Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

37 / 95
閲覧感謝です
バトルフィールド6のオープンベータやってたら時間溶けました。ひたすらAED持って走り回ってます。

さて、今週末はコミケです。楽しみだぁ


俺だけ入れる未発見遺跡

 

病院から出た二人は徒党で借りている車に乗り込む。

エンジン音の代わりに、静かな作動音が耳の奥で揺れた。徒党の子供が運転する車は都市外縁へ滑る

 

 

「それでアキラ、最終的に残ったお金は九千万で問題ないのね?」

「ああ。で、そのうち七千は装備に突っ込む。かなり注ぎ込むけど、命には変えられないからなぁ」

「ええ、そうね。とはいえアキラが稼いだお金なのだから、アキラが好きに使えばいいと思うけど…。ともあれ、今はカツラギさんとところへ向かいましょう。」

 

 アキラは頷いた。視界の端で、シェリルの横顔が一瞬だけ揺れる。安堵と、決意。どちらも今は必要だ。

 

 

 

 

――カツラギの店

 

 錆と油のにおいが濃い。プレハブの引き戸が開き、カツラギの腹と笑い声が同時に現れた。

 

「よう、稼ぎ頭。金の匂いがすんぞ」

「嗅ぎ回るな。商売だけしろ」

 

 軽口のあと、カツラギはクレートの山を手際よく割っていく。黒い外装の強化服が現れ、光を鈍く弾いた。

 

「注文のブツだ。外装は耐弾複合、関節は再整備済み。力場発生装置は防衛隊の廃材からオーバーホールした中古だ。それとスーツの予備バッテリー二本だ。ちょうど知り合いがか抱えてた在庫を格安で手に入れたんだぜ?さすが俺だ」

「流石流石、で重量は?」

「お前の前使ってたヤツの一〇%減だ。馬力や性能は使ってみればわかるぞ」

 

 アキラは手袋越しに肘関節を回し、反発の粘りを確かめた。問題なし。

 

「いいね。それと銃は?」

「CWH対物突撃銃、既に整備済みだ。A2Dはボルト周りを研磨、弾は通常×三〇箱と徹甲×五箱。それとA2Dをもう一丁、こっちはショットガンやグレネードランチャーとしても使えるモジュールを組み込んでる。前のショットガンよりもA2Dのほうが高火力だ」

「……ああ。助かる」

 

「で、この奥にある4輪荒野仕様の強化装甲付きの車がユニコーンーGtypeだ。旧式で中古だが整備済みだし、よく走る。前の使用者が戦死したから持ち主がいない状態だったらしい。こいつは自動操縦機能やカーナビとか情報収集機と連携させることもできる。」

「いい車だな、いつもいい仕事をする。」

 

それと回復剤や加速剤、ワイヤーガンも買っておいた。麻薬性鎮痛剤は病院かブラックマーケットに行って手に入れるしかない。そういえば病院で処方して貰えばよかった。

 

 クレートの蓋が最後の一枚を残すところで、カツラギが小箱を持ち上げた。

 

「それと頼まれてた現行品の端末。ハンター用の堅牢モデルだ。防水・防塵・耐衝撃、暗号化チップ内蔵。電池持ちは実働で二日。十万だ、買うか?」

「買う」

 

 箱を開ける。無骨な金属フレームにラバーのバンパー。電源を落としたまま、アキラは胸ポケットの位置を測る。収まりがいい。

 

『端末リンク準備完了。暗号鍵、こっちで生成する?』

『任せる』

 

 会計は簡潔だった。アキラは新しい端末代を即金で払い、装備分の大金は事前の送金で処理済み。カツラギは電子契約の控えを指で弾き、ニヤリとする。

 

「七千万の買い物は、いつ見ても気分がいいな」

「こんなバカみたいな買い物なんてしょっちゅうしたくねぇよ。金銭感覚狂うわ」

 

 荷積みは早い。強化服、弾薬、工具、予備パネル。シェリルがスプレッドシートを更新し、重量配分を口に出して読み上げる。最後に端末をアキラへ渡す。

 

 扉が閉まり、プレハブのにおいが背中に張り付いたまま、二人は店を出た。

 

 

 

 

 

 

 拠点の前で車が止まると、子供たちがわっと集まった。エリオ班が先に出て、荷台の固定を外す。

 

「帰ったぞ。荷物、丁寧に運べ。角、ぶつけるな」

「はーい!」

 

 吹き抜けの通路が、一時的に物流倉庫になる。スライド板、照明、クレート。シェリルが台車の列をさばき、アキラは最奥の作業机に強化服を広げた。

 

『生体パラメータ、安定。装備換装はいつでも』

「まずは点検だ」

 

 関節部を一つずつ開け、グリスとシール材を入れ替える。バッテリーのコネクタ形状、端子の磨耗、外装の嵌合精度。数字が問題ないことを指先の感触で二重に確認する。

 

 ひと息ついて、堅牢端末の封を切る。電源が灯り、初期画面に現行OSのロゴ。数手で余計な機能を削り、必要な暗号ツールだけを残す。

 

『専用回線、確立。拠点内ネットから分離済み。緊急時のショートメッセージは二語以下を推奨』

「了解。てきとーにハーメルン、pixivで行こうか。」

 

 アキラの端末には未発見遺跡のおおよそのマップや座標が表示されている。

 

「明日からまたハンターとして動くよ。とはいえ入院生活で動いてなかったし、新しい強化服のならし目的で荒野行ってくる。」

 

 シェリルが頷く。彼女は端末に予定表を叩き込み、アキラの横へ置いた。

 

「アキラはいつも通り行動してください、こっちのことはお気になさらず」

「ありがとう。いやほんとにいつもありがとうございます」

 

 夜気が窓の隙間から入り、油と金属の匂いを少し薄めた。

 アキラは強化服の胸部パネルを閉じ、ラッチの音を確かめる。新しい端末を胸ポケットに収め、短く言った。

「じゃあ、稼ぎにいってくる」

 

 シェリルは笑う。迷いのない、仕事前の顔で。

「いってらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

 

 夜更け。アキラの視界内に青白い地図が浮かぶ。旧世界のロゴと、リオンテイルズ社の支店候補地。アキラは携帯端末をケーブルでつなぎ、複数のマーカーを重ねていた。

 

『候補は二つね。二つとも当たりの可能性が高いわ。それと携帯端末や情報収集機とかいろいろ工夫してみたから、誤差は半径五百メートル以内に収束したわ』

 

「パーフェクトだアルファ」

 

 アルファのホログラムが瞬き、淡い円がじわりと拡がった。

 

『感謝の極みだわ。それで単独行動の理由は?』

 

「情報漏えいの確率を最小にする。見つけた瞬間に価値が決まる“金のなる木”だ。それにさっきもシェリルに伝えたけど強化服のならしとリハビリも兼ねているからな」

 

『正解よ、そして合理的ね。ただし、病み上がりだからあまり無理はしないようにね。最低限の安全策を。たとえば——』

「入退域の時刻を固定する。予定刻限まで帰投しなければ、シェリルに“回収依頼”を送る。位置は大雑把でいい比較的安全なとこでピックアップしてもらうさ」

 

『ええ、それで問題ないわ』

 

 アキラは頷き、地図の一角を指で弾く。

 

「無料有料どっちのマップでもそこはただの砂漠やビルが崩壊しているだけだ。そこに支店があるというなら上(空)か下(地下)だ。」

 

『でもそこには大きなビルはないわね』

 

「ということは大方地下に施設があると考えられるし、地下にあるなら出入口があると思う。最悪シャベルやオーガーでも使って穴を掘ってもいいが…まぁなるようになるだろ」

 

『ええ、その方針で問題ないと思うわ、それで装備はどうするの?』

 

「軽装寄りにする。強化服。CWH、A2Dのフルカスタムを一丁。弾は最小限で弾切れしたら走って逃げる。あとは大きめのバックパックか、もしかすると遺物が手に入るかもしれないしな」

 

 

 短い沈黙。アルファが少し声音を落とす。

 

『この件シェリルには……どう説明するの?』

 

「どうするもなにも、伝えれることは伝える。ぶっちゃけ行き当たりばったりなんだ、俺はそんな考えて行動できないしな」

 

『また心配させるわよ』

 

「…それはそう」

 

 アルファは、わずかに微笑んだように見えた。

 

『なら、さっさと遺跡と遺物を見つけて、売って稼ぎましょ』

 

「そのつもりだ」

 

 アキラは端末の画面を閉じ、装備をもう一度確認した。

 

 

 

 

 

 

 未明。空は濃い群青のまま、東だけがわずかに白い。拠点の裏口から出たアキラは、強化服の胸部ラッチを押し込み、バッテリー残量を確認した。100%。フィルター良好。関節音、異常なし。

 

『車両は問題なく動いているわ。私の自動操縦も問題なし。外部灯は消灯、内部計器のみ点灯。ルートは第三外周路から砂利道へ、いつでも行けるわ。』

 

「俺はいくよ。シェリル…ユニコーンG、出る!!」

 

 なおGNドライブではない。

静かな駆動音。車は影のように路地を抜け、都市のフェンスが後方へ流れた。アキラは視線を道に固定し、呼吸だけを整える。

 

『最初のチェックポイントまで十五分。予定刻限は“日出から八時間”で帰投。ズレたらアラートを送信するわ』

 

「了解」

 

 第三外周路を外れ、荒野の薄い砂煙に入る。ヘッドライトは点けない。星明かりと低照度センサー、そしてアルファのルートガイドだけで走る。

 

 小さな起伏で車体が一度浮き、着地の衝撃が座面を通じて脊柱に伝わる。嫌な音はしない。アキラは一度だけミラーを見る。誰もいない。尾行、なし。

 

『目的地まで、あと四十八キロね』

 

「いいペースだ」

 

 砂に刻まれるタイヤ痕はすぐ風で消える。地面の硬さが変わるたび、アルファが微調整を投げてくる。アキラは必要最低限だけ反応し、口を閉じたままだ。

 

 この静けさは長く続かない。見つけた瞬間から、時計が回り始める。彼はそれをよく知っていた。だから、今、ひとりで行く。

 

『次の分岐、左。砂利の層が薄い。音が出にくい』

 

「左ね、了解」

 

 ハンドルがわずかに切れ、車体の陰影が砂丘の陰へ滑り込む。東の空が少し明るくなった。アキラは短く息を吐き、独り言のように呟く。

 

「——さっさといこう、時間は有限だ」

 

 車列も、歓声も、まだない。音のない荒野に、ひとつの車だけが線を描いて消えていく。

 

 

 

 

 

 

 午前。砂丘の陰を縫って走っていた車が、低い丘の手前で止まった。崩れた外壁に押し込まれる形で、地下へ落りる階段。空気はぬるく。鼻の奥には埃の匂い。

 

『ついたわね。それでどうするの?』

「外周だけ齧って退く。それと索敵しつつ前進だ」

 

 A2Dに消音器を装着。サプレッサー用の減装弾をこめる。それとブレードが腰のホルスターにあることを確認。

 

階段を半分降りたところで一体、床の影がするりと動いた。節足の擦れる音。狙点、胸板の合わせ目。

 

 短く二発。カン、と乾いた反響。獣がのけぞり、壁に叩きつけられて沈む。続けて奥から二体目。足を止めずに斜めに退き、手すり越しに三連射。甲殻の接合が砕け、体液が飛ぶ。

 

『群れの反応はないから逸れモンスターね。駆け出しハンターが漁るには少し強すぎるわね。』

「モンスターがいて、遺物があるのがわかれば十分だ。ここに“ある”ってことだけ確認できりゃいい」

 

 

 

 危険遺跡の出入口から数百メートル。地上の通りに、旧世界のテナントが数十か所はそのままの形をとどめていた。手前の錆びたシャッターの歪みをこじ開けると、乾いた布とゴムの匂いが吹き出す。

 

「靴屋か……箱の中身もあるな」

 

 スニーカー、ワークブーツに革靴、あとなぜかクロックスみたいなサンダルがある。

スポーツシューズの側面には大きくMのロゴ…Newbalanceかな?

アキラは箱から靴を取り出し何足かを靴の紐で鞄に吊るすことにした。

 

『案外雑に扱うわね、売値が下がるわよ』

「靴とか服はセンスや流行りがあるからあんま売れないんだ。これは俺がオフの時に履くつもりだ。このMって書いてる靴とか親近感あっていいんだよ。」

『アキラがドMってこと?確かにシェリルの尻に敷かれてたりするものね』

「急に性癖の話するのやめてもらっていいか?違うからね?甘えたいだけだからね?」

 

実際アキラの前世でニューバランスをよく履いていたのでわりとこのデザインは好きだった。なおNIKEやPUMAは足が細い人が好むため、足の広かったアキラにはあまり履けなかったのは余談である。

 

 

 

 隣はドラッグストア。自動ドアは死んでいるが、枠は歪んでいない。テコでこじると、埃の層の向こうに白い棚が並ぶ。医薬棚の大半は変質しているが、密封パックの救急箱、滅菌ガーゼ、アルコール綿、浄水タブレット、日焼け止め、乾電池、LEDヘッドライト、ポータブル浄水器の替え芯が無事だ。

 

「とりあえず回復薬は持ち帰れるだけ持ち帰ろう。あとの医薬品は売る。」

 

 レジ周りの自動釣銭機とスキャナも分解して回収候補にマーク。重い機材は後日。今日は“見つけた証拠”と“軽い金”を積む日だ。クレート三箱分を車へ運び、荷締めを二重にかける。

 

『尾行、なし。音も出してないから気づかれてないはずよ』

「よし行くか」

 

 

 

 

――大規模遺跡

 

 

 正午過ぎ。

アルファが近くの瓦礫の下にある地面から埋もれた階段を発見した。

階段状のコンクリート、ガラスの骨組み。旧世界の駅ビル特有の形らしい。側道に回り、通路の扉を内側へ押し込む。

 

 息を殺して一段ずつ降りる。地下一階、古いテナントの看板が色褪せて並ぶ。地下二階、フードコートの座席が埃の彫像になっている。地下三階、薄暗い吹き抜け。地下四階、ホーム。券売機の残骸、退色した路線図、改札のフレーム。

 

『全域、不活化。モンスター反応ゼロ。空気は乾燥、埃っぽいのがアレだけど』

「ああ、当たりだ。とはいえアルファの通信が弱くなるのが難点だが」

 

 アキラはライトを広げ、足元にマーキングを打って歩く。バックヤードには在庫棚が残り、未開封の雑貨類が帯状に積まれている。店舗側にはPOS端末、ディスプレイ、什器金具。エレベーター機械室に駆動モーター、配電盤。どれも“静か”だ。邪魔が入らない。いくらでも取り放題だ。

 

『積み場にするなら、この吹き抜けがいい。上から下へ滑らせるスロープを仮設できるわ効率的に行きましょう』

「入口は側道のサービス通路。導線は一直線で閉じられる。……いいねぇ。しばらく金策には困りそうにない」

 

 ホーム端で、耳を澄ませる。水音はない。風の抜けも一定。モンスターの気配は、どこにもない。

 

 アキラは堅牢端末を胸ポケットから引き出し、起点を記録。“入口/積み場/導線”の三点を青でマーキングし、写真と簡易図面を添える。

 

 

 

 

「さて、小さい方の遺跡は未発見遺跡とはいえ、地下鉄街の方より旨みがない。」

 

 車に戻る途中、アキラは短い文章を下書きする。匿名プロファイル、暗号化スロット。添付はさっきの小規模危険遺跡の外観写真と、足跡の影だけ。

 

> 未発見遺跡確報/危険種確認/深入り非推奨

 

 送信はしない。が、必要な時に使える手札になる。囮にでも、金にもなる。

 

『遺跡は軽く回収しとく?』

「まぁ軽くな、とはいえ車いっぱいに積めたいところだ。 」

 

 ホーム横の売店から、未開封の携帯ライト、観光用の携帯バッテリー、カードリーダー、ディスプレイを選んで詰める。重量は控えめ、単価は高め。初動のセオリー。

 

また通路の角には大きな衣装が陳列されていた。これをシェリルが着ると似合いそうだと思いながら手を伸ばすと、アキラの手は固いナニカに阻まれる。

 

「陳列品か…裏から取ればいいか?」

その様子を見ていたアルファがクスクス笑う。

『アキラ?それは旧世界の広告ポスターよ。いかにもそこにあるように見せてるだけで実在しないから持って帰れないわよ』

 

「マジかよ…てかこんな広告のためにすげぇ技術を使ってるの、さすが旧世界だな…」

 

 

 

 

 地上に戻ると、午後の日差しが白かった。風が砂を撫で、タイヤ痕を消していく。

 

『帰投ルート、最短に切り替える?』

「ああ直帰だ。遺物もあるし、さっさと戻って売却だ」

 

 アクセルを踏む。静かな駆動音がのび、都市の方向へ細い線を引いた。

 あとは段取りと人手。速く、静かに、まとめて掘る。アキラは胸ポケットの端末を押さえ、短く言った。

 

「乗るしかない、このビッグウェーブに」

 

 

 

 

 

 

 




アキラ「ユニコーーーーーーン!!!!」

読了感謝です。

未発見の遺物を見つけた話でした。ゲームのしすぎと二次創作の読み過ぎでアニメが追えてない。今回まだよふかししか見れてないぞ!?着せ恋もぐらんぶるも観たいのに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。