Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。
先日、暇つぶしになんかハーメルンで面白いSSないかなーーーーって日間ランキングスクロールしてたら、22位にこの作品乗ってました。

日間ランキング乗ってるやんけ!!!!!?????

まじか!!ありがとうございます!ありがとうございます!まじで乗るなんて思ってませんでした!

ぶっちゃけマイナーなリビルドワールドでランキングとか乗らんだろうなー乗ったらいいなーーの気分でしたが。
ランキングに乗るとは聞いてない!うれしいけど!めっちゃうれしいけどさ!!

てか土曜で22位で、今日で112位だけど、これ多分結構前からランキングに乗ってたのでは?!(ボブは訝しんだ)



と、いうわけで。今までもこれからも読んでくれる皆様、応援してくれる皆様に今一度、感謝を伝えさせてください。
ありがとうございます!!

また、感想評価大変励みになります。今のところ全コメント返せてる気がするので引き続きドゥンドゥン送ってください!また誤字報告もありがとうございます!




さて前書きが長くなりましたが、改めて本編です。今回はキューバ戦です。お楽しみください。



私のヒーロー

徒党の拠点が荒らされたとの報せが飛び込んできたのは、アキラが買い物を終えて都市に戻ろうとしていたときだった。

 

『アキラさん! シェリルが……シェリルが攫われた!』

 

端末越しに飛び込んできたエリオの声は、焦りと恐怖で震えていた。

 

その瞬間、アキラの胸に冷水をぶっかけられたような感覚が走り、次の瞬間には頭の芯まで熱が駆け上がる。

 

 

 

視界が赤に染まり、全身から殺気が溢れ出す。

まるで空気そのものが重くなったかのように、周囲の人々が振り返り、距離を取った。

 

今すぐ走り出そうとした刹那、脳裏にアルファの鋭い声が突き刺さった。

 

 

 

『アキラ、落ち着きなさい! 無策で飛び出したら何も変わらないわ!』

 

「……五月蝿え、殺すぞ」

 

獣のように低い声で吐き捨てる。

その声音にアルファが一瞬息を呑んだのを、アキラは確かに感じ取った。

だが、続くエリオの声が、辛うじて彼の冷静さを繋ぎ止める。

 

 

 

『ごめん、アキラさん……拠点が襲撃されて、俺たちも応戦したんだけど、アイツら、強化服で……俺らの銃じゃあんま効かなくて。守れなかったんだっ』

 

「……そうか」

 

短い返答に込められた冷気に、エリオは息を呑んだ。だが必死に続ける。

 

『でも、アキラよりは弱かった、と思う。前にアキラをバカにして、強化服で殴られたときほど……殺されるって感覚はなかった!』

 

「こんな時にふざけやがって……なめてんのか」

 

『す、すまんアキラ……あっ、さん』

 

思わず付け足された「さん」という呼び方に、アキラはふっと笑ってしまった。

その瞬間、自分が子供に八つ当たりしていたことに気づき、胸の奥で少しだけ冷静さを取り戻す。

 

 

 

「……だが、ありがとうエリオ。冷静になれた」

 

『お、おう? よかったです?』

 

「エリオ、俺は今からシェリルを助けに行く。エリオはそっちを頼むからな」

 

『た、頼むって何を!』

 

「シェリルがいない間、みんなを──徒党を守ってくれ。

 シェリルが攫われた時のマニュアルなんか残してねぇし、俺はトップとしてろくな指示も出してない。……なんなら数人分の強化服ぐらい買えばよかったって後悔してる、自分の愚かさに…」

 

電話の向こうで、エリオは必死に息を呑んでアキラの言葉を待っている。

 

「だから、エリオ。お前はアリシアと一緒に、俺たちの徒党を守ってくれ。俺にはできないことを、二人ならできるはずだ」

 

『あ、ああ。わかった! やってみる!』

 

もう敬語はなくなっていたが、アキラはそれを気にしなかった。

 

 

 

「エリオ」

 

『……なんだ』

 

「頼んだからな」

 

『! おう! 任せとけ!』

 

アキラは深く息を吸い込み、拳を強く握る。

「ありがとう、エリオ。……おかげで頭が冷えた」

 

そう言い残し、通話を切ると同時に、彼は迷いなく愛用のバイクに跨った。

 

 

 

 

 

 

 

 

『よし、すまんアルファ。まじで冷静じゃなかった。そんでいつも通り、いやいつも以上に俺をサポートしてくれ』

 

『ええもちろん、ちなみにどれくらいサポートすれば良い?一応シェリルの居場所はアキラが過保護に渡した位置共有アプリでわかるわよ?』

 

『ああ、位置はわかってる。だからアルファは全力で俺をサポートしてくれ』

 

『…珍しいわね、アキラが全力の支援を求めるなんて。いつも私をあまり頼ってくれないのに。』

 

『不満か?』

 

『不満よ?そんなにシェリルが大事?私の依頼より?』

 

 

 

そこでアキラは一瞬迷う。

大事な選択だ。ここで間違えれば、全てが終わる。

嘘でも「アルファが一番だ」と言うのが大人の対応だろう。だが、それでは誠実さを欠く。

彼女たち二人に失礼だ。だから──真実を告げるしかない。

 

アキラは大人だった。だが今は子供でもあった。

 

いつだって大人の自分が理性を、子供の時分が本能を揺れ動かせる。

アキラは卑怯で自分本位だった。だから大人として子供として両方の側面を利用して生きることを、今決意した。

 

 

 

 

『大事だよどっちも。シェリルがなきゃ今の俺はこうやって人助けはしないし、アルファがいなきゃ今の俺はハンターとして活躍してないし』

 

『……その言葉に嘘偽りはないのね?』

 

『ああ。この言葉には、偽りはない』

 

 

大人になれない、アキラの強がりはアルファに届いたかわからない。

だが、逃げも隠れもせず、笑いたい自身の願いのために今はそれを貫くことに決めた。

 

 

 

 

 

『…ええいいわ。信じましょう。さて、全力でサポートして、シェリルを救って、アキラの好感度を稼ぎに行きましょうか』

 

『ハハハ、なんだそう露骨に打算を口に出すのか!正直で俺はそっちの方が好きだぞ!……さて、世界──シェリルを救いに行くか!』

 

アルファは静かに笑った。

(ああ、これが好きなのね……)

彼女は改めてアキラという人間について、さらに学んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃。

シェリルは、荒野を疾走する車両の後部座席に押し込まれていた。

頬は涙で濡れ、両手の指は無理やり折られ、骨が皮膚を押し上げるように赤黒く腫れあがっている。

 

「ひぃっ、痛い……やめて、お願い……!」

 

呻き声は誰にも届かない。

目の前ではキューバが嘲笑い、再びシェリルの指を握りしめ、折る。

 

「泣け泣け。お前の男が来るかどうか、見ものだなぁ。別に来る保証もねぇんだ!さっさと遺跡の場所を吐けやガキが!!」

 

シェリルは視界が滲む中、それでも心のどこかで願っていた。

──アキラ、助けて。痛いよ、怖いよ、だから……早く。

 

 

 

 

やがて、対向方向から唸るエンジン音が近づいてきた。

荒野を切り裂く一条の影。ヘッドライトをハイビームで灯した一台のバイクが車へ直進する。

 

「……なんだ?」

 

キューバが振り返った刹那、乾いた銃声が轟いた。

運転席に座るケニットの頭部が弾け飛び、ハンドルに突っ伏す。

 

「リスキルは、警戒しない奴が悪いんだぜ」

 

フルフェイスの影からアキラの声が響く。

 

次の瞬間、ハンドルを失った車は大きく蛇行し、後部ドアが軋んで開いた。

押し込まれていたシェリルの小柄な身体が、衝撃に耐えきれず外へ放り出される。

 

「──っシェリル!!」

 

アキラは全速力でバイクを走らせる。しかし落下地点までの距離は絶望的に遠い。

瞬時に判断したアキラはワイヤーガンを抜き、近くの岩盤に打ち込んだ。

 

ガンッ、と食い込んだワイヤーに体を預け、反動を利用してアキラ自身が弾丸のように飛び出す。

風を切り裂き、シェリルへと一直線に迫る。

 

「間に合ええええええ!!!」

 

落下する寸前、アキラは彼女をお姫様抱っこで受け止めた。今度は絶対に離さない。

 

 

 

 

 

「大丈夫か! シェリ──」

 

言いかけて、アキラの表情が固まった。

抱きしめたシェリルの両手の指が、不自然に折れ曲がっている。骨が潰されたように腫れあがり、赤黒い血が滲んでいた。

 

その瞬間、アキラの胸に燃え盛る炎が爆発した。

理性が吹き飛び、視界の隅々まで血の赤に染まる。

 

「……ッ、殺す。絶対に、皆殺しだ」

 

呻くような低音で呟く彼の眼は、もはや正気ではなかった。

震える腕に抱かれながら、シェリルはその表情を見て息を呑む。

 

「ア、アキラ……?ねぇ!アキラ落ち着いて!!」

 

 

 

 

怒りで我を失い、道を踏み外すような。シェリルがいままで観たことのないアキラの形相に震え上がる。だが、彼を縫い留めなければならない。

 

次の瞬間、彼女の手が頬を打った。

乾いた音が荒野に響き、アキラの頭がわずかに揺れる。そのあとシェリルは自身の折れた指の激痛に苦しみながらも、アキラの顔をつかみ自身の顔に近づけた。

 

「私をみなさい!!アキラ!!」

 

シェリルの涙に濡れた顔が近い。

痛みに震えながらも、その瞳は真っ直ぐアキラを見つめていた。

 

「冷静になりなさい!」

 

呆然と、アキラは頬に残る熱を指でなぞった。

ほんの一瞬前まで怒りに燃え上がっていた心臓が、波打つように静まっていく。

 

「……あ、あぁ……」

 

ぽかんとした顔で、アキラは自分の無茶苦茶さに気づかされる。

その瞳に映るのは、拷問に傷つけられながらも必死で自分を止めようとする勇敢で、自身が惚れ込んだシェリルの姿だった。

 

 

 

 

「……すまん、シェリル」

 

彼女の手を握ると、その指の不自然な角度と腫れが視界に飛び込んできた。

見た瞬間、また怒りが胸にこみ上げたが、今度は深く息を吐き、冷静に飲み込む。

 

「動かすな。……痛むだろうけど応急処置するな」

 

腰のポーチから取り出したのは細い布切れと金属片。

慣れた手つきで指に当て、簡易的に固定して包帯代わりに布で巻き上げていく。

ほんの一分ほどの作業、だが彼の表情は真剣そのものだった。

 

「これで……少しはマシだと思う。後は都市に戻って治療しよう」

 

「……うん、ありがとう。アキラ……」

 

涙で濡れた顔のまま、それでもシェリルは小さく笑った。

 

アキラはその頭を軽く撫でてから、そっとバイクのシートへ座らせた。

ハンドルは既に自動制御に切り替わっている。

 

「ここにいろ。こいつは俺が戦ってる間、勝手に動いて逃げてくれる。

 だから──安心して待っててくれ」

 

「……ええ。いってらっしゃい。気をつけて」

 

彼女の声を背に、アキラは振り返らず武器を握り直す。

荒野に再び銃声が轟き、彼は前を睨み据えた。

 

 

 

 

 

バイクの後方で待機させたシェリルの存在を背に感じながら、アキラは荒野に踏み出した。

 

砂塵の中、横転した車体の影から現れたのは二人。

 

フルフェイスのヘルメットを被り、分厚い潜水服のような装甲に身を包んだ巨漢。

その手には、高火力で有名なメーカーのミニガンが唸りを上げる。

ハンターの名前は──ベガリス。

 

そして、その横で薬物で瞳孔を開ききった痩せた男が、笑っていた。

キューバだ。

 

 

「来たなぁ、ガキィ! 大事な女取り返しに来たか? お前の女の叫び声は最高だったぜ!射精の100倍気持ちかったぜ!!ああ残念だ、お前にもあの鳴き声、聞かせてやって、お前の顔が歪むのを見るのが楽しみだったんだけどなぁあああああああ!」

 

アキラは無言で銃を構える。

ヘルメットの奥で、アルファの淡々とした声が響いた。

 

『正面、六十メートル。ミニガンの公式サイトからおおよその火力、最大射程距離、一度に連射できる弾は二千発超え。有効射程距離と射線に出ればもれなくお陀仏よ』

 

「上等だ……」

 

言うが早いか、砂を蹴って飛び出した。

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、荒野を薙ぎ払う弾幕。

鉛の雨が岩を砕き、爆風と粉塵が舞い上がる。

 

「ハッハァ! 虫ケラがァ!」

ベガリスが吠える。

 

アキラは転がり込みながらワイヤーを射出、岩に打ち込み身体を引き寄せる。

かすめる弾丸が頬を裂き、血が飛ぶ。

 

「……っと、危ねぇ」

 

『次の射線予測、右へ三歩!』

アルファの声に合わせ、アキラは身体を滑らせる。

耳元を弾丸が掠め、直後に岩が粉々に砕けた。

 

 

「テメェ、よく避けるじゃねえか! クソが!」

キューバが雄叫びを上げ、加速剤で異常に速く動く。

砂を蹴って突撃し、ナイフを振るう。

 

アキラは反射的にショットガンを引き抜き、至近距離で撃ち放った。

爆音、閃光、砂塵。

キューバは横に飛び退き、腕をかすめられながらも笑い声を上げる。

 

「ははは! 痛ぇ! でもよぉ、効かねぇなぁ!もっと痛ぇのを見せろよ! 女の指、折ったみたいになぁ!」

 

「……ぶっ殺すぞ」

 

アキラの眼が怒りで赤く染まる。が冷静にその怒りを飼い殺す。

 

 

次の瞬間、ベガリスに向け対物ライフルを構え直す。

ベガリスの装甲を狙い撃ち、炸裂弾が火花を散らした。

 

ゴンッ、と鈍い音。

強化服の外殻がへこみ、ベガリスの巨体がわずかに揺らぐ。

 

「効いてねぇなぁもっと火力を寄越しな!」

 

「嘘乙、効いてるだろ。少しずつ、な!!」

 

アキラは冷徹に呟き、弾を込め直す。

次弾、さらに次弾。狙いは一か所に集中。

硬い装甲の同一点を撃ち続け、徐々に貫通の兆しを作り出す。

 

『同じ場所に三発集中すれば通る。あと一撃』

アルファの冷静な声が響く。

 

 

「了解。──逝ってヨシッ!」

 

 

 

銃声。

対物弾が装甲を突き破り、背後へと血飛沫を噴かせた。

ベガリスの巨体がぐらりと揺れ、ミニガンが砂に落ちる。

 

だが次の瞬間、甲高い笑い声が荒野を切り裂いた。

 

「ははははっ! ベガリスがやられたァ!? あの鉄の塊をぶっ壊すガキがいるかよ!」

 

キューバは涎を垂らし、血走った目を見開いた。

薬物で異様に膨張した血管が、首筋からこめかみにまで浮き上がっている。

 

「いいぜぇ! 最高だよガキ! お前と殺し合えるなんてなァ!」

 

アキラは無言。

銃を構え、視界に入った瞬間に引き金を引いた。

 

 

 

 

 

──だが。

 

「遅ぇよ!」

 

キューバの身体が弾丸の軌道を擦り抜けた。

加速剤で神経を焼き切ったような反射速度、常人の視覚では追えない動き。

 

 

 

「ははっ、弾なんざ怖かねぇ! なぁガキ、俺たちみたいな人殺しはよぉ、痛みと血で会話すんだろ? ほら来いよ!」

 

ナイフが閃き、アキラの頬を裂いた。

熱い血が飛び散る。

 

「……クソが。」

 

アキラは即座にワイヤーガンを抜き放ち、逆手で射出。

キューバの腕へ絡みつかせ、引き寄せようとする。

 

「っと、そんな玩具で縛れるかよォ!」

 

薬物で異常に強化された筋力で、ワイヤーを無理やり千切ろうとするキューバ。

しかしその瞬間、アキラは引き寄せる動作をフェイントに、ショットガンを至近距離で撃ち込んだ。

 

 

轟音。

散弾がキューバの胸を抉り、鮮血が飛ぶ。

 

「ッッッっつぁぁぁ!! いいぞいいぞォ! 最高だ、痛ぇのが最高に気持ちいい!!遺物がたくさんだ!てめぇから、奪った!奪う!未発見の遺跡ィぃィぃィぃいイイイイイいいいイいい??!!!」

 

完全にハイってやつになっているキューバを見て、ようやくアキラはキューバの狙いが未発見の遺跡だということに気づいた。

キューバは呻きながらも笑い続ける。

その異常さに、アキラは眉をひそめた。

 

「くせぇ口閉じろよ……限界だ、ほんと」

 

「なにィ? ガキが調子こきやがってぇ!」

 

再び刃が振り下ろされる。

アキラは一歩退きながら対物ライフルを構え、冷徹に銃口を突き付ける。

 

「前戦った女ハンターの方が、まだマシだったぜ。

 お前と違って強くて、美人で──何より胸も尻も良い形をしてた」

 

「……ああ? テメェ、誰のこと言ってやがる!」

 

「ネリアの方が何倍も強ぇ。お前みたいな薄汚い雑魚じゃ相手にならねぇんだよ」

 

その瞬間、キューバの顔が憤怒で歪む。

次の刹那、アキラは引き金を引いた。

 

銃声が荒野を震わせ、対物弾がキューバの肩口を吹き飛ばす。

薬物で膨れ上がった肉体が痙攣し、地面に叩きつけられた。

 

「ごほっ、ごほっ……この、ガキが……!」

 

血を吐きながらも立ち上がろうとする。

しかし、アキラは冷たい目でその姿を見下ろした。

 

「黙れよ、クズ。

 俺の大事なもんに手ぇ出した。それだけで──万死に値する」

 

銃口を額に押し当て、引き金を絞る。

 

乾いた銃声が一度響き、静寂が戻った。

砂塵の中、ただアキラの息遣いだけが残る。

 

 

 

 

銃声の余韻が砂に吸い込まれ、荒野に静けさが戻った。

硝煙と血の臭いが漂う中、アキラは荒い呼吸を整え、銃を下ろした。

さっきまで猛獣のように敵を屠っていた眼が、徐々に人のそれへと戻っていく。

 

背後には、一台のバイク。

そのシートに、震える少女が座っていた。

 

「……アキラ……」

 

シェリルの掠れた声。

振り返ったアキラは、一瞬だけ無防備な笑みを浮かべ、ゆっくりと歩み寄る。

 

血に濡れた手で、それでも彼女へ差し伸べる仕草は、どこまでも優しかった。

 

「……ごめん、待った?」

 

ほんの軽口のように、それでいて深い愛情を含んだ言葉。

シェリルは呆気に取られたように瞬きをし──やがて、ぽろぽろと涙を零した。

 

「……ええ、とても」

 

震える声で笑い返す。

痛みに涙を滲ませながらも、その笑顔は確かにアキラだけを見ていた。

 

彼女は怯えた子供のように、しかし安堵した女のように、全てを預けるようにアキラの胸へと身を寄せる。

アキラはその小さな体をそっと抱き締め、頭を撫でた。

 

「もう大丈夫だ。……ここにいる」

 

その言葉に、シェリルは泣きながら頷いた。

折られた指の痛みも、恐怖も、すべてを忘れるように。

 

荒野にはふたりの鼓動だけが響いていた。

戦場の狂気から一転、ただ互いを求め合う静かな時間が流れていく。

 

 

(ええ、待ったわ。とても)

シェリルは場違いにも安堵の笑みと、愛しい人へ媚びるような、甘えるように微笑み返す。

 

 

そして自身を、あの工場の時も差し伸べてくれた手をもう一度取る。

 

 

 

 

 

いつだって私の事を助けてくれる、私の大切な愛しい私だけのヒーロー




アルファ『これは再計算が必要ね』



読了感謝です。
改めてランキングに乗るのうれしすぎるっぴ!案外読んでいただいてるもんなんですね。確かにここ最近感想と誤字報告増えてきてた気がするけど、まさかランキングに乗ってたからですかね?
実際僕自身、日間ランキングの上から面白そうな作品を読む人なので、そういうものなんですかね()


さて、ここまでの話で原作と違うとこですが

原作では追い込まれて仕方なく救出に行った感じですが、今作アキラは「絶対に救う」という意志で早い段階から突入を決意。そのため戦闘前の位置取りが違い、速度重視で車ではなくバイクで向かう。そのためアキラの車もバイクも無事

ミニガンはまだ持ってないので、現在装備のショットガン(榴弾)や対物ライフル、ワイヤーガン等活用。

初手で容赦なくヘッショでワンキル。慈悲はない。

原作ではアキラにいろんな意味で依存し成長しているシェリルと違い、限界を何度も超えていない少女のままのシェリルは痛みで泣き叫びます。

その一方で、冷静さを失ったアキラをビンタして立ち直らせる。つまり守られるだけのヒロインではなく、アキラを正気に戻す役割を果たす。原作のシズカ的立ち位置をさらに確保します。

加えてシェリルにバイクに乗ってもらい、絶対に逃がすようにすることも原作との相違点ですかね。

後は原作では折れたシェリルの指を無理やり戻してましたが、今作アキラの前世の経験上、無理やり戻すってのはありえないので、どう狂ってもそんな真似はしませんし、大事な人が怪我してたら軽く治療します。



ですかね、他にもありそうですけど。

ちなみにシェリルが攫われてアキラがガチギレシーンと、シェリルのビンタは構想当初から書きたかったシーンでもあります。書けてよかった。


ちなみにこれ以降少なくとも一回はシェリルちゃんアキラ関係で曇ります。すまんかった泣いてる顔も好きなんだよ。


さてあとがきも長くなりましたが()改めて今後もよろしくお願いします!

ではAPEXのランク行ってきます。



追記:アキラくんの前世の職業は設定されてます。暇なら当ててください。ちなみに私の仕事でもあります。
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