Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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さっき投稿したやつの続きです。1万字は長いって!長くないって!長いって!を繰り返し分割しました。ようやくシージできます(4時間かかった)

全開のあらすじ
キバヤシandアルファ「行け、アキラ」
アキラ「はい」



鉄虫王者キャノンインセクト

その後アキラは支給されたバイクの横に立ち、軽く起動音を確認する。

 

『さぁサポートするわねアキラ。安心して、死ぬ気でやる必要はないわ。でも、やるならちゃんと成果を持ち帰りましょう』

『さっきキバヤシと一緒に行けって言ったのアルファだろ』

 

 

 

 

 エンジンの振動を太ももで受けながら、アキラはバイクを唸らせて荒野を突っ走っていた。

 

「……ったく、いつもこうだ」

 

 ハンドルを切りながらぼやく。空には黒煙が立ちのぼり、すでに交戦中であることを示していた。

 

 現地へ近づくにつれ、爆発音と砲撃音が耳に届く──想定よりずっと多い。

 

『アキラ、前方に停止している車両とハンターたちよ。その周りにすごい数のモンスターね』

 

「了解」

 

 アキラは顔をしかめ、背負っていたショットガンを引き抜く。数日前に都市の武器屋で手に入れたばかりのロケット弾対応モデルだ。まさか本番で使う日が来るとは思っていなかった。

 

「こいつのお披露目だ。景気よくぶっ放すぞ! サポートよろしく!」

 

 視界が開けた瞬間、爆炎の中央で三人のハンターが岩陰に身を潜めながら応戦しているのが見えた。全員が旧式のアサルトライフルと簡易防具で、火力も防御も明らかに不足している。

 

 一方、モンスターの群れは凄まじい勢いで迫ってくる。アキラはアルファのサポートを受けながらロケット弾を発射した。弾道は精密計算どおりモンスターの密集地へ命中し、想定以上の成果を上げる。アキラはアルファの有能さだけは疑いようがないと改めて思った。

 

「援護する!」

 

 アキラは叫びながらバイクを操り、群れへ突貫する。

 

「だ、誰だ!?」

「援軍か……!? 子どもかよ……!」

「でも装備が違う、こいつ……強いぞ!」

 

 混乱の中でも状況を理解したハンターたちは、即座に牽制射撃を加えた。

 

 殲滅を終えたアキラは、負傷したハンターへ旧世界製の回復薬を差し出す。

「都市が払ってくれるから気にせず飲め。もし払わなきゃあとで取り立てるけどな!!」

 

 その瞬間、振動。

 地面が小刻みに揺れ始める。何かが近づいている証だ。

 

「──来るぞ」

 

 視界の先、土煙を巻き上げながら現れたのは──

 他の個体の何倍ものサイズを誇る異常なキャノンインセクトと、通常サイズの群れだった。

 

 全長はざっと三十メートル。胴体だけで鉄道車両一台分はあり、鋼鉄の甲殻が陽光を弾く。背中には艦砲のような巨大砲塔が二基、無骨に鎮座していた。

 

「……でかすぎんだろ」

 

 巨大キャノンインセクトの砲身が、ゆっくりとこちらへ向く。

 

『アキラ、伏せて!』

 

 その声と同時、視界が白く弾けた。爆風が巻き上がり、アキラは吹き飛ばされる。

 

「がッ──……ッ!」

 

 鈍い痛みが胸を貫き、呼吸ができない。肋骨が完全に折れた。

 

『肋骨、複数本骨折。内出血あり。すぐ回復剤を──』

 

「もうやってる!!」

(内臓には刺さってない。呼吸も許容範囲……だが危ない!)

 

『アルファ! あいつどう倒せばいい!? 砲身にグレネードでも投げ込むか!?』

『それも一つの手ね。でも今の怪我でそこまで接近するのは厳しいわ』

 

「くそ、なんとでもなれ!!」

 

 アキラはバイクに再び跨がりキャノンインセクトへ接近、ワイヤーガンを放つ。

 バイクから飛び降り、遠心力と強化服の補助で円を描くように砲塔へ。

 

 ワイヤーと強化服のおかげで転落せず砲口前に降り立つと、弾薬が再装填される前にありったけのグレネードを叩き込み、着火。

 

 巨大キャノンインセクトの砲身が炸裂し、撃破。

 

「……やった、のか……!?」

「すげぇ……! 今の、あいつがやったのかよ……!?」

 

 アキラは膝をつき荒い息を吐く。痛みで意識が遠のく中、かろうじて声を絞り出す。

 

「もう……動けねぇぞ……」

 

『そうね、一旦落ち着きましょう。動かなくていいわ。すぐ救援が──ッ!?』

 

『アキラ!!』

 

 突然、アキラの体が横へ跳ねる。直後、さっきまでいた場所に砲撃が着弾した。

 

『アキラ、もう一度行ける? まだ残党がいるわ』

「はは、運がないな」

 

「まぁでも、悪運は強いほうだ。もう一体倒していこう」

 

 

 倒れた体を無理やり起こし、転がっていたバイクに跨がる。

 

 ショットガンを構える。

 ロケット弾一発、外せば終わりだ。

 

 照準を合わせ、引き金を絞る。

 

 反動で痛む脇腹に顔をしかめながら、ロケット弾が唸りを上げて飛ぶ。

 直撃──巨大キャノンインセクトの砲口に命中し爆裂、内部から砲塔を吹き飛ばす。

 

 一拍置いて巨体がぐらりと傾き、地響きを上げて横倒しになった。

 

 

 

 

 

 数十分後、都市の救援部隊や医療トラックが到着し、アキラは酸素マスクをつけられながらベッドに運ばれていた。

 

 診断は複数肋骨骨折、軽度の内出血、裂傷、打撲。加えて右肩の筋組織に損傷。戦闘不能と判断され、即日入院が決定する。

 

 

 

 

 天井。無機質な白。安っぽいLED照明が目に刺さる。

「知らない天井だ」

 

 仰向けに寝たアキラは、左側の肋骨に巻かれたサポートバンドと、吊られた右腕を見下ろしながら、重たい息を吐いた。

 

「……結局、俺が一番損してんじゃねぇか」

 

『あら、無事に生きて帰ってきたじゃない。十分な成果も上げたし、報酬も悪くなかったわ』

 

「悪くなかったじゃねぇよ……」

 

 アキラはぼそりと呟いた。

 

「元はと言えば……ぜんぶキバヤシのせいだろうが……」

 

 視界の端に、あの不機嫌そうな中年の顔が浮かぶ。

 いつも偉そうに指図してきては、他の大人を盾にして逃げやがるあの性格。あれが都市職員だというのが納得できない。

 

「クエストの途中でトラック止めて、緊急依頼だぁ? オマケに『アキラ、お前が行け』だと……。ふざけんなっつの」

 

『でも、アキラ行ったわよね』

 

「お前も背中押しただろうが。仲間じゃなかったのかよ……」

 

『仲間よ。でも時には、背中を蹴るのが仲間の役目でしょ?』

 

「……せめて背中を押してくれよ」

 

 そう言いつつも、アキラの口元には少しだけ笑みが浮かんでいた。

 痛み止めの効果か、単なる疲労か──あるいは、戦い抜いたことで多少は報われたという実感か。

 

「キバヤシ、マジでいつか仕返ししてやる……」

 

『ふふ、それは楽しみにしてるわ。やるなら合法的にね?』

 

「都市の路地裏にでも引きずり込むか……」

 

『おーい』

 

 

 

 数日後。医師と看護師の指導どおりリハビリと服薬を徹底したおかげで、アキラは思ったより早く退院の許可が下りた。前世の経験としても入院患者はとりあえず従えという考えは強く、高齢者と異なり回復能力も衰えてないのも幸いした。ハンターとして成り上がろうとしてるのに廃用性症候群*1とか寝たきりになってシェリルに面倒を見てもらうとか笑えないのだ。

 

 右肩は仮固定で動かせず、肋骨も咳ひとつでずきりと痛む。カウンターの看護師に声をかける。

「すみません、もう少し強めの鎮痛剤ってないです?」

 

 カウンターの若いスタッフは端末を操作しつつ顔を上げた。

 

「現在処方されている鎮痛剤より強いものとなると、処方規定の問題がありまして。どういったお薬をご希望ですか?」

 

「(こっちの世界にあるかわからないけど)……フェンタとか、モルヒネとか……? まぁ旧世界系の強いやつが欲しいです」

 

 スタッフの手が一瞬止まり、目の奥の警戒色がわずかに強まった。

 

「……申し訳ありません、それらは現在すべて麻薬指定薬物で、都市内部でも厳重管理の対象です。ハンターにも通常は処方されません」

 

「そうか」

 

 てかフェンタ存在してたんかい。あれか? この世界って数千年後とかの地球だったりするのか? と疑問があったがアキラはあっさり引き下がった。だが、スタッフは妙な間を置いてから口を開いた。

 

「……正直に言えば、あなたの怪我なら処方適応ギリギリです。でも都市としての規定が厳しくて……。それに、最近はちょっと別の問題もあって」

 

「別の問題?」

 

 アキラの目が細くなる。

 

 スタッフは周囲に人がいないことを確認すると、声を少しだけ落とした。

 

「……最近、スラムの方で粗悪な合成麻薬が出回っており、それも踏まえて処方条件が厳しくなってるのです」

 

「まさか医療用麻薬が流出してたりするんですか? 一応鍵のかかった金庫とかに入れてたりしないんですか?」

 

「本物のフェンタニルやモルヒネじゃなくて、見た目や名称が似てるだけの合成薬ですね。ただ名前が同じなので騙されて服用や処方がされたりですね。効果も強いですし中毒性が高かったりして最悪死にます」

 

「前(前世)でも似たようなことあったな。どこで出回ってるんです?」

 アキラの前世でもフェンタニルの合成麻薬がアメリカで広まり死者が多数出ているという記事があったのを思い出した。

 

「分かりません。都市内部の正式ルートじゃ絶対に手に入りません。でも……スラムでは、痛み止めが必要な人間は多いですし、麻薬に手を出す浮浪者も多いですから。供給する連中がいても、おかしくはないかと」

 

 アキラは短く息を吐いた。

 

「そうですか。ちなみにキバヤシって人の名前でフェンタ処方してくれません? 3回分くらい」

 

「キバヤシ様……ああ都市職員の。いろいろ便宜を図ってくれと言われてるそうなので問題ないかと、こちらから先生にお伝えしておきます」

 

「ありがとうございます。お疲れ様です」

 

「? また伺いますね、失礼します」

 

 

 

 

 病院の受付で退院処理を済ませ、荷物を詰め込んだアキラが自動ドアをくぐったところで、目の前に立っていたのは──

 

「……シェリル?」

 

「アキラ、お疲れさま。怪我、大丈夫……?」

 

 シェリルはいつもよりも落ち着いた服装に身を包み、両手で小さな紙袋を抱えていた。中には、スラムでは貴重な“焼き菓子”が入っている。

 

「差し入れ。あなた、甘いもの好きでしょう?」

 

「……まあな。ありがと」

 

 素直に受け取りながらも、アキラはどこか照れくさそうに視線を逸らした。

 

「無茶して、ほんとに死んだら……どうしようかと思った」

「死んでねぇから大丈夫だ」

「うん。でも、もう少しだけ……無理は、しないで?」

 

 その声音に、アキラは「なるべくな」とだけ答え、そっぽを向いた。

 

 

 後日ハンターオフィスから連絡があり、キバヤシからの呼び出し等でシェリルとともにハンターオフィスへ向かった。

 

 

 

「アキラさんですね。緊急クエストの正式報告が届いております」

 

 受付の職員が淡々と端末を操作する。

 

「確認された戦果:キャノンインセクト30体撃破、うち大型個体2体。救助対象ハンター3名。単独対応の緊急依頼成功、および救援対象全員の生還を評価し──」

 

 職員はスクリーンをアキラに向けた。

 

「ハンターランク、20へ昇格。おめでとうございます」

 

「……20、かやっとか」

 

「おめでとうございますアキラ」

 

 

 報酬も提示された。荒野戦闘報酬と諸々込みで合計2000万オーラム。

 アキラは口座残高を見て静かにうなずいた。いや普通に内心驚いていた。もちろんその雰囲気はシェリルとアルファには伝わった。

 

 

 

 ハンターオフィス職員に案内された部屋に入ると、あの顔だった。

 

「おっ、出たな重傷ハンター。いや〜、やっぱり最高だったわぁ、あの記録映像」

 

 キバヤシが下卑た笑みでアキラに手を振る。

 

「マジで映える映える! あのロケットショットガンぶっ放すとことかさぁ、あとはただのワイヤーでキャノンインセクトによじ登って爆弾で殺すとかも傑作だわ。……でももうちょい、ぶっ飛んだことしてくれるともっと嬉しいな〜?」

 

 その口調に、アキラは思わず怒気を込めて返した。

 

「……俺の体がぶっ飛ぶ直前だったけどな!」

 

「ハッハッハ! まあまあ、結果オーライってことでさぁ!」

 

 後ろからついて来たシェリルが不安そうにアキラを見つめるが、アキラは苦笑を返して済ませた。

 

「さてさんざん笑わせてもらったところで、二人を呼んだ本題だ」

 

 

 キバヤシの声が切り替わる。

 

「最近、スラムで旧世界系の粗悪な合成麻薬が出回っててな。死人も出てる。都市内の連中も被害受け始めてるから、ハンターオフィスと都市が動いていて、もしかすると統企連まで動くかもしれない」

「ハンターオフィスや都市、統企連は麻薬そのものは興味ないが麻薬による治安悪化を危惧している。で、違法薬物の製造・流通ルートをぶっ潰すための依頼がもうすぐ発令される」

「他のハンターにも声をかける予定だが、問題は、拠点がスラム内にあるらしいってことだ。外から来た奴じゃ、見つけられねぇし、近づくだけで逃げられる」

 

 キバヤシはアキラとシェリルを順に見た。

 

「だからお前ら、特にアキラを俺は推した。スラムで育って、今はハンターとして活動している若手にな」

 

「まぁスラムの人間だったら都市職員やハンターが来たら絶対逃げるか隠れるしな。土地勘もあって怪しまれにくい俺たちがいいってことか……ターゲットの情報は?」

 

「それがまた曖昧でな。薬は“フェンタニル”や“シロ”“アメ”なんて名前で出回ってて、売人は拠点を持たずに動き回ってるらしい。でも裏でまとまって動いてる拠点があるという噂もある」

 

 

「どうする? やるか?」

 

 キバヤシの問いに、アキラは一度だけシェリルを見る。

 シェリルは静かにうなずいた。

 

「……支援もある程度あるなら、わかったやるよ」

 

「おっ、頼もしい!」

 

 アキラは小さく吐き捨てた。

 

「……ムカついてるだけだ。薬で人間壊すような奴は、死んでいいヤツだしな」

 

 こうしキバヤシは満足げに笑い、端末を叩いた。

 その瞬間、静かに、麻薬戦争の火蓋が切られた。

 

 

*1
長期の安静や活動量の低下によって、筋力・心肺機能・骨密度など全身の機能が一斉に衰える状態。

 寝たきりを続けるほど進行が速まり、早期離床とリハビリでの運動が最大の予防・改善策となる。




読了感謝です。

ということで次回はオリジナルストーリー無限麻薬列車編をお送りします。お前も麻薬を吸わないか杏寿郎。

スラムと聞いて、貧困や地元マフィア(徒党)による統治や暴行、多くの犯罪行為や売春、そして麻薬等があります。
なのでこの世界でも麻薬は流行っているだろうという考えから、世界観とあとは趣味で麻薬編を書きます。
本文でも記述したようにアメリカでの麻薬問題が取り上げられ、社会問題となってますので取り上げさせていただきました。
以前に麻薬鎮痛剤の話を入れたのは次話の伏線でした。あとは医療系知識が書きやすいからですが

7月20日に参議院選挙があるのでそういった政治的な文章をいずれ書きたかったのですがかなりセンシティブですし、なんなら原作でアキラ君政治に巻き込まれて怪獣バトルしてたし政治的な文章はどうせ書くやん!と判断しました。多分選挙系政治系は思想入りまくるので書きません


また原作(Web版)だとキャノンインセクトとか倒して1200万が報酬ですた。その値段は成功報酬-バイク代+お薬代です。

 今作だとバイクはキバヤシのプレゼントでタダ、弾薬とお薬代は都市が補填、加えてキャノンインセクトのでかいヤツを二体倒してるので2000万にしました。多分へカートとかスナイパー買います



なお甲虫王者ムシキングは小学生とか幼稚園児の時に流行ってましたね!
・・・今の子供たちは知ってるんだろうか()
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