Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。

退勤後ジークアクス見てたら遅くなりました。いや、ジークアクス見るべきだってガンダムが言っていたんで…ちなみに最終回はめっちゃおもろかったです。米津さんが爆笑したってのもわかったし、驚きも面白さもありました。当然賛否別れそうな話かなーと思いましたが、まぁそもそもガンダム自体賛否わかれること多いし大丈夫でしょ。最後のシーンでスタァライトみたいに次の舞台に行く感じがしてよかったです。マチュはキラキラに囚われましたが、僕はまだきらめきから逃げれないようです。はいはい再生産

今回8000字はいってないですけど、どこかで分けるのも気持ち悪かったのでそのまま投稿します。またお気に入り登録や評価が増えててすごいうれしいです。アグニカポイント300点委譲します。




カツラギの商売は繫栄したようです

 

クズスハラ遺跡・荒野にて

 

 唸るエンジンの震動が、足元から伝わってくる。荒野の砂を巻き上げながら、アキラは全速力でバイクを飛ばしていた。

 

 だが――後ろからの轟音は、まったく引いていない。むしろ、ますます近づいてきていた。

 

「マジで言ってんのかよ……ッ!」

 

 荒野の岩肌を縫うようにして、アキラはハンドルを切る。地形の起伏が激しい中、ワイヤーガンで短距離を強引に移動しつつ、追撃を振り切ろうとするも――後方では、鉄と獣の咆哮が交錯していた。

 

 大型、中型級が群れをなしてアキラを追っている。数も質も、完全に想定外。いつも通りの遺跡探索で早めに切り上げる予定だったため、徒党の子供を手伝わせなくて正解だった。

 

『アルファ、これ逃げ切れないって!まだバイクで逃げれそうだけど、燃料とか考えたら時間の問題だぞ!最短ルートで都市に帰っても、群れ引き連れて帰る羽目になるから群れごと木っ端微塵にされちまう!』

 

『……認めたくないけど、もう運がなかったとしか言えないわね。おそらく、先行していたハンターがモンスターを散らしたことで、群れが一方向に集約された。もしくはかなり強いモンスターがいて、そのモンスターから逃げた群れがアキラに来てるのか…』

 

「理由はどうだっていい!何故じゃなく何をするかだよ!!…最悪だよホントに……ッ!むかし(前世)から運は悪い方だった!」

 

 バイクの計器に赤い警告灯が点滅する。冷却機構の負荷、燃料タンクの残量、GPS信号の乱れ。

 

『アキラ、バイクの状態が限界に近いわ。あと数度加速すれば、ブレーキが利かなくなる可能性があるわ』

 

「F***!でも行くしかない!俺のバイク、だからよ、止まるんじゃねぇぞ!」

 

 アキラの脳内に希望の花が流れる。焦りを一旦落ち着かせるためにも敢えてボケておく事で冷静さを整わせる。

握りしめた右手に力を込め、アキラは最後の一押しで加速をかけた。機械獣の咆哮が一斉に重なる。まるで地面が震えているかのような振動が、背中を押し返してくる。

 

 そして――

 

「ッ、クソ、行き止まりかよ!」

 

 視界の先、砂岩の裂け目に差しかかったところで、アキラはバイクを無理やり急停止させた。狭すぎる。バイクでは通れない。歩いてもギリギリの幅しかない裂け目。逃げ場は、そこしかなかった。

 

 

 

 

『アキラ。戦う覚悟はある?』

 

「……覚悟なんてとっくに出来てるよ。こっちは」

 

 アキラの瞳に、冷たい火が灯った。

 

 刹那、砂煙を割って最前列の中型獣が突っ込んできた。アキラはわずかに身体を沈め、照準を合わせる――。

 

アルファは数秒の沈黙の後、別の提案を投げてきた。

 

『アキラ、運が良かったかも。西に数百メートル。倒壊した路地に、装甲トレーラーが停車してるわ。向こうには機銃もあるし、アキラ一人で戦うより合流した方が生存確率は高いわ。 』

 

「……トレーラー?そいつらも相当運がないみたいだな。社会貢献が足りてないんじゃないか?」

 

『アキラが社会に貢献してるかどうかはかなり疑問だけど。ひとまず合流しましょう。バイクはまだ走れるわ。無理をさせない範囲内で運転しましょう。』

 

「何、荒野のモンスター狩って、遺物納品して貢献してるじゃあねぇか。さて、頑張るか……」

 

バイクをUターンさせ、エンジンを再点火。アキラは速度を落とさず、アルファが示した座標へと突き進む。

 

『それと今のうちに、体力消費抑制のため回復薬を服用しましょう。』

 

「おけ、ODにならない程度に飲んどくか。錠剤の加速剤とか飲んだ方がいいか?」

 

『加速剤は瞬間的に強くなれるけど持続性がないわ。』

 

「一応徐放錠*1を用意したし、そっちなら30分待つ。それなら使ってみる価値はあるかもだぞ」

 

『そうなると即効性の加速剤を服用できなくなるけど…まぁ仕方ないわね。最悪死を覚悟で即効性のヤツも飲みましょうか。それに今後は加速剤無しでも同じようなことができるように訓練するから、あまり買う必要はないわよ』

 

「なにそれオカルトか?それとも全集中の呼吸法みたいなのか?…まぁいいか、とりあえずさっさと行くか」

 

 

 

 

荒野を抜けて市街地の廃墟が見えた頃、アキラの耳に不自然な連続音が飛び込んできた。

 

 ──ドドドドドッ! 

 

 機銃の掃射音。次いでアサルトライフルの短いバースト音。

 

 こいつは、モンスターと交戦中の音だ。それも、数が多い。

 

「……アルファ!アレが例のトレーラーか!?」

 

 バイクの加速を上げる。アルファのサポートが入ったことで、機体は荒地を蹴るように駆ける。砂利を跳ね上げながら、音の方角へ一直線に突っ込んだ。

 

 廃ビルの合間に差し掛かると、濃い硝煙と甲高い金属音が交錯する。

 

 狭い路地。そこに詰め込まれた一台のトラックと、機銃を構えたカツラギの姿があった。

 

「クソがッ、次から次へと湧きやがってッ!」

 

 運転席を放り出して機銃に回ったカツラギが、汗と油で顔を真っ黒にしながら引き金を引いていた。

 

 その横ではダリスが車体に身を隠しながら、アサルトライフルで迎撃。銃声の合間に怒鳴り声が飛ぶ。

 

「弾が切れるッ! クソ、リロードが──!」

 

「文句言うな撃て! モタモタしてっと食われるぞ!」

 

 前方からは、四足の獣型機械獣が群れで押し寄せてくる。装甲は薄いが数が多い。押し潰されれば車ごと持ってかれるだろう。

 

 そのとき、アキラは路地の反対側からバイクごと飛び出した。

 

 旧世界の服と追加で買った防護服が加速を吸収し、アキラの体を安定させる。バイクのハンドルをわずかに傾けながら、AAH突撃銃を構える。

 

 ──狙いは、今リロードしようとしてるヤツに群がるモンスター。

 

 ドドドドと連発。頭部を撃ち抜かれた獣型モンスター達が息絶えていく。

 カツラギが目を見開いた。

 

「増援か!緊急依頼を出した甲斐があった!」

 

「俺たちにも運が回ってきたぜ!押し返すぞ!」

 

 アキラはバイクの速度を少し落としつつ、次弾をロードして射撃。片手射撃の命中率は下がるが、アルファのサポートや補正がある限り“撃てる”。

 

 獣型の一体が飛びかかってきたが、アキラは腰のグラップルを撃ち出して瓦礫上へ跳躍。反動で空を飛びながら、真下のモンスターへと連続射撃を浴びせた。

 

 ──二体、三体、撃破。

 

 着地と同時に瓦礫の山を駆け、今度はカツラギたちが包囲されている側面へ攻撃を仕掛ける。

 

『アキラ、敵の第二波が接近中。正面だけではなく、右側面にも注意を──』

 

「分かってる!」

 

 アルファの警告を受けながら、アキラは自動小銃を切り替えて制圧射撃。バイクの荷台からグレネードを掴み、群れの中心へ放る。

 

「お前らが食うのはフラグがお似合いだバーロー!!」

 爆音と黒煙。敵の進行が一瞬止まる。

 

 その隙にカツラギが怒鳴る。

 

「今だダリス! トラック出すぞ!」

 

「了解ッ!」

 

 二人が運転席に戻り、タイヤがキュルルと滑る音を上げる。敵の残滓を踏み潰しながら、車体が猛スピードで抜け出す。

 

 その背後、群れの残りがまだ追いすがる。アキラは再びバイクを走らせ、車の後方につけるように走りながら援護射撃を続けた。

 

 ──そして、十分な距離を取ったところで。

 

 全ての敵が追撃不能になる距離まで引き離し、バイクの速度を落とした。

 

 トラックも停止。カツラギとダリス車から降りて、汗まみれの顔で唸った。

 

「……すまん。助かったぞ。お前……マジで命の恩人だ。今の、いなきゃ俺たち詰んでたところだ」

「ほんとだよ。しかも子供の割には射撃も判断力も相当なもんだ。ありがとよ、お前のおかげで生き永らえた」

 

「礼はいいよ。たまたま近くにいたのと、緊急依頼だったしとりあえず様子見で来ただけだ。一応依頼は受けてるぞ、あとで確認しといてくれ」

 

アキラはバイクでトレーラーと合流する前にアルファに緊急依頼の受注を頼んでいた。実力が足りなければ最悪依頼放棄して帰る手もあったが、そもそもアキラも群れに追われている以上帰るに帰れないのが現状であった。

『まぁその射撃の腕も判断力も半分くらいはアルファのおかげだしなー。運転しながら銃打つのむずいわ』

 

『あら、もっと頼ってくれてもいいのよ?私はアキラの力になりたいんだから』

 

 

 

「緊急依頼のハンターで間違い無いんだな?!助かるぜ。なに、お礼と言っちゃあなんだが腹は減ってないか?今なら トカゲの上物が山ほどあるぞ!文字通りな!」

「あいにくモンスターの肉を好き好んで食う趣味はないんだわ。しかも馬鹿みてえにモンスターの群れに追われて疲れてるから食欲もねぇよ。」

 

「ははは、群れに襲われたか!お互い運がないみたいだな」

「違いない」

 

『なぁアルファ、モンスターの群れの原因って、確かコイツらだよな。』

『ええ、おそらくそうよ。でもあえて指摘しない方が身のためかもね、今はアキラの依頼主なんだから』

 

 冗談混じりに笑うカツラギを尻目に、アキラはバイクから降りて自己紹介をする。

「改めて、俺はアキラだ。依頼完了までよろしく頼む。」

 

「俺はカツラギだ。あっちのやつはダリスだ。このトレーラー兼店舗で商売をしてる。今は最前線で手に入れた商品をクガマヤマ都市へ戻る途中だったんだが、まぁ群れに追われてな。」

 

「なるほどな、とりあえずこのまま都市に帰るのか?」

アキラがカツラギに尋ねる。

「そうだな、もう疲れたし弾薬も心許ない。機銃のメンテが終わり次第帰る予定だ」

「そうか、なら俺も帰ろうかな。同じく疲れたし」

『帰っていいよな?アルファ。フラグもそろそろ切れそうだし。ワイヤーの調子も良くない。何より疲れた…』

『まぁそうね。疲労困憊のままの戦闘だとケガもしやすいし、帰りましょうか。遺跡探索はまた後日ね』

 

 

 戦いは終わった。けど、街の外ではいつだって次の戦いが待っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 トレーラーの荷台にバイクを載せ、アキラはカツラギのトラックの助手席に潜りこんだ。ダリスは荷台の機銃座に陣取り、走りながら残弾チェック。窓の外では夕焼けが汚いオレンジ色に染めている。

 

 カツラギが渋面でハンドルを握りつつ、横目でアキラを見る。

 

「しかしよ、緊急依頼なんざよく引き受けたな。普通の依頼に比べればハンターとしては依頼報酬が美味いが、その分危険だろうが」

 

「まぁ俺も色々あるんだよ、金もいるし、ハンターランクも欲しいし、色々とな」

さっきの群れを押し付けたかったと言うセリフは言わないことにしたアキラだった。

 

「がはははは、自分の命も大事だがそれでも金や信用が欲しいって?ハンターらしい理由だ!」

 

「なんだ不服か?」

 

「いーや、下手な偽善や同情心よりも信用できる!俺は好きだぞ!」

 

「まあ、何かの縁だ。これからよろしくカツラギ」

 

「俺は商人だ、付き合うかどうかは利益次第だ!!」

 

「ちゃっかりしてんなーー」

 

とアキラとカツラギが軽口を叩き合いながらもトレーラーは都市へ向かい走り続ける。

 

トレーラーの荷台でガタガタ揺られながら、アキラはカツラギとダリスの武勇伝を肴に時間を潰していた。クズスハラ街遺跡は都市から目と鼻の先とはいえ、徒歩で往復するにはさすがにきつい距離だ。車両移動でもそこそこ掛かる。

 

戦闘後でハイになっている二人は、東部の未到達領域ぎりぎりでどれだけモンスターが凶悪か、最前線のハンターは「戦車持ち」がデフォだとか、仕入れルートの地獄っぷりだとかを面白おかしく語ってくれる。世界がいまだにスラムから広がっていないアキラには新鮮な話ばかりで、ついつい聞き入ってしまった。

 

「商売ってのは仕入れだけじゃなくて顧客とのコネ作りも死活問題だぞ」と胸を張るカツラギに、アキラは素直に感心した。どう想像しても、アキラが帳簿をつけて値札を貼る姿なんて思い浮かばないからだ。なんならその仕事をシェリルにパスしてる姿の方が容易に思い浮かぶ。

 

「成り上がる手段は人それぞれ。俺は商売で五大企業入りを目指す。自社通貨“カツラギ”を発行して、値札に五万カツラギって書かせてやる!」

 

バカみたいな夢を真面目に語るその横顔に、思わず苦笑する。でも──その積み荷を守れたのは俺のおかげらしい。某海賊漫画の黒ひげは「人の夢は終わらねぇ!」と言っていた。夢の為に進むヤツが前世から眩しく見えていた。俺に取って今のカツラギは輝いて見える、夢を追うのに年なんて関係ないんだろう。忖度関係なしに、カツラギとは付き合いを大事にしたいと思った。

 

またカツラギは「今回ばかりは本気で感謝してる」と神妙な顔で礼を言った。

 

「じゃあ貸しにしておいてくれ」と返すと、「値引きは勘弁な。金が要るんだ」といつもの商人スマイル。

 

ハンターで這い上がる俺と、商いで駆け上がろうとするカツラギ。目指す山は違うが、頂を睨む視線だけはきっと同じだ──そんなことを思いながら、俺は荒野の赤い夕日をぼんやりと眺めた。

するとアルファがその談笑に混ざっているかのようにアキラの側そばでほほ笑んでいたが、その表情を険しいものに変える。

 

『アキラ、いますぐ双眼鏡で後方を確認して、モンスターの群れが再接近してるわ』

「ははは…そんなわけ」

アキラは双眼鏡を情報端末に接続し拡大表示された荒野の一点から土煙があがってることを確認する

「なんだよもう!またかよ!!!」

 

アキラはすぐにカツラギに伝える

「おい!カツラギ!めっちゃ向こうからモンスターの群れがまた来てるぞ!?」

それを聞いたカツラギはダリスに索敵範囲を限定的に絞って確認させる。索敵結果には、遠方からトレーラーの方へ殺到する大量の反応が映っていた。

 

 

『アキラ、いずれ追いつかれるわ。どこかで迎え撃つしかないわ』

(分かってる。でも退路を潰されたら終わりだ。せめてバイクだけでも確保して最悪一人で逃げるか…逃げ切れるか?)

 

「カツラギ、どこかで追いつかれる。できる限り準備して迎え撃つしかねぇ。最前線から武器運んでるんだろ?このまま使わずに死ぬよりは商品使って生きたほうがいいって、なぁ強化服とか超電磁砲とかブラックバレルとかないのか?なんなら対滅弾頭でもいいぞ。」

 

「無理だ。強化服は少なくとも準備に4時間かかるし、対滅弾頭*2撃てる強い銃はあるがなにせ弾がねぇ……クソッ!」

 

――迎撃以外に道はない。そう悟った瞬間、全員の顔から楽観の色が消えた。

カツラギはトレーラーを岩陰に押し込み、機銃弾帯を山と積む。ダリスとアキラは地面に飛び降り、交戦まで残り数分という圧に黙って持ち場を固めた。

 

俺はアルファの指示どおりに AAH を再装填し、マガジンを足元に並べる。回復薬は一包み嚥下、追加分はカプセルを割ってポケットへ。身体面の準備は整った――残る問題は心だけ。

 

『アルファ、正直に答えろ。勝ち筋はあるか?』

『ええ。勝率は“ある”。私はサポートに徹するわ。』

 

数値は語られない。アキラも聞かない。士気が下がると互いに分かっているからだ。

「……まぁ0と1は違う。可能性があるなら覚悟を決めるのに十分だ。」

 

銃口と口角を上げる俺を見て、アルファがわざと陽気に笑った。

その笑みが合図。次の瞬間には引き金を絞り込む――戦いが、始まる。

 

 

 

 

 車体後部の解錠レバーを蹴飛ばし、バイクを乗せたトレーラーを路肩へ滑り落とす。アキラはバイクの荷台を飛び越えて床に着地し、AAH銃を肩に当てた。

 

「カツラギ、機銃で散らせ!俺は抜けてきたやつからぶち殺す!!」

 

 カツラギが吠えるように応じ、機銃が火を噴く。だが相手は数で押す戦法。一、二列潰しても後ろが詰まってくる。

 

 アルファが知らしてくる残弾カウンターが赤く点滅しはじめる。残りマガジンも底が見えてきた。

 

 

『クソッ! 装甲抜けねぇ!』

 

「弱点は腹と頭だ!腹を見せたら叩き込め!頭なんか勝手に当たる!」

 

 言いながらも押される。迫る金属の脚が、車体の鉄板をひっかき、タイヤが鳴る。

 

 ──このままじゃジリ貧だ。

 

 俺は通信端末に指を伸ばした。借りを返してもらう時が来た。

 

「どうもエレナさん今元気ですか!?俺は今死にかけてて笑!申し訳ないですけど助けてほしいです!今、緊急依頼受けてて!位置データ飛ばすんで!報酬はできる限り──」

 

『カツラギって人が出してるやつよね!?丁度向かってるとこ!だいぶ近くまできてるっぽいからすぐ行く!十分、いや五分で行くわ!サラ!飛ばすわよ!』

 

 頼れる姉御の声。息が詰まる緊張の中、肺にわずかな余裕ができる。アキラは無線を切り、あふれ出るドーパミンが抑えきれず念話でなく口頭で叫ぶ。

 

「時間稼ぎの遅延戦法は得意だ!手ぇ貸せ!アルファ!全開だ!」

 

同時に虎の子――即効性の加速剤を嚥下。狂気的な笑みをアキラは浮かべ始める、あとになってトリガーハッピーになっていたと後悔するアキラだった。

 

「カツラギ、ダリス!援軍を呼んだ!五分だ!五分耐えるぞ!」

 

「五……分? マジかよッ!」

 

「生き延びりゃ都市で豪遊だろ? ――撃ち続けろ!」

 

 再装填。手榴弾を咥え、ピンを歯で抜き、密集地帯へ放る。破裂音。カツラギが機銃で出来た穴へ弾を流し込み、ダリスはアサルトライフルを片手に、窓越しに接近個体のセンサーを吹き飛ばす。

 

 汗と火薬臭と焦げたオイルの混ざった空気。視界が黒煙で揺らぐ。

 

 

 

 

『残弾が三割を切ったわ。エレナたちが来る前に撤退するのを勧めるわ』

 

(エレナさんが来るまで下がれねぇ。持つか持たないか、ギャンブルだ。もっとも俺はギャンブルくっそ弱いけどな!)

 

 膝を着き、最後の弾倉を装填。もうこれで終わりだ――

 

 その瞬間、東の地平から長いクラクション。続いて大型ホバータンクのエンジン音が唸った。

 

『待たせたねッ! 援護入りまーす!』

 

 路地を塞ぐように飛び込んで来たのは、エレナの装甲トラック。車載二連ガトリングが火を吹き、虫型機械獣の群れを一気に削る。反対側からサラの狙撃弾が飛び、指揮型らしき大型個体のコアを正確に破砕。

 

 爆発。統制を失った群れが瓦解しはじめる。

 

 俺は膝をついたまま、安堵と共にAAHを下ろした。

 

「はぁ……間に合ったか」

 

 カツラギが運転席から這い出て、尻餅をつく。

 

「ったく……命がいくつあっても足りねぇ仕事だ……!」

 

 エレナがトラックのルーフハッチから顔を出し、親指を立てた。

 

『借りは返したよ! 次はそっちが奢りね!』

 

「了解。たっぷり払わせてもらうさ」

 

 焼けついた銃身を冷ましながら答えると、アルファが静かに念話を送ってきた。

 

『生存率、割と絶望的だったんだけど…結果は良好ね。お疲れ様アキラ。ちなみにエレナたちを待たないほうが10倍くらい生存率あったわよ』

 

『そ、それに関してはすまん。マジで冷静じゃなかった。アルファの支援ないと死んでたのに無視してごめんって』

 

 アキラは防護服の胸部装甲を軽く小突き、夕闇に霞む廃墟を見渡した。

 

 ──今日も、死ななくて済んだ。

 

*1
徐放性製剤とは、薬の成分をゆっくりと時間をかけて放出するよう設計された製剤です。血中濃度を一定に保ち、副作用を抑えつつ効果を長時間持続させるのが特徴です。砕いて飲んでいい薬もありますが徐放薬は砕いたらダメな奴です

*2
発射されると軌跡に存在するあらゆるものを消滅させながら突き進み、着弾すると質量を非常に効率良くエネルギーに変化させて大爆発を起こす。くそ強い弾、一つで一億かかる。誰かが考えたさいきょーの弾




読了感謝です。

マジで3日に一回投稿もギリギリですね。書き終えてから「あ、これも書こう」「あのネタも使いたいな」と思うこともおおいので結構見切り発車です。仕方ないね。
次は強化服買って修行編書いていよいよカツヤとの運命の出会いを!書けたらいいなぁ・・・

追記:今週末旅行行くのと、来月の転職先に向けて準備で忙しいぜ。国保の申請忘れてたぜ

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