Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。
二日連続投稿あんがいきついっすね。三日とかの方がいいや…
感想や評価お気に入り登録誤字脱字報告など皆様ありがとうございます。そして案の定文字数多くてカツヤと出会うまでのシーンまで書ききれませんでした。書きたいシーンが多すぎる。
頭ではできてるのに文章に起こすのきついっすね。


同じ文章が重複してたので修正しました。



「信頼」は人柄や関係性に基づく感情的な安心、「信用」は実績や履歴に基づく客観的な評価。


アキラピリオド

 

 まぶたの裏に淡い光が差し込み、意識の奥に漂う霧がゆっくり晴れていく。

 アキラが目を開けると、そこは見慣れた徒党の一室だった。天井はすすけて古びているが、不思議と安心感がある。柔らかな寝床の感触が、きちんと生きて戻った事実を伝えていた。

 

 その瞬間、布を絞るような小さな声が漏れる。

 

「……アキラさん?」

 

 ベッド脇にいた徒党の少女が、驚いた顔でこちらを見つめていた。何か言いかけ、慌てて立ち上がる。

 

「し、シェリルさんを呼んできますっ!」

 

 少女は足音を響かせて走り去り、ほどなくして扉の向こうから呼びかける声が聞こえた。しばらくして、息を切らしたシェリルが駆け込んでくる。

 

 目元を赤くした彼女は迷うことなくアキラに身を寄せた。

 

「アキラ!」

 

 そのまま抱きつかれ、アキラは驚きながらも背をそっと抱き返す。

 

「……なんかすまん。今回も迷惑かけた」

 

 掠れた声に宿る感謝と申し訳なさを感じ取り、シェリルの腕はわずかに強くなる。

 

「ううん……違うの。頼ってくれて本当にうれしかったの」

 

 シェリルはアキラの胸元に顔を埋めながら、小さく嗚咽を漏らす。

 

「もっと頼って欲しいの……アキラが苦しいとき、傍にいたい……そう思って、ずっと」

 

 アキラは彼女を優しく抱き締め、低くささやく。

 

「ありがとう。信頼してるよ、シェリル。これからもずっと」

 

 二人はしばし寄り添い、疲労と安堵が重なってそのまま深い眠りへ落ちていった。

 

 

 

 夜半。静かな寝息の混じる中、アキラはそっと目を開けた。

 隣ではシェリルが小さな寝息を立て、アキラの手を握ったまま安らかな表情を浮かべている。

 

 アキラは天井を見上げ、念話で語りかけた。

 

『……アルファ。今回も助かった。危うく死ぬところだった』

 

 すぐに透き通る声が返る。

 

『頼ってくれてうれしかったわ。もっと頼っていいんだからね?』

 

 どこかで聞いたばかりの言葉と重なり、アキラは小さく笑う。

 

『信用してるよ、アルファ……これからも』

 

 だが心の片隅には、薄い隔たりが残る。

 アルファは最強の味方だが、ときに人間味を欠く。

 シェリルは弱さも強がりも持ち、それが〈人の温度〉として伝わってくる──。

 

 アキラはシェリルの寝顔を一瞥し、再びまぶたを閉じた。

 

 翌朝。アキラはカツラギへの連絡手段を持たないことに気づき報酬の相談に頭を悩ませていたが、アルファから「交渉の大枠はシェリルが済ませている」と告げられた。詳細は目覚めてから詰める約束になっているという。

 

 謝意を示した後、アキラはシェリルを伴いカツラギのトレーラーへ向かった

 

 

 

 

 都市の雑踏を抜け、やや寂れた商業区画にあるカツラギのトレーラーへと、アキラとシェリルは連れ立って向かった。

 

 

「よう、久しぶりだな、カツラギ」

 

 扉を開けたアキラが軽く手を挙げると、デスク奥のカツラギがわざとらしく顔をしかめた。

 

「おいおい、年上だってのに“さん”付けもなしに呼び捨てかよ?」

 

「ちょっとアキラ、取引相手なんだから敬意は払って。……カツラギさん、お時間いただきありがとうございます」

 

 シェリルが釘を刺すと、カツラギは吹き出した。

 

「はは、こっちの子は礼儀正しいな」

 

 心中で安堵しつつ、アキラは本題へ入る。

 

「報酬の件だ。シェリルから聞いてるな?」

 

「おう。弾薬補填と支払い100万オーラム、ただしうちの商品を買うなら20万引き──その話だ」

 

 カツラギが端末を操作すると、取り置きされていた武器が運ばれてくる。

 

 それは、R-12 コブラモジュラーショットガンだった。

 黒光りする金属製の銃身、着脱式のショットシェルチューブ、そしてグレネードランチャーモジュールにも換装可能なアンダーバレル。近距離か遠距離武器のどちらかを購入しようと思っていたアキラとしてはかなりぶっささる武器だった。

 

 

「シェリルからおおよそのアキラの戦闘スタイルを聞いたうえで俺が選んだのはこいつだ。アキラの戦闘スタイルから見ても爆発物が好きそうだし、しかもソロで必要なのは戦闘継続能力じゃなくて瞬間的火力だろ? その点こいつは優秀だ。この銃はショットガンと一応グレネードランチャーとしても使える、もちろん本職のグレランには劣るが、ソロで活動してんなら持ち運べる武器も限られる。突撃銃と悩んだがあっちは高いんだよ、今回の報酬では買えん」

 

 アキラはショットガンを受け取り、手慣れた動きで重さとバランスを確かめた。目を細め、納得したように頷く。

 

「悪くないな。グレポンは欲しかったんだ、雑に撃ってもそれなりの火力が出るからな。よしこれにするよ」

 

「毎度あり! そいつの弾やオプション含めて80万オーラム相当だ。残りの40万はオーラムで支払うが、口座振り込みで問題ないか?」

 

 その言葉に、シェリルが軽く一礼する。

 

「ご対応ありがとうございます。今後とも、徒党共々よろしくお願いします」

 

「ったく……スラムのガキどもが、こうも礼儀正しくなっちまうとはな。時代も変わったか」

 

 照れ隠しのように煙草に火をつけるカツラギの姿に、アキラは少しだけ笑みを浮かべた。

 

「それじゃ、俺らはこれで。次は……そうだな、もうちょっとまともな依頼の時に呼んでくれよ」

 

「期待してるぜ、ハンター」

 

 

 アキラがそう言い、ひとまず今回の報酬交渉を締めようと立ち上がりかけたその時だった。

 

「ああ、あと一つ、頼みがある」

 

 アキラは立ち止まり、再びカツラギを見据えた。その瞳には、戦いを潜り抜けた後の静かな鋭さが宿っていた。

 

「商談だ。俺の徒党は子供が多いが、遺物や鉄くずくらいは拾ってこれる。その買い取りをお前の商会に頼みたい」

 

 カツラギは片眉を上げる。アキラの横では、シェリルがさりげなく姿勢を正し、書類の入ったタブレット端末を手元に構えた。

 

 

「ふむ。買い取りは物次第だが、聞くだけ聞こう」

 

「さらに、生活物資の大半をそっちから仕入れてもいい。適正価格以下ならな。武器弾薬、装備類も候補に入れていい。いまはシズカって人の武器屋で買ってるけど条件次第で乗り換えるかもしれん」

 

「……なるほど、まとめ買いの常連になるってわけか。仕入れが安定すりゃ、割引も検討できるな」

 

 アキラは続ける。

 

「徒党のハンターが持ち帰る遺物も買い取ってくれ。ランク補助は要らない。俺自身の遺物も金が欲しい時はカツラギのところで売るし」

 

 カツラギは煙を吐きながら沈思する。

 

「……ふむ。俺にとっては悪い話じゃねえな。お前の名前が売れれば、それだけで“うちの商会”の格も上がる。徒党の取引実績があるってだけでな」

 

 

 カツラギは煙草の灰を落としながら、しばらく沈黙した。打算と商機の匂いを感じているのか、面白がっているようでもあった。

 

 そして、カツラギは手元の端末を操作し、仮契約の要点をメモ代わりにまとめて表示した。

 

「ただし条件はある。ちゃんとした交渉役を立ててくれ。お前、こういう話になるとすぐ疲れた顔すんだよ。だからシェリル、お前と話すのが一番スムーズだ。問題あるか?」

 

「……いえ、ありません。むしろ、そのためにここへ来ました」

 

 シェリルは少しだけ表情を引き締めて頷いた。

 

「今後の契約や物資の仕入れ、子供たちの収集品の評価についても、こちらから情報を出します。逆に御社の提示する条件や注意事項もお聞かせください。それで合意できれば、正式な取引に入ります」

 

「よし。じゃあ、こっちはこっちで下準備を進めとく。お前らの徒党に“投資する価値”があるかどうか、確認も兼ねてな」

 

 カツラギの声には明確な打算があった。それでも、交渉の場における誠実さもまたにじんでいた。

 

 こうして、アキラとシェリルは一つの新たな契約へと踏み出した。依頼報酬の受け取りにとどまらず、徒党全体を支えるための“継続的な取引”の口火が切られたのだった。

 

 

 

 

 

 数日後。徒党の活動が一段落したころ、アキラはエレナとサラを評判のいいレストランへ招いた。

 ここは以前シェリルと訪れ、コーヒーの味が気に入って以来、アキラがたまに一人で来るほどの常連となっている。

 

「あっ、ちなみに今日はこの前の緊急依頼のお礼です。飯、おごらせてくださいね」

 

 そう言った瞬間、エレナとサラがスプーンを止め、目を見開いた。

 

「……後輩に、しかも年下の子供に、奢られる日が来るとはね……」

「精神にくるわ……これは効く……」

 

 肩を落としながらスープを啜る二人を見て、アキラはちょっと気まずそうに笑った。

 

「じゃあ今度、うまい飯でも連れてってくださいよ」

 

 その言葉にタイミングを合わせたように、頭の中でアルファの声が響いた。

 

『あら、また他の女とのデートの約束を取り付けるなんて。女たらしね。シェリルに嫌われるわよ?』

 

「ち、ちがうっす! そ、そんなデートとかじゃなくて、あれですよ──

 先輩ハンターが後輩に飯を奢る感じで……」

 

 焦ってしどろもどろになるアキラの様子に、エレナは口元を緩めた。

 

「わかってるわよ、わかってる」

「ふふっ、アキラも年頃だもんねー?」

 

 からかう二人に、アキラは耳まで真っ赤にしてそっぽを向いた。

 

 

 

 

 夕刻前、褪せた陽ざしが遺跡の残骸を赤く染めるころ。

 アキラは徒党の子どもたちと荷車を押していた。荷台には古い回路基板やエネルギー結晶の欠片など“拾い物”が山と積まれている。

 

「足もとの瓦礫に気をつけろ。割れたコアは素手で触るなよ」

 

 アキラの声に子供たちが小さく返事をする。みな砂だらけの頬を輝かせていた。

 そのまま一行が向かったのは、カツラギのトレーラー。

 

 売却交渉は想像以上にスムーズだった。中には高純度のエネルギー結晶や、マテリアル変換用の基板など高額で取引されるものも混ざっていたらしく、査定を終えたカツラギが金額を提示した瞬間、アキラは軽く目を見開いた。

 

「合計で七百万オーラム。ま、これだけ持ってきたら上出来だな」

 

 子供たちは歓声を上げる。アキラは笑みを浮かべつつ、すぐに脳内の計算を始めた。これまでに確保した報酬と合わせれば、強化服の購入には十分な額になる。

 

 

 

 

「……よし、決めた。強化服、買うか」

 

 それは、彼にとって単なる買い物ではなかった。

 

 次の戦いに備えるため。大切な仲間を守るため。──そして、自分自身を生かし続けるための、覚悟の証だった。

 

 

 

 夕方。複合商業ビル七階に構えられたショールームは、壁一面のガラスと白色スポットライトに包まれ、旧世界技術をうたう強化服が整然と並んでいた。都市装備区画・装甲専門店ユーロ=アームズに来ていた。

 

 アキラはシェリルを伴って店内へ足を踏み入れる。軍資金は、一〇〇〇万オーラム強──今後の出費も考えると目標は七百万から九百万台の装備を購入する予定だ。

 

 タブレットを抱えた店員がすかさず近寄り、営業用の柔らかな笑みを向けた。

 

「いらっしゃいませ当店ユーロ=アームズをご利用いただきありがとうございます。何か商品をお探しでしたら私どもでご案内させてください」

「あ、じゃあ頼んでいいですか?」

 

「かしこまりました、ではご予算と用途をお聞かせいただければ、数点ご提案いたします」

 

「予算は七百万から九百万。用途は遺跡内での単独行動が主。軽量重視で、一日中着っぱなしでも動きが鈍らないやつが欲しい」

 

「かしこまりました、その条件で商品を何点か紹介させていただきます」店員は頷き、展示台へ誘導する。

 

 

 

 

『──③番を取りましょう』

 

 展示台を一巡したところで、アルファからの念話。アキラは無言でうなずきつつ、すぐには即決せず店員へ視線を戻した。

 

「さっき紹介してもらった③のケイロン気になってるんですけどもう一回教えてもらっていいです?」

 

「はい、この商品は外殻なしの金属骨格が全身を補助し、柔軟インナーが動きに合わせて硬化します。標準出力は控えめですが 制御を上げれば瞬間的に3倍近いトルク を引き出せるポテンシャルがあります。しかも重量 18kg──実戦で取り回すなら間違いなく一番“速い”一着です」

 

そう教えてもらい一度試着し、質感も強化服の動作不良がないかも確認した。

 

「そういや旧世代品のためメーカーサポート終了なんですよね。具体的にどのあたりがネックです?」

 

「まずデフォルト出力が抑えめです。調整機材なしだと本来性能の七割弱。それと自律診断が簡略化されていて、骨格負荷が数値化されません。過負荷運用すると──」

 

「骨が折れる、ってわけですか」

 

 店員は渋い顔で肯定する。アキラは肩を回しつつ、自分の筋肉と骨の状況を思い浮かべた。

 

『私がモーションリミッタを上書きするわ。標準の安全係数を置き換えれば八割超は常時維持可能、瞬間最大は設計値ギリギリまで引き上げられる』

 

 アルファの確信めいた声に、シェリルが小声で尋ねる。

 

「……アキラ、決めた?」

 

「ああ。ケイロンを即納で考えてる。カスタムは肩と膝と胸、手の甲と足の甲の装甲を追加したいなぁと。殴ったり蹴ったりするし。あ、ヘルメットは無しマスクとゴーグルで運用するから」

 

 店員が端末を操作し、金額を確定表示する850万オーラムと見積りを出す。

 

 シェリルはその金額を確認しつつ、店員に値段交渉を行う。

 

「失礼ですが展示在庫ですよね? 加えてソフトサポート切れの型落ち品ですし、本体と追加装甲代 予備パワーセル ×2専用メンテキット一式で800万でどうですか? 不良在庫を消化できますし、そちらとしてもその方がいいのではないでしょうか」

 

 店員は目を瞬かせたが、すぐ計算端末を叩き、苦笑交じりに返答した。

 

「……わかりました、即金ならその条件で」

 

「納品は?」

 

「展示即納品ですので、この場で梱包してお渡しできます。合わせて整備キットとキャリングケースもお付けします」

 

 

 

 

 梱包ケースに収まったケイロンは、金属骨格が鈍く鈍色を放っていた。アキラは指先で装甲を弾き、低い音を確かめる。

 

「……ただの布が800万か……やっぱ高いな。でも死なないためには仕方ないか……」

『調整頼むぞアルファ』

 

『任せて。あなたの限界と骨密度くらい、全部把握してるもの』

『怖い』

 

 隣でシェリルが安堵の息をついた。

 

「帰ったら着用テストね。子供たち、喜ぶわよ。強いし格好いいのって好きなんでしょう? 特に男子」

 

「違いない、まぁまずは動作チェックとソフトとかの調整だな。今日の遺物売却、あいつらにも歩合をちゃんと配らないと」

 

 強化服を抱えたアキラとシェリルは、ショップを後にした。外へ出ると夜風がほほを撫で、遠くの高層ビル群が光の川を描いている。

 新しい装備はすぐそこにあり、彼らが進む荒野はまだ広い——そのことを、金属骨格の冷たい重みが静かに告げていた。

 

 

 




読了感謝です。
今回の章のサブタイトルは「信用と信頼」です。なかなかアルファにこころを許さないアキラ君、照れてるのかな?(すっとぼけ)

設定とかこれ以上書くと物語のテンポが悪すぎる。リビルド漫画版くらいのペースで展開してる気がする。ほらはやく文章能力出して?わ、わかんないっぴ。
まじでカツヤ君を書く書く詐欺が続いてる…まぁこれも全部タコピーのせいだ。

なお、ブルーピリオドも好きな漫画です。芸大合格までのアニメぐらいの内容が一番好きです、主人公の八虎が文字通り死に物狂いで絵に、人に、自分に向き合い苦悶しながらも成長するのとか好きです。「俺の絵で全員殺す」とか感情的になるのとか最高ですね。ブルーピリオド展に行った時もめっちゃ感動してました、みんなの受験絵の自画像が見れたし最高でした。
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