の私が嫌ならさっさと着飾らせて?』
アキラは顔を真っ赤にしながらも、前世の推しやアニメキャラや好きだった服装などを脳内で強くイメージし出力する。
ゴスロリツインアルファに、地雷系ファッション、モルモット扱いしてくる担当バの勝負服、Heyテイトク!と叫んできそうな巫女服。そして彗星のごとく現れられたアイドルVtuberの衣装や清楚な大学生っぽい夏服、ワンピースやデニム、キャミソール姿など、気づけば、アキラはアルファに好き放題コスプレさせていた
『そ、そろそろいいんじゃない? 今日はこんなところにしましょう、初日にしては良い成績だと思うわ』
「めっちゃ楽しかったわ、すげぇ疲れたけど……」
『念話は精神の筋肉運動みたいなものだから。訓練を積めば、もっと複雑な情報も瞬時にやり取りできるようになるわ。戦場ではそれが生死を分けるの』
アキラは天井を見上げながら、ぼそりと呟いた。
「念話の訓練って、もっと地味なもんだと思ってたわ」
アキラは遺跡の入口付近で足を止め、背後を振り返った。彼の後ろには、徒党の少年少女が五人、揃って遺物運搬用のバッグを背負い、軽装のまま立っていた。皆、防護服はおろか、目立った武装すらしていない。だがその目には、訓練を受けた者らしい警戒と集中の光が宿っていた。
「よし、今日はこの辺りを重点的に探る。前に通ったルートと少しずらして、未踏エリアを潰していくぞ」
アキラの指示に子供たちは頷いた。彼らは単なる荷物運びではない。簡易な索敵や地形把握、運搬経路の安全確保といった最低限の役割を担うよう訓練されている。スラムの子供たちにしては、異常なほど統率が取れていた。
周囲のハンターたちは、そんな一団の様子を物陰から観察していた。
「……見たか? あのガキ共、防護服もろくに着てねぇのに、遺物バッグ背負ってんぞ」
「しかも、あれだけの数……あんな連中が戻ってこれるってことは、クズスハラのどっかに“まだ漁られてねぇ美味しい場所”があるってことか?」
「まさか、ガセじゃなかったのか……。素人のガキでも稼げるって噂、マジだったってわけかよ」
ハンターたちの間で囁かれるその会話は、瞬く間に都市へと流れていった。ありもしない“子供でも遺物が拾える安全なスポット”の噂は、燃えやすい乾草のように広がっていった。
──一方、クズスハラ街遺跡に向かう車両の中、エレナはスコープ付きの双眼鏡を操作しながら助手席のサラに声を掛けた。
「そろそろ着くわ。準備して」
「……ねえ、本当にここで合ってるの?」
サラは不安げに眉を寄せながら外の景色を眺めた。
「クガマヤマ都市から徒歩圏内で、素人同然の子供が通える遺跡なんて、ここぐらいしかないわよ」
「でもエレナ、前にここ来たとき、遺物なんてほとんど残ってなかったじゃない」
「確かに。けど、子供が何度も遺物を持ち帰ってるって話もあるのよ? 少なくとも、噂を広める程度には成果が出てるわ」
エレナの視線が、ふとサラの胸元へと移り、顔を曇らせる。
「……サラ。ナノマシン、そろそろ限界なんじゃない? 最近、補給サイクル落としてるでしょ」
サラも自分の胸を見下ろし、少し自嘲気味に笑う。
「大丈夫よ。まだ予備分はあるから」
「その“まだ”が切れたら死ぬのよ。冗談で済む話じゃないってわかってるでしょう?」
「でも、今の稼ぎでナノマシン補給なんてしたら、装備の更新すらままならない。そんな状態で遺跡に潜る方が死に近いわ」
エレナは強く、そして真剣に言った。
「それでも、サラが死ぬよりマシよ。今回、何かしら稼げたら、補給代は私が出すわ」
サラが少し困ったような笑みを浮かべて頷く。
「わかったわ。でも次の装備更新費用は、ちゃんと折半だからね?」
「もちろん!」
車は砂煙を巻き上げながら、廃墟の谷に滑り込んでいった。
遺跡内部。すでにアキラは目的のポイントに辿り着いていた。アルファの索敵で他のハンターとの接触を回避しつつ、手際よく遺物を収集する。徒党の子供たちは手分けして遺物をパックに詰め込み、また別の子は見張りを担当し、連携は完璧だった。
「……よし、撤収する。下手に他と出くわす前に離脱だ」
アキラは短く指示を出し、子供たちを率いてその場を離れる。彼らの姿を、物陰からエレナが観察していた。
「サラ。見た? あれ、子供たちよ」
「……確かに、あれが噂の元か……。でも、どう見ても単なる素人じゃないわね。妙に動きが良い」
「ふふ、だからこそ、探し甲斐があるってものでしょ」
エレナは口元を吊り上げて笑った。
「行きましょう。足跡を追えば、何かしら見えてくるかもしれないわ」
こうして、アキラの存在が、クズスハラ街遺跡に新たな波紋を投げかけていくのだった。
読了感謝です。
結局アキラくんはバイクを買うことにしました。車はシェリルが買ってくれます。もちろん中古の予定です。
次回ぐらいでサラさんが脱がされます。やったぜ
なお、ハンターハンターは全巻持ってます。好きなキャラはレオリオと幻影旅団メンバーです。パズドラでウボォーギン10体当たったのがいい思い出です