Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
おかしい、今日の夕方にはおおよそ書けてたのにシージしてたら遅くなったぜベイベ。それとシア縛りでエペしてたら弱すぎて泣きました。やっぱりミラージュに限る。
さて遅くなり申し訳ありません。今回も9000字くらいと長めです。次話くらいでシカラベとランデブーします。
あとハンター登録のシーンの投稿をし忘れてたので急遽新しく6000字くらいの4話を差し込みました。
崩落した通路の脇に腰を下ろし、俺は息を吐いた。
最初に声をかけたのは俺だった。だが、正直すぎた言葉は、目の前の少女たちの表情を確実に曇らせた。
「……」
シオリは目を伏せて拳を握りしめている。その細い肩はピクリとも動かず、だが内に火を灯しているのが分かる。そしてレイナは、俺を見ようともせず、黙って背を向けた。わずかに震える肩が、感情の振れ幅を物語っていた。
あぁ、やらかした。
俺は頭を抱えたくなったが、そんなことをしても空気は良くならない。少しでも冷静になるために水筒を取り出し、ぬるくなった水を一口含む。微妙な味が舌の上に広がった。水だこれ!!
俺が言ったのは、あくまで事実だった。戦闘時の動き、判断、火力の使い方――すべてを見たうえでの率直な評価。けれど、正しいことを言えばそれで済むなら、人間関係なんて苦労はしない。
真実は時に人を傷つける。だから優しい嘘の方がいいと某腐り目の主人公は言っていた。
結局、何も言えないまま数分が過ぎた。
沈黙の中、俺は立ち上がる。そして、ゆっくりとレイナの方へ歩いた。
「さっきは…悪かった」
小さく、だがはっきりと伝えた。
レイナが振り向く。瞳の端にわずかに残る赤みが、彼女の感情の余韻を示していた。
「……何が?」
「さっき言ったこと、言い方が悪かった。内容は……まぁ、今は置いといて。もうちょっとマシな伝え方があったと思う。気分を悪くさせて、本当に悪かった」
素直に、誠実に。頭を下げた。
たとえ自己弁護をしたくなっても、それは抑えた。
レイナは俺をしばらく見つめていたが、ふっと視線を逸らし、小さく頷いた。
「……わかった。謝る気があるなら、別にそれでいいわ」
許したというよりは、怒る気力を手放したような口調だった。でも、今はそれで十分だ。
俺は続けてシオリにも頭を下げた。
「シオリさんも……すいません、言いすぎました。 」
「……お嬢様が気にしておられないのなら、私も結構です」
口調は丁寧だが、表情にはほんの少しだけ、刺が残っていた。だが、それでも少し空気が和らいだのは確かだった。
「……でさ。詫びってわけじゃないけど、よければ今日は正式に“パーティ”を組まないか?」
二人が同時に俺を見る。
「どういう意味?」
「この任務中だけでいい。三人で正式にチームを組んで、報酬や責任を分け合う。俺が指揮を取るわけでもないし、上下もない。ただ、対等にやる。詫びと言うには軽いかもしれんけど……それでも、ちゃんとやる意思を見せたかった」
レイナは少し驚いたように目を丸くしたあと、ふっと笑った。
「……いいわよ。ちゃんと謝ったし、詫びの姿勢も見せた。これ以上求めたら私の方が悪者みたいだし、何より子供相手にムキになるなんてダサいしね」
レイナはアキラを見ながら意趣返し、シオリは一瞬だけレイナを見てため息をついた。
「……承知しました。ただし、私はお嬢様の従者です。行動指針の最優先はあくまでお嬢様の意向になります」
「了解」
ようやく、空気が落ち着いた。
水筒の残りを飲み干し、俺は腰のホルスターを軽く叩いた。
「じゃ、そろそろ仕事再開するか。どうせなら成果を出して、少しでも報われようぜ」
「……ええ。せっかく“チーム”なんだもの。無駄にはしたくないわね」
「お嬢様、お気をつけて」
レイナが先に立ち上がり、俺とシオリがその後に続く。
気まずさは完全には消えていない。でも、俺たちは前に進む。それがハンターであるということだ。
再び歩き始めた三人の足取りには、微かなけれど確かな変化があった。
無言が続くわけでもなく、かといって冗談を交わすほどの余裕もない。それでも先ほどまでの空気とは違う。少なくとも、俺の背中に突き刺さっていた視線のトゲは消えていた。
「血痕…いや、人間の血じゃないな。時間がたってるなら酸化して黒くなってるはずだ。だが少し緑?茶色?どちらにせよ人間じゃねぇサソリが近いかもしれない…」
通路の床に、染みが点々と続いているのをアキラが見つけた。
「それに向こうのは戦闘の痕だな。まだ新しい。15番防衛隊への襲撃の名残かもな」
「この量……数十匹はくだらないわね。」
俺たちは足元を確かめながら、その痕跡をたどっていった。血の道筋は、通路の先にある側壁で終わっていた。だが、よく見れば――そこには、崩れかけた瓦礫が積もっている。天井の一部が崩落してできたような、異常に不自然な横穴だった。
「……通路じゃねぇな。なんか、後から広がった跡だ。しかも」
俺はしゃがみ込み、瓦礫のひとつをどかした。血痕がその奥にも続いている。
「誰か、あるいは“何か”が、ここを通った。間違いない」
すぐに本部へ連絡を送る。
『こちら14番再調査班。通路の側壁に、崩落したと思しき横穴を発見。内部に血痕あり。敵性反応の可能性あり、警戒を要する。送れ』
返ってきた答えは、いつも通りやる気のないものだった。
『あー……了解。とりあえずそっちで様子見ておいてくれ。もし出てきたらそいつらも潰してくれ。救援は一応向かわせるけど、到着はちょっと先になるだろうが、まぁよろしく』
「おいおいおいおい、俺はハンターだ。ハンターオフィスの連中の命令従うのはわかる。それが仕事だからだ。仕事に対してハンターとして真摯に仕事を対応するのは俺の誠実さを表して居るんだ。悪には悪を、礼には礼を、誠実には誠実に返すのが社会人としての礼儀なんじゃあないか?」
思わず口に出たが、すぐに切り替える。想定の範囲内だ。要するに「出てきたら倒しといて。こっちはあとから行くわ」ってことだ。
『で、アルファ、この道どう思う?』
『そうね。その穴の先は大きな空洞になってるわ。他の通路と合体したのかもね。 それと小型モンスターの数も多い。動いてる反応もあるから――間違いなくヤラタサソリね。』
「どれくらい?」
『とても多くよ正確な数は読めないわね。まぁ100はいるんじゃないかしら』
一瞬、背筋に冷たいものが走った。が、それを顔には出さない。
「多分この穴にサソリがいる気がする。めちゃくちゃ、な」
俺の言葉に、レイナとシオリが同時に俺を見た。
「根拠はなに?勘?」
「それなりに根拠はある。が半分くらい感覚的なやつだ。だが確実にいる、カツヤの貞操を賭けても構わない」
「そんなものを勝手に賭けられるのは貴方くらいよ…わかった信じるわ。それでどうするの?」
「とりあえず迎撃準備だ。この通路は一本道だ。片方の通路は確実に塞ぎたい。それとスパイクとかもあれば、時間稼ぎ用の足止めにもなる」
「わかったわ」
「承知しました」
俺たちは手分けして動き出す。崩れた瓦礫をかき集め、通路の分岐点や見通しのいい地点に設置。遮蔽にもなり、簡易的な壁にもなる“陣地”を作っていく。
「……手際がいいわね。アキラ」
レイナの声が聞こえた。だが、作業の手は止めない。
「昔、簡易トラップ張るのが日課みたいな時期があったんだ。物騒な場所に住んでたからな」
「いやどんな日課よ。いや下位区画だとそれが普通なのね…な訳ないでしょ!!」
シオリが少しだけ笑う。レイナも大分気持ちを入れ替えているみたいで安心した。
通路の奥、未踏破の道には瓦礫を使って簡易的なバリケードの壁を設置。正面に設けた“射撃ポイント”と合わせて、即席の前線陣地が完成した。
「……ここで迎え撃つの?」
レイナが完成したトーチカのような遮蔽の裏に立ちながら尋ねる。
「十中八九戦闘になるなら、なるべく俺たちに有利なフィールドにしたい。ちなみに後方支援するならあの角がおすすめだ。通路の分岐で塞いだ場所は、最低限の防衛に回してくれ」
「了解。……あんた、思ったよりちゃんとしてるのね」
「ちゃんとしてなきゃ生き残れなかったからな。嫌でも覚えるよ」
二人とも、少しだけ表情が柔らかくなっていた。
そしてそのとき、耳の奥――アルファの念話が響いた。
『アキラ、まずい。動きがある。こっちに向かってきてるかもしれない』
「――来るぞ!!」
声を張り上げると同時に、シオリが腰のホルスターから照明弾を取り出し、打ち上げる。
爆音と共に天井へと走った赤い火が、暗闇の奥を照らし出した。
そして、見えた。
闇の向こう、瓦礫の隙間を押し広げ、無数の脚がうごめく。
その奥には、鋭い爪と異様なサイズの甲殻。あの忌々しい――ヤラタサソリの群れが、迫ってきていた。
甲殻の擦れる音が、地面を這うように迫ってくる。
照明弾が照らした通路の奥、瓦礫の隙間を押し広げながら、鋭い爪と多数の脚が姿を現した。
「来やがったな!せめて群がるなら美少女か美女にしてくれ!」
「あらアキラ!もしかすると全員メスかもよ!?モテモテね!!カツヤも羨むわ!」
「虫畜生にモテても嬉しくねぇよ!!せめて擬人化しろ!!」
レイナが即座に銃を構え、シオリも照明弾の再装填に取りかかる。俺はショットガンに装着したグレネードランチャーを手に取りながら、念話でアルファに問いかけた。
『弾道、見てくれ。どこに撃てばいい?』
『中央左。壁際に瓦礫が堆積してる。巻き込みが効くはず。照準調整、同期開始――はい、マークした』
「……ステンバーイ、ステンバーイ」
俺は息を吸い、視線を敵影へと定めた。
「ファイア!!」
叫ぶと同時に、引き金を引く。
ドンッ、と重い衝撃と共にグレネード弾が射出され、照明の赤光の中を飛翔していく。次の瞬間――
ズガァンッ!!!
瓦礫の山が火花と共に爆ぜ、巻き上がる土砂と肉片が一体のヤラタサソリを包んで吹き飛ばした。
だが、それでも止まらない。群れはなおも突進を続ける。
『右端、接近ルートが甘い。そこを潰して』
「人が嫌がる事を、率先してやれってなッ!」
もう一発、そしてもう一発。俺はA2Dのカスタム仕様で、グレネード弾を連続でばら撒いた。
耳をつんざく爆音、甲殻が砕ける音、サソリの鳴き声とも叫びともつかない異音が響き渡る。照明弾の赤光の下、それらはまるで地獄絵図のようだった。
「通路側の方、まだ動きはありません!」
シオリが後方から叫ぶ。
「そっちは少数だけか!」
ありがたい話だが、正面のこの密度ではグレ使っても焼け石に水だ。
「頼む! 手ぇ空いてるヤツ、手を貸せ!!!」
俺がそう叫ぶと、すぐに声が返ってきた。
「……私が行くべきか、それともお嬢様に行っていただくべきか……」
シオリの逡巡が伝わる。
「まだ通路の方が安全です。であれば、お嬢様に通路をお任せs」
「わかったわ!!」
声を張り上げたのはレイナだった。シオリの判断が終わる前に、彼女はすでに身体を動かしていた。
「お待ちください、お嬢様!! 危険です!」
シオリの悲鳴が届くが、レイナは一歩も止まらなかった。
「壁外だと、どこに行っても危険なんでしょ!? この地下で“安全な場所”なんてあると思う!? だったら……だったら、どこで戦うかは、私が決める!!」
怒りにも似た声を上げながら、レイナは俺の隣へ飛び込んでくる。
彼女はすでに銃を構えていた。俺のA2Dよりも明らかに高性能な銃。装弾数、反動、精度、全てがワンランク上。俺が殲滅を試みたヤラタサソリを、次々に正確な射撃で貫いていく。
「レイナ! すまん!! 本当に頼む!!!」
怒鳴るように、叫ぶように、それでも素直に謝った。
正直に、言葉にした。
そして、それを聞いたレイナの表情が、変わった。
「――ええ。任せなさい!!」
その瞬間だった。
彼女の動きに、明らかに変化があった。狙いが鋭さを増し、躊躇が消え、反応速度と精度が一段階跳ね上がる。
まるで――覚醒イベントでも起きたように。
(……え、覚醒した? 才能開花した?)
「いやちょっと待て、それは好きな人(カツヤ)相手に起こすやつじゃねぇのかよ!」
とんでもない違和感に思考がズレそうになったが、今は目の前の敵に集中するしかない。
後方から、シオリの声が届く。
「お嬢様の才能を軽く見ていたわけではありませんが、何故ここまで……!」
「知らねえよ!! でも今は、その才能に乗っかるぞッ!!」
アキラはおおよそのグレネードを使い切った事を悟った。残るはC4のみだった。
「黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。」
アキラはC4から信管を抜いた。固く丸め込み、強化服のサポートで遠距離にC4を流れるように加工していく。
「我が名はアキラ!爆弾をこよなく愛する者!」
アキラは全力でC4を投擲し、すぐさまC4にA2Dライフルの照準を合わせる。放物線を描くC4が、ちょうどサソリの頭上1m以内に来たところで発砲。
「穿て!エクスプロージョン!!!!」
直後大爆破。
アルファの計算によりモンスターの群れに大打撃を与えつつ、爆発の余波で建物が崩壊しないように計算尽くされた一撃を放った。
「ううーーーん、20点!爆裂道はまだ遠い、な!!!」
すぐにA2Dからショットガンへと持ち替えた。予備のCWH専用弾を挿入、アルファに最適な撃ち込み角度と射線を確認してもらいながら、ヤラタサソリの群れに直接叩き込む。
ズドォン!!
重く分厚い反動が肩を押し戻す。が、それ以上の威力が敵の中心を吹き飛ばしていく。
「アキラ、装填急いでください!」
「言われなくても!」
シオリは通路側の確認と迎撃を同時にこなしながら、こちらに背中を預けてくれている。彼女の射撃は冷静かつ正確で、突破を図るヤラタサソリの隙を的確に潰していた。
「防衛ライン維持! レイナ、まだ撃てるか!?」
「問題ないわ! そっちは!」
「ギリギリ! でも、まだいけるッ!!」
こうして、三人の連携は戦場で少しずつ、確実に噛み合っていった。
そして――
崩落した通路の向こうから聞こえていた甲殻の足音が、ついに途絶えた。
深く、重たい呼吸がこだまする。
静寂の中、俺たちは銃を構えたまま、しばし動けなかった。
空気は血と火薬と土の匂いに満ちていた。耳の奥にまだ残響が鳴っている。指先には反動の余韻が残り、心臓はまだ戦闘中と勘違いして脈を打っていた。
「……終わったんだよな?」
「ええ。……たぶん」
「こちらも通路側、反応なしです。封鎖維持、完了しています」
三人の声が静かに交わる。
俺はショットガンの薬室を空にし、肩から外した。銃身はまだ熱を持っていたが、それすらもどこか心地よかった。
「お疲れ……」
ポツリとレイナが言い、俺もつられるように肩を落とした。
「……マジで死ぬかと思った」
「お嬢様、損傷はありませんか? 異常ありませんか!?」
「平気よ。汗だくなだけ」
レイナは軽く笑いながら額の汗をぬぐった。俺もシオリも、その笑顔に少しだけ気が抜けた。
掃討が終わり、ようやく静けさが戻った通路の中で、俺は頬を指先でなぞった。
ザリッとした感触。浅い擦過傷だ。気づかないうちにヤラタサソリの爪か破片がかすったらしい。
痛みは大したことない。だが――
(そういやこの世界でモンスター由来の感染症とか聞いた事ないけど、一応消毒しとくか? )
地球の虫ですらわけのわからん病気を媒介するってのに、旧世界の突然変異生物とかマジで信じられん。データにはあまりないが、そういう菌が秘匿されてたりする可能性もある。それにその菌が原因でバイオハザード起こしてゾンビパニックとか冗談じゃ済まない。
俺は真剣な表情で荷物ポーチを漁りつつ、レイナに声をかけた。
「なぁ消毒液、持ってるか?」
「?ショートケーキは持ってないわよ? お腹空いてるの?」
「……違うわ。難聴すぎるだろお前。どこの世界に傷口にケーキ塗るアホがいるんだよ」
「わ、わかってるわよ!? 聞き間違いよ、ただの!!」
レイナが焦ったように顔を赤くして言い返す。
その様子を見て、俺もつい笑ってしまった。シオリが「……また始まった」とでも言いたげに微妙な顔で見ていたが、何も言わずに背を向けた。
「はぁ……マジで化膿とか洒落にならねえんだよ。消毒しないと不安で夜しか寝られねぇ」
「寝れてるじゃない、図太いのか神経質なのかわかんないわね。……はい、これ。あんたのより高い奴だと思うけど?」
レイナがポーチから取り出した透明な小瓶を差し出す。中にはわずかに薄青く光る消毒液。
「お、ありがと。アキラ的にポイント高いわ」
「そんなのいらないっての。勝手に下げて勝手に上げて……こっちは忙しいのよ」
軽口を交わしながら、俺はそっと傷口に消毒液を塗った。
ヒリッとした刺激が走る。だが、その痛みはどこか安心感すらあった。
消毒された皮膚、沈静化していく不安。そして、妙にうるさくなってきた“仲間”の存在。
悪くない。いや、むしろ――ちょっといいかもしれない。
そんな和やかな空気の中――ザッザッザッと人が走ってくる音が通路の向こうから迫ってきた。
「……おっそ」
俺が呟いたときにはすでに、崩れた通路の向こうに救援部隊の姿が見えていた。
先頭に立っていたのは――
「レイナ! 無事か!」
カツヤだった。
続いてユミナ、アイリ、そして数名の戦闘要員たちが現れる。
「は、や、く!走れよぉおおおおお!!いっつもキモイんだよ、美少女2人連れてよぉおおおお、ユミナママに甘えてんのか⁈」
俺は反射的に叫んだ。
「わ、悪かった! 俺たちだって急いでたんだ! 本当だって!」
カツヤが 謝ってくるが、少しも悪びれていない顔をしているあたり、こっちは完全に間に合わなかったという自覚はあるらしい。
「まぁ、来てくれただけマシか……後始末だけでも頼むわ」
「それは任せろ」
カツヤは笑いながら周囲の残骸とサソリの死骸を見渡し、絶句した。
「すげぇ……これ、三人でやったのか……?」
「三人でやった。見事に」
俺はそう言いながら、レイナとシオリを見た。レイナはどこか誇らしげに胸を張っていたし、シオリは黙って頷いていた。
「しっかし、レイナめっちゃ強かったな。完全に俺のIQ3の頭脳では図りきれなかったよ。すまんすまん」
「ふふん、分かればよろしい。まぁ、アキラに馬鹿にされたから、吹っ切れたとこもあるけどね!てかIQ3とか何ができるのよ!」
言って、レイナはにかっと笑った。俺も苦笑いで返す。
「いや本当に申し訳ない。シオリさんも……ごめんなさい」
「いえ、お嬢様がお気になさっていないのであれば、私も結構です。ただし、今後は――」
「気をつけます……前向きに、ハイ。善処します……」
俺が深々と頭を下げると、レイナが小さく吹き出した。
「そんなにかしこまらなくてもいいわよ。こっちも別に怒ってるわけじゃないんだから」
「まぁでも、ちゃんと謝っとく。今回は俺が悪かった」
そんなやりとりをしている最中、俺の端末が振動した。
『15番地点再調査班へ。ヤラタサソリ掃討の確認を受けて、討伐報酬が発生します。メンバー確認および配分処理をどうされますか?』
「あー……ちょっと時間くれ。三人とも目の前にいるから、直接相談して決めたい」
そう返して通信を切り、レイナとシオリに向き直る。
「報酬だけどさ。今回は三人でチーム組んだわけだし、三分割でどう?」
レイナが「ふむ」と考え込む前に、シオリが一歩前に出た。
「アキラさん。私はお嬢様の従者ですので、私への褒賞はすべてお嬢様へお願いいたします」
「え?」
「それと、お嬢様。こういった報酬の交渉も、ハンターとして必要な技術です。一度、ご自身でやってみてください」
レイナが「えぇ……」と微妙な顔をする。
「じゃあ、えっと……二分割で。私とアキラで」
「よし、それでいこう。助かったよ、二人とも」
そうして、俺たちはようやく――
この戦いに、一区切りをつけた。
戦いを終え、報酬処理も済ませた俺たちは、仮設基地へ戻る途中の搬入口付近で一息ついていた。
防塵マスクを外し、装備の埃を払っていると、どこからか聞き慣れた声が響いてきた。
「おーい、アキラぁ!」
振り返ると、少し距離のある通路の向こうから、手を振りながらエレナとサラが歩いてきた。
「うっす。お疲れっす。」
「お疲れ様〜! あれ、今日は防衛任務だったんでしょ? なんかバッチバチの戦いしてたって聞いたけど」
「まぁそんな感じですね疲れましたよ。それでそっちは探索班でしたっけ?」
「うん。明日もその予定。今日のは軽めだったけど、そっちはマジ戦場だったって聞いたから来てみたの。あ、もしかして今シャワー後?」
「いや、まだ。汚ねえ状態のまま喋ってるだけだけど……なんで?」
サラがにやにやしながら俺の首元をじっと見た。
「いや、首筋赤いなーって思って。もしかして、戦闘じゃなくて――ほら、別の“汗かくイベント”でもあったのかなって」
「どこでそんな電波拾ってんだお前は。こっちは虫と戦ってたんだぞ。ヤラタサソリの脚に顔面こすられたわ」
「そっちはそっちで想像したくないな……。でも、ちょっと羨ましいかも? 私も誰かと絡み合うくらいの熱い戦いしてみたいよね~エレナ?」
「サラ。言っていい冗談と悪い冗談あるわよ。ハンターが集まる仮設基地で発情しないで」
俺は二人のやりとりに半笑いで肩をすくめた。
「でさーアキラ見て見てー、エレナの新しい強化服!どう?感想聞かせて!」
エレナが着ているのは、ぴったりと体に密着する強化服。その上に軽くジャケットを羽織ってはいるが、ラインは誤魔化せない。特にエレナの胸元はジャケット越しでも存在感を主張していた。
「エロいっすね、痴女ですか?ひょっとしてエレナさんも発情してます?」
エレナが吹き出し、サラはどや顔でエレナをぐるりと一回転してみせる。
「やっぱそう思う? でもね、これ、普通に高いんだから」
「へーいくらぐらいです?」
「3千万オーラムくらいね。もちろん一括よ、エレナは情報収集機と連動した探索やサーチも使える高いやつを選んだからね」
「……そりゃ高性能ですね。銃弾も視線も弾き返しそうだ」
ひとしきり笑い合ったあと、エレナがふと真面目な顔で唐突に切り出した。
「いやさ、ちょうどいいと思ってね。明日の探索任務、アキラがよかったら一緒に来ない?」
「俺が? 探索班?」
「そ、もう一人、うちのチームに『シカラベ』ってハンターがいるんだけどさ。あいつ、追加で入ってくる予定だった人と相性が最悪でね、結局断ったのよ」
「で、その分は自分が倍働くって言ってるんだけど……まあ、バランス崩れるでしょ? それで補充探してて、アキラ、ちょうどいいんじゃない?って」
俺は腕を組んで、しばらく考える。
正直、探索ってのはあまり得意じゃない。戦闘や地形の記憶には自信があるが、情報の読み取りや分析は、俺の専門外だ。アルファのサポートがなければ、ミスも増えるだろう。
「悪いけど……情報収集系って、自信ねえんだ。できないこともないけど、多分他のやつのほうがマシだと思う」
「そうかなあ? あんた、ソロでやってきたんでしょ? その時点で必要なことは一通りこなせてるってことじゃないの?」
「いざってときは私たちがフォローするし。安心して!」
「……」
俺は念話でアルファに相談を投げた。
『どう思う? 探索任務?』
『情報処理単体なら平均以上。ただし、他者連携が入ると自信が揺らぐ傾向がある。でも、それは技術じゃなくて性格の問題ね。やるべきかどうかは――あなた次第』
いつも通りの、ドライで正確な分析だった。
一旦、深呼吸してから二人に向き直る。
「……考えさせてくれ。行くなら、一応相談しときたい奴がいる」
「ん? あー、あのシェリルちゃんね?」
「……そう。まぁ、そういうことだ」
エレナとサラは顔を見合わせて小さく頷く。
「了解。無理にとは言わないけど、期待はしてるわよ」
「うん、明日の朝までに返事くれたら大丈夫~」
二人が手を振って去っていくのを見送った後、俺は徒党のメンバーが揃っている待機場所に合流し、指揮をしているシェリルに声を掛ける。
「アキラ?どうかしましたか?」
「ちょっといいか。……実はエレナさんとサラさんに明日の任務、誘われてさ。」
「……ふむ」
シェリルは少し考えてから、微笑んで言った。
「まぁ行っても大丈夫だと思います。こっちはこっちで、なんとかします。アキラの好きなようにしてください」
「そうか。……助かる」
「ただし、くれぐれも――」
「わかってる。“他の女に手を出すな”ってやつだろ」
「……ええ。そうです。」
シェリルにが俺に一歩近づき耳元で囁く。
「他の人に目移りしちゃうと、嫉妬するわ。ふふっ、あと、応援してるわ私のアキラ」
その一言に、心のどこかが少しだけ軽くなった気がした。同時に勝てないなぁともつくづく思った。
その後エレナに連絡を取ると、彼女はにっこりと笑って言った。
「来てくれるってことでいいのね?」
「おう。よろしく頼む」
「じゃあ、職員には話つけとくから。明日、よろしくね」
そうして俺は――探索班として、次の任務へ向かうことになった。
読了感謝です。
チー付与好きなんでなんとなくセリフを入れて見たのですが難しいですね。
さて原作通りレイナ覚醒です。これで憧れのカツヤに一歩近づけたね!!
これでみんなハッピーになるッピ!
なお、ぬきたしはバキ童さんのYouTube見てるだけの知識しかないです。これを機に買おうかと悩んだんですが7000円くらいと結構お高いんですね。あと3000円出したらウィニングポスト買えますよ。