Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
結局全然書いてませんでした、RUSTとかやってたらいつの間にか6月になりそうになったんでさっさと書き上げます。とりあえず原作開始までは書き上げたので順次投稿していきます。今日と明日で連続投稿予定です
転生したらスラムだった件
結局、俺は──何がしたかったんだろうか。
……いや、たぶん最初から“やりたいこと”なんて、一度もわかってなかったんだと思う。
ぼんやりとした頭のまま、俺は職場の廊下を死んだ目でふらふらと彷徨っていた。
中学、高校、大学、就職……人生の節目で訪れる選択肢ってやつは、毎回“楽な方”を選んでた。逃げて、見ないフリして、都合のいい今だけを選んで……結果、痛い目に遭っても「まぁしゃーない」で済ませてた。
そんな人生の積み重ねが、今の“何もなしえなかった俺”ってわけだ。
意識が溶けていく。耳に入るのは電子音、喧しい同僚の声、独特な職場の匂い……全部が混ざって、ぐちゃぐちゃに絡み合って、俺の自我を薄めていく。
あれ? 地面が……近い。痛い。視界が……暗い。
……これ、死ぬのか? ハハ、なんだそれ、俺らしいな。
ロクでもねぇ人生だった。後悔ばっかだった。
せめて──次の人生では、もう少しマシな終わり方を……もうちょっと、自分を褒めてやれる人生を……。
人生って、なんだ? 意味、わかんねぇ。
わかんねぇけど、もう、いいや。眠い。寝よ。ねむ……い……
そして、俺は死んだ。
──俺の名前はアキラ。
気づいたらスラム街で目を覚ましてた、どこにでもいる普通の元社畜だ。
前世ではアニメやラノベをたしなんでいたオタク紳士なので、最初は「よっしゃ異世界転生きたコレ!」って舞い上がってた。
だが──この世界は、そんな甘っちょろいもんじゃなかった。
剣と魔法で無双できるファンタジーでも、ステータスでチートできる異世界でもなくて、銃と鉄とモンスターが支配するディストピアのSF世界。
街の外には化け物がウジャウジャで、世界中が荒廃していて、文明は“滅んでは復活し、また滅ぶ”を繰り返してきたらしい。
……なんだこのクソみたいな世界
当然、俺が履修してきたアニメやラノベと一致するような原作もなさそうだ。
しかも俺が主人公、ましてや脇役であるかどうかもかなり怪しいし、そもそもここがどんな“作品”なのかもわからない。だからもう、原作自体がわからないから原作崩壊ガーとか考えるのはやめた。第一にそもそもなんかの作品の世界である保証もないのだ、考えるだけ無駄無駄無駄ァ!
願わくば、せめて『エイティシ○ックス』みたいな詰み世界じゃありませんように──って祈るしかない。
まぁ、それでも一応、人生はやり直したわけだ。
せっかくだから前世とは違う選択をしてみたい。
そして、次こそは──自分で納得できる、生き方と死に方を選びたい。
転生後のこの世界、ざっくり言えばポストアポカリプス。
文明の遺産である遺物や自律兵器や生体兵器が散らばってるのと、現代よりはるかに高度だった科学技術が点在してるらしい。
人類はというと、なんとか国っぽいものは存在してるけどほぼ死に体で、実質的には“五大統治企業”とかいう化け物みたいな富、名声、力を兼ね備えた資本企業が世界を動かしている。
俺が今住んでる都市も、そいつらが運営する企業都市らしい……が、スラムで拾った知識なんで、正確かどうかは知らん。
とにかくこのスラム、治安がクソ。
見た目は『ウォール・マリア』みたいな壁で守られてるが、外にいるのは巨人じゃなくてガチモンのバケモン。
中でも、上位区画に住んでる連中だけが人権を持ってるっていう、ハイパー格差社会だ。
俺たち貧民は、壁の外側、荒野と隣り合わせのスラムで日々を過ごす──命懸けで。
ほーんと、誰が好き好んでこんな環境に転生するんだよ……。
前世だって海外旅行ろくに行ったことねぇし、スラムの知識なんて動画配信者のジョー○ログか、せいぜい大阪の西○区レベルだぞ。
……まぁ、どっちにせよ詰んでるには違いない。
でもな。前世の俺と違って、今の俺は「わからないことに立ち止まらない」って決めた。
わからないことは、わからないままでいい。とりあえず後回し。それよりも──生き延びることを考える。
ちなみに、子供の体って意外と悪くない。
メガネもコンタクトもいらんし、睡眠不足もない。前世の疲労感に比べたらだいぶマシだ。
……まぁ、体が軽いのは、ちゃんと飯が食えてないからってのもあるけど。
とはいえ、前世の肉体に比べて筋力も距離感も全然違うし、今後は身体の慣らしも必要だな。
この体で、この世界で、どう生きていくか。考えないと。
目指すのは“スラムからの脱却”──いわゆる成り上がり、だ。
といっても、別に「俺tueee」したいわけじゃない。
社会的に自立して、そこそこ不自由せず生きていければ、それでいい。
でもまあ、せっかくの異世界だ。
前世にはなかった職業とか、見たことのない世界を見てみたいといオタク特有の興味がある。
まぁ艦〇れに転生したら提督になりたいとか、ウ〇娘の世界だったらトレーナーになりたいとか、ブルーアー〇イブに転生したら先生になりたいとか……まぁそんな程度の願望だけど、どうせなら前世と違うことをしてみたいのだ。
この世界には──“ハンター”って職業がある。
遺跡に残された旧文明のオーパーツを拾って換金したり、その遺跡にいるクソつよモンスター達を一狩りして金を稼ぐ人々をそう言うらしい。
もちろん、命の保証はゼロ。
命がけの探索で一攫千金……って、まんまラノベの冒険者だな。
──よし、決めた。
俺、ハンター目指してみるわ。
念能力とかは……さすがに無理そうだけど。
俺が五歳くらいになった頃、親が蒸発した。ある日気づいたら、家という名の路地裏に両親は戻ってこなくなっていた。俺が売られたわけでもないので、おそらく親は何かやらかして死んだのだろう。だが、なぜかそれほど悲しみは湧かなかった。前世で成人済みの社会人だったこと、職業柄、人の死にある程度慣れていたこと。そして何より、スラムという環境で生き延びることとで精一杯だった。
とはいえ、現実問題として幼児がスラムに一人放り出されて、まともに生活できるはずもない。そりゃ無理だろ、俺いうて子どもだぞ?
まず俺は、衣食住をどうにかしないとまずいと考えた。一人で暮らすという選択肢も一応考えたが、さすがに幼児1人でスラム生活は絶対死ぬと思い、集団生活を選ぶことにした。
こっちの言葉で言えば“徒党”ってやつだ。つまり、スラムの子どもたちが寄り集まって暮らしているグループに加入することにしたのだ。
ただし、五歳児の俺に大人顔負けの仕事なんてできるはずもなく、結果として便利に使われるだけの圧倒的下位存在になった。まぁ、前世でも職場で理不尽にコキ使われてたし、大して変わらないな! 「おい!」「無能!」「さっさと動け、カス!」と怒鳴られていた経験が、こんなところで活きてくるとはな! ちなみに転職先で有給すら取らせてもらえなかったこと、今でも根に持ってる。みなさんも就職・転職は慎重にね。
そんなこんなで、俺は両親と暮らしていた裏路地のボロボロダンボールハウスを出て、徒党の拠点に住むようになった。せめて雨風はしのげる場所だ。一足どころか五足くらい早い独り立ちだな、これは。
で、次に問題になったのは服と食事だ。まず服に関しては……まぁ、正直に言おう。スラムのあちこちには、無所属の子どもや徒党の仲間だった奴らの死体がゴロゴロ転がっているので、そこから拝借した。前世で死体を見慣れていたわけではないが、瀕死の人間や排泄物の臭いにはある程度耐性があったので、発狂はしなかった。
ただ、死体から服を剥ぐという行為は、それなりに心にくる。SAN値もガリガリ削られた。でも、俺が生きるためだ。ありがたく頂戴する。生きるためには、追い剥ぎもしなさいって古事記にも……書いてないけどな。いや、追い剥ぎするのは羅生門か。なお、スラムのガキの髪は全く売れなかった。
ちなみに、綺麗な服や装飾品なんかは見つけ次第、即売り払った。金になるからね。
最後に食事。スラムでは一応、治安維持も兼ねた無料の配給が存在していて、これのおかげで完全に餓死することは避けられている。……が、問題はその中身だ。噂によれば、モンスターの肉、添加物、臨床試験前の薬品なんかが入っているらしく、運が悪ければ食っただけで死ぬらしい。とはいえ、食わなきゃ飢え死にする。タダより高いものはないっていうが、リスクを受け入れなければ生き残れない世界なんだ。
けど、俺はこうも思う。日本人って、昔から毒のあるフグを美味いからって理由で食ってきた民族だ。生ガキで腹壊すとわかってても、うまいからって食う民族なのだし、リスクとか言ってられない。
だったらこの世界の配給食にビビる必要なんてない。味が薄いのはいただけないけどな。せめて塩とか、胡椒とか、スパイスが欲しい。日本人は食に厳しいのだ。
──というわけで、両親と死別し、5歳児なりにかなり頑張った結果、最低限の生活基盤は確保した。だが、今のままじゃこの徒党で使い潰されて、早々に死ぬのは目に見えている。だからこそ、もう少し年を重ねて、武器の扱いや金の稼ぎ方を覚えたら、別の徒党に移るなり、いっそ独立して自分の身を守っていくつもりだ。
読んでいただきありがとうございます。なるべく間隔開けずに投稿します。感想意見誤字報告評価感想評価評価お願いします
なお転スラはアニメしか見てません。