Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
改めて閲覧感謝です。前話のつづきです。書いてて思った、なんか僕の癖でてるなぁと。
前回と今回の話は割とぎこぎこしないで、すーーーーーっと書けたんですが、次のプロットの予定は未定です。とりあえずカツラギとのシーンぐらいまでもっていきたいです。来週入社前オリエンテーションとバイトと旅行で予定が埋まってるんですよね…
「じゃあこういうのはどうです?」
エレナの目がわずかに細まる。警戒しつつも、続く言葉を待っている。
「さっき倒した奴らの装備。銃とか弾とか、たぶん遺物も混ざってると思うけど、それをこっちで売る。で、その売却益をあなたたちに融資する形はどうです? 返済は、まあ……利子込みで1.5倍とか。期限とかも後で詰めたらいいですし」
荒野で極限状態の中交渉するのもアレなんでとアキラは付け加える。
その提案に、エレナは驚いたように瞬きをした。そして次の瞬間、ほんの少しだけ肩の力が抜けた。
「……それでいいの? あなたが私たちのために動いた分、もっと見返りを求めてもいいはずなのに」
「別に。あなたたちを助けたのは俺の気まぐれだし、こうやって一応回収できるなら悪くないと思った。それに助けた相手が結局金なくて死にましたーなんて夢見が悪いし。」
「ふふ……案外お人よしなのね、あなた」
エレナはようやく笑みを見せた。だがその笑みの裏にはまだ警戒と疲労が滲んでいる。
「ただ──こういう話、俺だけじゃ判断しにくいところもあるから。うちの徒党の、参謀というかパートナーというか、まぁ徒党のことも任せてて、細かいとこはその子ともすり合わせたい」
「なるほど、わかったわ。じゃあ、ちゃんと会って話しましょう」
都市に戻り、アキラたちはシェリルの待つ徒党の執務室へと向かった。
部屋に入ると、シェリルは机に向かって書類をまとめていた。その顔が、アキラの背後に見知らぬ女性二人を見た瞬間、ぴたりと止まる。
「……アキラ?」
「ただいま。ちょっと話があって連れてきた」
淡々としたアキラの口ぶりとは裏腹に、シェリルの心臓はドクンと跳ねた。──女。しかも二人。しかも一人は、見るからに美人で、見た目だけなら自分より大人っぽい。ひと目でハンターだとわかる風格。そしてその女が、アキラの後ろに当然のようについてきている。
(まさか……)
あんなに自分に懐いていたアキラが、他の女を連れて帰ってくるなんて。そんな現実が、シェリルの胸をかき乱す。
(まさか捨てられるの……? アキラ……私を……)
脳裏に浮かぶ最悪の想像をかき消すように、シェリルは作り笑いを浮かべた。
「……初めまして。私はシェリルといいます。アキラと徒党を組んでいます。あなたたちは?」
エレナが一歩前に出て、軽く頭を下げる。
「エレナといいます。こちらはサラ。事情があって、アキラに助けられました。それで、今後のことを話し合いに」
シェリルはエレナたちの傷ついた姿を見て、ようやく少しだけ警戒心を解いた。けれどその内心では、ぐるぐると思考が回っていた。
(でもこの人たち、アキラに笑ってる……。アキラは何も言わないけど、もしかして……)
そんな動揺を誤魔化すため、話の流れに自然を装って水を差し込む。
「アキラって、女の人を助けるの、好きなのかしら?」
「……ふふ、そうかもね。でも、助けてもらった身としては感謝しかないわ」
エレナの言葉には敵意も下心もない。だからこそ、シェリルは余計に焦る。
(悪い人じゃない。でも──悪くないからこそ、怖い。アキラがこの人たちに取られたらどうしよう……)
アキラは今日あったことと今までの経緯とこれからの取引について、シェリルに相談をした。
「なるほど。では契約の話に入りましょうか。内容としては、私たち徒党が彼女たちにオーラムを貸し付ける。その元手は、アキラが倒したハンターから回収した遺物や装備品の売却益。そして返済は利子を含めて1.5倍。支払期限は一ヶ月後──延滞があれば追加利子が発生する。加えてあなたたちはアキラ個人または私たちの徒党に一つ貸しを作るで、いいですか?」
「問題ないわ。むしろ、それで助かる」
エレナが即答する。
そのやり取りの合間、シェリルはふとアキラの袖をそっと引っ張る。
「アキラ。少し、あとで……二人きりで話せる?」
「ん? ああ、わかった大丈夫だよ」
その返事に、ほんの少しだけ安堵する。
(大丈夫。私は──このアキラの“最初”なんだから)
そう自分に言い聞かせながら、シェリルはエレナに笑いかけた。
(このアキラは、絶対に渡さない)
エレナたちを医療施設に送り届けたあと、アキラは一人、徒党の拠点に戻ってきた。部屋のドアを開けると、シェリルが無言で立っていた。
顔は笑っていない。目も伏せていない。ただ、じっとアキラを見ていた。
「……ちょっと、いい?」
そう言われて断れる空気ではなかった。アキラは黙って頷く。
二人だけになった会議室。ドアが閉まる音がやけに重たく響く。
しばらくの沈黙のあと、シェリルが口を開いた。
「ねえアキラ、ちょっと聞いてもいい?」
「……はい」
シェリルはゆっくりとアキラに近づく。その目は怒っているようで、泣きそうにも見える。けれど涙はまだない。
「なんで、あの人たちを助けたの?」
静かな、けれど深く刺さる声だった。
「……襲われてたから。助けられたから」
「そう。襲われてたから、助けた」
シェリルはそこで一歩前に出る。
「じゃあ、私があの子たちと同じ状況だったら、同じように助けてた? どんなに危なくても?」
「もちろんだよ」
その答えに、ほんの一瞬だけシェリルの表情が緩んだ。だが次の瞬間、苛立ちが爆発する。
「──じゃあなんで、私が“他の女に触られてないか”とか、“私だけ見ててくれてるのか”とか、そういうのに不安にならなきゃいけないの!?」
語気が強くなった。手が震えている。
「私、わかってる。アキラが優しいのも、正しいって思って助けたのも。でも……」
彼女の声が少しずつ震え始める。
「でも、怖かったの……アキラが、私じゃない誰かを見てるのが、怖かったの!」
膝が崩れるように、シェリルはアキラの胸元に抱きついた。もう声は、涙をこらえきれずに濡れていた。
「私……私ね、強くなったって思ってたの。もう依存しないって、ちゃんと支えられる女になるって、そう思ってたの。でも……」
小さな拳が、アキラの服をぐしゃりと握る。
「……アキラが他の女に笑ってるの、見たくなかった」
アキラは何も言わず、その小さな背中に手を添えた。
震える肩。押し殺した嗚咽。シェリルはもう怒っていなかった。ただ、必死に“繋ぎ止めよう”としていた。
「……ごめん」
ぽつりと、アキラが呟いた。
「助けたのは、間違ってなかったと思ってる。でも、シェリルに何も言わずに、勝手に進めたのは……悪かった。怖い思いさせたのも、ごめん」
その言葉に、シェリルは顔をアキラの胸に押しつけるようにして、深く頷いた。
「私、そんなに怒ってないから……」
そう言いながらも、手はアキラの服を離さなかった。
そしてそのまましばらく、二人の間に言葉はなかった。
けれど、アキラの腕の中で静かに落ち着いていくシェリルの様子は、確かに今、彼にとっての“唯一”であろうと必死にもがく少女の姿だった。
(……他の誰に何を言われても、俺は、こいつのことは──)
アキラはそう思いながら、シェリルの髪にそっと手を置いた。
夜。
都市の電灯も届かない私室に、短くて荒い息が響いていた。
シーツは乱れ、掛け布は床に落ちたまま。薄暗い部屋の中で、アキラはただ天井を見つめていた。
「……なあ、これ、ご褒美か罰どっちなんだ」
「え? 何か言った?」
背中から回された腕が、汗ばんだ肌にぴったりと張りついている。
シェリルの呼気はもう落ち着いていて、口元は満足げに微笑んでいた。彼女の太ももが、アキラの腰に絡んだまま離れない。
「こってり絞られたの、俺だよな……?」
「そうねぇ。でも、別に嫌いじゃなかったわよね?」
「……否定はできん」
目を閉じると、ほんの数時間前のことが、感触ごとよみがえってくる。
あの時の目。声。震え。あの必死さ。
自分が求められていると、これ以上なく伝わる、どうしようもない熱。
どこかで気づいていた。
嫉妬は、独占欲は、シェリルにとって不安の裏返しだ。
だから、それを受け止めた。抗わずに、全部。
「ん……アキラ? 寝る前に、もう一回してもいい?」
「もう無理です」
そんなやりとりを最後に、夜は静かに更けていった。
* * *
朝。
執務室に現れたアキラの歩みは、ほんの少し重たかった。
肩を回しながらぼやく。
「……腰、いてぇ……」
「姿勢が悪いのよ、アキラって」
後ろからついてくるシェリルは、涼しい顔でそう言った。髪を軽くまとめ、いつも通りの身なり。夜の顔など、なかったことのように。
ただ、アキラの襟元を整える手がやたらと優しかったのが、微妙に余韻を残していた。
室内にはすでにエレナとサラが到着していた。昨日よりは顔色もいい。包帯の下から覗くサラの表情も、多少は落ち着いているように見える。
「おはようございますエレナさんサラさん」
「おはよう、アキラ、シェリルさん……って、アキラ疲れてる? よく眠れなかったの?」
エレナがふと眉をひそめて、アキラの目の下を見た。
「いや、まあ……いろいろと……」
「ふーん……」
そこでサラもアキラを見て、次にシェリルを見た。そして、無言のままうん、と頷いた。
「……なるほど。ご愁傷様」
「ちょっとサラ!」
「だって見りゃわかるじゃん。あの満足そうな顔」
あからさまな視線に、アキラは顔をしかめた。
「……俺は何も言ってないですからね」
「言ってないけど、言ってるようなものよ……男ってほんとバレバレなのよ」
小さく笑うエレナと、肩をすくめるサラ。その横で、シェリルは上機嫌に紅茶を注いでいた。
「あら、何の話ですか?」
完璧な笑顔。誰も、その笑顔に逆らえなかった。
* * *
その後、契約は滞りなく進行した。
遺物と装備の売却額は103万7千オーラム。シェリルが用意した契約書には、貸与額100万、返済額150万、返済期限は30日以内──と簡潔に明記されていた。
「これで決まり。契約書には、アキラ隊の徒党名義とあなたたち二人の署名を」
エレナは無言でペンを取り、サインを済ませた。
「この借りは、必ず返すわ。命と同じくらいの価値のある借りだから」
アキラは頷く。
「無理はすんなよ。稼ぎたいなら、案件も紹介するし」
「……あんまり近づきすぎると、また怒られるわよ?」
エレナのその言葉に、アキラが「いやそれは……」と口ごもる。
隣で紅茶を啜っていたシェリルが、また無言でにっこり笑った。
その表情は、まるでこう言っているかのようだった。
「アキラは、私のものよ」
アキラは小さくため息をつき、カップを受け取った。
「……なんか、最近すげぇ忙しい気がする。気が休まらん」
「うふふ、でも嬉しそうよ?」
その言葉を聞きながら、アキラはどこか諦めたように苦笑した。
そのやりとりを、アキラとシェリルの後ろでアルファは静かに観察していた。
(この“シェリル”という少女……思った以上に強い執着を持っているわね)
(今はアキラが自発的にそばにいるけれど、感情的に引っ張られすぎれば──いずれ私との契約にも影響を及ぼしかねない)
(不要な感情が、合理性を歪めるのは困る。……この最重要人物、監視対象ね)
それでも、外側には何も表さない。
念話も干渉もせず、アルファはただ笑みを浮かべていた。
それは、情報生命体の表情としては“あまりにも人間的”で──どこか、冷たい笑みだった。
読了感謝です。
男女のアレソレとかのシーンある程度描写は加減しましたけど運営さんから指摘されるか心配ですがまぁ大丈夫だろ。うん。ほかのSSで「これR18じゃなくてええんか!?」って作品ありますしね、星野林(旧ゆっくり霊沙)さんが書いてる『種付けおじさんin戦国時代』とかね。割と好きです。
この年頃の男女で性行為とかしてるんか?という疑問は僕もあったんですが書籍版でナーシャがルシアを励ましてくれたりしたエリオに対して「見返りで相手ぐらいする」と発言があり、リビルドワールドの世界で主人公ぐらいの年代の男女でヤルことはやってそうだなーと思い、今作でも描写しました。
数年もアキラとシェリルが同衾してて、それ以上の関係にならないわけもなく…って感じです。
てかWeb版と書籍版でルシア(Web版:アルナ)の扱いだいぶ違うんですよね。読んでてアレ?これWeb版と違うやん!こういう展開も好き!ってなりました。
なお、ごちうさはアニメ二期まで観ました。劇場版とそのあとの話は知らないです。一時期どはまりしました。チマメ隊推しでしたが僕は決してロリコンじゃないはずです、推しが幼いだけです。ごちうさも好きですけど、ごちうさMADもめっちゃ好きでした。異世界オルガとか吉良吉影のMADとか好きでしたね。
以下 リビルドワールド最新刊ネタバレ含むあとがきです。ネタバレ嫌な方はそっ閉じしてください
ネタバレ注意
てかようやく原作最新刊読み終わったんですけど、やっぱおもろいですね。
キューブが万能すぎる件
なんや虚数空間に疑似拠点て、そのシーン何回か読み直したけど理解できなかったです。そして結局アルファどこいったんや。てっきりヤナギザワかツバキさんが何かしら干渉してるんかなと思うてたんですが違いましたね。ほなどうしてんアルファ、別個体のアルファと決闘でもしてんのか。剣ではなくもちろん鉄球で。
そしてあんま大事にしてくれないシェリルかわいそう、アキラ、お前の恋人やろ…もはや絶体絶命の時に助けに来てくれたエレナさんたちが恋人でも違和感ゼロよ。
ただ読み切って、僕が考えてたプロットに似たような描写やシーンが最新刊で書かれていたので、解釈違いや設定の矛盾にならなかったことで安心しました。余計書きづらくなったプロットもありますが…
一応今作の着地点までのおおまかな流れや構想はあります。原作だとこう着地するだろうなと予想して、それに沿ったエンディングを書く予定です