Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝、なのです。
また投稿するのに日が暮れた…今回も1万字超えそうだったので分割投稿です。具体的にWeb版と同じ感じに切ってます。

普通に日本橋のメロンブックでコミケカタログ買ったり、同人誌買ったり、着せ替え人形の最終巻買って、飯食って遊んでました、すいません


アキラ―ジュ akira-age

 

 

 翌日の朝、アキラは前日と同じく仮設基地の作業エリアへと足を運んでいた。冷えた朝風の中、吐く息が白く煙る。今日もいい天気だ。荒野の空は、皮肉なほど晴れ渡っていた。

 

 エリオたちも、最近では随分稼げるようになってきたと、シェリルから昨夜聞かされた。徒党としての戦力強化も進み、アリシアたちの支援もあり順調らしい。

 

(あいつらも頑張ってんだし、俺も手を抜けねぇな)

 

 そんなことを思いながら、アキラは昨日詰め替えたばかりの弾薬ポーチの重さを確かめるように腰に手をやった。

 

 そういえば──と、アキラは思い出す。昨晩シェリルが、小さな笑みを浮かべながら報告してきた。

 

「アキラの弾薬代、仮設基地での業務分については都市側が持ってくれることになりました」

 

 その交渉には、例の旧世界研究所跡地の情報が使われたらしい。アルファからも、情報の扱いには注意しろと忠告されていたが──旧領域接続者バレのリスクさえ避ければ、そこまでの機密ではない。シェリルもそれを理解していたからこそ、躊躇なく交渉カードに使ったのだろう。

 

 見返りには弾薬費の保証以外にもいくつか契約があったらしいが、シェリルは口止めされているとのことで多くを語らなかった。

 

「秘密です。ただアキラには損はさせませんし、幅広い解釈ができる一種の保険をキバヤシ様と契約しました」

 

 そう微笑んだシェリルの顔が妙に頼もしく見えたのが印象に残っていた。

 

(まぁ交渉ごとは任せてるしな。俺は俺の役割を果たすだけだ)

 

 そう腹を括ったアキラは、その足で武器商人のもとを訪れ、好きなだけ弾薬や爆発物を買い込んだ。CWHの大口径弾、A2DのAP・HP弾、カスタムグレネード、C4に手榴弾──完璧だ。

 

 気分はまさに、**レッツ爆裂ライフ**。

 

 受付所に顔を出すと、昨日と同じ兄ちゃんがいた。エレナから指名を受けていると伝えると、またもや微妙な顔をされたが、ハンターサイトの証拠や昨日の戦闘ログで納得させると、ようやく指示をくれた。

 

「19番防衛地点で、9番チームと合流しろ。……って、お前もしかして、キバヤシの犠牲者か?」

 

 アキラは少し遠い目をしながら、短く返す。

 

「残念なことにな……」

 

 別れ際、受付の兄ちゃんが同情の眼差しを向けてきた。アキラは心の中で毒づいた。

 

(同情するなら金をくれ)

 

 

 

 * * * 

 

 

 

 19番防衛地点は地下街の大広間に設置された臨時拠点だった。周囲の未調査区画の制圧と情報収集を目的とした基地らしく、探索班と討伐班の両方がひっきりなしに出入りしている。

 

 アキラは都市職員に声をかけ、エレナたちが探索中であることを確認した上で、広場の一角で腰を下ろす。連絡端末を開いて、エレナとサラに自分の到着を知らせた。

 

 それから数十分後。

 

 軽い足音とともに、馴染みある女性の声が響いた。

 

「アキラ!」

 

 顔を上げれば、探索服姿のエレナとサラがこちらへ歩いてくる。二人とも薄く汗を浮かべ、ついさっきまで本当に活動していたらしい雰囲気をまとっていた。

 

「あ、おはようございますエレナさん」

 

「おはようアキラ、来てくれて嬉しいわ。それと調子はどう?」

 

 気安い雰囲気に乗せて、アキラは軽口を叩く。

 

「今日もエレナさんとサラさん、エロいですね」

 

 横にいたサラが吹き出しそうになるのをこらえ、エレナは半眼で睨む。

 

「うん、絶好調で何よりね。それとあまり調子に乗りすぎると、シェリルちゃんに告げ口するわよ?」

 

「はははは。マジでやめてください。俺が悪かったです。それだけは何卒…」

 

 場が和やかに笑いに包まれる中、後ろから低い声がかかった。

 

「エレナ、こいつが補充で来たやつか?」

 

 現れたのはドランカム所属のハンター、シカラベ。鋭い目つきと逞しい体躯がいかにも歴戦の男という印象を与える。

 

「ええ、そうよ。実力はカツヤと同じくらいの有望株よ」

 

「まぁそうだろうな」

 

 シカラベはアキラの顔を見ながら小さくうなずいた。以前の都市巡回任務で見かけた少年が、今こうして自分の前にいる──その成長を素直に評価する気持ちが芽生える。

 

 その視線を受けながら、アキラは軽く頭を下げた。

 

「どうも、ドランカムのシカラベさんですね。以前は挨拶できず申し訳ありません。私はアキラと申します。若輩の身ではありますが、とある中規模の徒党の筆頭ハンターとして活動しています。今回、友人のエレナさんの紹介で臨時加入となりました。何かとご迷惑をおかけするかもしれませんが、精一杯頑張りますのでよろしくお願いいたします」

 

「お、おう……よろしくな」

 

 シカラベは一瞬、反応に詰まった。年端もいかない子供から、社会人顔負けの丁寧な挨拶を受けたことなど記憶にない。妙な威圧感と、計算された振る舞いに、内心では軽くビビっていた。

 

 そんなやり取りを横で見ていたエレナとサラは目を丸くしていた。

 

(え、アキラってあんな挨拶できるの!?)

 

 彼女たちの脳内で、アキラの評価に「社交性:A?」という新しいタグが付け加えられた瞬間だった。

 

 

 

「で、カツヤ並みに働けると聞いたが、実際どうなんだ?」

シカラベが半ば挑発するように尋ねてくる。

 

「カツヤの戦いは見たことないんで何とも。でも、少なくともエレナさんたちが期待してる分は働くつもりですよ」

 

 アキラは軽く笑って返す。 

 

「ただ、普段は基本ソロでやってるんで、チーム連携は正直未熟です。指示してくれるブレーンがいれば話は別ですが」

 

 もっとも今のアキラには“アルファ”という頼れるAIがついている。誰かの指示に従うスタイルには、むしろ慣れているのだ。

 

「安心しろ、索敵は足りてる。こっちが欲しいのは火力だ」

 

「それならお任せを。サソリを爆弾で汚い花火にするのは得意なんで」

 

 なんだそれ、とシカラベが吹き出す。だが、内心では観察を続けていた。

 

 スラム出身とは思えない教養と態度。その言動は中位区画の人間に近い。時折耳にする「捨てられた落とし子」の噂が脳裏をよぎるが、勘がそれを否定する。掴みきれない何かを持っている、それがこの少年だ。

 

 と、向こうから見慣れた一団がやってくる。

 

 カツヤだった。そしてカツヤとシカラベが言い争いを始めた。

 

「アンタの指示に従う義理はない!エレナさんたちにどんだけ迷惑かけてるか分かってるのか!?」

 

 いきなり怒鳴りつけるカツヤに、シカラベも表情を曇らせる。

 

「お前らをチームに入れることの方がよっぽど迷惑だ。失せろ」

 

 目を合わせた瞬間、殺気がぶつかり合う。

 

 

 

 そんな中、アキラはエレナたちと平和に雑談していた。

 

「……実は、最初はカツヤたちと行く予定だったの」

と、サラが打ち明ける。

 

「なるほど、相性最悪ですね」

 

「そうなのよ。ずっと言い争ってて、最悪三人で探索しようって話になったの。指示も全然聞いてくれないし」

 

「交渉も難航したわ。結局、シカラベが全面的に対処する形になって、こっちと組まないことにしたの」

 

「めんどくさいっすね。やっぱソロ最高です、そして中間管理職のエレナさんに黙祷を」

「勝手に殺さないでくれるかしら?」

 

 

 

 

 冗談を交わすアキラたちをよそに、カツヤとシカラベの衝突は続いていた。

 

「このまま三人で探索するつもりなのか、あんたは!」

 

「ああ、それに関しては心配無用だ。お前の代わりはもう用意してある。──来い、アキラ!」

 

 いきなり名を呼ばれ、アキラは目を瞬いた。完全に蚊帳の外だったはずの話題に、まさかの参戦を強いられる。

 

「……は?」

 

 カツヤたちはアキラの存在には気づいていたが、まさか追加要員とは思っていなかったらしい。

 

「なんで補充がアキラなんだよ!ドランカム所属じゃないだろ!」

 

「エレナとサラだってドランカムじゃないぞ?それにわざわざエレナが確保した人員だ。ありがたいことに、お前らの代わりにな」

 

 シカラベの皮肉に、カツヤは怒りを爆発させる。

 

「おいアキラ!なんか言えよ!」

 

「今日は晴れですね。晴れといえば僕の誕生日は来月だけど君はお肉が好き?」

 

「支離滅裂なこと言うな!まともに答えろ!」

 

 場の空気をぶち壊すアキラの返しに、さらに混乱するカツヤ。その騒ぎを、エレナがきっぱりと断ち切った。

 

「……時間よ、行くわよ、シカラベ」

 

「ああ、了解だ」

 

「じゃあなカツヤ。まぁなんだ、仕事だし後発注もニアミスもあるし…落ち込むなよ?」

 

 探索チームがその場を後にしようとした時、少し離れた場所からシオリの声が漏れた。

 

「……ねぇシオリ?私ってあんな感じだった?」

 

「失礼ながら、アレより酷かったですよ」

 

「マジかぁ……」

 

「お嬢様、汚い口調はお控えください。アキラ様の口調が移っています」

 

 

 

 

 

 

 

 

 エレナ率いる探索チームは、地下街の未調査区域を進んでいた。第9探索チームの任務はマップの構築。調査機器を使い、構造をざっくり把握し、後続部隊が使える最低限の情報を持ち帰るのが目的だ。

 

 当然ながら未知の区域だ。モンスターの種類も数も不明。しかも地下街は迷路のように入り組み、照明もない。モンスターの縄張りを覗き込むような任務である。

 

 一行はエレナを中心に、シカラベが先頭、サラが左翼、アキラが右翼という隊列で進行していた。簡易照明を点けてはいたが、光量は足りず、少し離れれば闇に沈む。

 

 アキラは早々にアルファのサポートを受けつつ、自分でも索敵を行っていた。情報収集機の使い方や改造、そして何より“勘”──それまでの経験と直感を頼りに進む。考えるのが苦手なぶん、言語化しない感覚で組み立てる即興のパズル。それが彼にとっての索敵だった。

 

---

 

「しかしシカラベさん。だいぶカツヤのこと嫌ってるんですね」

 

「まぁな。あいつの実力は認めるが、それ以外がダメだ。殺したくなる。アキラ、今右の状況は?」

 

「特に問題ないですね。サソリいますけど、距離あるんで無視でいいかと。てか、殺意抱くほど嫌いなんですね」

 

「なんだ、お前もカツヤのシンパか?さっき仲良さげに話してたが」

 

「まさか。他徒党のシンパなんてないでしょ。ただの友人ですよ」

 

「友人ねぇ…じゃあお友達が俺にボロクソ言われてても、怒らないのか?」

 

 アキラはきょとんとした顔でシカラベを見た。

 

「それ、仕事に関係あります?」

 

「ぷっ、がははははは! そうか! 関係ないと! 違いねぇな! 俺は割り切れんがな!!」

 

「友人だからって全肯定する気はないですよ。それこそシンパでしょ」

 

 エレナたちはそのやり取りを横で聞きながら、アキラの索敵精度に密かに舌を巻いていた。火力要員のはずが、エレナに迫る情報収集能力を見せている。ソロで生き残るのは運か実力か──アキラは明らかに後者だった。

 

(……いや、正確にはアルファの支援込みなのだが。今さら言うまでもない)

 

---

 

 シカラベが笑いながら口を開く。

 

「火力要員として加えたのに索敵も優秀、煩くないし、指示は聞くし、礼儀もわきまえてる。大当たりの人材を隠し持ってたんだな、エレナ?」

 

「ありがとう。そのお礼は成果で返してもらうわ」

 

 エレナはむすっとしつつも、内心では驚いていた。シェリルから聞いていた“アキラ自慢”は、惚れた女の誇張話だと高をくくっていたのだ。

 

「ほんと助かった。カツヤ班入れると絶対揉める。指示は聞かないし、仲間割れで壊滅ルート一直線だ」

 

(まぁ、恋は盲目だしなぁ)

 アキラは他人事のように思っていた。

 

---

 

 探索は順調だった。地下街は元々複雑な上に、落盤や封鎖でさらに迷路化している。時折モンスターと遭遇したが、数が少なく、苦戦する場面はなかった。ほとんどはシカラベが処理し、数が多い時は全員で殲滅した。

 

 当然ながら、先頭のシカラベの消耗は激しい。

 

「サラ。そろそろ先頭交代して」

 

「分かったわ」

 

「まだ余裕ある。もう少し粘れる」

 

 シカラベが続行を申し出るが、エレナが制した。

 

「体力あっても弾薬は減ってるでしょう? 余裕があるうちに交代しましょ。負担を均等に」

 

「了解。……じゃあアキラを先頭にしてみるか?」

 

 予想外の提案に、エレナが眉をひそめた。

 

「アキラを?」

 

「いざという時に備えて、戦力を確認しておきたい。今のうちなら、もし何かあってもフォローできる。もちろん本人が嫌なら無理強いはしない」

 

 アキラもそれを聞いて頷く。

 

「俺は構いません。リーダー、判断を」

 

 エレナはアキラの顔を見つめた。怯えや迷いはない。むしろ前線に立つ気迫があった。だからこそ、彼の意志を尊重しつつ、慎重に判断する。

 

「分かったわ。アキラは先頭に。絶対に無理はしないこと。シカラベとサラは、私の指示を待たずアキラが危険と判断したら即援護。いい?」

 

「了解です、アキラいっきまーーす」

 

「分かったわ」

 

「了解だ」

 

 チームは隊列を組み直し、再び進み始めた。

 

---

 

 アキラは移動速度を変えず、前線を維持する。ただ、火力と索敵の両立は負担が大きいため、周囲の警戒は半分ほどアルファに任せていた。

 

『アキラ。通路の先にヤラタサソリが3体いるわ』

『了解』

 

 視界にピン止めされた敵影を確認し、アキラはそっと距離を詰めた。遠距離から狙撃できなくもないが、あまりに索敵精度が高すぎると、旧領域接続者バレのリスクもある。なので“常識的”な距離まで接近してから、銃を構える。

 

 A2D突撃銃から火線が走る。命中した弾は正確にサソリたちを撃ち抜いた。

 

 ──以前、通常弾が効きづらかった反省を踏まえ、今回は強装弾・AP弾・HP弾をしっかり用意している。弾薬費はキバヤシ持ち、つまりタダ。CWH突撃銃の出番がないのはありがたい。あれは取り回しが悪く、動きながら撃つスタイルのアキラにはやや不向きだったのだ。

 

(まぁ……俺は“オクタンで興奮剤キメてセンチネルで凸るタイプ”だしなぁ)

 

 そんなことを思いながら、アキラは次の角へと視線を向けた。

 

 

 

 エレナは索敵精度に驚きながらも、ある一点に疑問を抱いていた。

 

(あの距離のヤラタサソリを、あの情報収集機器で探知できるのかしら、それなりの値段だとは思うけど、少なくとも私のより高いとは思えない)

 

地上ならともかく、地下街のように探索を阻害する要因が多い場所で、あれほどの精度は通常では考えにくい。

 

(まさか……旧領域接続者だったり? いや、まさかね)

 

 疑念はあるが、証拠はない。

 

 サラもシカラベも、アキラの機器が高性能だと思っているだけだ。エレナが黙っていれば、何も問題は起きない。

 

 彼女は疑問を胸にしまい、探索に集中することにした。

 

 その後も、アキラを先頭に探索は順調だった。モンスターとの遭遇も多かったが、アキラが問題なく処理していく。

 

 闇に沈む旧世界の廃墟を進む一行。照らされた一瞬だけ、かつての栄光が姿を現す。

 

 そんな中、アキラが遺物が残る商店跡を発見。

 

「かなり遺物残ってますね。テイクアウトは可能ですか?」

 

 アキラが思わず唸ると、サラが苦笑して制した。

 

「気持ちは分かるけど、契約上これは都市のもの。我慢よ」

 

 サラは自分にも言い聞かせるように続ける。

 

「バレないだろうとか、弾薬に紛れさせようとか、考えちゃ駄目よ。ほんと、駄目なの」

 

 エレナも補足する。

 

「持ち出せば、大抵バレる。しかも、違約金で三回は人生詰むわよ?」

 

 アキラは素直に頷いた。「さすがにお縄に捕まりたくないのでやめときます」

 

 それを聞いてサラとエレナは安心する。

 

 シカラベが補足するように語る。

 

「俺たちの報酬は、都市がこうやって儲けることで出てる。だから割に合わないなら、自分でここまで来て探せって話だ」

 

 アキラは一瞬で『無理だな』と結論を出す。

 

 

 

 

 その時、シカラベが何かを思い出したようにつぶやいた。

 

「……そうか。そういう可能性もあるな」

 

 誤解される前に慌てて釈明する。

 

「違うぞ? 昔、おおぜいの子供が高値の遺物を持ち込んだって噂があってな。クズスハラ街遺跡の外周に未発掘領域があるって広まったことがある。知らんか?」

 

 それを聞いたアキラたちの表情が曇る。

 

 エレナたちはその噂に振り回され、死にかけた経験があったからだ。

そしてアキラは徒党の子供を連れて遺物を収集していた張本人だった。

 

「どうかしたか?」

 

「気にしないで。それで?」

 

 エレナの言葉に、シカラベは続ける。

 

「その子供が遺物を見つけたのが、もしかしてこの地下街じゃないかと思ってな」

 

「……他の出入口を探して遺物を持ち出す気はないわよ?」

 

「分かってる。ちょっとした疑問が解けただけだ」

 

「私達も、その噂に振り回されたハンターよ」

 

「悪かったな。アキラもか?」

 

「まぁそうですね。」

 

 サラは苦笑して言った。

 

「いろいろあったけど、最終的には良かった。私は行ってよかったと思ってる。今だから言えるけどね。エレナは?」

 

「……そうね。結果的には良かったかも。そう考えましょ」

 

「でしょ? あの後から運が上向いてる気がするのよね」

 

「言われてみれば……そうかもしれないわね」

 

 二人は助けられたあの時を思い出しながら、少し笑った。

 

 「なんだよ、結局骨折り損は俺だけかよ。あの時、ドランカムも訓練兼ねて遺物探しに行ったんだ。俺も引率させられてさ……馬鹿共が勝手に動き回って、後始末が地獄で……思い出したら腹立ってきた。もうこの話は終わりだ。進むぞ。苛立ちは全部モンスターにぶつけてやる。アキラ、交代だ。俺が前に出る」

 

 再びシカラベが先頭を取る。モンスターの襲撃は続き、そのたびに鬱憤を晴らすように戦った。

 

 探索中、アキラたちは何度もヤラタサソリと遭遇した。

 

 30体ほどの群れも余裕で撃破。誰一人傷を負っていないが、全員の表情は引き締まっていた。

 

「群れの規模が増してるな。巣が近いか?」

 

 エレナは判断を下す。

 

「一度戻りましょう。データも十分集まったし、時間的にも頃合いね」

 

 一行は防衛地点へ戻るべく、エレナの作ったマップを頼りに進み始めた。

 

 道中、エレナが急に立ち止まり、首をかしげる。

 

「……変ね」

 

「何かあったんですか?」

 

「通路が瓦礫で塞がれてる。来た時にはなかったはずよ」

 

 収集機が通路の塞がりを検知していた。エレナは土砂か瓦礫と判断。

 

「他のチームが爆発物でも使ったか? 一部が脆くなって崩れたかもな」

 

「エレナ、迂回路はあるのよね?」

 

「あるけど……もう3回目なのよ」

 

 一同の表情が険しくなる。

 

「地上で何か起きてるのかもな。生き埋めはごめんだ。体力があるうちに戻ろう」

 

「そうね。少し遠回りになるけど、落ち着いて戻りましょう」

 

 その時、アルファの声が響く。

 

『アキラ、最短ルートで帰る準備をしてエレナたちと帰りなさい』

 

『わかった。けど理由は?』

 

『壁に擬態しているヤラタサソリに囲まれ始めてる、気づくのが遅くなったけど今なら間にあうわ。急いで』

 

 アキラの顔が険しくなり、エレナに声をかける。

 

「エレナさん、ちょっといいですか」

 

「どうしたの?」

 

「前に、サソリが壁に擬態して獲物を待つって噂を聞いたんですけど…もしかするとソレか?と思って…」

 

 エレナは聞いたことのない話だったが、可能性は否定できなかった。

 

「わかった。もしそれがほんとなら囲まれる可能性が高いわね。よし急ぎましょう」

 

「はい」

 

「こっちよ!」

 

 エレナが先導し、アキラとサラが続き、最後尾にシカラベがつく。

 

 索敵を軽んじてでも急ぐ。奇襲リスクも承知の上で走った。

 

 最後尾のシカラベが不満げに叫ぶ。

 

「おい! どこまで下がる気だ!」

 

「後にして! リーダーの指示に従って!」

 

「……後で聞かせてもらうぞ!」

 

 そのまま一行は目的の通路に到着。既にアキラが先行していた。

 

『CWHに持ち替えて。今日も弾薬費に感謝ね』

 

『これ全部サソリか……そんな馬鹿な』

 

『事実は小説より奇なり、よ』

 

 アキラはA2DからCWHへ持ち替え、銃口を瓦礫へ向けた。

 

「アキラ、何をする気?」

 

「やっぱりあれは瓦礫じゃない! モンスターです!構えてください!!」

 

 引き金を引いた瞬間、砕け散ったのは肉塊──擬態していたヤラタサソリだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カツヤ「エレナさんたちに、置いてかれたorz」
ヒロインズ「「「私が来た!!」」」

読了感謝です。
相変わらず不遇な目を受けるカツヤにも黙とうを。まぁ原作よりマシだし許してクレメンス。
原作と違い、アキラは割と独力で探索できてます。とはいえエレナさんたちのスピードには間に合わないのでアルファサポートはあります。とはいえ原作より探索スピードは速いですし、勘となんとなくで生きてるアキラは割とこんな感じです。
原作より前からハンターとしてソロで活動して、情報収集機とか無意識の旧領域接続でかなり性能上がってます。が、アルファに依存してないので相変わらず原作ほどアルファのサポートを頼ってないし警戒してるので強敵相手で原作以上に激戦になります。アルファアドがないとそうなるよね。
そう思うともとからエイリアスのサポートなしでくっそ強かったカツヤが化け物なんですよね。さすが主人公。

なおアクタージュもかなり好きな作品でした。作者が捕まったので続きはないですが、ワンちゃん作者が出所後コミケで同人誌で売ってくれないかな。すでに執行猶予期間終えてんのに動きないからありえなさそうです。まぁ絵師の方が変わると作風もかなり変わるのでもはや別物になり駄作になる可能性がありますが。別人の夜凪景とか見たくない。

ちなみに演劇系の漫画や作品は割と好きだったので、スタァライトもそうなんですよね。ぶっちゃけ推しの子も好きですが、アクタージュの代替え品としか印象なかったです。
二次創作で星アキラ君に転生する Magical forestさんの「星アキラは自由に生きたいっ」とか面白いですよね。くっそぶっ飛んでて好きです。

同様に作者がお亡くなりになり続きが絶望的な作品多いですよね。ベルセルクとかドラゴンボールとか学園黙示録とかね。ところでブラックバレットどうなったんだ()
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