Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。そして感想評価感謝です。最近伸び悩んでますし、モチベも低下気味ですが自己満足なのでまぁ大丈夫です。ぶっちゃけ読んでほしい話だけピックアップしたいです。

最初4千字のプロットだったのですが、退勤後修正と加筆してたら8000字なってました。

マジで書きたいシーンまで遠くてつらい。早く罵りあったり軽口言い合うネリアVSアキラのシーンとか書きたいよ…早く未発見の遺跡を乱獲するアキラたちのシーンも書きたいし、カツヤとシェリルが一緒の席で挨拶するときに「見なよ、俺のシェリルを…」のシーンも書きたいし、漫画版の賞金首討伐も書きたいし、軽く戦闘狂のアキラがカナエと組手するのも書きたい…僕リビルドで一番好きなのはシェリルなんですけど二番目に好きなのカナエなんですよね。最新刊でも活躍してたしほんとしゅき。


ああああ書きたい描写が多すぎる!!!


人間大戦争

ヒガラカ住宅街遺跡――

まだ朝靄の残るなか、アキラは荒野仕様の型落ちの車を遺跡外周フェンスぎりぎりまで乗り付けた。荷台に積んでいるのは――

 

CWH対物突撃銃(フルサイズバレル+APマガジン3本)

 

A2D突撃銃(サプレッサー/30連マガジン4本)

 

グレネード6発(破砕×3、EMP×2、C4ブロック×1)

 

予備の水と簡易医療キット、フェンタニル+ナノマシンカートリッジ入りのポーチ

 

――本当にそれだけだ。なお望遠鏡は持ってきてないし担いでもいないここに来たのは天体観測ではなく遺跡探索だからだ。あとは車載ロープを一本だけ抜き取り、バックパックに丸めて収める。

 

フェンスは錆びでボロボロだ。靴底で蹴り抜くと、簡単に穴が開いた。

 

『センサー反応なし。行くなら今ね』

「了解。まだ街は眠りの中だ、静かに行こう」

 

とはいえ、この廃れた街に“眠って”いるのが人なのか、あるいは別の“ナニカ”なのかはわからない。アキラはA2Dを低めに構え、住宅街へ滑り込んだ。

 

 

 

外れの一軒家をひと目で選んだ。玄関は崩れているのに、床だけが妙に膨れている。

「邪魔するでー」

ツッコミを入れてくれる相棒は今はいない。アルファもアキラの趣味嗜好を把握しつつあるようだが、独り言にまで口を挟むことはない。その微妙な距離感が今は心地よかった。

 

アキラはA2Dの銃床を逆手で握り、腐った床板を思い切り殴り割る。木屑の下には空洞――ハシゴすら残っておらず、むき出しの梁が下へ伸びていた。

 

「さて、行くか」

ロープを梁に巻き付け、ブーツのつま先で壁を蹴って滑り降りる。

 

地下は古い備蓄庫だ。錆びた棚の奥で硬質ケースが埃をかぶっている。C4を節約したいアキラは、A2Dのバヨネットラグをテコにして蝶番をへし折った。中身は医療ナノマシンが十本。しかし劣化で割れ、中身が漏れているものが大半だ。使えそうで売れそうなのは一本だけだった。さらに旧世界製のナイフも、キッチン下の棚で発見する。

 

『そこそこの医療ナノマシンとナイフね。一応持って帰りましょう。使える時があるかもしれないわ』

「そうだな。“狩り尽くされた遺跡”って聞いてたのに、初手から遺物が手に入るなんて上出来だ」

 

静寂を破ったのは旧式ドローンの起動音だった。リベットガンをこちらへ向ける。アキラはサプレッサー付きA2Dを三点バーストで連射し、センサーを粉砕――静かに片づけた。

 

 

 

 

次のターゲットは中央の中庭。干からびた噴水の基部に不自然なコンクリの蓋が乗っている。C4ブロックを半分に割り、粘着パテで貼り付け、遠隔起爆。鈍い爆圧で蓋が内側へ落ち、立ちのぼった煙が酸っぱい――地下が陰圧になっている証拠だ。

 

ロープを固定し、再び降下。紫色の非常灯が点き、狭い通路が奥へと続く。

 

小部屋の物資ロッカーには旧世界製のレーザー切開ツール(電源コード付き)があったため、持ち帰ることに決めた。売るか使うかは後で考えればいい。

 

さらに奥で施錠された部屋を発見する。ドアは電子ロックだが、カードキーもパスワードもわからない。代わりにレーザー切開ツールを即席充電し、ヒンジごと焼き切った。扉を蹴り飛ばして中に入ると、古い端末がまだ息をしている。

 

『ここ一帯一キロ圏内のマップ情報を発見したわ。五分でコピーできる』

「そいつはありがたい。自治会の資料でも混ざってんのかね……って、大事なデータを盗んでっと、ほら来た。自宅警備員様のご登場だ!」

 

予感どおり、自立タレットが壁を割って伸びる。アキラはEMPグレネードを投げ、青い閃光でサーボを止めた直後、破砕弾を追加。タレットを鉄屑に変える。背後からさらに二基――今度はEMP圏外だ。CWHを肩に掛け、12.7mm AP弾で装甲ごと撃ち抜く。銃声が通路を震わせ、センサーが飛び散った。

 

『コピー完了。非常セルを落とすわ』

「オッケー、退路確保!」

 

 

非常灯が消え、バンカーは闇に沈む。アキラはロープを駆け上り、アルファが遠隔操作でセルを過負荷――背後で空間が鈍く崩れた。

 

地上へ戻ると、遠くでドローン爆発の残響がこだました。荷台に戦利品を放り込み、エンジンを掛ける。

 

次にアキラが向かうのは、先ほど手に入れた旧世界のミニマップで目星をつけた大型建造物群だ。その後数件ほど回ったが、最初に押し入った家のような当たりはなく、延々とハズレを引き続けていた。

 

 

 

「ビギナーズラックでマップ情報や回復薬、ナイフまで手に入ったけど、それ以降は何もないな。もともと運は悪い方だし、あと数軒回ったら帰ろうか? むしろモンスターを狩ってるほうがマシか?」

『確かにアキラの運はそこそこ悪そうだけど、自分で言ってたじゃない。悪運は強いほうだって』

「言ってたっけ?」

『言ってたわ。だから案外、最後の最後で当たりを引くかもしれないわよ?』

「負けた分を取り返そうと必死に賭けたら、それ以上に負けることが多いんだ。深入りはしたくない。……とりあえず、あと数軒だけ見ていくか」

 

 

事実、アキラは前世でもギャンブルを嗜む程度にやっていた。パチンコ、競馬、競艇――いずれも回収率が100%を超えた試しはない。生涯収支マイナス数億円君ほどではないが、まあまあタコ負けしていた苦い記憶がある。だからこそ、運が絡む場面では慎重だ。二分の一でRUSHに入るはずが入らず、台パンしかけたこともあった。負けを取り返そうとしない――それだけは前世から決めている。

 

「俺はギャンブルにはめっぽう弱い。だからこそ、堅実に着実に行く」

その決意は、この世界に転生して十年以上たった今も揺らがない。

 

思えば、周りの人間も賭けに負けた者が多い。

たとえば、前の徒党のボス・シベアはアキラを襲う勝負に出て負けた。シェリルは賭けていたシベアが敗走し、アキラの元へ転がり込んできた。エレナやサラたちも、子どもでも稼げる穴場があるという噂に賭け、同業者に襲われて負けた。

 

今は皆それなりに収まるところに収まっているが、基本的には負けた側だ。しかし生きているということは、まだ“賭けに勝っている”とも言えるのかもしれない。

 

そんなことを考えながら、アキラは次の探索予定の屋敷へと車を走らせていた。

 

 

 

 

 

この辺りでかなり大きめの屋敷に着いたアキラはいつも通り家にお邪魔し物色を始めるが、やはり何もなかった。他の家よりも豪華なのだからそれなりのお宝が眠ってるだろうと先人たちが漁り散らかした痕跡しか見当たらなかった。

 

負け惜しみでアルファに全力でこの家の部屋を確認してもらうと、地下室に繋がりそうな隠し扉を発見した。

 

「また地下室か…次はなんだ?糠漬けでも漬けてんのか?旧世界の飯ならそれはそれで食べたいけどな!」

『相変わらずアキラはよくわからない事を言うわね。とはいえ探さないと見つからない隠し扉なら、その先はまだ漁られてないかも知れないわね』

「とりあえず目星して、聞き耳も降って…だめだ初期値だしファンブルしそうだ。」

『独り言は終わった?そろそろ行くわよアキラ』

 

 

その地下室にアキラはハシゴを伝って降りていく。降りた先は6畳くらいの真っ白な空間だった。

 

「なんもないな…」

『先人がここの物資も回収したのかもしれないわ。私のせいではないはずよ』

「まぁ早い者勝ちだからしゃーない。一応なんかあるかもしれないし、さらに隠し部屋がある可能性もあるから探してみよう。」

 

その後アルファが円形の中に人の足の裏のようなマークを発見した。

 

『分かりやすく表示しているけれど、情報収集機器の感度と私の処理能力でぎりぎり表示してる感じよ。』

 

「急にダンジョンっぽくなるの辞めてもらっていいですか、温度差で風邪ひくんだが。」

『あら、アキラは風邪をひかないと思うけど?』

「それは馬鹿だからか?馬鹿は風邪をひかないってのは気づいてないだけだぞ。まぁ馬鹿なのは否定しないけど」

実際アキラはこういう謎解きのようなギミックはかなり苦手だった。レイトン教授やゼルダの伝説も碌にクリアできずに諦めて売りに行ったレベルで苦手だった。馬鹿ではあるのだ。

 

「で、親切に足マークあるってのは……ここに立てってことか?急に床抜けたりしない?」

 

『さあ、そこまでは知らないわ。それに最悪落ちてもサポートするから問題ないでしょ』

 

 

 

 

 

 

 円形の床に足を踏み入れた瞬間、空間に微かな振動と光の揺らぎが走った。

 

 その中から、白と黒のメイド服を纏った若い女性のホログラムが、音もなく現れた。

 

 「――うおッ!?」

 

 アキラは本能で跳ね上がった。猫のような動きで後方に跳び、壁際まで一気に距離を取る。

 アキラがさっきの円形の床から出るとそのホログラムは一瞬で消えた。

 

 ゆっくりと呼吸を整え、念のため周囲を警戒しながら再度視線を向けた。

 

 「なんでメイドがここにいんだよ!世界観バグってんぞ!謎解きの後はメイドかよ!せめてディナーにしろや……なぁアルファ。今のはなんだ?これも旧世界のなんでもアリ現象か?」

 

 『何のこと?』

 

 返ってきた声は、いつも通り穏やかだった。

 

 (……こっちのバグじゃない。見えてないなら俺の幻覚かなんかか?)

 

アキラは恐る恐るもう一度円形の床に立つと再びメイド姿の女性が現れた。そこには由緒正しい黒と白のみで構成されたメイド服を着た橋本〇奈以上に、いやそれほどではないが容姿端麗な女性が笑みを浮かべていた。

 

「…初めまして、俺はエリオといいます。あなたのお名前を伺っても?」

得体のしれない相手に偽名、しかも知人の名前を使うアキラ。まさに外道である。

 

 メイドががアキラの呼びかけに応じて一礼する。

 

『初めましてエリオ様。新規ユーザの登録処理を御希望でしょうか?』

 

「いえ。大変申し訳ないのですが、少々お聞きしたいことがありまして、いまお時間よろしいでしょうか」

 

『畏まりました。当製品の御利用を心からお待ち申し上げます』

 

 

 

『…アキラさっきから何をしているの?』

 

 アキラは脳内で映像情報と感覚を念話に乗せて送りつける。

 

 次の瞬間、アルファの顔が明らかにこわばった。

 

 『アキラ、頭痛は? 吐き気は? 意識は? 視界は正常? 私の姿は?』

 

 「平気だしいつも通り麗しいアルファの姿は視認できてるよ」

 

 安堵の息を吐いたアルファは、しかしすぐに真剣な声で言った。

 

 『今のアキラは脳死しかけてたわ』

 「急に物騒だな」

 

 

アキラの脳には、まるで無線機のように旧世界のネットワークへ直接アクセスできる“通信機能”がある――アルファは以前そう説明した。東部では 〈旧領域接続者〉 と呼ばれる、ごく稀に生まれる特異体質だ。だいたいWIN5とかロト6当選者の数くらいらしい。まぁまぁいるな。

 

『つまり、あなたは――旧領域接続者よ。さっきアキラが脳死しかけたのも、その体質の “副作用” みたいなものよ』

 

訳も分からず死にかけた――そう告げられ、アキラは眉をひそめた。メイドの次は旧世界という。急にSF世界に戻り世界観が渋滞してきたことに頭を抱える。

 

 

 

旧世界の施設同士を今なお結び続けているネットワークは、現在 〈旧領域〉 と総称されている。本来そこへ繋がるには、旧世界製のターミナルや特殊な遺物が不可欠だ。だが東部には、そうした機器を介さず脳だけで接続できる人間が極まれにいる。アキラもその一人だった、というわけだ。

 

『アキラが私を “見えている” のも、私のサポートを受けられるのも、その体質のおかげ。自覚はなかったでしょうけど』

 

「まあ驚きはしたけど、だからって俺が死にかけた理由にはならんだろ? お前みたいな奴を何度も見てる俺が平気なんだから。まぁ確かに年々勘がよくなったり昔(前世)より機械工作とか得意になったけど。まさかそれも旧領域のおかげか?都市伝説だろ?え?マジ?現実?」

 

アルファはため息まじりに続きを告げる。

 

『旧領域接続者にも適性差があるの。取得できる情報の種類も量もバラバラ。アキラは偶然、私と相性が良かった。でもアキラがさっき遭遇した “彼女”――メイド服の女性ね――は、旧領域上にだけ存在する旧世界の支援AIかもしれないわ』

 

「聞くだけだと便利そうだけど……やっぱ危険なのか?」

 

『ええ。本来は無害。問題は“旧世界基準”で動くって点よ。彼女はアキラが自分を認識できた時点で、“この人間は全情報を扱える能力がある” と誤解する恐れが高いわ』

 

 

 

アルファは仮定を示した。――もしそのAIが館の管制人格で、「館の全データが必要ですか?」と尋ねてきたら?

 

「そりゃ“お願いします”って答えるだろ」

 

『その瞬間、アキラは高確率で死ぬわね』

 

「即死で草。そんな即死トラップみたいなのきついって……」

 

『館の構造データを分子レベルの解析ログごと、一度に全部ブチ込まれるかもしれないのよ。脳が許容量を超えればノイズとして弾けるけど、中途半端に処理しようとしたら――廃人、あるいは即脳死。実際そうやって死んだ接続者は珍しくないわ』

 

アルファは念を押すように、冷ややかに言い切った。アキラは肩をすくめつつ、己の“便利な才能”が死と隣り合わせだと痛感するのだった。

 

 その言葉の重みに、アキラは黙り込んだ。

 

 『このまま無防備に情報を受け取れば、処理しきれずに脳が焼き切れることもある。だから私は提案するわ――“視覚情報と旧領域由来の膨大なデータにフィルターをかける”。私の判断で遮断・変換して伝えることで、アキラの脳への負荷を大幅に軽減できるわ』

 

 アキラは少し眉を寄せた。

 身体操作、思想誘導、そして今度は視覚のハック。そういうのは――嫌いだった。なにより怖い。

 

 「……また、俺の“感覚”を他人に任せろと?」

 

 『これは命の問題よ。視た瞬間に脳を焼くような情報すら存在するの。あなたがそれを気付かず処理しようとすれば、もう私は止められない』

 

 

 

 

 沈黙が落ちた。だが、アキラはすぐに折れなかった。

 

 「……じゃあ、こうしよう。フィルターを通すのは認める。ただし――」

 

 視線をまっすぐにアルファへ向けて言い放つ。

 

 「“お前の主観”は挟むな。俺が見て、考えて、決めるための材料だけをよこせ。余計な色は付けるな。……俺の目を乗っ取るな」

 

 アルファはほんの一瞬、目を見開いたあとで、満足そうに微笑んだ。

 

 『了解。主観フィルターは禁止。私は、情報の圧縮・整形・サマリーだけを行い、感情的評価や価値判断は含めない。フィルターを通した情報は常に“非誘導型要約”として明示する』

 

 「あと……両目は渡さない。片目、左だけでいい。右は俺自身のままにしとく。両目ハックされて崖からひもなしバンジーとかされても困るしな」

 

 『了解。左目のみ、フィルター処理を許可。切り替えや両眼適用は、明確な合意がある場合に限る』

 

 そうしてアキラは、旧世界の亡霊と対峙するために――自らの“視る”という感覚に、限界まで慎重な妥協を選び取った。

 

 

 

 

 

 ヘルメット越しに投影される HUD の隅で、アルファが腕を組んでこちらを覗き込む。 

 

『それにしてもアキラ。――ねえ、もしかして私のこと、まだ信用してない?』

 

アルファのその目線は『嘘は許さない』『絶対に暴く』と真剣な目をしていた。

 

「いや、信用はしてるさ。ただ――“全面的に信じ切れる”かって言われると別だ」

 

 アルファが小さく首を傾げる。『シェリル相手でも?』

 

「当たり前だろ。所詮、人は人だ。究極的には分かり合えない。“分かり合える”なら、戦争なんてこの世に存在しない。この世界再興と滅亡繰り返してんだろ?どう考えても人間同士の戦争の結果じゃないか」 

 

 しん、と風が止む。 

 

『……言うわね。エゴイスト? それとも哲学者?』

 

「好きに呼べ。あくまで俺個人の考え方だ。押し付けるつもりはないさ。――でも、信じ切れない理由は二つある」

 

 一つ、人の主観が混ざると情報は歪む。もう一つ、人を介せば介すほど誤解は増幅する――まるで伝言ゲームだ。

 

『伝言ゲーム、ね。徒党の子どもたちに教えていた遊びよね。』

 

「あれをやらせるのは、あいつらに“語彙”と“解釈力”を鍛えさせるためだ。でも同時に、俺自身への戒めでもある。――誰かを経由した瞬間、言葉は変質する。そこに善意も悪意も関係ない。単なる先入観や価値観のフィルターで、まるで別物に変質する。」

 

 アルファは肩をすくめてみせる。『でも私なら、そんなリスクは――』

 

「ゼロじゃない。少なくとも、俺にはそう見える。アルファの判断で“必要ない情報”が切り捨てられ、“必要だと判断した情報”が強調される。そこにアルファの主観が混ざる余地はゼロじゃない。……怖いんだよ、俺は。」

 

 沈黙。HUD 内で彼女の髪が揺れ、やがて穏やかに口角が上がる。

 

『……なるほど。“見えない私の主観”が怖い、と。いいわ、納得した』

 

「悪いな。でも――俺は歩み寄る気はある。お互い、完全にはわかり合えなくても、理解しようとする気持ちが大事なんだ。」

 

『ふふ。十分よ。それでこそ、私が選んだハンターだわ。』

 

 

 

アルファはひとまず満足げに微笑んだものの、その胸中ではアキラへの疑念が静かに膨らみつつあった。

――再構築(リビルド)の元凶が「人類同士の戦争」だという説は、公の記録から完全に抹消され、今の時代にたどり着く術はない。それをなぜアキラは知っているのか。

 

アキラは前世で世界大戦史を学び、転生直後にはこの世界を『86―エイティシックス―』の舞台に重ね合わせていた。歳月を重ね荒野を渡るうちに、モンスターと呼ばれる存在が“人を殺すためだけに設計された兵器”としか思えなくなり――やがて確信に変わる。かつて『86』で読んだ、無人兵器が暴走し人類に牙を剝いた物語。その残響が、この世界にも潜んでいるのではないかと彼は推測していた。

 

そして今、その推測めいた独白が不意にこぼれ落ちるたび、アキラ自身の足をすくう日が近づいているのかもしれない。隣にいる存在が自身の本当の味方ではないと、理解していたのに。

 

 

 

 

 視界がわずかに変わる。左目の景色は、どこかノイズの除かれたような、なめらかな質感へと切り替わっていた。右目には相変わらずほこりっぽい地下室の闇がそのまま残っている。

 

 (……確かに、違うな)

 

 両目を閉じ、左目だけを開くと、そこには再びあのメイドのホログラムが静かに立っていた。

 

 「……さっきは悪かった。また話を聞きに来た」

 

 アキラがゆっくりと声をかけると、ホログラムの女性は再び丁寧に一礼した。

 

 『初めましてエリオ様。新規ユーザの登録処理を御希望でしょうか?』

 

 アキラはアルファに視線を向け、軽く頷く。

 

 「先に確認したいことがある。“情報”があるなら、この端末に送ってくれ。できれば、ゆっくり、段階的に」

 

 アキラは手元の情報端末を見せながらそう言う。端末は、フィルターを通じてアルファの直接管理下にある。

 

 『……畏まりました。要求内容に従い、当社のパンフレット等の情報を圧縮・段階的に送信いたします』

 

 ホログラムが手を胸に当てて、恭しく一礼したその瞬間、情報端末に微かな光の点滅が走る。

 アキラは身体の異常を確認しながら、ゆっくりと呼吸を整えた。

 

 「……今のところ、平気だ」

 

 『ええ、問題なし。データの受信を確認。中身をチェックするわね』

 

 アルファの声が淡々と響く。

 

 『内容:リオンテイルズ社・支社ネットワーク照合記録、更新時期不明。生存支社、推定12ケ所。うち一つはこの場所と一致。残りは……“未登録遺跡扱い”ね。ネットの地図にも未記載よ』

 

 アキラの眉がわずかに動いた。

 

 「……未発見の遺跡の、場所わかるのか?」

 

 『かもね。他の誰にも見つかっていない、可能性が高いわ』

 

 アキラの口元がかすかにほころぶ。

 

 「……やっと当たりを引いたってわけか」

 

 『まあ、私がいなければ見逃してたでしょうけど』

 

 「神様仏様アルファ様感謝感謝。またいっぱい稼ぎたいな」

 

 『ふふっ、また素直になったわね。いい傾向よもっと私を頼りなさい』

 

 アキラはふっと笑い、もう一度ホログラムの方へ視線を戻す。

 しかし、すでにその姿は消えていた。

 

 (礼儀正しくて、消えるのも早い……本当に、機械だな)

 

 ただ、それでもその佇まいと微笑みは、どこか人のようだった。

 旧世界が作り出した、人を模した案内人格。だが、それが無差別に命を奪う可能性すらある。

 ――やはり、この世界は油断ができない。

 

 「アルファ。座標のデータ、帰ったら地図にマークしてくれ。近いうちに確認に行く」

 

 『了解。けれど、今回は慎重に計画を立てましょう。あまり突っ走ると、また脳が燃えるかもしれないわよ?』

 

 「はは……それは勘弁」

 

 アキラは肩の力を抜き、懐の情報端末をしまうと、階段を登って再び地上へと戻っていった。

 

 

 

 




閲覧感謝です。

この後は、帰還 → シェリルや徒党に報告 → 遺跡調査用の準備(遠征・補給)→大量発生ヤラタサソリ討伐編になります。多分、予定は未定です。

原作だとアキラは情報収集機器の訓練のためにヒガラカ街に来てますが、元々情報収集機器使ってたので特に問題ないです。味変がてらヒガラカ来てます。

ギャンブルのくだりは実体験です。マジで先日rushが一発で終わって2万消えました。ちくしょめ。有馬記念で12万あてたことはありますがトータル全然マイナスです。そして艦これで98レべの天霧轟沈させるしマジで最近ダメです。FGOの箱イベも完走できてないし、ゼンゼロもストーリー進んでないし、ラノベもたまってるし…

それと先日アニメのメダリストを見終わりまして、そっから原作一気読みしてました。うわ幼女つよい。
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