Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
遺跡探索は今回で終了になります。賞金首討伐はもうちょい先です。
それとマジでサブタイトルで紹介する作品が少なくなってきたので、違うネタを引っ張ってこようと思うんですが。アニソンの題名とかはサブタイトルで使っていいんですかね…そこんところ教えてクレメンス
さて、いつもお気に入り登録感想、誤字報告、評価付与感謝です。
自分の作品がランキングに乗るの最高です。このままモチベ維持していきたいんですけど、そろそろリアルの仕事が忙しくなりそうなのがネックです。最低でも週一は投稿しますけどね。
アキラはシェリルを抱え、病院へ駆け込んだ。
受付で事情を説明すると、すぐに外来対応が可能だと案内される。非常勤の医師が当直中らしい。
「腕が確かなら、それでいい」
アキラは迷わず了承した。
「お連れ様はハンター医療保険等にご加入されていますか?」
「いや、入ってない。自費で払う」
「かしこまりました。では初診ですのでこちらにサインを……失礼しました、以前に婦人科を受診されていますね。婦人科、ですか?」
一瞬、アキラとシェリルは同時に目を逸らした。
受付の女性は「まぁいいか」とそれ以上追及せず、待合室で待機するよう伝える。比較的すぐに診てもらえると聞き、二人は胸を撫で下ろした。
受付の人がカルテから処方薬のオーダーを確認すると予想通り避妊薬の記載があり察した。また勢いのままヤるのではなくちゃんとピルを使ってるあたり常識的だと思った。この世界の常識はアレであるが…
ついでにアキラのカルテを開いた瞬間、受付は背筋が冷えた。
尋常ではない数の麻薬系鎮痛剤、ギリギリ合法の加速剤の処方歴。そして何度も重傷での入院記録。しかも一部はID制限がかかっていて閲覧不能だったためブラウザバックした。
思った以上に関わると不味そうな地雷原のような子供である事がわかり冷や汗をかいたが、次の患者対応へ切り替えた。頭からアキラの存在を追い出すように。
やがて呼ばれ、アキラとシェリルは診察室へ入る。
そこにいたのは──ヤツバヤシと名乗る医者だった。
スラム近辺では有名な人物だ。腕は確かだが、治験と称してスラムの子供を被験者にし、その代金で治療費を相殺するため「無料で診てもらえる」と一部からはありがたがられている。
(タダほど怖いものはない……もっとも、スラムじゃ食い物の安全確認だってモルモット扱いの連中に押し付けられてるんだ。今さらか)
アキラはそう考えながら椅子に腰を下ろした。
「さて!ヤツバヤシ診療所のヤツバヤシだ!金さえありゃ治してやる!金がなくったって俺に協力してくれたら安くしてやる!俺は心優しい医者だ!安心しろ!」
「スラムじゃあんたは有名だよ。良くも悪くも、な。それにうちのヤツらもお世話になってると聞いてるし、とりあえず診てくれ。今回は金がある、治験は不要だ」
治験に参加してくれないと聞いたヤツバヤシはテンションを下げたが、仕事は仕事だと切り替えシェリルの手を見る。
「おーこらは綺麗に折れてるな、特殊なプレイでもしたのか?お勧めしないぞ?神経損傷や癖になっちまう。」
「そんな加虐趣味も被加虐趣味もねぇよ。敵対してたハンターに指をボキッとされたんだ」
「なるほどな。患部に巻いてる包帯やら保冷剤の応急処置も見事だな、これはお前がやったのか?」
「ああ、もちろん無理矢理元に戻すとかはしてないぞ」
「賢明な判断だ。ハンターとして成り上がるにはいろんな分野に精通すべきだと思うのが俺の持論だ。こういう医療技術や知識は大事にすべきだ。」
「それはどうも」
やがてヤツバヤシは診察を終えると、腕を組んで言った。
「あいにくだが、ここまで綺麗に折れてると整形外科に回した方がいい。だが名医連中は非番だったり不在だったりでなぁ」
「K2センセ…じゃなくてDrクラフトは?」
「不在だ。あの人は特に忙しい。他にも“Drくれは”は若さの秘訣とか言って早退、アマミヤ先生は推しの子のアイドルのライブで外出中、ブラックジャ◯ク先生も不在だ」
(急にクロスオーバー感出すなよ……)とアキラは心の中で突っ込んだ。
「まぁとにかくだ。保存的治療は無理だな」
「逆関節になってるし、まずは外科的治療からだろ」
「ああ。折れた骨を整形し、砕けた骨片を揃えて金属で固定、腱を縫合し血管を繋ぐ。一般的にはそうなる」
「だよなぁー、旧世界の技術擬きですぐ治るとかできないのか?」
「できるぞ。」
「できるんかい」
「だが高いぞ、色々込み込みで1000万オーラムだ、お前に払えるか?」
「ブラック○ャックみたいな事を言うなよ、余裕で払うさ」
アキラが即答すると、シェリルは一瞬ギョッとした。
だが、彼の手が優しく自分の手に重ねられているのを感じ、これほどまでに大切にされているのだと実感して胸が熱くなった。
その後、シェリルは治療室へと案内されていった。
さすがにオペ室へは同行できず、アキラは「三〜四時間後に迎えに来てほしい」と告げられる。
支払いを済ませた彼は、一度病院を後にした。。
その後アキラは今もなお遺跡で遺物を収集しているシカラベ達と、一旦都市に戻って来てるエレナ達に連絡を取る
『お疲れ様です。各自に連絡します。うちの徒党のシェリルが誘拐されて犯人達は既に処した。向こうさんの狙いは遺跡の場所、つまり遺跡の存在自体がバレてる可能性が高い。て、コトでこっから取り決め通り今までのマップ情報をオークションで売却を開始しようと思う。』
端末越しに沈黙が落ちる。
最初に答えたのはエレナだった。
『……本当にやるのね。遺跡情報を売るなんて、いろんなところから言われるわよ?まぁ、元々アキラが発端の遺跡探索だし、最終決定は任せるわ』
『元々バレるのわかってたし、バレたら情報の鮮度や価値が高い段階で売ろうって決めてたしな。なにより落札されるまで時間を稼げるし、その間に拾えるだけ拾おう。もちろんエレナさん達が集めてくれたデータも取捨選択して売り捌こうぜ!パーッとな!』
苦笑混じりにエレナが溜息を吐く。『合理的ね、ほんと…それと落札は十億は行くと思うわ』
続いてシカラベの声が低く響いた。
『構わねぇさ。どうせウチの徒党の連中は功績目当てで血走る。だったら競り合いに踊らせて、俺たちは稼ぐだけ稼ぐ。いやー若手派閥がバカみたいに躍起になるのは楽しみだ!』
治療から三時間後。
アキラはシェリルを迎えに行く事にした。既に治療費は支払い済みの為、手術を終えたシェリルの指は綺麗に戻り看護師に付き添われて姿を現した。
「シェリル!」
アキラはすぐに駆け寄り、その小柄な体を支えた。
「……アキラ。迎えに来てくれたのね」
かすかに笑うシェリルの瞳には、まだ痛みと疲労が残っていた。
「……すまん。俺が守れてれば、こんな怪我はしなかった」
俯きそうになるアキラの頬に、シェリルの指が触れる。
「違うわ。あなたが来てくれたから、私は生きてる。だから胸を張って」
一瞬、言葉を失ったアキラは、苦笑いして肩をすくめる。
「……ああ。そうだな」
病院の外に出ると、スラムの空気が二人を包んだ。
しばし沈黙が流れ、やがてシェリルが問いかける。
「……で、これからどうするの?」
アキラは端末を取り出し、匿名掲示板に表示されたオークションページを見せた。
「遺跡の存在がバレた。だから取り決め通りオークションの開催だ」
《安全! 敵なし! 未発見! 絶対稼げる!》
大仰な広告文句に、シェリルは小さく吹き出す。
「ふふ、ほんとに詐欺みたいね」
「だが信じる奴はいる。二日もあれば競りは跳ね上がる。その間に俺たちは稼ぐ」
シェリルは頷き、真剣な眼差しでアキラを見上げた。
「……分かったわ。じゃあ利益の分配も考えておきましょう。あなたが独り占めしたら、敵も増える。借りを作らせるくらいでちょうどいいと思うから」
「……やっぱそういうのはお前が得意だな」
アキラは小さく笑い、肩を並べて歩き出した。
アキラは短く頷き、匿名掲示板に出品をかけた。
タイトルは詐欺広告めいた文句で飾られる。
【朗報】全く敵がいないクッソ安全な遺跡が見つかるwwww
リンクはこれな→《URL:安全! 敵なし! 未発見! 絶対稼げる!》
添付されたのは数枚の写真。
無人の通路、瓦礫の隙間に覗く遺物、手付かずの遺跡の痕跡。
モンスターの影や足あとが一切映っていない。
今情報屋が率先して売りに出している未発見の遺跡の情報を、アキラは先んじて情報の公開をし、こうしてオークションは始まった。
◆
翌日。
都市の酒場や情報屋の噂に、匿名オークションの話題が流れ込んでいた。
「見たか? 未発見遺跡の情報が出品されてるらしいぞ!」
「嘘乙、あんなのガセに決まってんだろwwあんなのに騙されるのは情弱だって、一生ロムってろよw」
「なんすか、そういうデータとかあるんすか?」
「うるせぇ!!そんなうまい話あるわけねぇだろうが!ジョーコー(常識的に考えて)」
「それって、あなたの感想ですよね?」
「なんかおかんが言うにはそこはガチの未発見らしいぞ」
「ほなマジもんの遺跡か」
「でもおかんが言うには多くの情報屋は違うって言うてるらしい」
「ほな違うかー。みんなが違う言うてるならそれは違うんやろなー」
「おいおいさっき3億超えたぞ!馬鹿だなぁ、あんな眉唾に」
「5億ー、5億オーラムで買うえ〜あちきが巨万の富を手に入れるんだぇ〜」
「このアホを誰か黙らせろ。」
「馬鹿に聞く薬はねぇよ、諦めろ」
「写真は本物っぽい。あれがフェイクなら大したもんだ」
「ドランカムが競り落とす気らしいぞ」
入札額はうなぎ登りに跳ね上がり、各派閥が裏で競り合う。
表向きは沈黙を貫きながらも、裏では火花が散っていた。
だがアキラは気にしない。
「競りが続く二日間、俺たちは稼げるだけ稼ぐ」
そう言って、再び遺跡内部へ足を踏み入れた。
◆
二日間、アキラたちは遺物をひたすら回収し続けた。
徒党の子供たちも総動員し、運搬と仕分けを担当。
アキラとシカラベは深部の安全なルートを開拓し、エレナが慎重に危険箇所をマーキングしていく。
ただの探索作業のはずなのに、全員の手際はどこか切迫していた。
──時間との勝負だ。オークションが終わる前に、どれだけ稼げるか。
◆
そして二日後。
「……13億だとよ」
情報屋が吹聴した。
「落札したのはドランカムらしい。 完全に功績を独占するつもりだ」
「あほくさ、やってられんわ」
「ンアッー!ドランカムさん、やりますねぇ!」
「あーもうおしまいだよ!」
「 ウゾダ...ウゾダドンドコドーン!」
酒場の空気がざわめきに包まれる。
アキラは淡々と端末を閉じた。
「落札されたか……。よし、分配に移ろう」
オークションが終わり、最終落札額は13億。
「分配はこうだ。俺が六割、エレナ二割、シカラベ一割、レイナ一割」
アキラは淡々と告げた。
「……また私にまで?」レイナが眉をひそめる。
「お前も一緒に潜った。リスクを負ったなら取り分がある。それだけだ」
横でシェリルがくすりと笑う。
「そういうこと。うちのリーダーは計算高いのよ。借りを作らせるのも、戦い方のひとつ」
「……チッ、ガキのくせに抜け目ねぇ」シカラベは鼻を鳴らし、エレナは肩をすくめて苦笑した。
アキラは何も答えず、ただ冷静に端末を閉じた。
──自分にとっては合理的な選択肢を選んだだけ。
けれど周囲には、策士に見えて仕方なかった。
「さて、とりあえず今回の漁りはこれで終わりだ。みんな手伝ってくれてありがとう!」
この話にカツラギはおらず、既にアキラが売却しようとしている遺物の査定を率先して行なっていた。またこの場にはカツヤ達もいない。
遺跡の情報を落札したドランカムの若手派閥はカツヤを筆頭として大規模な遺跡収集を行おうとしている為、部隊の編成などで忙しかった。
なお、カツヤにはこの遺跡で既に探索済みである事をドランカムに周知しないように伝えており、もし漏らせば落札価格に応じた罰金と伝えてあるので流石に馬鹿な事はしないと信じている。
念には念をと、ユミナやアイリには「カツヤが余計なことを他のメンバーに話さないように見張っておいてほしい」と、シェリル経由で頼んでおいた。
どうやらその過程で、女同士の間でも取り決めや約束ごとが交わされたらしい。……だが、そこに首を突っ込む気はなかった。
「まぁーだいぶ稼がせてもらったぜ!」
シカラベが笑いながら言う。
「ええ、本当に。これでしばらくは遊んで暮らせるくらいよ。ありがとね、アキラ!」
エレナも満足そうに続ける。
「一応、遺物の売却益から決められた支払い分は、今度アキラに払うから安心して任せておきなさい!」
サラも得意げに言葉を添えた。
「いやぁ、お嬢様。見事に稼ぎましたね」
横で控えていたシオリが、レイナに小声でささやく。
「正直……またアキラに借りを作っちゃったから、気持ち的にはキツイんだけどね」
レイナは小さくため息をつく。
「ですがお嬢様、これでアキラ様との問題はほぼ解消しましたし、結果的には大成功かと」
シオリの言葉は理路整然としていた。
未発見遺跡を掘り当てたハンター──それも今後さらに伸びていくであろうアキラと、シェリルの徒党と繋がりを持てるのは、値千金に等しい。
今後の展開次第では、レイナの目的を達成するための近道にもなり得る。
そう考えれば、この機会はむしろ幸運だったと、シオリは静かに結論づけた。
こうして、未発見遺跡を巡る一連の探索と売却は幕を下ろした。
誰もが十分すぎるほどの稼ぎを手にし、それぞれの思惑もまた、確かに積み重なっていく。
借りを作った者。
借りを背負わせた者。
そして、その繋がりを見逃さずに価値へと変える者。
誰にとっても「得」を残した取引でありながら、同時に「次」へと続く火種でもあった。
アキラは周囲の声を背に、ひとり淡々と息を吐いた。
──合理的に選んだだけだ。策も打算もない。ただ必要だからそうしただけ。
だが、彼の背中を見つめる仲間たちは、それぞれ違う意味を見出していた。
稼ぎは終わり、次の舞台はすぐそこに待っている。
アキラ「今回語録おおいな」
アルファ『ところで私とカツラギの出番は?』
アキラ「悔い改めて、どうぞ」
読了感謝です。
言い訳ですが、今週末キャンプ行ってくるのでもしかすると投稿遅れるかもしれないのでご容赦ください。
とかいいつつ、コミケの日でも、くっそ忙しい日でも、ネタが降りてこない日でも投稿してるのでなんとかなる…かな?
FGOのイベントも終わりに近づいてるし、忙しくなるぜ!!でもRUSTとグラブルの古戦場を両立しながら頑張ってた新卒時代よりは全然マシだぜ!!
次は遺跡で大乱闘編と遺物大転売祭を予定してます。