Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
今回4000字くらいで書けたのでそのまま投下します。
退勤後にまとめて書き始めると結構時間かかりますね。ぶっちゃけ明日投稿しようとも思ったんですが。3日一話で投稿するって、お前が始めた物語(予定)だろって心のエレンが詰めてきたので初投稿です。
それと家族がワイを置いてディズニーに行きました。久しぶりの疑似一人暮らしでストレスフリーです。なお、外回り中にゲリラ豪雨にバカスカ撃たれてずぶぬれで帰りストレスマッハです。
アキラは都市外れの整備街にあるシズカの店で、白く塗装された突撃銃を見ていた。
「こっちは A2D 突撃銃。AAH の姉妹機種で、強装弾も徹甲弾も拡張パーツなしでそのまま撃てるわ。グレネード発射器も標準装備よ。というか、最近うちで弾ばっかり買うから、てっきり本命の武器は他の店で買ってると思ってたわ」
「実際、浮気してますけどね。とはいえ恩もありますし、たまには弾以外を買わないとなぁと思ったんですよ」
「ダジャレ? 10 点ね」
「いやボケてないですけど、満点でよかったです」
「あら、200 点満点よ?」
「100 点ですらなかった…」
そのあと散々ダメ出しを食らったアキラは、店の射撃練習場で数発試し撃ちを行い、反動や癖を一通り確認したうえで A2D 突撃銃を購入した。弾薬や照準機などのカスタムは AAH 銃と機構が同じなので流用でき、安上がりだった。
AAH は良い銃だったが、いつまでも同じ装備に固執するほど、アキラは夢見がちなハンターではなかった。
その後アキラはカツラギのトレーラーに向かう。
積み上がった不良在庫やスクラップを背に、カツラギが油紙を剥がして巨大なライフルを露わにした。
「さて、今回お得意様のアキラに勧めるのはコイツだ。製品名は長いから割愛するが、通称 CWH 対物突撃銃。見ての通り大口径の狙撃銃だ。マズルを伸ばせば身長並み、縮めりゃ二割短くなり取り回しが改善される」
「その分、射程は減衰するだろ? あと火力もな」
「とはいえまあ、アキラは自分である程度カスタムできるだろう? そこそこのハンターなら荒野でパパッとマズルを交換するヤツもいるし、アキラもそれなりに器用なんだからできるんじゃねえかなと思ってな」
「そんなに期待されても困るし、セミオートかぁ…」
「なんだ、嫌か?」
「いや、ボルトアクション式が個人的に好きなんだよ」
アキラは両手で CWH のグリップを握ってみる。重量はあるが、扱えないほどではない。
前世では某 AP○X で好んで使っていたボルトアクション式のセンチネルを思い出すが――この世界でそんな悠長な武器を使っていたら、装填している間に敵に撃たれて死ぬ。ましてや機械の化け物が相手ならなおさらだ。
(セミオートに魂を売る日が来るとはな……ロマン武器とはおさらばか。時代はロングボウだもんな…)
苦笑しながらも、アキラは納得していた。
銃身は深いグリーンの耐熱コーティング、ハンドガード左右には冷却スリット。特徴的な円筒型マズルブレーキには片側 2 スリット、カッターのような銀色のエッジが光る。折り畳み式バイポッドはラチェット機構で段階固定、機関部前方の箱型マガジンは 10 発装填だ。
アキラはグリップを握り、肩当てを引き寄せた。重量はあるが、重心バランスが良い。ボルトを引くと滑らかな金属音が喉奥に響く。
「このデカ娘のリコイル軽減は? 反動ヤバいだろ」
「このじゃじゃ馬は強化服なしだと腕ごと持っていかれそうだろうな。機構は油圧バッファと伸縮ストックで三割減だが、二連射以上は後ずさる覚悟しな」
アキラはカツラギに許可を得て試射を数発。アルファが計測値や弾道データを送ってくる。確かに強い。まさに連射式のクレーバだ、なお火力は馬鹿げている。
「いいな。コイツの価格は?」
「たっぷりサービスしてやって、本体と 12.7 mm 通常弾 500 発、可変長スリングとハードケース込みで九百五十万だ。保証もサービスだ。持ってけ、
アキラは端末を差し出し、送金を完了させる。口座残高が一気に減るが、躊躇はない。
「まあ保証は一回限りで正当な理由の場合だけだ。銃が壊れてたり不良品とか、まあそんな感じだ。ぶっちゃけ無いようなもんだぞ、アキラ」
「なんだ、近接武器として振り回そうと思ったのに」
「爆発しても知らないぞ。……女の子のように丁重に扱え。ああ、もしアキラがシェリルを嬲ったり暴力を振るうなら、今の例えはなかったことにしろ」
「誰が DV 彼氏だ。まあいい取引だった。ありがと茄子」
「まいどあり! 壊す前にちゃんと整備しろよ」
会計が終わり、CWHをケースに収めたアキラが肩の力を抜いたところで、ふと何かを思い出したようにカツラギを振り返った。
「――そういやカツラギ。前に頼んでたワイヤーガン、届いてるか?」
「おお、あれか!」
丸い腹を揺らしながらカツラギがトレーラー奥へ引っ込み、数秒後、黒いハードケースをずるずると引きずって戻ってくる。
「特注品だ。“G-5E スパイダーライン”、荒野仕様の最新ロットだ。こんなマイナー品探すの苦労したぞ、しかも最新作だしよ」
蓋が開くと、拳銃大の艶消しグラファイト・フレームが現れた。グリップ前面には赤い瞬間リリース・スイッチ、銃口部にはフック弾とスパイク弾を切り替えられる小型セレクタ。ケーブルはカーボン繊維にモノフィラメント芯を絡ませた耐荷四トン級だ。
「射程は軽アンカー弾で四十五メートル。巻取りはリニアモーターで一〇キロニュートン。スパイク弾ならコンクリ壁に七センチ食い込む。モーター終端で慣性ローターが逆回転して減速するから、肉が千切れにくいのが売りだ。性能的にも成人二人+装備を引き上げても余裕だから今のアキラの装備一式でも使えるぞ」
アキラはケーブルを少し引き出し、赤いスイッチを軽く弾く。
シュル――無音に近い速さでラインが収束し、グリップが小さく震えた。
「静かだな。これなら遺跡内部でも敵に気付かれにくい」
『前の旧型と比べて巻取りノイズが三分の一以下ね。エネルギー効率も二割くらい向上してるしお買い得だけど、ほんとワイヤー好きねアキラ』とアルファが補足する。
「で価格は?」
「本体、スパイク弾十本、軽アンカー弾十本、予備カート二本、整備キット込みで百四十万だ。取り寄せ品だからほぼ定価だ」
「まぁ……悪くないしいいか。これにするよ」アキラは笑い、端末で即決サイン。
CWHの“長い牙”と、G-5Eの“蜘蛛の糸”――二つの新兵器を抱え、アキラはトレーラーを後にした。未知の遺跡は、また少し攻略に近づいた。
アキラは移動手段の問題を考え、ハンターランクも 20 まで上がったことを機に、都市内のハンター提携レンタル屋『レン鷹(タカ)~』で車を三台契約し、保証金込みで一か月分をまとめて支払った。
一台目はアキラ専用の荒野仕様車。自動操縦と電子制御装備を搭載した型落ちモデルで、アルファは「センサー系統は陳腐だけど制御プロトコルが素直で遠隔操作の練習にちょうどいいわ」と満足げに評価した。
残り二台は、徒党の子供たちが遺物や物資を運搬できる荒野仕様の中古車。整備済みとはいえ年季の入った外装に、アキラは苦笑いを浮かべた。
「ちゃんと動くよな? これ」
「コスパはいいぞ! コスパはな!!」――レン鷹の店員は屈託のない笑顔で胸を張った。
壊れて修理費を請求されても困るので、アキラは自動車保険にも加入した。この世界には対人・対物賠償や人身傷害補償はなく、車両の修理・損失を賄う自動車保険しか存在しない。
こうして重火器も遺物も子供たちも、まとめて荒野を渡れる態勢が整った。
さらに、以前入院した病院で麻薬性鎮痛剤と、昏倒防止用の強烈な気付け薬(アンモニアに似た激臭)を購入した。
麻薬拮抗剤も考えたが、あれは全身麻酔用だと気づきすぐに方針転換。もちろん白色の全身麻酔薬・プロポフォールも不要だった(この世界には存在しないが、それ以上に高性能な薬がある)。
前世では私的に麻薬鎮痛剤を所持すれば警察沙汰だったが、この世界ではフェンタニル級の薬剤が流通しており、アキラは合法的に入手できた。かがくのちからってすげー!
余った資金の一部で徒党内設備を整えるのに数百オーラムを支出し、残高は約五百万オーラムに。アキラは「現世界版の株」があれば投資しようと考えた。
前世でも NISA で GAFAM に“脳死投資”していた名残だ。*3
もちろん投資企業への勉強などやっておらず、五大企業かもしくは十大企業のどこかの株を買おうとした。知らない会社よりすでに成長して成果を出している知ってる会社に投資しようとした。
しかし一口当たりの株価が思ったより高く、100 株買うには最低 でも数億オーラムが必要と判明し断念。
代わりにアルファに将来有望な企業を探してもらい、数社に計 200 万オーラムを投資した(インサイダー取引ではない、AI の助言なのでセーフなのだ)。残った数百万オーラムは預貯金となった。
そうして次の遺跡候補に選ばれたのは ヒガラカ住宅街遺跡だった。
都市から車で少し離れた荒野に取り残された旧世界の集合住宅区画で、価値ある遺物は掘り尽くされたとされ、多くのハンターに見放されている。舗装の剥がれた通りにひび割れた電灯柱、崩れかけたアパート、ツタに飲まれた一軒家――かつての生活の痕跡だけが薄く残る。
だが、アキラにとっては好都合だった。
「人が来ねぇなら、先行者が見落とした“裏道”くらい残ってるかもしれねぇしな。なにより人気がないから好き勝手に遊べる」
多くのハンターが漁ったメインの建物ではなく、外れの個人宅や隠された地下構造を狙えば、まだ“当たり”があるはずだ。装備と足を手に入れた今なら、多少の危険を踏み越えてでも深部まで潜れる――そう判断したアキラは、見捨てられたこの遺跡へと向かう準備を整えた。
読了感謝です。
自己解釈とかばっかでしたが書きたいものを書いた方が筆が進むのと楽しいのでこんな感じで続きます。
次回で旧世界の某人材派遣会社のくだりをやる予定です。カツヤとエレナさんたちのシーンを書く予定はないです。
なお第七王子は漫画で途中まで読んでましたがアニメは見てないです。メイドがかわいい記憶とショタコンのイメージが強すぎるラノベですね。大好きです。