Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。それと誤字報告感謝です、一気に3話以上報告していただいた方がいらっしゃって助かりました。はい。
はいじゃないが

今回のネリアVsアキラ戦が1万字超えそうだったので分割しました。続きはこの後投下します。


ア。ーアキラの戦闘についてー

 

 

 

 いきなりだが、俺はご都合主義ってやつが嫌いだ。

 

 もちろん、創作物のスパイスとしてなら理解してる。

 物語をより良くするための演出、あるいはファンタジーとしての魅力。

 俺だって昔は、そんなアニメやマンガにどっぷりハマってた。

 気づけば主人公補正バリバリの作品ばかり観てたし、今さら何を、って話だ。

 

 でもな、現実はそうはいかない。

 

 フィクションとリアルを混同するなんて馬鹿げてるってのは分かってる。

 けど実際、願っても減税されねぇし、賃金も上がらねぇ。

「職場や学校に隕石でも落ちてくれねーかなー」なんて冗談を言っても、落ちない。

「明日仕事なのに寝れない! 寝なきゃヤバい! 寝たい!」って焦ったって、次の瞬間スヤァって寝れるご都合展開も来やしない。

 

 画面の中の嫁が出てくる? 憧れのVとお近づきになれる? 

 それも妄想でしかない。現実は思い通りに行かず輝かしい未来なんてないのだから、創作物が作り出す偽物の輝きに心を奪われるのだろう。

 そう、思い通りになるのはフィクションだけ、それが“ご都合主義”なのだから。

 

 そんな“ご都合主義”を毛嫌いしてた俺だけど──

 

 今回ばかりは、言わせてもらいたい。

 

 現在の天気は晴れ。ところにより、ミサイルの雨。

 俺はその中をバイクで必死にぶっ飛ばしてる。当たれば死ぬからな!! 

 

 ミサイルの雨? は? とか思った奴、マジで代わってほしい。てかマジでお願いします。

 

「お願いだから、ご都合主義かなんかで俺の生存フラグ、立ってくれませんかぁあああああ!!!!!」

 

 絶賛、神頼み中である。

 

 

 

 

 

 

 ──数十分前。

 あの女が現れるまでは、仮設基地の任務に向かうだけだったんだ。

 

 スラムからに仮設基地に向かう途中、そろそろ仮設基地に着くかなと思ってた。

 

 そしたら、前方の丘の上にでっけぇ金属の塊が見えたんだ。なんかアーマードコアみたいな機体だなと思っていた。

 眼を凝らす、というか情報収集機でズームすると、重装強化服であることがわかった。なぜここにいるんだろうか、今日の掃討は力入れてるんだなと思った。

 

 アルファの警告が入る前に、背筋に寒気が走った。

 

 ミサイルが飛んできたのは、その直後だった。

 

 正面にいたのは、重装強化服に身を包んだ女。

 あとでわかったが、名前はネリア。ヤジマの仲間らしい。

 横っちょから無遠慮にミサイル撃ちまくってたアホは、ケイン。

 こっちは全然知らねぇが、敵ってだけで十分だ。

 

 どうやらヤジマが死ぬ前に仕掛けてた「死後報復プログラム」ってやつが作動して、俺をターゲットに設定してたらしい。

 

 ……おいおい、死んだやつにまで恨まれるとか、割に合わなさすぎるだろ。死後強力な呪いとなって対象者を襲うとかどこの直哉だよ、人の心とかないんか? もしくはデーモンハンドか。

 

 で、今に至る。俺は今、ロックオンされながら爆発の雨の中をバイクで突っ走ってる。

 あかんしぬぅ!! 

 

 

 

 

 

 荒野の空は澄み渡っていた。雲ひとつない青空の下、アキラのバイクが唸りを上げながら爆走していた。

 だが、その上空には“死”が迫っていた。

 

『アキラ! 操縦変わるわ! とてつもないミサイルね!』

 

 アルファの警告が叩きつけられる。

 

「しつこい! なんでこんな狙われてんだ! 教えはどうなってんだよ教えは!!」

 

 アキラはハンドルを切り、バイクを傾けながら斜面へ滑り込む。背後で爆音が響き、地面が抉られ、爆風がバイクを浮かせかける。空からは次々と死神の槍が降ってくるようだった。

 

 直撃──寸前。

 

 アキラは咄嗟にブレーキをかけ、バイクを反転させてその身の盾とした。

 爆風が叩きつけられ、視界が真っ白に染まる。

 

 地面に叩きつけられながらも、アキラは受け身を取って気絶だけは免れた。

 ──だが、バイクは完全にスクラップになった。

 

「いざ職場(荒野)に隕石落ちたらはた迷惑でしかないな!!」

 

 呻きながら立ち上がる。荷物は無事だった。

 バックパックの中には対物突撃銃CWH、補助弾薬、小型EMP弾、そして自作のA2Dカスタムとショットガン。

 

 

 

 

『敵接近中。距離はおよそ三百メートル。重装強化服を着てるわ。それと……多分力場装甲(フォースフィールドアーマー )を搭載してるわね』

 

「……チート装備じゃねぇか、クソが。殺意高くないか?! 俺をヒト型モンスターとでも視認してたり?! 誠に遺憾だな!」

 

 アルファの分析が示したのは、重装強化服に搭載された“バリア”──力場装甲(フォースフィールドアーマー )。アキラも過去に都市の資料で目にしたことがある。

 

「確か……あのバリアって、完全防御じゃねぇよな。火力で押し切ればなんとかなるって聞いたけど……」

 

『正確には、エネルギー供給が限界に達すると力場装甲が剥がれるわ。とはいえ、CWH専用弾だけで装甲を無力化するには不十分でしょうね』

 

「畜生め!! 大っ嫌いだ! バーカ! (某総統閣下)」

 

 残弾数を確認する。専用弾はあと数発。どうあがいても撃ち切って終わりだ。一応対力場装甲弾 (アンチフォースフィールドアーマー弾)ってのは存在するが、一発数百万する弾丸だ。買えるわけがない。この弾実は力場装甲で防護した都市防衛隊へダメージを与えられる事から、1発500万オーラムと高価らしい。ちなみにハンターランクが50を超えたハンターには1発500オーラムで販売されるとも聞いたが正直頭おかしいんじゃねぇかと思う。弁当一食分で特殊な弾購入できるの頭悪くないか? 

 

 

『ただし、中の人間を相手取るなら、勝機はあるわ』

 

「……まぁ機動戦士も操縦者は人間だし直接叩けば勝てる……か?」

 

『ええ、まずはあの機体から降りてもらうために、狭いところに移動するわよアキラ』

 

「なるほど、建物内に誘い込むってことか」

 

 アキラは周囲を見渡し、瓦礫に埋もれた旧世界の廃ビルを確認する。

 崩落の危険があるが、狭所戦に持ち込めば装甲の利点は潰せる。

 

「やるしかないか」

 

 そう吐き捨てると、アキラはCWHの銃口を斜面の向こうに向けた。

 

 次の瞬間、スモーク弾が放たれ、視界が白く染まる。

 続いて、A2Dカスタムから撃ち出されるのは、グレネードとEMP弾の連射。

 

「……オラァ! こっちだよクソ重装!!」

 

 爆煙と電子ノイズに包まれたその瞬間、アキラは瓦礫の陰に身を滑り込ませる。

 

 

 

 

 ビルの空気は錆と埃の混ざった濁流のようで、まともに呼吸するだけで喉が焼けた。

 アキラは瓦礫の陰に身を潜めながら、銃口を構えていた。アキラが隠れながらビルの窓からCWHを打ち込み嫌がらせをしている。

 いくら攻撃しても死んでくれないターゲットにケインとネリアはいらだちと困惑を隠せなかった。

 

「……おい、あいつ、死んでなくねぇか?」

 

 苛立ちのこもったケインの声が通信に乗った。

 ミサイルの嵐で吹き飛ばしたはずの建物。だが、爆炎の中からも、まだ射撃は続いていた。

 

「普通、死ぬだろ。あれで……。おかしくね?」

 

『そうね。確かに、死ななすぎ。あの子、もしかすると──都市のエージェントかもね』

 

 ネリアの声は、どこか愉快そうだった。

 

『ケイン、聞いたことあるでしょ? クズスハラ街遺跡の旧世界マップ装置。

 建物内部までリアルタイムで見える、ってやつ』

 

「いやいや、あれって……都市の一部部隊がこっそり使ってるって噂の?」

 

『ええ。もしかしたら、あの子……その接続手段、持ってるんじゃない?』

 

 ケインの口調が一瞬止まった。

 その思考停止を見越してか、ネリアは笑いながら続けた。

 

『それで私達の攻撃が全部バレてるなら、納得いくでしょ? モグラ叩きでモグラの場所が事前に分かってたら……そりゃあ当たらないわよね』

 

「……ふざけんなよ……舐めやがって……! 野郎、ぶっ殺してやぁぁる!!」

 

 ケインが機体の外装を叩く音が通信越しに響いた。

 怒りで火がついたそのまま、全ての射出口から窓という窓へミサイルを撃ち込む。

 爆風と爆煙が広がり、廃ビルの一角が音を立てて崩れる。

 

 ネリアが呆れたように息を吐いた。

 

『……言ったでしょ、死体の原型残さないと認証が通らないって。死後報復依頼の起動条件、吹き飛ばしたら意味ないのよ』

 

「チッ……それでも死んでねぇなら、それはもうプログラムが壊れてるってことだろ! 少なくとも“やった感”は出したぞ!」

 

『もう……仕方ないわね。私が行って、ちゃんと見てくるわ』

 

「はあ? お前一人で?」

 

『そっちに任せたら、今度は建物ごと崩れそうで怖いのよ』

 

 通信が切れた直後、ネリアの重装強化服がゆっくりと開いた。

 中から現れたのは、肉感的な義体にボディスーツを纏ったネリアの本体。

 腰にはナイフと、柄だけの得体の知れない“刃物の鞘”のようなものが複数固定されている。

 

 ネリアは腰の端子コードを抜きながら、ちらりとケインの方を見た。

 

「ビルの中じゃ、あんたのドデカい銃は使えないでしょう? こっちはこれで十分」

 

「勝手にしろ。俺は外を見張ってる」

 

「それだけはよろしく頼むわね。……都市のエージェント相手なら、これぐらいはやり甲斐あるわ」

 

 薄く笑いながら、ネリアはビルの影へと消えていった。

 

 そして──地獄の二幕が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 ようやく片方の重装強化服から一人の女性が降り、建物に入ってきた。もう一体の重装強化服のヤツは外で警戒しているっぽい。

 

『アキラ、釣れたわ。ここからは実力勝負よ、準備はいい?』

 

「なんとでもなるはずだ、頑張るぞ……」

 

『ええ、きっと何とかなるって信じてるわ。しかも一人しか来てないから、うまくいけば各個撃破が可能ね』

 

「だといいが……あの重装強化服から考えても俺より装備も高性能だしなぁ。まぁやってやるさ』

 

 

 遠く、金属の靴音が床を叩く。

 それはさっきまでの轟音とは違い、鋭く、機敏で、殺意そのものだった。

 

 アキラはゆっくりと息を吐いた。

 狙撃ポイントを外し、通路の陰へ移動する。

 廊下の奥、スモークの向こうで熱源がひとつ、確実に近づいていた。

 

『位置補正、完了。ホログラムで表示中よ。もうすぐ視界内に現れるわ》

 

 視界の左端に、赤いマーカーが浮かぶ。アルファが補助する形で、ネリアの動きを予測する。

 

 ──そこで“光”が走った。

 

 ブォン、と唸るような音とともに、赤い閃光が廊下を焼いた。

 ナイフの刀身から放たれた青白い光が光の刃となり、ネリアの前方の空間をそこに存在する物質ごと両断した。

 ネリアが使用したナイフは旧世界の遺物。スターウォーズのライトセイバーみたいな代物だ。以前アキラも遺物探索で発見したことがある。

 

 ネリアが半径十数メートルの存在を切断した後、そのナイフは崩壊し塵となった。

 

『アキラも持ってるブレードね。使用制限はあるけど、当たれば、死ぬわね』

 

「見ればわかる!!」

 

 アキラはショットガンの銃口を向け、タイミングを計る。

 通路のコーナーから飛び込んでくる瞬間、グレネードを一発撃ち込む。

 

 ズガンッ、と爆音。

 破片が床をえぐり、鉄骨を砕く。

 

 だが──ネリアの姿は、いない。

 

「っち、かわしやがったか!」

 

 直後、背後で鉄が軋む音。

 反射的に振り返ると、光条がこちらへ突っ込んでくる。

 

「おらっ!!」

 

 咄嗟にCHWを振り回すように構え、ず。すんでのところで避ける。

 銃身でブレードを受け止めると銃が真っ二つにされてしまう。

 

 

 

 

『大丈夫!? 今の一撃、あと十センチで腕ごといかれてたわよ!』

 

「そう簡単にやられっかよ……!」

 

 アキラは後退しながらショットガンに持ち替え、至近距離で二連射。

 ネリアは身をひねって回避し、壁を蹴って反転する。

 

 床に転がった破片が跳ね、視界を乱す。

 その隙をついて、アキラは階段を滑り降りるようにして一階へ。

 

「ったく、動きキレッキレじゃねぇか……!」

 

『感覚的に言うと、アキラの約1.7倍の運動能力。でもまだ詰めれる範囲よ』

 

「当たらなければどうということはない! だから当たってくれよ!! 当たらなきゃ意味ねぇんだよ!」

 

 敵の気配はすぐ背後にある。

 でも、アキラの両腕はまだ動く。武器もある。選択肢も、まだある。

 

 逃げるだけじゃ終われない──その覚悟が、徐々に“死線”を濃くしていく。




読了感謝です。
力場装甲とかが出てくるくらいからどんどんSFじみてきますよねリビルドワールド

今回の話よりも次話の方が、書いてて楽しかったですし、この作品を書くにあたって入れたかったシーンがようやく書けたのが次話です。やっぱ書いてて楽しいな!!!仕事場で書いてたのに結局家帰って追加で書いてるわ!!!まだシージできてない!!

追記
チ。―地球の運動について―、は原作をかなり前に読んでいたこともありほぼ初見でアニメを見てました。高校生か大学生の時か、思想を抱いて次に託していくこの漫画はとても魅力的なものでした。信念と理不尽が交錯する話ってのは、リビルドワールドも、いやこの私たちが生きている世界や現実そのものと同じです。このように輝き、誰かの記憶に残ればいい、と思いながら私も文字を書いています。もちろん活版印刷ではありませんが。
あとサカナクションが好きなので、怪獣ずっと聞いてます。好きな曲は夜の踊り子とアルクアラウンド、怪獣とAoiとプラトーです。多分ほかにもあります。チケット外れたのでかなり残念でした。
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