Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
そして誤字報告めっちゃ感謝です。なぜこの誤字を私は気づかんかったのだろうかという誤字が多くて笑いました。
それと土日のコミケ2日間参加して、月曜日普通に熱中症のまま出勤して瀕死でした。OSワン飲んでギリ耐えでしたが…やっぱり熱中症なのに新幹線でアルコール飲むべきじゃなかったですね。最高に美味かったですしモーマンタイ。
さて、今回はデート編です。まぁ原作のアキラとシェリルで服を買いに行く回です。
それから三日間、アキラたちは順調に遺物収集に励んだ。初日は警戒を強めつつの手探り、二日目からは徒党の子供たち更に荷役として投入し、効率的に収穫量を伸ばす。
三日目には搬送ルートや荒野での警戒体制も固まり、日々の作業が安定してきた。回収した遺物は都市に持ち込み、カツラギを通して現金化。小銭ではあるが、連日の成果で徐々に懐も温まっていく。
またハンターオフィスにもそれ相応に納品しており、エレナやサラ、アルファの意見を聞いて、遺跡がバレない程度の量を納品している。
だが、アキラの表情は緩まなかった。
未発見の遺跡を独占できる時間は限られていると、誰よりも理解していたからだ。過去に未発見の遺跡が発見され、独占しようとしたハンターもいたらしいが、結局バレている。
それに腕の立つ情報屋が嗅ぎつければ、あっという間に他のハンターの耳へ広まる。そしてその情報からいずれ大手の徒党や企業が群がってくる──そうなる前に、稼げるだけ稼ぐしかない。アキラはそう考え、その意見に遺物収集に携わるメンバーも合意した。各自が得られる最大限の利益を求め続ける事にした。
遺跡収集を始めて四日目はあえて休養日とした。
各班が都市へ戻り、弾薬や燃料の補給、武器の修理、日用品の買い足しに奔走する。アキラも子供たちに小遣いを渡し、自由行動を許可。エリオ班は追加要員との交渉に動き、拠点ではシェリルが徒党の帳簿を整理していた。
そして──この日、アキラは久しぶりに気楽な時間を取ることにした。仮説基地の任務から今まで、ろくに休んでないのだ。
「たまには休もうぜ。都市に出て、買い物でもしよう」
そう言ってシェリルを誘い出した。
行き先は、クガマヤマ都市の中級区画にある衣服店。高級品とまではいかないが、スラム出身のシェリルにとっては十分に背伸びした買い物だ。店の周囲はカップルや家族連れで賑わい、休日らしい和やかな空気に満ちていた。
シェリルは最初こそ緊張していたが、次第に頬を染めて楽しそうにアキラの隣を歩いた。荒野の緊張感とは無縁の、穏やかで少し照れくさい時間。
だが、そんな二人の前に──偶然にも、別の三人組が現れることになる。
クガマヤマ都市の中級区画。ガラス張りの衣服店の前で、シェリルは少し緊張した顔をしていた。普段は比較的安価な服しか着ていない彼女にとって、並ぶマネキンの洋服はどれも眩しすぎる。
「……やっぱ、場違いじゃないかな」
小声で呟くシェリルに、アキラは肩をすくめた。
「気にすんな。今日は俺の金で好きなヤツ買ったらいいって。それに可愛い服着てるシェリルを見たいって気持ちもあるんだ」
「……うん」
シェリルの頬がわずかに緩む。二人は並んで店内へ足を踏み入れた。
店内は新作の服が飾られていることもあってか客で賑わっていた。
柔らかな照明、上品な音楽、試着室のカーテンの揺れる音。シェリルは一枚のワンピースを手に取り、鏡の前で合わせてみる。普段は徒党の運営で指揮を取ったり支配者として君臨する彼女も、今はただの年頃の少女だった。
「どう、似合う?」
「……ああ、普通に可愛いな。尊い」
「“普通に”って何よ」
シェリルが頬を膨らませ、アキラが苦笑する。
「ねぇ、せっかくだしアキラも私の服を選んでよ。その間に私試着してくるから」
「おっけ。ファッションセンス皆無だけど頑張るわ」
そうしてシェリルは店内の奥にある試着室に向かっていった。
そうして残されたアキラはシェリルに似合う服を探し出すのだった。
「やはりゴスロリや地雷系ファッションもいいが……清楚お嬢様系もいいな……」
ふと振り返ると、ちょうど入店してきた二人組と目が合った。
「……あれ?」
「アキラ?」
声をかけてきたのはユミナとアイリ。両手にはいくつかの服の袋、買い物の最中らしい。
「よぉ。奇遇だな」
「ほんとにね。まさかこんなところで会うなんて」ユミナが微笑む。
「ん、アキラも買い物? まさか、デートとか?」アイリがニヤついて肘でつついてくる。
「……まあ、そんなとこだ。愛する彼女のために服を買いに、な」
アキラは肩をすくめる。その自然な様子に、二人の目が丸くなった。
一方その頃──。
シェリルは、カーテンの前でアキラを待ちながら視線を巡らせていた。
そこへ、店内を歩いていた一人の少年が足を止める。
「やあ。……君、迷子? 良ければ一緒に探してあげようか? 」
声をかけてきたのはカツヤだった。強化服の上に軽装ジャケットを羽織る。まだ少年らしいあどけなさを残しながらも、堂々とした立ち居振る舞いをしている。
「えっと……あなたは?」
「ああ、ごめん、俺はカツヤって言います。一応ハンターをやってて、お嬢様みたいな子がいたからつい声をかけちゃって……ちなみに買い物中?」
「まぁ、そうです。はい」
「そうか。君には、そうだな……明るい色が似合うんじゃないかな」
何気ない一言だった。だが、イケメンに不意に褒められたシェリルは頬を赤くし、胸の奥で小さなざわめきを覚える。まるで頭の中をいじられるような不気味な感覚だった。
──その時。
「お待たせ、待った? シェリル……って、おい」
声と共に姿を現したのは、服を抱えたアキラ。そして隣にはユミナとアイリも一緒だ。
三人の視線が同時にカツヤとシェリルに注がれる。空気が一瞬で張り詰めた。
「……俺の彼女になんか用?」
アキラの低い声に、シェリルは顔を真っ赤にし、カツヤはわずかに目を丸くする。
「か、彼女……?」
ユミナとアイリも目を見開き、次の瞬間、揃って意味深に笑った。
衣服店の一角に、微妙な熱気と緊張が生まれた。
カツヤは瞬きし、状況を理解するのに一瞬かかった。そして、すぐに苦笑を浮かべ、軽く手を挙げる。
「……悪い。知らなかったんだ。ただ、待ってる子が綺麗だったから、つい声をかけただけで」
素直な謝罪に、シェリルはわずかに頬を染めながら目を伏せる。アキラは肩を振るわせキレかけていた。
「NTRは趣味じゃないんだ……」
だが、その背後から追撃が飛んできた。
「カツヤ!」
ユミナがきっぱりと言い放つ。
「デート中に他の女の子に色目使うなんて、どういう神経してるのよ!」
「ん! ん! 私たちと一緒に来てるんだから、見るのは私たちにするべき」アイリが腕を組んで眉を吊り上げる。
矢継ぎ早の叱責に、カツヤは両手を軽く上げて「降参だ」と笑うしかない。
その一方で、ユミナはふっとシェリルを見て、思わず口をついて出た。
「……まあ、確かにこんなお嬢様みたいな子に興味持つのは分かるけどね」
(……カツヤって、こういう雰囲気の子がタイプなのかしら?)
その言葉に、シェリルは少し驚いた顔をした後、すぐにアキラの腕にそっと寄り添う。
「……ごめんなさい。私も不用意に話しかけられちゃって」
「はぁ……俺も悪かった、ついカッとなった。だから気にすんな。……もうわかっただろ?」アキラは軽く肩を抱き寄せる。
その仕草を見たユミナとアイリは、互いに目を合わせて小さく笑った。
女子組がキャッキャと試着を楽しんでいる間、アキラとカツヤの二人は店の一角にある簡易カフェスペースで腰を下ろしていた。
カウンター席に並び、紙カップのコーヒーを手にする。
「……ふー。女連中の買い物ってのは、なんでああも長いんだろうな」
アキラがぼやくと、カツヤは苦笑すら見せずに黙ってカップを見つめていた。
その横顔は、どこか沈んで見えた。
「……どしたん?」
アキラが気軽な調子で口を開いた。
「話聞こか?」
なお、アキラはヤリチンではない。
「……いや、別に」
カツヤはすぐに否定する。だが、その声には妙な重さがあった。
「そうか。まぁ無理して聞こうとは思わん。所詮、俺は他人だからな」
アキラはあっさりと返す。だが、すぐに付け加えた。
「でもな、他人だからこそ、友人や好きな女には言えないことを相談できるもんだと思うぞ」
カツヤの眉がわずかに動く。だが、言葉は出てこない。
「……そう、だな。いや、でも」
アキラは笑い、コーヒーをひと口すすった。
「まぁ気が向いたら相談してくれ。流石に同年代のハンターがそんな顔してたら気になって、夜しか眠れん」
カツヤは思わず苦笑する。
「いや、夜寝れてるじゃないか」
「おう。そうやって笑っとけ」
アキラは軽く拳でカツヤの肩を小突いた。
「気分が落ち込んだら、一旦馬鹿みたいに笑ってみろ。多少マシになるからな」
その軽口に、カツヤは少しだけ息を吐き、ようやくコーヒーを口にした。
店の奥、試着室の前。ラックに掛かったワンピースやジャケットを手に、ユミナとアイリは並んで品定めをしていた。
シェリルは二人の横で控えめに笑みを浮かべつつ、アキラが喜びそうな服や下着を見繕っていた。
「ねぇアイリ、このスカートどう思う? 可愛いかな?」
「……悪くない。似合うと思う。でも、カツヤはシンプルなのが好きそう」
「うっ……そ、そうだよね。カツヤって、あんまり派手なの好きじゃないし……」
ユミナはスカートを胸に当てながら、赤くなった頬を隠すように俯いた。
「……それに、ユミナが着れば、だいたいカツヤは喜ぶと思う」
「な、なにそれっ! アイリってそういうことさらっと言うからずるい!」
わちゃわちゃする二人を見ながら、シェリルはふと口を開いた。
「お二人とも、カツヤさんのこと好きなんですね」
「「っ──!?」」
声を揃えて振り向くユミナとアイリ。
ユミナは慌てて手を振る。
「ち、違うよ!? す、好きとかじゃなくて……! その、仲間として大事っていうか……」
「…………まぁ、私は好きだけど」
「アイリぃぃぃっ!?」
ユミナの顔がさらに真っ赤になり、試着室のカーテンに突っ伏す。
アイリは無表情のまま小さく肩をすくめた。
そんな二人に、シェリルは小首をかしげて、さらりと爆弾を投げる。
「それなら二人で襲えばいいんじゃないですか? これで恋人関係ですよ」
「「────っっ!!?」」
ユミナは両手で顔を覆ってしゃがみ込み、アイリは無言で耳まで赤くしながら目を逸らした。
「そ、そんなの無理だってば! わ、私はカツヤの奥さんに……いや、ちが、ちがう、まだ奥さんとかじゃないし!」
「……二人一緒なら、案外いけるかも」
「アイリまで何言ってんのーっ!!」
試着室前は、シェリルの爆弾発言によって、妙に熱のこもった空気で包まれていった。
買い物を終え、それぞれのグループと別れたアキラとシェリルは拠点へ帰還した。
夜の拠点。子供たちは寝静まり、外では夜風が鉄骨を鳴らしている。
アキラは机に腰掛け、携帯端末を睨んでいた。
「……シェリル、ちょっと来てくれ。メールが届いてる」
「誰からです?」
アキラは画面を横に向けて見せる。そこには、三通の推薦メールが並んでいた。送り主はカツラギ、エレナ、レイナ。
「……追加要員の連絡ですか」
「そう。カツラギが紹介したやつらと、エレナたちがシカラベを引っ張ってきた。それと、レイナ達からは……カツヤ一行」
シェリルが軽く目を見開く。
「カツヤさんたち……ですか」
アキラは溜息をつき、腕を組んだ。
「こいつらか……大丈夫か? 仲悪いし、揉めたりしない?」
シェリルは少し考えてから答える。
「まぁカツラギさんが選んだ人たちは、まず裏切りません。あの人は利益を最優先にするはずです。私はシカラベさんに会ったことはありませんが、エレナさん達の人選を信用するしかないですね」
「レイナ達の選択は……まぁ、あいつらの事情もあるしな」
「はい。シカラベさんとカツヤさん達は仲が悪い……んですよね? であれば別に一緒の班にせず別々に探索して貰えばいいですしね」
アキラは頷いたが、すぐに顔をしかめる。
「……ただ、気になるのはドランカムって事だ。今回誘ったやつでドランカムが四人いる」
「ええ」
「今回誘ってるのは、あくまで“ハンター個人”としてであって、“ドランカムの徒党”じゃない。だから徒党に情報をリークしたりは絶対にするなって伝えた方がいいな。なんなら契約でもさせるか?」
シェリルは真剣に頷いた。
「わかりました。向こうも義理や立場はあるでしょうけど、それを最初に釘さしておけば問題は減ると思います」
アキラは端末に返信を打ち込み始める。
「カツラギの雇ったやつらは、カツラギが計算して利益から四割徴収……。レイナが誘ったカツヤ一行は五割。エレナが誘ったシカラベは四割徴収。それと──“ドランカムに情報を流すな、個人としての参加に限る”って追記だな」
指先が送信を押す。軽い電子音が鳴り、交渉は成立した。
「よし、これで準備は整ったな」
「はい。明日から忙しくなりますね」
机に肘をついたアキラは、天井を見上げる。
「……ほんと、いつになればゆっくり休めるんだか」
「ふふ、せめて私の横ではゆっくりしててください」
二人の小さな笑い声が、静かな拠点に響いた。
アルファ『私の出番は?』
アキラ「そこになかったらないですね」
読了感謝です。
原作漫画のこの服薬デート回でのシェリル可愛い。好き。
それとアキラがカツヤと会う時にシェリルに誤魔化して!って相談して
「例のブツだ。確認してくれ」ゴトッ
だいぶ無理があるぞ原作アキラよ。そしてよく誤魔化したよシェリルちゃん。
さて原作より早くカツヤの限界が近づいてます。なにせ同じ同年代のアキラはまぁまぁ活躍してるのに「俺は…弱い!!」ってネガティブ思考してるので。実際カツヤの方がすごいし、隣の芝生は青いって言うからなぁ。
そしてカツヤの苦悩に気づく元社畜のアキラくんでした。原作だとシェリルが一旦慰めたりしますが、残念!今作はアキラ君でした!!
まぁ原作みたいにカツヤは赤裸々に喋りません。そりゃ同年代の男子ハンターにみっともない事を相談できないわな…もしアキラがアキラちゃんならカツヤは相談したかもしれません。
カツヤも女好きなんだな!(不名誉)
また原作と違いカツヤからのシェリルへの洗脳(同族化)は勝手に弾かれました。これも愛です。