Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。
久しぶりに日中に投稿できた気がします。今回も長かったので一旦7000字程度で抑えときます。てか読んでて長くないですかね、書いてる立場的には短く感じるんですけど。

皆様は三連休をどうお過ごしでしょうか、私は祝日も出勤なので関係ないですが、くそが余
それとお昼過ぎに選挙行ってきました。全員選挙に行けとは言いませんが、個人的にマジで賃金上げてほしいって思いで投票してきました。金だ金をよこせ。

それとブルアカの水着ナギサかわいいですね。石がないので「大人のカードを使う」事にしました。それとTwitterで話題だった魔女の魔女裁判買いました。マダミス苦手なのになぜ買ったんだ私は。
課金しすぎて金欠にならないか心配です。貯金はあるんですが8割以上NISAなので不安定なんですよね。なぜそんなに課金するのかって?私は提督兼トレーナー兼マスター兼共犯者兼先生兼パエトーンなのでいくらでも出費がかかるんですよ・・・・その上ギャンブルもするから質が悪い、今日の競馬は勝てましたが前日の競艇で負けたのでマイナスです。



仮設基地を仮説基地って誤字ってばっかです

 

 

 

 

 ### 仮設基地行きオフロード車──到着まで

 

 砂漠色のオフロード車三台が隊列を組み、荒野の簡易舗装路を東へ飛ばしていた。先頭はアキラの愛車──装甲化された四輪バギーに近いハッチバック。運転席でアキラがハンドルを握り、助手席には書類バッグを抱えたシェリルが乗っている。後方には徒党が借り上げたトラック二台。荷台に詰め込まれた資材や弾薬の上で、エリオ班と子供荷役班が揺れるたび歓声を上げていた。

 

 助手席の端末が震え、地図アプリが次の分岐を示す。シェリルが指で拡大しながら呟く。

 

「あと二キロで建設エリアです。着いたら真っ先に受付で依頼の契約の確認等を行います。一応弾薬保証オプションも加入してるので無駄遣いしない限りは弾薬費は補填されますよ。というかいままでオプション付けなかったんですね」

 

「まぁな、いつもはそんなバカスカ撃ってなかったしある程度必要な装備や弾薬とか敵はどんなのがいるかとか調べてから行くことが多かったんだよ。予算とかも予測できたんだけど、今回のヤラタサソリは防御力が高いから高火力高性能な弾薬が必要だろうし、どんだけ弾撃てばいいのかわからないからな。とりあえず大体の予測がつくまでは最低保証付きでも弾薬保証プランは入っておくべきだと思ってな」

 

「わかりました、一応アキラの使用前の弾薬量も確認してますし、戦闘ログからどれだけ弾が使われてどれだけコストがかかったか私の方でも試算しておきますね」

 

『一応私も試算するから安心しなさい』

 

「わかった、よろしく頼む。あとはエリオ班もテキトーに頑張ってもらって、全員でがっつり稼ごうか」

 

 ミラーに映る二台目の車では、アリシアが子供たちにハンター用 UI の説明をしているらしく、タブレットを掲げながら身振り手振りで指示を飛ばしていた。

 

(短期バイトの割にずいぶん大所帯になったな……)

 

 アキラが苦笑したところで、遺跡の外周に沿って立つ仮設フェンスが見えてくる。そこに立ち並ぶプレハブ群──発電機の唸りと重機のクレーンが作る人工的な谷間が現れた。

 

 

 

 #### 受付棟

 

 仮設基地の朝は早く、砂混じりの風の中で拡声器が喉を潰したような声を響かせていた。

 

『各自、割り振り表に従って持ち場へ向かえ。配属未定の者は管理棟前に集合せよ』

 

 アキラはまだ砂埃の匂いが取れないジャケットを肩に引っ掛け、配属待ちの列に並んでいた。背後にはシェリルとアリシア、それから徒党の少年少女たちが控えている。補助班として登録されている徒党の子供たちは、それぞれ補給や運搬の仕事へ振り分けられる予定だった。

 

 アキラの端末に表示された配属欄には、まだ空欄があった。

 

 受付カウンターで白衣の都市職員が書類をめくり、端末を突き出した。

 

「ヤラタサソリ討伐任務を受注したヤツだな? ハンター証────。確認した。基地構築補助だな。で、後ろの他のガキどももか?」

 

「いや後ろのやつらは基本的にはここの雑用として働いてもらう。ヤラタサソリを倒せるだけの実力はないし、せいぜい見回りぐらいしかできないと思う。まぁこいつらの契約に関してはあとでいいか?」

 

「……お前らドランカムか?」

 

「違うぞ、別の徒党だ。第一ドランカム様が貸し出す装備がこんな安物じゃないだろう?」

 

「違いない」

 職員は笑う。

 

「さて話を戻そう。契約内容は把握済みだな? よし、まずは依頼受注者全員に端末を貸し出す、基本的にはこれで今回の依頼中は連絡や申請を行ってもらう。それと弾薬保証契約もしているな、こっちで受理は確認している。それとお前は防衛か探索どっちがいい?」

 

「ん? 討伐班はだめなのか?」

 

「討伐班は火力やハンター戦闘歴がものを言う。なにより子供を討伐班に回しても不評を買ったり士気が下がる可能性があるからな」

 都市職員はあからさまにアキラのことをなめていた。どうせろくに戦えないだろ? そんな目をしていた。

 その様子を見てアキラは内心ため息をはきつつ(これはいくら言ってもダメそうだな)とあきらめた。

 

 アキラは無言で一拍おき、肩をすくめる。

 

「探索班って、あの情報収集とか機材操作とかやるやつか?」

 

「そう。サーチャーや解析班の補助だな。最新鋭の支援機材を──」

 

「じゃ、防衛で。戦う方がまだ気が楽だ」

 

 職員が露骨に安堵し、端末を操作して割り振りを更新した。

 

「よし、防衛班──14防衛地点に迎え。監視塔交代勤務と周辺警戒任務。お前のような軽装ハンターなら、速さと反応が活かせるだろう。ログは自動送信、弾薬は保証プランの方で精算される。せいぜい楽しんでこい」

 

「はいはい、がんばるんば」

 

 アキラは肩を回しながらその場を離れた。その後アキラはシェリルと別れ防衛地点に向かった。

 

 

 

 

 

 地上に近い階層からスロープを下っていくと、地下通路は次第に冷たく、湿った空気に包まれていく。鋼鉄とコンクリートの混ざった独特な匂い。照明代わりのランプの灯りが断続的に照らすなか、アキラはゆっくりと警戒を解かずに進んだ。

 

 そして指定された防衛ポイントへ到着すると、すでに数人のハンターたちが集まっていた。

 

 目立つのは、やや年若いがしっかりとした体格の少年──カツヤ。そしてその隣には金髪の少女ユミナ、長身のアイリ。さらに、知的な雰囲気を漂わせる赤髪の少女レイナ、穏やかそうな雰囲気の黒髪女性シオリがいた。

 

 他にも、年齢層高めの男二人が銃を整備している。

 

 カツヤたちのグループはそれなりの装備を整えており、一目で徒党のようなまとまりが感じられた。

 

 その輪の中に、アキラが一人歩み寄る。装備はかなりの重装備。それなりの強化服と体のラインを隠すような防護服とポーチが多くついている軍用ジャケットのような防護服は高性能なもので、一目で都市製の中級モデルと分かる。手には改造されまくったA2D突撃銃、背中のバックパックの武器ショルダーにはショットガンと、CWH狙撃銃を担いでいる。腰には拳銃と小型ナイフとワイヤーガンやその他小物がぶら下がっている。見る人が見れば、相応の覚悟と戦闘経験を背負ってきた装いだった。

 

 

 そして、その防衛拠点に到着した瞬間──聞き慣れた声が響いた。

 

「確か……アキラだよな!? お前もここに来てんのかよ!」

 

 声の主はカツヤだった。やや砕けた少年らしい笑顔を浮かべ、こちらに手を振る。続いてユミナが驚いたように目を見開き、アイリが腕を組んだままアキラの装備に目を走らせてくる。

 

「……また妙なとこで会うわね、久しぶりねアキラ」

 

「ん、アキラ久しぶり」

 

「おうお久、なんかそういう割り振りになった。まぁ探索よりはこっちの方がマシだろうと思ってな」

 

 アキラが肩をすくめると、カツヤは苦笑して「ま、たしかに」と頷く。

 

 すでに顔見知りである三人との再会は、気まずさも緊張もなく、ある意味で安堵すら感じるものだった。アキラにとっても、完全な初対面の集団に混ざるよりはずっとやりやすい。

 

 だが、残る二人──金髪でやや気の強そうな少女と、落ち着いた雰囲気の黒髪の女性は、初めて見る顔だった。

 

「……ねぇカツヤ。知り合い?」

 

 金髪の少女──レイナが警戒気味に尋ねる。

 

「そうよ。アキラは私たちの知り合い。心配しなくて大丈夫」

 

 と、ユミナが間に入って軽く紹介する。

 

「同世代のハンターだしそんな警戒しなくて大丈夫よ。悪いヤツではないと思うし……視線はアレだけど。あ、そういえばアキラ、今のハンターランクはいくつ?」

 

「21だゾ」

 

「なんだ私より下の雑魚じゃない」

 

 思わずレイナが馬鹿にする。黒髪の女性──シオリは「お嬢様、ほかハンターとの揉め事になるような発言はおやめください」と目を細め、たしなめながらアキラの装備を再度確認していた。

 

 さらに後方では、武骨な雰囲気の成人男性二人が銃器の整備を続けながら、ちらりとアキラを見やるが、特に言葉は交わさない。経験豊富なハンターほど、見た目では判断しないものだ。もしくはただ興味がないだけか。

 

「とにかく、よろしくな!」

 

 カツヤが手を差し出す。アキラはそれを軽く握り返す。

 

「よろしく。あんまり足引っ張るなよ」

 

「そっちのセリフだっての!」

 

 肩をぶつけ合うように笑い合いながら、再び戦場の空気へと身を投じる準備を整える。地下の陰鬱な空気とは裏腹に、その場にいる少年少女たちのやり取りには、どこか仲間内らしい明るさも混じっていた。

 

 なおアキラはレイナとシオリを見て

(金髪ツインテ高飛車お嬢様と、黒髪お姉様系正統派メイド。ハーレムメンバー増えてんじゃねぇか!! やっぱコイツ主人公だろ!? こいつが主人公じゃなきゃなんだよ!!! モブにしてもこんな濃い面子そろえたモブ部隊とかやばいって!!)

 と主人公スゲー、していた。

 

 

 

 

 

 

 地下広間に据え付けられた据置き型通信端末のスピーカーが、甲高いノイズを吐いて全員を振り向かせた。

 

「こちら本部。十四番防衛地点、応答せよ」

 

 声に覚えのあるミマタが端末に歩み寄り、ボタンを叩く。

 

「こちら十四番、防衛ライン異常なし。──何かあったか?」

 

「確認する。移動中にヤラタサソリへ接触、もしくは痕跡を見た者はいるか?」

 

「いや? トイレと見回りでうろついたが平和そのものだぜ。……って、まさか何かあったのか?」

 

「十五番が群れの襲撃を受けた。幸い死傷者は出ていないが、襲撃方向が“制圧済み”区画からだった。別ルートが開通した疑いが濃厚だ。ついては周辺を再調査してほしい」

 

 広間の空気が一段冷える。ミマタは仲間に目配せしてから、威勢よく返事をした。

 

「任せろ。本部のご要望どおり、俺たちで──」

 

「駄目だ。お前たちは待機。どうせ遺物目当てで抜け出す気だろう。防衛地点を離れるな」

 

 ピシャリと釘を刺され、ミマタは舌打ち。レイナが「いい気味」と小声で笑う。

 

「じゃ、誰が行くんです? 残ってるのはガキと子守だけだぜ」

 

「二十七番が調査に向かえ。最大三名編成、二十七番一人でも可とする」

 

 その瞬間、全員の視線が引き寄せられた。

 端末からわずかに離れた壁際、椅子にもたれていた少年──アキラが立ち上がる。

 

「……あ、27って俺か。27番、了解した。編成はこっちで考える。送れ」

 

 淡々とした返答に、カツヤは目を丸くし、ミマタは顔をしかめる。

 

「何でアイツなんだ。本当に戦えるのかよ?」

 

「二十七番は単独でビル籠城中のハンターを救出し、追撃してきたサソリを六十体以上撃破した実績がある。狭所戦闘経験があり適任と判断した。残り二名はそちらで決めろ」

 

 数字を突きつけられ、誰もが絶句する。

 レイナだけが耳を赤くしながらアキラを見つめた。

 

 

 

 

 アキラは最低限の装備を詰めたリュックを肩に背負い、一度立ち止まる。

 

(とはいえ同行者なぁ……、誰かと一緒に行った方が負担少なくなるから連れていきたいんだけど。大人二人はまともに働いてくれなさそうだし、本部もこいつら連れてくのはいい顔しないだろうし。かといって主人公パから引き抜くのもなぁ……まだカツヤ一人連れてった方がマシだが、ハーレムメンバーの女性陣が吠えそうだし……よし一人で行くか)

 

「それじゃ行ってくるわ。防衛よろしく~」

 

 

 そうしてアキラは通路へ向かった。背中に浴びる視線を気にする様子もない。 

 

 

 

 

 

 そう思った矢先、背後の足音が追いすがる。レイナとシオリだ。

 

「枠、まだ二人空いてるわよね? 私たちも連れて行きなさい」

 

 アキラは振り返り、立ち止まる。

 

「なんで? カツヤと一緒にいればいいじゃないか」

 

「うるさい! 私だってハンターよ! 依頼内容には逆らってないし、功績を積んで認めさせたいの!!」

 

「そんな自己満のために俺を巻き込まないでくれ、俺はあんたらの実力も知らないし。こうやって揉めるのも怠い」

 

「失礼ね! 私のランクは23よ! あんたよりは上なんだから!! それにシオリもいるし、絶対役に立つわ!」

 

 シオリが困ったように笑い、しかし護衛めいた視線でアキラを射抜く。

 

「お嬢様の決意は固いようです。もし彼女を置いて行かれるなら、私は全力で連れ戻さねばなりません。……どうか、ご容赦を」

 

 アキラは立ち止まり、大きく息を吐く。 

 

「……好きにしろ。ただし俺の指示に逆らうな。危なくなったら即撤退だ、俺は功績より命の方が大切だ。なにより俺はあんたらと心中する気はないからな」

 

 レイナは勝ち気な笑みを浮かべ、シオリは深く頭を下げた。

 

 

 

 

 

 迷路のような地下街を進む三人。アキラは端末でマップを確認しつつ、念話でアルファと会話を交わす。

 

『どこか破壊されてるであろう場所を逆算してもいいが情報が足らないし。とりあえず15番防衛地点に向かってそこから血痕なり破損壁なり、手がかりを拾うか』

 

『了解。……でも私の索敵は今日は少し不調よ。地形材質と干渉して精度が落ちるわ』

 

『マジか、地下だと回線も悪くなるのか。まぁ気合い入れてやりますか、精度が下がったとは言えアルファの性能は落ちてないだろ、見落としは指摘してくれりゃ十分だ』

 

 その横で、レイナは黙って銃を構え、シオリは後衛を固める。三人の足音だけがコンクリートに反響した。

 

 とはいえその足取りは少し遅い。理由としては三つ。アルファの索敵性能が著しく低下しており危険なこと。二つ目に探索班が残してくれたマップ情報が当てにならない可能性があること、そしてアキラは一人で索敵しているからだ。

 

 アキラはまだレイナやシオリの実力を詳しくはわかっていない。なんとなくパッと見でわかるがそれ以上はわからない。一応彼女たちの索敵情報も聞いてはいるが、自分よりハンターランクが上で高性能な装備なのに得られる情報は少なく、養殖されたドランカム若手ハンターのランク詐欺はこれかぁ……とアキラはあきらめた。

 

 とはいえ一人よりはマシであることも事実だった。最悪囮にすればいいかとも考えている。それに戦闘力は護衛のメイドの方が全然強そうだし各自撤退してもまぁ問題ないだろうとも予測した。

 

 同時にレイナもアキラを見ており、シオリもレイナを見ていた。

 レイナは自分の実力がどんなものかを知りたかった。だが客観的に見てもわからないし、いつもシオリに守られているので自分の限界がわからない。安全な戦いばかりをしてきたのだ。自身が慕う実力者のカツヤが認める少年の実力と自身を比較して実力を予測しようとしていた。だがアキラは確かにそれなりの実力者に見えるが、遺跡探索の足が遅いこと、さっきからアキラがレイナに索敵情報を聞いてこないこと。なにより、カツヤがこの程度のハンターを認めてるわけがないと決めつけ、余計にアキラの実力がわからなくなった。

 

 シオリはレイナがアキラをずっと見ており、もめ事に発展することを警戒していた。そのためレイナが自身の実力を知りたがっているのだろうと予測して、アキラに意見を求めることにした。

 

「時にアキラ様、これは余談なのですが。アキラは様はお嬢様の実力についてどう思いますか? 客観的な情報が知りたいのです」

 

 シオリがアキラに尋ねる。

 だがアキラは索敵や警戒に意識を割いていた。並行思考は慣れていれば可能だが、基本的にソロのアキラにとって索敵中に味方や他人と会話する並行思考や処理はまだ不慣れだった。そのため取り繕うことを忘れ正直に言ってしまった。

 

「養殖だろ。いい装備なのに使いこなせてないし……あっごめん今のなしで」

 

 時が止まった。

 アキラは言い終えてから自分がまずいことを言ったことに気づいた。

 

 予想外の答えに、レイナは愕然とした。

 

 レイナは強い衝撃を受けた。

 アキラの口調はごく普通のものいつも通りの素面で答えている。冗談や馬鹿にしていることもない。ただ事実を告げただけだった。

 

 シオリも流石さすがに怒気を隠しきれなかった。

 

「……アキラ様。流石にその評価は失礼です。訂正、又は納得できる理由の説明をお願いいたします」

 

 アキラは自身のうかつを呪いながら返答する。

 

「あ────馬鹿正直に言ったのは申し訳ないです。目の前のことに集中してたんで……」

 

 正直に言っただけといい、さらにレイナの顔が曇り、シオリの圧が激しくなる。

 

「少なくとも今の状況でレイナさんたちの評価はあいまいなものになります。あなたたちの長所や短所、得手不得手がわかんないんですから。仮にほかのことは苦手だけどある一点については一流のソレだとかっていう可能性だってありますし……だめだなどう頑張っても言い訳にしかならないや……」

 

 その言葉を聞いてシオリが戦闘態勢を取る。

 

「撤回する気はないと? それによって私たちを敵に回すことになっても、構わないのですね?」

 

 シオリが銃のグリップを握りしめる。セーフティーはすでに外れている。

 

「……申し訳ないですが、もうすでに出た言葉を撤回することはできないです。だから今俺ができることは先ほどの謝罪と、これから起こりえる事に対する、戦士(ハンター)として最後まで責任を果たすことだ」

 

 アキラは一瞬脱力し、そして力を入れなおす。アキラも戦闘体勢を取る。自身が招いたことに、どう転んでもいいよう責任を取る。

 

 

 戦いが始まろうとしていた。

 

「シオリ……、止めて……お願い」

 

 その流れを止めたのはレイナだった。

 

「お、お嬢様……」

 

「……もう良いの。……止めて……」

 

 レイナは項垂うなだれており、その様子を見てアキラとシオリは臨戦態勢を解いた。

 

 アキラはまた内省する。

(またカッとしてしまった……子供相手に……前世含めていい年のくせに自制が効きづらい。もともと好戦的な性格だったけどここまでひどくはなかったはずだ。精神が体に引っ張られてんのか? それともこの世界に転生して無意識にでも影響されて倫理観や理性が欠如しかけてんのか?)

 

『またやっちゃったな……また女の子泣かしちゃったよ』

 

『あら、前にもあったの? 文字通り女を泣かせる男なのねアキラ。罪な人よ。それにあたしのサポートが不足して索敵を必死にやりすぎて近くのことに意識が向けてないわ。もう少しリラックスしなさい』

 

『その通りでございます……』

 

 

 

アキラは小さく息を吐き、レイナの俯いた頭越しに暗い通路を見やった。

 ――まだ奥は長い。なのに、たった一言で足並みを乱した。

 

「……悪かった。先に進むぞ」

 

 声をかけてもレイナは顔を上げない。シオリがそっと肩に手を添え、促すようにうなずいた。

 

 アルファの穏やかな笑い声が念話越しに揺れる。

『今はそれでいいわ。先へ進みましょう。敵はヤラタサソリよ、味方は多いほうがいいのだから』

 

 アキラは自分に言い聞かせるように深呼吸し、再び銃を構えた。

 冷えきった地下の空気が肺に入り、ほのかな鉄と埃のにおいが鼻腔を刺す。

 

「……行くぞ。ここを抜けたら、一旦休憩だ」

 

 呻くような返事がレイナの喉から洩れたが、彼女は頷き、ブーツの先を前へ向けた。

 三人の足音が瓦礫を踏み、闇の奥へと消えていく。

 

 後悔は胸に封じたまま。

 アキラは照準を前に据え、次こそ余計な言葉を飲み込むことを誓った。

 

 




レイナ「わァ…あ…」
アキラ「泣いちゃった!!!」
シオリ「お前を殺す」(デデン!
アルファ「なんなの...この人(アキラ)...」


読了感謝です。
探索より討伐の方が今作アキラ君は選びそうだったので、当初は防衛班に回すつもりはなく討伐班でひたすら周回予定だったのですが都合上プロット書き換えました。
それと例のごとくレイナを泣かします。シオリが切れるけど仕方ないよね。最初期のレイナマジで高飛車だったし、とはいえ反省したら才能開花して最新刊でも活躍するなんて大出世ですよね。

カツヤ君そこんところどう思います?返事してくれよカツヤ君、なぁアイリもユミナもなんか言ってくれよ。

あと今回の依頼では徒党の幹部勢ぞろいで任務当たってます。アリシアの成長回も兼ねてですね、シェリルは次か次々くらいでまた出てきます。アリシアとエリオは勝手に頑張ってます。徒党はもぬけの殻ですが一応警備は置いてますし、金目の物はほぼおいてないので襲撃されても問題ないです。
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